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「7番目の強国」と胸を張る韓国のアキレス腱
人口5000万人達成も、日本より速い少子高齢化
2012年7月3日 火曜日 鈴置 高史
「我が国はついに7大強国に入った!」――。このひと月間というもの、韓国社会は自己賛美で満ち溢れた。推計人口が5000万人を超えたのがきっかけだ。ただ、人々が冷静さを取り戻した後は「このまま行けば日本同様に衰退期に入る」との恐怖が語られ始めた。
2万ドルに留まらず3万ドルも突破できる
「強国賛歌」に火を付けたのは最大手紙の朝鮮日報だった。同紙は5月28日付で「韓国、世界で7番目に“20−50クラブ”入り」「“後進国”で初。中国もできなかった偉業を達成」という見出しの大型記事を掲載した。骨子は次の通り。
(1)6月23日に韓国の推計人口は5000万人を超す。
(2)韓国の1人当たり国民所得(NI)はすでに2万ドルを超している。
(3)人口が5000万人を超し、かつ、1人当たり国民所得が2万ドルを超す国を意味する「20―50クラブ」に加入することになる。
(4)同クラブに入っているのは日本(1987年加入)、米国(88年)、フランスとイタリア(90年)、ドイツ(91年)、英国(96年)の先進国だけで、韓国が7番目だ。
(5)過去の加入国はすべて1人当たり国民所得3万ドルを突破している。だから、韓国もそうなるだろう。
(6)韓国の開放性と多様性、復元力が同クラブ加入の原動力だ。韓国人は自負心を持つべきだ。
「20―50クラブ」って何?
違和感を持った韓国人もいた。「来月から我が国は強国になります、と突然言われても……。これまで『韓国は小国』と言われ続けてきたのだから」
この記事を読んだ日本人の多くも首を傾げた。「『5000万人以上が人口強国』という定義は誰が決めたのだろうか」「『20―50クラブ』なんて単語も初耳。ネットの検索エンジンにかけても見つからない。『加入』なんて言うけれど実際に存在するクラブではなく、韓国人が国威発揚のために作り出した仮想概念に過ぎないではないか」。
「韓国は世界で何位」という記事が大好きなこの国の人々のことだ。韓国が上位にのぼれるランキングを、知恵を絞って考え出したと思われる。
人口が5000万人に達するのを機に、それ以上の国を「強国」と規定すれば1人当たり所得は高いものの人口の少ない欧州の小国や、豪州、カナダをランキングから排除できる。一方、所得2万ドルというハードルを設ければ、人口は多いが所得はそれに達していないブラジル、ロシア、インド、中国など新興大国を除くことができる。
資本逃避防止が狙い?
市場関係者の見方はもっと手厳しい。「韓国人の資本逃避の阻止を狙った記事」と解説する人が多い。欧州危機の影響をもろに受け韓国金融市場は不安定な状況が続いている。
「4月中旬から5月下旬までに外国人が韓国から3兆2600億ウォン(2210億円)を回収」(聯合ニュース5月24日配信)
資本逃避は外国人の専売特許ではない。通貨危機に陥りかけると、その国の国民が我先に自国通貨を外貨に替えるのが普通だ。最近の韓国紙にも「1997年の通貨危機の際には国民は団結して金の献納運動に取り組んだが、今はとてもそんなムードにはない」との記事が散見される。韓国人自身の資本逃避を匂わせる記事だ。
こうした背景から「国民に自信を植え付け、ウォン売り・外貨買いに走らないよう政府がメディアに書かせたのではないか」との疑いを呼んだ。
危機を煽ってきた韓国の他のメディアも、ちょうどそのころから報道姿勢を一転「世界からうらやまれるほどに韓国人は優秀である」といったシニア記者のエッセイを唐突に載せ始めた。これらと合わせると、ますます怪しく見えてくる。
もっとも朝鮮日報のこの記事を「資本逃避防止用」と冷ややかに見たのは一部のアナリストだけで、普通の韓国人からは大歓迎された。
国民の喜びようを見て、李明博大統領もさっそく演説に利用。6月6日には「第2次大戦後に独立した国で『20−50クラブ』に入ったのは我が国だけ」と大いに誇った。
統計庁も、推計人口が5000万人を超える前日の6月22日に「大韓民国 人口 5000万人」という詳細な報告書を発表した。
「考古学も強国の視点で」
ほかのメディアもあわてて朝鮮日報の後を追い「強国入り」をうたいあげた。人口が5000万人を超えたと推定される時刻に生まれた赤ちゃんは写真付きでメディアに登場。各メディアの見出しは「“5000万人ちゃん”が生まれた」である。
考古学上の発見も「強国」と関連づけられた。6月に先史時代の畑が発掘された。すると東亜日報は「韓国で中国や日本よりも古くから畑作が行われていた証拠が見つかった。われわれは中国文明の影響下で生きて来たとの固定観念を持つが、経済強国になった今、自分たちのルーツについて再考する必要がある」(6月28日付)と国民に訴えた。
“勧進元”の朝鮮日報も負けずに「韓国の『20−50クラブ』入りに対し、日本や台湾など周辺国が羨望の眼差しを向けている」(6月23日付)という記事を掲載、ムードをさらに盛り上げた。
「韓国人ひとり一人は日本人や中国人よりも優秀だ。だが、人口が少なく、小国であるため周辺大国にいじめられ続けて来た」との思いをこの国の人々は持つ(注)。統計をいじくりまわしてであろうと「韓国は7大強国だ!」と言い切ってくれる記事に彼らが心を踊らすのは当然だ。
