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6日(金)に、新規発行2年物国債の利回りが0.095%まで下がった。
日銀当座預金(超過準備額分)の利率は0.1%である。
日銀当座預金と日本国債を比較すると、どちらもノーリスクだが(市場は国債にはリスクがあると考える)、中央銀行の当座預金のほうが流動性がより高い。
日銀に当座預金口座を持っている銀行なら、国債2年物を買うより、日銀当座預金に置いたほうが得で合理的という異常な金融状況である。
理論的には発生しないはずの、日銀当座預金の利率より低い市場金利が発生したのである。
このような異常な金利状況が生まれたのは、日銀の当座預金口座を持たない外国金融機関や投資家が、“逃避場所”として日本国債に群がっていることが主要因なのだろう。
添付する記事にもあるように、欧州中央銀行は、政策金利の引き下げに伴い、当座預金の利利率を0.25%から0%に下げた。それが、日本国債購入に拍車を掛けたと思われる。
日本経済がデフレ基調にあることから中長期的な傾向として“円高”が予測できるため、ユーロやドルを円に転換して購入した国債の利回りよりも高い収益が見込める。
金融緩和政策という観点から言えば、日本銀行も、当座預金の利率を0%に引き下げ、市場金利の低下余地を作るほうが望ましい。
しかし、日銀の白川総裁は、当座預金の利率の引き下げに慎重だという。それも当然だと思われる。元々無利子だった日銀当座預金に利息を付けるようになったのは、リーマン・ショック後の08年10月からであり、預貸率の低下(70%ほど)でわかるように、資金運用難に陥った状態が続く銀行経営を支える意味合いがあるからだ。
日銀の量的緩和政策と資金運用難が続くなか、日銀当座預金は40兆円も積み上がっている。0.1%と言っても、銀行は、日銀当座預金から毎年300億円ほどの利払いを受けているのである。
また、実際問題として、0.1%を下回る利回りレベルでリスクのある融資や投資が行われるとは考えにくい。日銀当座預金利率を0%にしたところで、信用創造が増加することはないだろう。
こうなると残る手立ては国債の増発である。2年物国債が0.1%を割り込んだというのは“物不足”だからである。どの程度なのかはともかく、国債の発行額を膨らませれば、金利は上昇に転じるはずである。
日本の銀行も、国債以外に資金の運用先をなかなか見出せない状況にある。その国債の利回りが、10年物でも0.8%、2年物では0.1%割れというのでは、厳しい収益環境に置かれることを意味する。
この間の日本は、金融緩和を進める日銀がせっせと国債を購入する一方で、預貸率の低下に苦しむ銀行が国債の保有額を高めるという二律背反的金融状況にある。
この異様な状況をなんとかしのぐ手立ては、財務省(政府)が国債の増発に動き、それで得た資金で財政を拡大するしかないだろう。
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欧州中銀利下げ、日本に異変 2年債0.1%割れ 金利目標の下限下回る [日経新聞]
欧州中央銀行(ECB)の5日の利下げを受け、6日の日本の債券市場で小さな「異変」が起こった。日銀は金利を誘導する下限を0.1%としており、理論上は市場金利がこれを割り込むことはないはずだが、新発2年債の利回りが0.095%まで下がったのだ。欧州の思い切った利下げで欧州勢の日本国債需要が高まるとの臆測が浮上したことが背景にある。
ECBは5日、政策金利の誘導目標を1.0%から0.75%に引き下げた。同時にユーロ圏の民間銀行がECBに預金した際の金利(ファシリティー金利)も0.25%から0%に下げた。銀行はこれより低い金利で市場でお金を貸すメリットはないため、事実上の市場金利の下限となる。
同様に日本でも銀行など金融機関は日銀に持つ決済用預金でファシリティー金利に相当する0.1%の利息(付利)を受け取る。これが日本での市場金利の下限となる。
ECBのファシリティー金利は日本の付利水準を上回っていたが、今回の利下げで初めて逆転した。「ECBの預金という最も安全な運用先を失った欧州マネーが、行き場を探して日本の国債に流れ込むはず」(国内銀行)。そんな思惑から日本国債に買いが集まり、2年債利回りは理論上の下限を超えて下がったと市場関係者は見る。
海外の機関投資家の間では「ECBに追随し、日銀も付利を下げるのではとの思惑が広がった」(ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジスト)との声もあった。付利が下がれば2年債利回りは低下(価格は上昇)余地が生まれる。ただし、日銀の白川方明総裁は付利の引き下げには慎重だ。
[日経新聞7月7日朝刊P.5]
日銀「札割れ」防止策を検討 資産買い入れ 緩和手法見直し
日銀は金融緩和の手段である「資産買い入れ基金」の見直しを検討する。基金で国債などを買い入れて市場に潤沢なマネーを供給しているが、市場に資金が余り気味で思うように基金残高が積み上がらないため。年末までに残高を65兆円にする目標の達成には、緩和手法の変更なども視野に入る。11日から開く金融政策決定会合でも議論になりそうだ。
決定会合では基金増額など追加の金融緩和は見送る方向。5日の地域経済報告で2年9カ月ぶりに全9地域で景気判断を上方修正するなど、景気・物価が想定シナリオ通りに動いていると判断している。
ただ既に決めた緩和策の実行には課題がある。基金では金融機関から長期国債、国庫短期証券などを買ったり、3カ月や6カ月の資金を貸し出す「固定金利オペ」を実施したりしてマネーを供給する。だが市場には資金が余り気味で、十分な応札が集まらない「札割れ」が頻発している。
札割れ防止策として、6カ月物のオペを減らして需要のある3カ月物のオペを増やす案や、3カ月や6カ月などの期間をあらかじめ決めず、需要に応じて資金を出す案が浮上しており、今後の検討課題となりそうだ。
[日経新聞7月7日朝刊P.5]
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