http://www.asyura2.com/12/hasan76/msg/805.html
Tweet |
ソフトバンク京都ソーラーパークの開業式典で今後の事業について説明した孫正義社長=1日、京都市
再生エネルギーの“落とし穴”…負担は消費者に
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120708/plt1207080728001-n1.htm
2012.07.08 大前研一のニュース時評 夕刊フジ
東京電力や関西電力など電力会社9社の株主総会が、先月27日に開かれた。東電の総会では、1兆円の公的資金投入を受けて国が過半数の議決権を持つことなど、実質的に国有化されることが正式に決まった。
大株主の東京都から猪瀬直樹副知事が出席し、電気料金の根拠を第三者が検証できるようにする議案を提案したが、反対多数で否決された。
一方、関電の総会にも、筆頭株主である大阪市の橋下徹市長が脱原発への取り組みを求めたが、やはり否決された。総会での発言を聞いたかぎりでは、橋下さんも猪瀬さんもインパクトが弱かったと思う。
そんな状況の中、エネルギーに関して日経新聞に興味深い記事が掲載された。《再生可能エネルギーの全量買い取り制度が7月1日に導入されたが、日経の調査によると、メガソーラー(大規模太陽光発電所)や風力発電所の新規事業計画は全国で計200万キロワット分に達する》というものだ。
200万キロワットといえば、原子力発電所2基分の発電能力に相当する。これが本当に実現すれば、メガソーラーと風力を合計した発電能力は従来から一気に6割も増加することになる。
全量買い取り制度は、太陽光、風力、地熱などの再生エネルギーについて、発電コストを上回る価格で電力会社が買い取るもの。買い取り価格は太陽光が1キロワット時約42円、風力で約23円。
発電原価は原子力が1キロワット時あたり4−8円といわれているのに、いきなり42円とは驚きだろう。それは、発電コストに利潤を上乗せしているからだ。つまり、商売になりそうだから、各企業のメガソーラー進出が相次いでいるというわけだ。
ただし、このコストは電気料金に反映され、消費者の負担が増えることも考えられる。42円ということは、売るときは60円ぐらいの価格になるかもしれない。電気料金の一部にこの価格が反映されることを、消費者は受け入れるだろうか。
しかも、この42円という価格は10年保障されている。ということは、参入企業にとって「もうかりますよ」という話だ。将来的に発電コストが下がっても、参入企業は利益をまるまる得ることになるからだ。
ソフトバンクの孫正義社長は「再生可能エネルギーはいくらでも安くなります」と語っているが、それに応じていくらでももうかりますよ、という話になる。ここは金額を一定にするのではなく、「実勢コストに基づいて○%の利益は保障しましょう」という仕組みにしなければ消費者にとってはメリットが還元されない。
同じような形で再生エネルギーの買い取りを始めたドイツでは最近、太陽光の買い取り価格を下げた。すると、急に参入企業の数が減り、関連業界でも倒産に追い込まれるところが出てきている。
日本もドイツのような試行錯誤をしばらくは続けなければならないだろうが、廉価な天然ガスを使った大型発電を外資に開放するなどして抜本的にコストを下げる施策を同時に打たなければ「脱原発と再生可能エネルギーブームに乗って、気が付けば数倍」の電気料金を払うハメになる。
■ビジネス・ブレークスルー(スカイパーフェクTV!757チャンネル)の番組「大前研一ライブ」より
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。