(注)韓国政治の研究者である神戸大学大学院の木村幹教授は韓国人独特の「小国意識」に焦点を当てて『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』という大著を書き、第13回アジア太平洋賞・特別賞を受賞したほどだ。
「考古学も強国の視点で研究せよ」という東亜日報の主張に対し、日本人のみならず多くの国の人々は違和感を抱くだろう。だが、韓国人の恐るべき自信のなさを知れば“強国考古学”の心情を少しは理解できるかもしれない。
外国人労働者が人口増加の主因
もっとも「人口5000万人超え」の内実が知れるに連れ、メディアの報道は暗いトーンをにじませるようになった。人口統計をよく見ると、外国人労働者の流入と韓国人の長寿化が人口増加の主因であることが分かるからだ。
「統計庁は2006年に発表した人口推計展望で、5000万人時代は到来しないと予測していた。当時は2018年の4930万人をピークに人口が減少すると推計されていた……しかし、その後人口が速いペースで増え、ついに5000万人を超えた。一時、1.04人まで落ちた出生率は昨年、1.24まで回復した。平均期待寿命も延びた。何よりも外国人労働者の流入が5000万人時代を開くのに少なからず寄与した」(中央日報社説、6月23日付)
統計庁は報告書「大韓民国 人口 5000万人」でも、予想外の人口増加の構成要因を数量的には示していない。ただ同庁は「2006年から2010年までの5年間に海外に移民した韓国人の数よりも、結婚や働くために韓国に来た外国人の数が28万3000人上回った」と明らかにしている。その5年間で韓国の総人口は約50万人増えているので、移民こそが人口増の主因と考えていいだろう。
韓国メディアはなぜかこの点を突っ込んで書いていない。外国人労働者は韓国人の嫌がる、いわゆる3K労働に従事する人が多く、韓国の就業構造のゆがみを象徴する。さらに最近は世論が外国人の凶悪犯罪に目を向け始めた。
韓国に住む外国人の過半が韓国系中国人なのだが、罪を犯すとメディアはとたんに中国人に分類する。米国のように移民で人口を増やそう、というコンセンサスは韓国では得にくくなっている。韓国人にとって「移民によって人口が増えた」というのは、うれしいニュースではないのだろう。
日本より低い出生率は変わらず
出生率に関しても「2005年に1.04人まで落ちた後2010年に1.24まで回復した」と報告書はいう。だが、2005年の数字は1997年の通貨危機という社会的大変動により結婚が激減した後遺症だ。
それが癒えたと言って今後、出生率が本格的な上昇軌道に乗る保証はない。そもそも「回復したと言う出生率だって少子化で有名な日本よりも低い」 (中央日報6月25日付)のだ (図1参照)。
国別 合計特殊出生率の推移
出所:韓国統計庁
そのため高齢化の速度も日本より速い。2010年の韓国の中位年齢は37.9歳。それが30年後の2040年には52.6歳になる。一方、日本は同じ期間に44.7歳から52.6歳だ。
韓国の生産年齢人口(15歳―64歳)は2016年をピークに急減する。2010年を100とした場合、2040年には80.2まで低下する。一方、長寿化により100人の生産年齢人口で養う高齢者は急増し、2030年には現在の日本の数字を超えてしまう (図2参照)。
国別 高齢者扶養比率の推移
注:高齢者扶養比率とは、生産年齢人口(15歳―64歳)100人あたりの高齢者数
出所:韓国統計庁
少子化の結果、人口も2030年の5216万人をピークに2045年には5000万人を割り込んで“20−50クラブ”から脱落する。「強国入り」をうたいあげるはずの統計庁の報告書が図らずも明らかにしたのは、恐ろしいまでの急速な少子高齢化の実態だった。
パンドラの箱になった「20―50クラブ」
韓国メディアは、今度は一斉に警告記事を載せ始めた。「低出生と高齢化のワナ……笑っていられない“20−50クラブ”」(韓国日報6月22日付)、「“20−50クラブ”加入の不都合な真実」 (ソウル経済新聞6月23日付)、「人口5000万人時代 将来はバラ色ではない」 (聯合ニュース、6月25日配信)。
もちろん、韓国政府もメディアも少子高齢化への対策を唱え始めた。出生率の向上、女性と高齢者の雇用拡大、外国の“高級人材”の導入……。だが、それらは先進国が取り組んでいるものの、なかなか効かない対策だ。
少子高齢化への警告は「人口」問題を超え「金融」にまで及ぶ。6月25日付の中央日報によると現代経済研究院は「人口5000万人時代と人口ボーナスの消滅」という報告書を発表した。
この報告書は「2012年に生産年齢人口が総人口に占める割合が73.1%とピークに達した後は、潜在成長率が大きく落ちる。すると韓国で不動産需要が急減しバブルが消える可能性がある。日本、米国、スペイン、アイルランドの不動産バブル崩壊は、生産年齢人口の割合がピークアウトした後に起きている」と指摘した。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120702/234002/zu02.jpg
