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家族団らんの席で『リターンはどのくらいだ?』という会話はごく一般的な家庭でもある見慣れた風景だそうだ。至るところでこんな話がされているらしい。中国人にとって投資というものは非常に身近なものであり、普通の家庭でも話し合われているごく一般的な話題のようである。
それにしても、多くの中国人が何らかの投資をしていたりするのは正直なところ驚く。日本人は特にコツコツと地道に生きることに美徳を感じ、一発逆転的な考え方はネガティブなイメージを持っているので、投資については本当に疎いし興味がそもそもない。それにしても、なぜ中国においてそんなにも投資が一般的なのだろうか?その事を考えることで、中国をここまで急速に発展させた原因が分かってくるような気がする。そして、いかに日本とは異なる成長過程をたどっているのかも理解出来るのではないだろうか。
日本も戦後もそうだったように、欧米のように豊かな生活にあこがれ一生懸命仕事をしたように、中国でも貧しい生活を少しでも良くしようという意気込みを持っている。それはまさしく欧米に追い付け追い越せと日本全国で大号令がかかったかのように働き続けた日本人そのものである。しかし、中国の場合、日本と違ったのは豊かになるための「手段」である。
中国の場合、豊かになるための手段は、「会社経営」と「投資」である。日本のように「労働」こそが豊かになるための「手段」であると無意識に思っているのとは違う。
なぜ豊かになる手段が「労働」ではなかったのか?それは中国人の価値観にある。日本人には、自分自身で会社を起こすなんてことを考える人が少ない。それは、小さい頃から優秀な労働者になる為の、教育や習慣の中で生きてきているからだ。会社を起こしたいと思った時点で優秀な労働者ではない。(この辺りのことは次回くらいに詳しく書きたいと思っている。)
しかし、中国においては労働者になりたければなればいいし、経営者になりたければなればいいのだ。もちろん、いろんな制約により出来ないこともあるが少なくとも中国では日本のような優秀な労働者を作り上げるための教育・習慣はない。
そうなると、豊かになる為の手段として「経営者」を選ぶ人が増えるのは当然である。経営者の方が豊かになれる可能性が圧倒的に高いのだから。特に以前のように給料も低い時代に労働で豊かになれるなんてことは中国人にとって考えられないことである。今でこそ経済発展したおかけで労働により豊かになるという人も増えてきているようだが、中国は発展してきた手段が「労働」ではないのは紛れもない事実なのだ。とにかく、中国の場合、自分でビジネスをしたいと思う人は日本とは比にならないくらい多い。
しかし、どんなに新しい経営者が現れても事業をするには、資金がいる。経営者になりたい人が沢山いたところで経済は発展するわけでも豊かになるわけでもない。特に貧しい人が多かった時期に事業を始めるのはとても難しい。しかし、その問題については中国の歴史的習慣と豊かになりたいという憧れが解決することになった。
中国では、家族関係が非常に濃い。家族だけでなく、親戚や近所づきあいは日本とは比べものにならないくらい濃い。つまり、家族・親戚・近所と強く結びついているのが中国の特徴である。そんな中で新しいビジネスを立ち上げたい人が出てくるとどうなるか。自然とみんなで少額でもお金を出すようになるのだ。
そのようにして、その資金を元手に新しいビジネスを立ち上げることが可能になったのである。そして、お金を出す人も豊かになりたいと考えているわけだから、リターンを期待するようになる。共にお金を出し合ってビジネスを成功させようとみんなで一生懸命になる。
中国は、約13億人の人々の多くが経営者意識を持っているし、投資家意識を持っている。最初は小さなビジネスでも成長することで投資者も経営者も共に富を築いていくことが出来たのである。そして、このサイクルを回すことでさらに豊かになっていったのが中国なのだ。今では世界中からお金が中国に集まるようになっている。
日本のように製造業が特に発展したのは国の主導もあるが、何よりも優秀な
労働者の功績が高い。質の高い製品を安いコストで製造できた製造業がまず最初
に発展することで経済成長が始まり、そしてその周辺へと広がっていったのが日本
の経済成長である。製造業が日本の基幹産業であると言われるゆえんである。
しかし、中国の場合、日本のようにある特定の産業が発展して経済成長してきた
わけではない。
「労働」だけが豊かになる手段ではない。
中国にはまず経営者が出てくる環境があったこと。そして何より人間同士の結び
つきが強かったために、結果的に投資文化が根付いたことこそが、経済発展の
原因と考えることが出来る。今では家族団らんの席でここに投資すべきだ、
いやこっちの方がいいと多くの人間が毎日議論しているのである。
よく中国人は、ビジネスの話(儲け話)をよくするがそれを具体的にどう利益にして
いくのかという話になると途端にトーンダウンする。これはいつも投資家的な立場
もしくは経営者的な立場で物事をいつも見過ぎているからだと思う。そのために、
具体的な業務については全く分からない、もしくはそれは苦手という人が多い
のも中国人の特徴でもあるのだ。多くの人が経営者的・投資家的な考え方に
偏り過ぎているからに他ならない。
中国人労働者は働かない。日本人のように会社への忠誠心がないと日本人から
見ればそうなのだが、そんなのは当たり前だ。日本は、世界的にも特殊で日本
国民の殆どが優秀な労働者になることを望んでいるのだから、それを基準にして
中国人を扱うことがどんなに無意味かがお分かり頂けると思う。
ただ、この方法で成長してきたがために失ったものもあるのは事実だ。それが
優秀な労働者に他ならない。製品の質・サービスの質という点ではやはり劣る
部分があるのが現状だ。例えば、素晴らしい技術者が育ってきているとは思えない。
もし、中国が優秀な労働者を生み出すようになったらそれこそ凄まじい経済成長を
さらに続けるだろう。
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最後に、インタビューした中国人からコメントがありましたので、記載しておきます。
『中国人は、投資配当や不労収入は皆の望ましいことで、一発逆転こそ最強だと
考えている。実際、周りに一夜にして大金を稼いだ人は多く、稀ではなくなって
きているのが現状です。コツコツ勤労していたのでは一緒貧乏から脱出できない
と誰もが思ってると言っていい。コツコツ勤労こそが貧乏の象徴と思われ
ていて、バカにされることもある。
例えば中華圏では人気トップの座を長い間守り続けた有名女優のコン・リー
がシンガポールの華人と結婚した時、ネット上では彼のある経歴が暴露され、
皆の嘲笑の的になった。とある経歴とは、『数十年の下積み苦労や努力に
よって企業トップまで登り着いた』という経歴である。
中国人にとっては、検索エンジンのBaiduやSinaのような短期間で一発逆転の
成功者が尊敬される傾向があります。日本と真逆です。ただ、一発逆転ばかり
が良いとは思わなくなっているのも事実ですが。
コツコツ働きたいチャンスも手に入れられない大卒や若者は中国には沢山
います。そんな中で、地球上最後で最大のマーケットとして世界中から投資
が集まっている。この事実は、多くの中国人にとってチャンスにしか映らない。
今の中国人は、ハングリー精神と強欲の塊のように豊かさを求めているのです。
なぜここまで成長できたのか?それは富への欲の強さと経済に熱いハングリー
精神にほかならない。ケ小平の南巡講話により、政府支配により眠っていた
頭脳を刺激することにより、またこれまでなかった自由を与えたことで、
史上最短期間で先進国レベルまで成長した富への欲の強さとハングリー
精神はハンパじゃない。』
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