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http://news.livedoor.com/article/detail/6792850/
先月と今月、読者にも馴染みの深い家電量販店同士の再編劇が大手メディアの紙面を賑わせたのは記憶に新しい。ビックカメラとコジマ、そして業界最大手ヤマダ電機によるベスト電器買収だ。経済メディアの雄である日本経済新聞のほか、一般紙やテレビのニュース、そして情報番組までが大きく取り上げた話題だが、1つだけ重要な要素が欠落しているのだ。生活と密着する分野だけに、大手メディアが触れなかったポイントに切り込んでみる。
●大きすぎた反動減
まずは一連の再編劇を振り返ってみる。
6月には業界5位のビックカメラが同7位のコジマを子会社化する方針を発表した。次いで今月、今度は業界最大手ヤマダ電機が同8位のベスト電器を買収する以降を発表した。
主要メディアの本記では、一連の再編の起爆剤となった要因として「テレビ販売の不振」をあげている。
2009年5月から始まった家電エコポイントが終了、昨年7月には地デジ化に伴う“買い替え特需”が終わった。
多くの読者がご存じの通り、量販店の一等地の大半はテレビではなく、現在スマートフォンがその主役となっている。利幅の大きかったテレビから売れ筋がスマートフォンに変われば、必然的に量販店の経営はきつくなるのは当たり前だ。
さまざまな業種が存在する小売業界の中でも、家電量販店大手各社の反動減はすさまじい。
昨年7月、地デジ化の最終期限となったとき、大手各社は前年同期でプラスの売上高を維持していたが、翌8月以降は軒並み同20%超のマイナスを記録。特に昨年11月は同60%超の減少を喫した会社まで大手の中には存在していたのだ。これ以降も大手量販店各社の月次売上高はマイナスが続いている。
家電量販店業界の異様な数値が並び続けた。長年のキャリアの中でもめったにお目にかかれない大きすぎる反動減だった」(外資系証券のベテランアナリスト)という。
●モルヒネが業界を殺す
話を大手メディアが記した一連の再編劇に戻す。
私が目にした記事やテレビ番組の解説の大半は、一連の出来事を「再編加速」、「合従連衡」や「再編による仕入れコストや販促費の削減」などとどちらかと言えば前向きなトーンで捉えていた。
だが、先ほどベテランのアナリストが「大きすぎた反動減」と触れたような事象が、果たして前向きなものだったのだろうか。私の目には、どうしても否と映るのだ。
「エコポイント制度を通じ、政府は瀕死のテレビメーカーの延命化をはかった」
「エコポイントや地デジ化というマヤカシでテレビメーカーも量販店もリストラが致命的に遅れた」
「地デジ特需剥落が目に見えていたのに、家電量販店業界は自殺行為とも言える出店攻勢を抑制しなかった」
★家電量販店業界は、政府によってモルヒネを打たれ、テレビ不況という病を完治することなくずるずると病状を悪化させ続けてきたのだ。
ここ5年ほどの間、日本のテレビメーカーは韓国や中国勢との闘いに破れた。クルマと並ぶ世界市場での日本メーカーを救済するため、政府はエコポイント、あるいは地デジ化という副作用の大きな薬を、家電量販店というパイプを通じて打ち続けてきたのだ。
私は取材の第一線から外れた人間だが、多少時間を作って調べれば、大手メディアが一方的に伝えてきた“前向き”なニュースとは違う一面が見えてくる。
★家電量販店の再編劇という事象をいまだに紋切り型でしか伝えない大手マスコミ、特に各社の経済関係ニュースの取材態勢の疲弊ぶりは目を覆うばかりだ。
消費不況の長期化、そしてデフレによる商品単価の下落は続く。家電量販店業界の“敗戦処理”にも似た後ろ向きの再編劇は続く。(相場英雄)
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