「生産年齢人口の減少による不動産バブル崩壊」への懸念は、韓国ではごく一部で語られていたに過ぎない(「『韓国も低成長期に』韓銀総裁が直言、2012年が転換点」参照)。それが“20−50クラブ加入論”を契機に一気に公論化した感じだ。同クラブ加入論は、韓国社会の抱える問題点を表に出すパンドラの箱のような役目を果たし始めた。
もし“20−50クラブ”が国民の資本逃避を抑えるために作られた言葉だったとしたら皮肉にも、逆の効果を生むかもしれない。
早読み 深読み 朝鮮半島
朝鮮半島情勢を軸に、アジアのこれからを読み解いていくコラム。著者は日本経済新聞の編集委員。朝鮮半島の将来を予測したシナリオ的小説『朝鮮半島201Z年』を刊行している。その中で登場人物に「しかし今、韓国研究は面白いでしょう。中国が軸となってモノゴトが動くようになったので、皆、中国をカバーしたがる。だけど、日本の風上にある韓国を観察することで“中国台風”の進路や強さ、被害をいち早く予想できる」と語らせている。
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鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)
日本経済新聞社編集委員。
1954年、愛知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。
77年、日本経済新聞社に入社、産業部に配属。大阪経済部、東大阪分室を経てソウル特派員(87〜92年)、香港特派員(99〜03年と06〜08年)。04年から05年まで経済解説部長。
95〜96年にハーバード大学日米関係プログラム研究員、06年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)ジェファーソン・プログラム・フェロー。
論文・著書は「From Flying Geese to Round Robin: The Emergence of Powerful Asian Companies and the Collapse of Japan’s Keiretsu (Harvard University, 1996) 」、「韓国経済何が問題か」(韓国生産性本部、92年、韓国語)、小説「朝鮮半島201Z年」(日本経済新聞出版社、2010年)。
「中国の工場現場を歩き中国経済のぼっ興を描いた」として02年度ボーン・上田記念国際記者賞を受賞。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120702/234002/?ST=print
海外の日系紙
スマトラからヘイズが襲来大気汚染指数「不健康」
2012.07.03(火)
南国新聞
南国新聞 2012年6月21日号
インドネシア領スマトラ中央部のリアウの野火と山火事によるヘイズが来襲し、クアラルンプールを中心とする首都圏クランバレーの各地で大気の状態が悪化している。
16日午後5時には大気汚染指数が100を越えるレベルにまで達し、「不健康」な状態になった地区は7カ所を数えた。
クランの指数は140で、ペタリンジャヤとクアラルンプール市内のチェラスは130を記録した。衛星写真によると、スマトラの野火や山火事による熱源は591を数え、「ヘイズの状況は今後さらに悪化する可能性が高い」と環境局は警告している。
大気汚染指数は0〜50が「良好」、51〜100が「普通」、101〜200が「不健康」、201〜300が「健康に害あり」、300以上を「危険」と定義付けられている。
環境局(DOE)は6月16日、「大気の汚染状況を悪化させる野焼きをセランゴール州内で禁止する」と発表した。
マレーシア医学協会は戸外での運動などはなるべく避け、いつもより多く水分をとるよう呼びかけ、呼吸器疾患の患者、老人や子どもには最新の注意を呼びかけた。
2005年に過去最悪の事態の一つと言われたヘイズの襲来に伴い、マレーシア政府は大気汚染指数が400を超えた場合は休校措置、300を超えた場合は運動や野外活動を中止するよう各教育機関に通達している。
現在までのところKLIAなどでの空の便への影響は出ていない。
各医療機関は警戒態勢を強化
6月16日、スマトラからのヘイズが悪化しているのを受け、リョウ・チョンライ厚生相が各公立病院に対して、呼吸器および眼の疾患で診察を受けに来る患者の増加に備えるよう指示した。
リョウ厚相は「呼吸器系疾患がある人は屋外での活動を控え、水分を充分にとり戸外ではマスクを着用することが望ましい」と、ヘイズ対策を怠らないよう呼びかけた。
(南国新聞:本紙記事の無断転載を禁じます。JBpress では南国新聞の許可を得て転載しています)
放送業界に未来はあるか? NAB2012 を動画とテキストで詳細レポート
ウイスキーと脳の不思議な関係を島地勝彦と究めるトークライブ開催!
デジタルでの顧客接点が企業の未来を左右する!メディア連合サイトOPEN
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35571
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