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Financial Times
暑さと雨不足でロシアの小麦にも黄信号
2012.07.27(金) (2012年7月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
シベリア西部のノボシビルスクで小麦農家を営むユーリ・シェルジャコフさんは、干ばつに見舞われた米国中西部の同業者たちに容易に共感できる。焼けるような暑さと雨の降らない状態が2カ月続いた後、シェルジャコフさんの農場では小麦の収穫が危うくなっており、「悪夢のような事態を迎えようとしている。いいことは何も期待できない」と言う。
過去半世紀余りで最悪となる米国の干ばつがメディアの話題をさらっているが、ロシアの穀物産業も天候問題に苦しんでいる。
米国の干ばつで神経尖らせる市場に追い討ち
今の状況は2010年ほど悪くはないかもしれない。当時は国内の作物が壊滅状態に陥り、ロシア政府が輸出を禁止した。
だが、アナリストらによると、ロシアと隣国カザフスタンの穀物生産は、世界の農産物供給にとってますます重要になっている。トウモロコシと大豆の価格は、米国の干ばつを背景に記録的な高値まで高騰しており、市場は他国の問題に関して神経質になっている。
ロシアは2010年に記録的な干ばつを受け、穀物の輸出禁止に踏み切った〔AFPBB News〕
「米国の問題に加えて、これは非常に大きな懸念材料になる」。ラボバンクで農産物調査部門の責任者を務めるルーク・チャンドラー氏はこう言う。
また、ロシア政府は先週、輸出を制限する理由はないと述べたが、トレーダーたちは輸出税のみならず、再度の輸出禁止措置の可能性についてさえ思案し始めている。
ディーラーたちが穀物の輸出規制が計画されているという噂を口にする中で、小麦価格は25日、一時3.5%も上昇した。
小麦市場で黒海地域として知られるロシア、カザフスタン、ウクライナは、世界の小麦輸出の約4分の1を占めており、世界最大の穀物輸入地域である北アフリカと中東向けの主要な供給元になっている。
2007〜08年のような食糧危機を避けられるか?
小麦はコメと並んで世界の食糧安全保障にとって最も重要な穀物であり、政策立案者たちは、小麦とコメの潤沢な在庫が2007〜08年に見られたような本格的な食糧危機を回避してくれることを期待している。
だが、トウモロコシ価格が急騰しているため、畜産農家が家畜に与える小麦を増やし、需要をさらに押し上げる可能性が高い。
モスクワに本社を置く農業コンサルティング会社ソブエコンのアンドレイ・シゾフ氏は、穀物は「大きな被害を受けている」とし、最近の雨は「収穫を遅らせ、作物の質を低下させただけに終わった」とシゾフ氏は言う。
悪天候を受け、アナリストはロシアの小麦生産の見通しを下方修正している。農産物市場の指標となる統計を作成している米農務省は、ロシアの小麦生産の予想を5月時点の5600万トンから4900万トンへと引き下げた。
生産の落ち込みは輸出に影響を与える。穀物トレーダーは、今季のロシアの小麦輸出が700万〜1000万トンになると予想している。これは米農務省予想の1200万トンや昨年の輸出量2100万トンを大きく下回る。
だが、ロシア政府は食料価格とインフレ圧力に敏感だ。状況が一段と悪化した場合、何らかの輸出規制が実施される可能性が残る。国内の食料価格は重要な要因になり、政府が注意深く見守るだろう、とコモディティー(商品)ブローカー、INTL FCストーンのダン・ホフスタッド氏は言う。
WTO加盟を控え、国際ルールに縛られるはずだが・・・
だが、ロシアは来月、世界貿易機関(WTO)に加盟することになっているため、政府は、緊急時を除いて輸出禁止措置を禁じている国際的な貿易ルールに縛られる。だが、価格が大幅に上昇した場合には、関税や輸出割当、さらには輸出禁止措置といった輸出制限が実施される可能性が高まる。
「小麦価格が1トン当たり350〜370ドルであれば、輸出が禁止される可能性はかなりある」とあるシニアトレーダーは言う。複数の民間コンサルティング会社によると、黒海の主要港ノボロシースクでは、輸出用のロシア産小麦が1トン当たり約305ドルで取引されているという
