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物言わぬ株主に戦々恐々
素性がいまひとつハッキリしない投資ファンドが、一段と不気味さを増している。4年ほど前から日本株への投資に積極的な『OD05オムニバス』という名の投資信託会社で、今年の3月末には有力企業174社の大株主ベスト10に名を連ねた。昨年3月比で実に51社も増えている。
関係者が驚きを隠さないのは、その投資マネーのボリュームだ。歴史的な株安にもかかわらず、判明した企業の時価総額だけでトータル3兆5800億円。半年で約1兆円増えている計算になる。むろん、ベスト10に登場した企業に限ってのことで、公表されていない11位以下の企業も含めると金額はさらに膨らむ。どの道、膨大な金が注ぎ込まれているのは間違いない。
問題は存在感を増す一方で、その正体が定かではないことだ。登記上の本社はオーストラリアにあり、香港上海銀行東京支店が常任代理人を務めているが、市場関係者は「OD05オムニバスは配当を受け取るための信託上の名義にすぎません。そのため、所有者などの詳細はベールに包まれており、中国政府系ファンドではないか、との見方が定着しています」と解説する。
中国の外貨準備高は円換算で世界最大の約300兆円を誇り、これを国家外為管理局と国策ファンドの中国投資有限責任公司が運用している。前者は主に米国債で運用しており、後者は株式や債券などで運用している。従ってOD05オムニバスは「後者の別働隊」との見立てである。
中国政府の強力な後ろ盾があれば運用マネーには事欠かず、前述した時価総額3兆5800億円にしても氷山の一角にすぎないのは明らか。それどころか、市場の株安に乗じて積極果敢に買いまくり、次々と経営権を奪取できる。打ち出の小槌をガッチリ握っているのは最大の強みで、その気にさえなれば標的はゴロゴロしているのが実情だ。
「まだ会社とガチンコ対決するような行動を取っていませんが、これで業績不振と株安のダブルパンチに見舞われた場合、いつまでも物わかりが良い株主であり続ける保証はありません。本気で牙をむいたら修羅場になる。だから日本を代表するトップ企業でさえ、内心では戦々恐々としています」(大手証券マン)
OD05オムニバスが大株主に名を連ねるのは、いずれも日本が誇るトップ企業ばかり。オリックス(保有比率3.8%=株主順位4位)、日立製作所(2.9%=3位)、コマツ(2.5%=6位)、三井物産(2.4%=3位)、ソニー(2.4%=4位)、武田製薬(2.2%=5位)、東京海上HD(2.3%=4位)、ホンダ(2.2%=7位)、トヨタ自動車(1.9%=9位)、NTTドコモ(0.9%=4位)などだ。
いくら「現時点では配当金を受け取るだけ。総会での議決権行使は控えている」(情報筋)といっても、いつ“物言う株主”の本性を現し、あの『村上ファンド』の向こうを張ったアクティビストに豹変しないとも限らない。慈善事業ならばともかく、より大きなリターンを得なければ「運用者の責任問題になる。これが投資の鉄則」(関係者)とあってはなおさらのことだ。
中国側にとって日本企業が“宝の山”であることは秋葉原の老舗であるラオックス、大手アパレルメーカーのレナウン買収などで明らか。蘇寧電器に買収されたラオックスに至っては、いまや中国からの観光客“御用達”と化している。そんな盛況ぶりを目の当たりにすれば、OD05オムニバスの背後に控える中国政府の要人が、トヨタ、日立、ソニーなどに舌なめずりしないわけがない。
「トヨタは中国市場でGM、フォルクスワーゲンなどの後塵を拝していますが、ブランド自体は強力です。いくら敵対的買収に備えてグループ間の持ち合い関係を強化しているといっても、中国側が安値に乗じて買い増せば、微々たる保有比率で家業を相続した御曹司の豊田章男社長にとっては不気味でしょう。もし10%近い大株主に躍り出たら、それだけで大慌てです」(トヨタ・ウオッチャー)
トヨタは時価総額で日本一を独走している。従って株の買い増しによる経営介入は容易ではないが、これで豊富な資金力をバックにするOD05オムニバスがファイティングポーズを取れば事態はどう転ぶかわからない。その場合、時価総額で見劣る他社も乗っ取りリスクにさらされた揚げ句、新たな生き残り策を求めて汲々とする。当然ながら世間に与える衝撃は、既に中国企業の軍門に下ったラオックスやレナウンなどの比ではない。
「怖いのは何も株の買い増しだけではありません。今の株安は経営戦略上のミスが招いたとして総会屋顔負けの揺さぶりを仕掛けないとも限らないのです。その場合、対応を誤ると彼らの思うツボ。株安の経営責任をネチネチ責められたら地獄です。正体がハッキリしていない分、どこへどう挨拶して良いかもわからないだけに、話がこじれたらそれだけで厄介です」(投資ファンド関係者)
実は日本企業に食指を動かしている中国系ファンドはほかにもある。『チャイナ・アセットマネジメント』と呼ばれる中国政府公認の民間投資会社で、出資者は民間人。このファンドは今、ホンダ、任天堂、ピジョンなどに積極投資しており、口さがない向きはOD05オムニバスの“別働隊”と呼ぶ。前出の投資ファンド関係者が打ち明ける。
「純粋な民間のファンドといっても、そこは中国のことだから政府との“アウンの呼吸”がある。言い換えれば、官民とも金があまっているということ。現実には米国のヘッジファンドを手本にしているため、いずれ相当荒っぽい手口に打って出ることも考えられます」
赤い軍団によるステルス侵攻を防ぐ手立てはあるのだろうか。
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