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経済危機続くギリシャ、車窓に映るユーロの功罪
2012年 07月 5日 16:18 JST
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[アテネ 3日 ロイター] ある夏の朝、私は電車に乗ってギリシャの首都アテネの中心部に向かった。15年前にこの国を離れた当時に乗っていたのと同じ電車だ。10代だったあの頃に比べ、私の祖国では様々な変化があった。しかし現在では、ギリシャがこれまで得てきたものの大半が壊れやすく、以前の状態に戻ってしまうように思える。
私は少年時代の大半を過ごしたアテネ北部キフィシアで電車に乗った。車内は私が覚えていた、昔の状態よりもはるかに良い。明るい赤色のペンキが塗られ、座席はより清潔に保たれている。猛暑を和らげるためのエアコンもある。
間もなく車内で目に入ったのは「このエアコンは、地域開発の欧州基金から共同出資を受けています」という説明書きだ。ギリシャでは、鉄道などインフラ整備の多くは欧州連合(EU)の補助金を受けて行われている。
停車駅の一つは、2004年に開催されたアテネ五輪に合わせて完成した新しい駅だ。この駅は過去10年間のギリシャの経済成長を証明するもので、200の店舗を持つ巨大な商業施設のアクセス駅でもある。しかし今では、この駅で下車する人はほとんどいない。
ギリシャはEUに加盟し、ユーロを導入して以来、飛躍的な発展を遂げてきた。私がギリシャを去った1997年当時はまだ現金主体の社会であり、クレジットカードはほとんど普及しておらず、多くの人は住宅ローンを組むこともできなかった。中小企業は融資を受けることが困難で、生活水準も今より低かった。
ギリシャは1981年にEUに加盟し、共同市場の一員になったことで、投資を呼び込んできた。しかし、低いインフレ率や低利の金融を享受できたのは2001年に導入したユーロのおかげであり、ドイツのフランクフルトにある欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏の政策金利を設定しているからだ。
結果としてギリシャ経済は発展した。EUの統計によると、2000年から09年までの年平均成長率は3.3%となり、ドイツやEUを上回るまでになった。しかしその一方で、ユーロ加盟により通貨切り下げが不可能になり、賃金やその他のコストが上昇するにつれ、ギリシャの競争率は大きく低下していった。
それでもギリシャ国民は、ユーロ導入によって一度は恩恵を受けたことから、ユーロに対して悪い感情は抱いていない。先月行われた再選挙でも、EUや国際通貨基金(IMF)と合意した1300億ユーロの支援の条件について、ユーロ圏残留を前提に再交渉する方針を示した政党が勝利した。
<若年層の失業率は50%超>
朝のラッシュアワーが始まり、車内には多くの乗客が乗り込んできた。横に座っている2人の若い男性は労働市場の苦しい状況を嘆き、海外で仕事を探す可能性について話している。ギリシャでは、25歳未満の若年失業率は50%を上回る。
男性の1人は「ここで仕事を見つけるのは無理だ。ここでは学位など何の価値もない」と述べ、海外に渡るなど何か行動を起こさなければならないと語った。
現在のギリシャ労働市場をめぐる状況は、私が英国で就学を終えた2004年からはかけ離れている。当時は海外で教育を受けたギリシャ人の多くが、帰国して就職先を見つけた。私はジャーナリズムの道に進むため海外で就職したが、私のような存在は少数派だった。
ロイターの取材のためにギリシャに戻るのはこれで3年連続となる。帰国するたび、周りの人たちが賃金や年金の引き下げに苦しんでいるのを目にする。現在は就学していたり、就職先を探していたりする甥や姪たちも、将来の見通しは私が就職した当時に比べてはるかに暗い。
電車がアテネ中心部に近づくと、出勤する多くの人を見かけるようになる。中にはスーツ姿の若者もいるが、彼らは数年前なら車で市内を運転していただろう。アテネの交通渋滞はいまだに悪名高きものだが、コスト削減のため交通手段を車から電車に切り替える人もいる。
アテネの繁華街に電車が到着すると、最も大きく変化したのは人々の意識であるということに私は気がついた。民主主義を生み出した古代の歴史に対するギリシャの誇りが、今ではどこかに失われてしまった。
ギリシャ経済は既に2005年の規模に縮小した。国民は終わりのない緊縮策が同国経済をさらに後退させる可能性に不安を抱き、自分の家族が今後直面する将来を懸念している。そして、私自身もその国民の1人だ。
(ロイターニュース 執筆:Greg Roumeliotis記者、翻訳:本田ももこ、編集:麻生祐司、野村宏之)
*本稿は、ニューヨーク支局に勤務するGreg Roumeliotis記者が執筆しました。
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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE86403520120705?sp=true
ギリシャ首相:財政調整、改革促進を約束−トロイカと協議
7月5日(ブルームバーグ):ギリシャのサマラス首相は5日、欧州連合(EU)と欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の代表団との協議で、同国政府は財政調整の遂行に全力を尽くし、構造改革のペースを上げていく意向を示した。
ギリシャ首相府がこの日、電子メールで発表した声明によると、サマラス首相はいわゆるトロイカと呼ばれる代表団に対し、景気の押し上げや雇用の創出、さらに社会的団結のため、効果的なプログラムが必要だとの考えを強調した。
原題:Samaras Tells Troika Greece is Committed to Fiscal ReformPlan(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:アテネ Maria Petrakis mpetrakis@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Maria Petrakis mpetrakis@bloomberg.net
更新日時: 2012/07/05 22:26 JST
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http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M6OUYK6VDKJ801.html
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