「輸出規制がどのような形になるにせよ、世界の穀物市場にとってはロシアの輸出に関する不確実性が残る」と、リスク分析を専門にするワシントンのコンサルティング会社ユーラシア・グループのアナリスト、ジェニア・ウスチノヴァ氏は言う。
地域全体に広がる懸念
困ったことに、ロシア南部とボルガ地方に影響を与えている暑さと乾いた天候は、この1カ月でウラル地方や西シベリアにも広がっており、脅威にさらされる小麦の割合が増えている。
地域全体が苦しんでいる。ウクライナでは、昨年秋も小麦が深刻な干ばつによって打撃を受けた。米農務省で国際情勢分析を手がけるマーク・リンデマン氏によると、カザフスタンでも「状況はロシアと全く同じくらい悪い」という。
ロシア南部のロストフで小麦とトウモロコシ農家を営むニコライ・ポピフネンコさんにとっては、世界的な懸念やロシアの生産・輸出見通しはどれも観念的な話だ。「これまで価格上昇を当てにしてきたが、値段が上がったところで、収穫期に失った作物の埋め合わせにはならない」と話している。
By Emiko Terazono and Courtney Weaver
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35761
雨不足のモンスーンが不振のインド経済を直撃
(2012年7月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
インド北部の村バルドーリを覆う空はここ数日どんよりと曇っており、農家は雨が降るのを待ち焦がれている。だが、雲が黒く立ち込めても、農家を営む50歳のチョウダリー・ベドゥ・シンさんにはあまり慰めにならない。異常な高温が続いたせいで、水田の苗はとっくに台無しになったからだ。
10人家族の家長であるシンさんは、7月10日に広さ2エーカーの水田に種モミをまいた。例年であれば、モンスーンの雨がインド北部の平原地帯を冷やし始めてからだいぶ経った頃のことだ。だが、シンさんの土地では、ほとんど雨が降っていない。
シンさんは苗が枯れるのを防ごうとして、水田に給水するポンプのディーゼル燃料に1日当たり約1000ルピー(18ドル)費やしてきた。だが、40度に迫る暑さの中では、水は温度が高く、すぐに蒸発してしまう。このため、しおれた苗はほとんど枯れかけている状態だ。
「あと3〜4日雨が降らなければ、田んぼは完全に干上がってしまうだろう」とシンさんは言う。「家畜飼料の苗さえすっかり枯れてしまい、もう助かる見込みはない。雨が降れば、水田の半分くらいは助かるかもしれない」
泣きっ面に蜂の雨不足
こうした悲観論はインド全体に広がっている。膨大な数の農家は、国民会議派が率いるインド政府や企業経営者とともに、今年の雨不足のモンスーンが、経済成長の鈍化とインフレ率の上昇に悩んでいるインド経済にとってさらなる打撃になると嘆いている。
「タイミングが悪い」。野村のインド担当エコノミスト、ソナル・バルマ氏はこう語る。「あらゆるマクロ経済の指標に悪影響を及ぼすだろう」
アベンダス証券の調査部門を率いるアナンド・シャンバーグ氏は、雨不足のモンスーンのせいで農家の所得が2400億ルピー減る可能性があると話している。シティバンクの試算では、弱いモンスーンの影響で、前年度に6.5%と9年ぶりの低成長となったインドの国内総生産(GDP)成長率が0.5〜0.8%下振れする見込みだという。
近年、インドのGDPに占める農業の割合は急低下し、1991年の28%が15%前後まで下がっている。だが、労働人口の半分が主な収入源として農業に依存しており、毎年6〜9月のモンスーン期は農村部の大半の家計と彼らの消費に影響を及ぼす。野村のバルマ氏は、消費財を扱う多くの企業が成長の大半をインド農村部から得ていると指摘する。
インドの消費に大きなマイナス影響
「雨の少ないモンスーンの影響はまだ出ていないが、農村部の消費に大きなマイナス影響をもたらし、それが都市部にも広がっていくだろう」。販売台数でインド最大の2輪車メーカー、ヒーロー・モトコープのスニル・ムンジャル社長はこう話す。
今年のモンスーン期のインドの総雨量は長期平均を約22%下回っている。インド西部のパンジャブ州やマハラシュトラ州などの重要な農村地域の多くでは、雨量が例年の30〜40%程度にとどまっており、綿花やサトウキビなど、潜在的に実入りが良い換金作物の畑が壊滅的な被害を受けている。
ドリップ灌漑会社ジェイン・イリゲーションの主席農学者、P・ソマン氏は「農家は既に損失を被っており、大きな回復は見込めない」と話している。
