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人気取りに過ぎない大統領の中間層減税延長案
2012/07/10 (火) 16:06
アメリカのオバマ大統領が次のように言いました。
The Republicans say they don't want to raise taxes on the middle class. I don't want to raise taxes on the middle class. So we should all agree to extend the tax cuts for the middle class. Let's agree to do what we agree on, right?
「共和党員は、中流階級に対する税を上げたくないと言う。私は、中流階級に対する税を上げたくない。だから、我々は、中流階級に対する減税を延長することに皆合意すべきなのだ。合意することには合意しよう。そうだろう?」
では、オバマ大統領がいう中流階級はどれほど所得がある人々なのかと言えば‥年間所得が25万ドル以下ということですから日本円で約2千万円。大金持ちという訳ではないものの、日本の基準からすれば相当に裕福な人々も含まれるということで、これでは、オバマ大統領の金持ち減税撤廃はどうなってしまったのか、なんて思いたくなってしまうのです。
但し、この減税の延長は1年間に限ったものだ、ともオバマ大統領は言うのです。
さあ、この何とも中途半端な減税の延長提案について、貴方はどう思うことでしょう。
アメリカの失業率は依然8%台にあるなど、雇用がなかなか回復しないなかで減税を打ち切るのは無謀なことなのか?
因みに、オバマ大統領のライバルである共和党のロムニー前マサチューセッツ州知事は「富裕層への減税打ち切りは景気にマイナスだ」と。つまり、富裕層への大型減税の延長を求めているのです。
確かに他の条件が等しく、ただ富裕者層に対する減税を廃止した方場合と、そうでない場合の経済に与える影響を考えるのであれば‥それなら、そうした減税を廃止しない方が経済に対しては悪影響を与えないで済む、そう誰もが思うことでしょう。
ただ問題は、経済に与える影響をどうするかだけではないのです。そうでなく、財政赤字の縮小を図りつつ、どうやったら経済を成長させることができるのか、と。
そうなのです。一方で、財政赤字を減らしながら、その上経済にもいい影響を与えるように要求されるので、なかなか名案が浮かんでこないのです。
いずれにしても財政赤字を縮小するとなれば、どうしても何らかの歳出を削るしかなく‥或いは増税を実施するか、そうでなければ何らかの減税をストップさせるしかなくなるのです。
ですから、共和党のように富裕者層への減税を続けるという考えはどうしても支持しがたいとしか言いようがないのです。ただ、そういう私などの考えに対しては、景気が悪いときに増税をしたり、或いは減税をストップしてしまえば、益々景気が悪くなって、税収はむしろ落ち込んでしまうという理由で、増税の実施や減税の停止に反対する人々がいるのです。
いずれにしても、この問題に関して絶対に正しいという答えは永遠に得られることがないでしょう。
というのも、この問題については、「他の条件が等しければ‥」という前提がついている訳ですが、そんな条件が現実に満たされることなどないからです。
ということで、いつまで経っても、自分たちの意見が正しく、そして相手側の意見が間違っているということになり‥そして、どちらの意見を支持する有権者が多いか少ないかで実際に採用される政策が決まる訳です。だから、世界中いたるところでばらまきというか、財政赤字が拡大する傾向にあるのでしょう。
早い話、オバマ大統領は、もっとすっぱりと富裕者への減税を廃止したかったのだと思うのですが、このようにして中途半端に減税措置を延期することを認めることになった、と。
では、こうやって中途半端ながらも減税措置を続けると‥或いは、共和党の言うように富裕者層への減税を続けると、雇用回復をもたらすことが出来るのかと言えば‥恐らく余り大した効果は期待できないでしょう。
何故ならば、富裕者層への減税を行ってきた結果が未だに8%台の失業率なのですから。
ということで、経済に対する効果がどうのこうのというのではなく、政治的な思惑でいつも財政政策の内容が決まりがちであるというのが、世の習い。そして、それは日本でも同じであるのです。
そしてまた、経済に対する効果を考えて財政政策の中身を考えるべしといっても、結局、有権者が損になるか得になるかと言うことが最大のポイントであるのです。
以上
