http://www.asyura2.com/12/hasan76/msg/763.html
Tweet |
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35591?page=3
激派やポピュリストが理にかなった経済政策を提起しているのに対し、実務型の中道主義者が、イデオロギーに駆り立てられた現実味のない壮大なプロジェクトに執着し続けているように思える場合がしばしばある。
それゆえユーロ圏の時の権力者たちは、銀行同盟、財政同盟、政治同盟へと突き進むことで、早計だった通貨同盟の問題を解決しようとしている。競争力を調整して、通貨に負担を負わせるという伝統的な手法をあえて提案しているのは、右派の国家主義者や共産主義者、ネオペイガニズムの信奉者だけだ。
同じようなことが、今まさに日本で起きようとしている。野田佳彦首相は今後4年間で2段階に分けて消費税率を10%へ倍増させる法案を通過させた。
これでも、日本で最も有力な経済団体である経団連は満足しない。経団連は25%への税率引き上げを望んでいるからだ。
■消費税増税は悲惨な結果を招く
消費税増税は、政治的にも経済的にも悲惨な結果を招く可能性が高い。せめてもの救いは、野田首相率いる民主党と、同首相が消費税増税のため一時的に手を組んだ野党・自民党が国民の支持を大きく失っており、増税を実行に移せない可能性があることだ。
というのも、生真面目すぎてやや退屈な日本の政界においてすら、ポピュリスト的な運動が活発になっているからだ。
民主党はオバマ風のチェンジという言葉を駆使して2009年の選挙で地滑り的勝利を収めた。手厚い子ども手当など、マニフェスト(選挙公約)に掲げた政策は既に、阻止されたり、骨抜きにされたりしている。
消費税増税が最後のとどめとなり、民主党分裂と早期の解散・総選挙をもたらす公算が大きい。
増税によって日本が持続可能な成長と財政正常化の軌道に乗るのであれば、その代償は払う価値があるかもしれない。
ただし、その可能性は低い。
前回、1997年に消費税が引き上げられた時は、景気後退と小売売上高の減少を招き、日本は以来、本当の意味でそこから脱却できていない。
消費税増税は財政赤字を埋めるどころか、中央政府の税収を1996年の50兆円から2011年の36兆円へと急激に落ち込ませる一因になった。
実のところ、日本の巨大な公的債務問題は、ケインズ派よりもむしろオーストリア学派の理論に由来している。日本は1990年代後半に景気刺激策に背を向け、その後の10年間で、国内総生産(GDP)に占める公共事業支出の割合が6%から3%に低下した。その間、金融政策はタイト過ぎる状況が続いた。
■競うように景気回復の芽を摘んできた日銀と財務省
金融・財政両面でのこれだけの美徳の見返りとして日本が得たのは、徐々に減少していく名目GDPと税収基盤の減退、そして、野田首相や格付け機関をあれほど警戒させている国債発行額の急増だった。一方、債券市場は落ち着いたままだ。
債務問題の大きな原因が名目GDPの減少であるのなら、当然、その解決策は名目GDPの拡大でなければならない。実際、もし日本がこの15年間、名目ベースで年3%の成長を遂げていたら、経済規模は現在のそれより3分の2ほど大きかっただろうし、資産価格はもっと高く、財政状態も健全だったはずだ。
成長不足に苦しむ今の世界では、それも「言うは易く、行うは難し」だが、逆効果になるような政策は回避しなければならない。日銀と財務省はあまりに頻繁に、どちらが先に景気回復の芽を摘めるか競い合っているように見えた。
日本がデフレとの戦いで決定的な勝利を収めるためには、もっと抜本的な措置が必要かもしれない。日銀は単に国債の保有高を増やすにとどまらず、国債を消却することもできるだろう。増税の対象を家計の支出から企業の貯蓄へとシフトすることもできるだろう。
野田首相率いる民主党と野党の自民党がこのような政策転換を容認することは、欧州の実務家が困窮するユーロ圏諸国に独自通貨に戻るよう促すのと同じくらいあり得ないように思える。新しい優先課題には、新たな顔ぶれが必要になる。ここで、日本のポピュリストが有益な役割を果たすことができる。
■橋下・大阪市長への期待
ポピュリストの重要人物は、42歳の大阪市長、橋下徹氏である。同氏の信頼性は、昨年秋の市長選で2大政党に支持された候補者に圧勝してから急激に高まった。
7人の子供を持つ橋下氏は、次期総選挙で戦うことを視野に入れて、全国規模の政治組織を立ち上げている。既に増税反対の意思を表明した。橋下氏は主流派のライバルたちの失敗を見て、自分の幸運が信じ難いと思っているに違いない(ピーター・タスカ)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。