用水路や井戸がある地域では、金銭的に余裕のある農家はディーゼル燃料を使ったポンプを動かし、畑を守ろうとしている。
その他の地域では、多くの農家が耕作を減らしており、作付け面積は昨年より約770万ヘクタール少ない。灌漑設備のない畑の中には、作付けされた後にそのまま放置されているところもある。
慢性的な食料インフレに拍車
厳しい状況に直面するのは農家だけではない。近年の豊作にもかかわらず、インド経済は10%を超す慢性的な食料価格上昇に見舞われている。栄養価の高い食料に対する内需の増加と、農家が需要増に追いつけないことが原因だ。雨不足のモンスーンはインフレ圧力を一段と高め、都市部の家計を圧迫する。
JPモルガンのインド担当チーフエコノミスト、ジャハンガー・アジズ氏は「食料価格の上昇で、家計は特に耐久財など、食料以外のモノの消費を抑えざるを得なくなる」と言う。
インド政府は当初、雨不足を甘く見て、当初の雨不足はモンスーン期終盤にかけての大雨で補われると述べていた。
だが、政府は今週、今年のモンスーンが平年を下回ることを認めた。もっとも、灌漑用の電力供給を拡大し、水の使用量が少ない穀物の種を分配することで農家を支援すると語っている。
財政赤字の削減も困難に
それでも、雨不足によって、政府がインド最大の課題の1つに取り組むのが難しくなる。つまり、ディーゼル燃料の補助金を減らし、前年度(2011年4月〜2012年3月)にGDP比5.9%に達した財政赤字を削減することだ。
ディーゼル燃料価格が大きく上昇すれば、農家から抗議の声が上がる。アナリストらによると、インド政府は多くの地域で多額の資金を投じて干ばつ救済措置を講じざるを得なくなり、財政負担が一段と増すという。
それでもバルドーリでは、農家は政府の支援をあまり期待していない。その代わり、雨乞いの祈りを捧げてもらおうと、地元のヒンドゥー教の司祭ベド・プラタプ・ギリ氏の元に殺到している。
ギリ氏は朝晩儀式を行い、大きな太鼓を叩いて神に祈っている。「神がそうと決めた時しか雨は降らない」とギリ氏。「私たちはとにかく、神をなだめようとしている」
By Amy Kazmin in Bardauli
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35756
集中豪雨で一夜にして水没した北京
SNSが示した市民の“情”と当局への“怒り”
7月21日、一晩中眠れなかった北京人が少なくなかった。60年ぶり(1951年以来)といわれる豪雨が北京を襲い、水不足に陥りやすい北京の街を、瞬く間に洋々たる海原に変えてしまったのである。
救難活動の情報伝達に
重要な役割を果たしたSNS
この緊急時に、中国版SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)である「微博(ウェーポ)」という現代文明の利器は、今回の自然災害に対する最も有効な実況ツールとなった。微博は刻一刻変化する災害状況を迅速に全北京・全中国・全世界に伝え、多くの人々にタイムリーな情報を知らせたばかりでなく、実際の救難活動において重要な情報伝達や民間スタッフ調整のコントロールセンターとしての役割をも担った。
微博を通じ、民間の人々が救難活動において、重要な役割を果たしたことを感じることができた。
たとえば、ハンドルネーム「孫融-蘿蔔」というネットユーザーは微博で積極的に災害救援情報を発信し、10分ごとに情報を更新した。彼は「十渡と野山坡では通信が阻まれ、助けを求める情報が大量にあり、最新の情報が必要」と呼びかけ、どんな情報でもいいから連絡してほしいと、携帯電話番号を公開した。
彼は上海のある情報技術系企業の創始者だということだけしかわからず、年齢も不明だが、まるまる12時間情報を発信しつづけ、大水が引きはじめ、交通を分断されていた房山一帯に消防隊員が入った情報を確認してから、ようやく、「感謝すべき人があまりに多いので、眠りから覚めたらまた書き込みします。皆さん、転送ありがとうございました。みなさんのアクセスやクリックがすべて愛でした。すべての方々に心から感謝して、本日はこれで失礼します」と書き、微博を閉じた。
次のページ>> ボランティアで足止めされた人々を送迎