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第162回 政府の「バラマキ」を定義する(1/3)
2012/07/10 (火) 10:46
前回も書いたが、自民党が「国土強靭化基本法(10年間200兆円投資)」を提出し、公明党も「防災・減災ニューディール(10年間100兆円投資)」を政策に掲げ、さらに「たちあがれ日本」が「10年間で300兆円のインフラ投資」を政策宣言に掲載したことで、マスコミの「バラマキ批判」が高まってきた。最も「ありがち」な批判は、
「消費税を増税し、公共事業でバラまくのか!」
というものである。
筆者は別に政府の放漫財政や「バラマキ」を推奨したいわけではないのだが、少なくともこの手の批判をする際には「事実」や「定義」が必要だと考える。上記の批判は、事実関係において間違っている上に、「バラマキ」の定義を公共事業としている点で、奇妙としか言いようがない。
まず、事実関係について整理しよう。上記の「消費税を増税し、公共事業でバラまく」の根拠らしきものは、社会保障と税の一体改革の附則十八条に、「半年後の増税の条件」として、
「成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する」
と、書いてあることである。とはいえ、法律の文面をきちんと読むと、
「事前防災や減災等のために投資をした」
結果、
「日本経済がデフレから脱却し、名目GDPが3%成長(努力目標ではあるが)を達成した場合に」
消費税の3%アップを政権が決定するという形になっていることが分かる。
すなわち、国土強靭化にどれだけ巨額の投資が行われたとしても、デフレから脱却することがなければ、消費税は増税されないのだ。確かに、国土強靭化の投資を行ったにも関わらず、日本経済がデフレから脱却しない状況で、時の政権が強引に「半年後(2014年4月)の増税」を決断する可能性はなくはない。とはいえ、さすがに、
「国土強靭化などとお題目を付けたバラマキのために、消費税を引き上げた」
というフレーズは間違いである。国土強靭化などは消費税アップの条件に過ぎない。逆の言い方をすると、消費税は国土強靭化の財源ではない。
それでは、自民党の国土強靭化の財源が何かと言えば、ずばり「建設国債」である。60年償還の建設国債を発行し、さらに日本銀行とアコード(協定)を結び、インフレ目標(消費者物価の前年比上昇率)を2%と設定する。上記の「日銀との連携」により、政府は国土強靭化投資の財源を「インフレ率の上昇」のみを代償に調達できるわけである。日銀が建設国債を買い取った場合、政府は単に「通貨」を発行したのと同じになり、実質的な負債は1円も増えない。
政府の実質的な負担を高めず、国土強靭化関連の投資を行い、インフレ率がプラスで安定的に推移するようになったら、初めて「政権」が半年後の消費税アップを決断する。一応、今回の増税法案はこの流れにはなっているわけである。筆者としては、インフレ率がプラスに戻り、名目GDPが安定的に成長を始めると自然増収になるため、消費税増税は不要なのでは? と、突っ込みを入れたくなるわけだが、それにしても今回の「社会保障と税の一体改革」法案と国土強靭化関連投資を「捻じ曲げた」形で結び付け、
「消費税を増税し、公共事業でバラまくのか!」
と、批判するのは明らかにミスリードだ。
ところで、先にインフレ率について「代償」と書いたが、現在のデフレに悩む日本にとって、インフレ率が適正な水準(自民党の場合は2%)に上昇することが、むしろ望ましいことであるのは言うまでもない。そういう意味で、自民党、公明党、たちあがれ日本の三党が金額(それぞれ200兆円、100兆円、300兆円)で政策を訴えているのは、経済学的に適切とは言えない。
インフレ率が理想的な水準に達した場合、例えば200兆円の半分しか消化していなくても、投資ペースを緩めなければならない。あるいは逆に、たちあがれ日本の300兆円を消化してさえ、日本のインフレ率はプラスに転じない可能性もゼロではない。
要するに、デフレギャップ解消の政策目標は「金額」ではなく「インフレ率」に置くべきなのだ。とはいえ、インフレ率の目標を提示したらしたらで、マスコミが、
「結局、いくら投資するんだ!」
と突っ込んでくるのは目に見えている。また、国民は政治家に「インフレ率で〜」などと言われても、理解しようとしない。「で、結局、幾らやるんだ?」と政治家に対し質問することになるだろう。そういう意味で、政治家が政策規模について「額」で言うことは、まさに「政治的」に仕方がない話なのかも知れない。
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