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不確実性を強め危険水域に入った世界経済コモディティ価格が抑えられ、各国のインフレ率が下がり始めた
2012.06.30(土)
川嶋 諭
今週は伊東乾さんの「東京大学に入ったけれど・・・ああ無常〜人生の失敗を始める頭の“良すぎる”学生たち」が読者から圧倒的に高い関心を呼んだ。東京大学というブランドの強さに改めて驚かされた。日本という社会がいかに東大と東大出身者に期待しているかを如実に示している結果ではないだろうか。
日本人にとって特別な意味がある東大
今週のランキング
順位 タイトル
1 東京大学には入ったけれど・・・ああ無常
2 あれほど盛り上がった太陽電池ビジネス、中国でもはや虫の息に
3 ムーアの法則が「家電」を破壊する
4 原子力発電所、米国から日本への警告
5 「壊れない」ことにされていた原発の格納容器
6 日本の財政問題:いよいよ消費税増税へ
7 安全性を求めて日本国債に殺到する外国人
8 心配すべきは「Grexit」より「Chindown」だ
9 ロシアが誇る最新鋭ジェット旅客機が墜落
10 韓国で「大型スーパー強制休業」巡り攻防激化
11 日韓関係に深く刺さったトゲ「竹島問題」
12 壁にぶつかって困ったら「常識の逆を行け」
13 ロシア軍に最新兵器登場、その名は「空飛ぶ教会」
14 コモディティ―価格の下落と世界経済
15 中国通信機器大手の憂鬱
16 戦後最大の危機に直面する米国のアジア戦略
17 急落する原油価格、エネルギー大口需要家を後押し
18 薄氷踏む日中両国、尖閣問題で雪解け模索
19 食卓で毎日使われている「組み換え」の調味料
20 中国不動産市場の2極化でジレンマ抱える政府
伊東さんが書いている内容は、東大だけのことではなく日本の大学一般に言えることだが、東大という日本のエリートを育成してきた大学に対しては特別な思いで見ている。
もちろん、官僚養成大学という面から期待を最近の日本株式会社の経営が深刻な不振に陥っているために、その期待が失望に変わっているという面も多いに違いない。
先週まで20回続いた「頭が良くなりたければ、バカになりなさい」シリーズも人気が高かった。
伊東さん自身の経験談を中心にして、一流になるためには謙虚な姿勢で常識を疑ってかかるべしというメッセージに共感を覚えた人が多かったのではないだろうか。
長年、企業の経営者と接してその経営や人となりを文章にしてきた身から言えば、本当に一流の経営者は、素晴らしい結果を残しながらも、謙虚でいつも自分の考えとしてきたことが正しいのか自問していた。
自らの経営手腕に自身を持つことは当然だが、それがすべてと過信する経営者は人を育てられず、どんなに成功している企業でも次第に世間との距離が広がって衰退していく。
私が属していた前の組織が企画した「企業の寿命は30年」という特集が、それこそ約30年も経っているのに忘れられずにいるのは、過信こそ最大の敵という戒めに共感を覚える人が多いからではないかと思う。
伊東さんの「東京大学に入ったけれど・・・」も今後の展開が楽しみである。読者のコメントを読んでいると、筆者の伊東さんに批判的なものも多いが、自分の常識と自信を打ち砕いてくれる人にこそ、感謝すべきだと私は考えている。
いままでの自分を超えるブレークスルーを経験できるのは、それを気づかせてくれる指導者に巡り会えた場合に多い。人生は長いようで短い。「そんなの無理だ」「そんなバカな」というときこそ自分が成長するチャンスである。
そのチャンスをみすみす逃してしまっては一流の仕事ができる人には決してなれないと思う。
中国経済に異変の兆候
さて、姫田小夏さんの「あれほど盛り上がった太陽電池ビジネス、中国でもはや虫の息に」も非常に読まれている。欧州危機が中国に大きな影響を与えている象徴例として示唆に富んでいる。
「中国サンテックパワーと言えば、2006年に日本の中堅太陽電池メーカーのMSKを買収し、それ以来、過去5年で売上高を100倍、営業利益を200倍にした驚異の成長企業だ」
「だが、ここに来てその勢いが失速した。2011年の財務報告書にはなんと『10億ドルの赤字』が記載された。『正直、ここまでひどいとは思わなかった』と同社の広報担当者も驚きを隠さない」
中国経済が大きく成長し、欧米や日本に日常製品を供給する最大の国になったことが、逆に先進国経済の低迷をもろに受ける形になった。先進国の産業を中国に置き換えることで成長してきた中国が大きな転換点に直面したと言える好例だろう。
それを如実に示す実例がある。コモディティー価格の低下だ。
英エコノミスト誌の「コモディティー価格の下落と世界経済」は、近頃のコモディティー価格の低下が示しているのは、世界経済の減速、なかんずく中国経済の減速だと見る。
「コモディティー価格はここ数週間で急激に下落している。『S&P GSCI指数』は5月だけで13%落ち込み、1カ月間の下げ幅としてはこの2年間で最大となった」。
「コモディティー価格の下落は、西側諸国の消費者にとっては減税と同じ意味を持つが、世界経済の成長減速を示す憂慮すべきサインである可能性もある」
リーマンショック後、世界経済が成長し続けてこられたのはコモディティー価格が持ち堪えられてきたからだとエコノミスト誌は言う。しかし、それが大きく下落を始めたいま、世界各国のインフレ率も下がり始めた。
「最近のコモディティー価格の軟化はインフレ率に表れてきている。これまでインフレ率がずっとイングランド銀行の目標値を上回ってきた英国では、5月に物価上昇率が低下。昨年まで5%を超えていた年率のインフレ率は2.8%に低下した」
「米国では、夏のドライブシーズンが到来し、4月初旬に1ガロン3.88ドルに迫っていたガソリンの平均小売価格が3.47ドルに下落した」
こうしたコモディティ価格の低下には中国の影響が強く働いている。
「コモディティーの強気筋にとって極めて大きな懸念は、今春、大量の原材料の発注をキャンセルした中国だ」
ユーロ危機はEU各国の国民に財布の紐を固く閉めさせ、ただでさえ消費が伸び悩む中でさらに経済を悪化させている。米国経済もIT産業以外に新しい成長の芽が見えていない。日本は消費税増税が実現する可能性が強まり、すでに消費に暗い影を落とし始めている。
世界経済からだんだん目が離せなくなりつつある。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35562
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