またハンドルネーム「@●(=ごんべんに焦)姑娘」というネットユーザーは、「地下室のあるマンションに居住している方は、自宅から出て、地下室を見に行っていただけますでしょうか。地下室には、もしかしたら親がまだ帰っていない子どもがいるかもしれません。見に行って、声がけをして、助けてあげてください」と、注意を呼びかけた。ただちに複数のユーザーがこの書き込みを転送し、そのなかの一人は「より多くの関心がより多くの命を守り、より多くの家庭を守るかもしれません」と、転送の意義を強調した。
北京在住の2人の若い女性「孔霸天」と「@醉_生活」もまた、夜を徹して情報を転送し、どこそこのホテルが避難所として開放されているとか、無料のサービスがあるとか、お湯のシャワーがあるとか、食べものや飲みものが提供されるといった情報を、帰宅困難者となった不特定の大衆に伝えた。
青のティアナを運転するネットユーザーはボランティアで送迎が可能だと書き込んだ。北京首都空港で8万人もの人が足止めされていた際、多くのネットユーザーが車での送迎ボランティアチームを作って無料で人々の送迎をした。北京の多くの自家用車保有者が街で人々の帰宅をサポートし、また、多くの北京市民が見ず知らずの人々の避難のために自宅を開放した。マンホールの蓋が流されてしまった場所では、清掃労働者がその脇に立って、通行者や車に身体でもって危険を知らせていた。
こうした感動的なエピソードは枚挙にいとまがなく、ネット上で多くの人々が「これこそ北京精神」などと称賛した。
政府や北京市の責任を
厳しく問う声もあふれる
しかし、それと同時に、政府や関連部門の責任を厳しく問う声もあがった。「数年前、青島で数十年に一度の豪雨に遭遇した。ところが、それほど水が溢れなかった。調べたら、かつてドイツ人が下水道網を作ったのを知って納得した」。さらにある人は「下水道は都市の良心だ」と書き込んだ。故宮が豪雨の影響を受けなかったのを見て、鋭い指摘をする者もいた。「お手本とすべき下水道はフランスだけでなく、祖先の残した故宮や、ドイツ人が関わった青島の地下工事にもある」。
次のページ>> 政府関連部門への手厳しい批判
さらに、海に面しており、海抜の低い地域をもつ東京の下水道システムを取り上げ、その完璧ぶりを「地下の宮殿」と高く評価すると同時に、北京の下水道の貧弱さを容赦なく批判している声も多数あった。なぜ大雨の後、東京の交通がマヒしないのかと問題を提起したうえで、北京ないし中国の各地方の問題に矛先を向け、「目に見える地上の箱モノは、政府官僚の実績につながるので、官僚たちは我先にと要らぬものまで作っている。しかし、地下にある下水道は目に見えない存在だ。官僚たちはめったにない大雨のために、実績にはなかなかつながらない下水道作りにはあまり熱心ではないのだ」と、痛烈に批判する人もいた。
また、北京市公安局の職務怠慢を指摘する声もあった。「緊急時に公安の微博アカウントでは救援や通報、ボランティアの動員などの情報を公表すべきだ。だが現在、公安のアカウントは2時間も更新が停まっている。トップに来ているのは警察の殉職情報で、最初から5つの情報は、すべて警察がなんらかの任務に成功したという報道だ。いま現在、北京公安の公式微博にとって、最も重要な任務は自画自賛なのか?人命救助こそが警察の職務のはずであり、人を助けないでどうするのだ」。
また「北京にある6万2000台の公用車はどこにいった?」と、これほどある公用車がなぜ空港や駅で足止めされて、困っている人々のために使われなかったのかを問う声もあった。
さらに死者が37人に達した時点で、死者の公表を控えた北京市のやり方に、人々は批判の砲火を浴びせた。市の女性スポークスマンは「SARS(重症急性呼吸器症候群)事件以降、北京市政府は情報の透明化の重要性を理解している。死者の身元が確認できたら、隠さず公表する」と説明に追われた。しかし、その説明に対しては、多くの市民は半信半疑でいる。
稀にみる豪雨で北京は一夜にして水没し、その豪雨の夜によって、人々は北京にはまだ暖かい人間の情が存在していることを知った。だが大水害によって、北京市の建設がなぜこのように脆弱であるかも問われることになった。大水はほどなく引くであろうが、豪雨の夜に生まれた北京の「情」はその暖かさを保ち続けてほしい。そして北京市政府には市民の審査に耐えうる回答を示してほしい。
http://diamond.jp/articles/-/22097
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