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焦点:英国で広がるEU離脱論議、実現なら影響力失い孤立か
http://www.asyura2.com/12/hasan76/msg/692.html
投稿者 MR 日時 2012 年 6 月 28 日 17:26:26: cT5Wxjlo3Xe3.
 

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE85R03G20120628?sp=true
焦点:英国で広がるEU離脱論議、実現なら影響力失い孤立か
2012年 06月 28日 14:25  


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[ロンドン 27日 ロイター] 英国は単独で生きていくための首尾一貫した計画も立てないまま、欧州連合(EU)からの無秩序な離脱という、この時代で最大の戦略的行動へと漂いながら向かっているのかもしれない。

キャメロン首相は英国のEU残留を望んでいる。しかし統合強化によって存続を図ろうとするEU内にとどまることについて国民投票が実施された場合、英国民が「ノー」と答えることを世論調査は示している。

政治家が国民投票を避け、EUと英国との関係について再交渉を試みた場合でも、EUの盟主であるドイツからの支持は得られそうもない。

英国は興奮に任せて清水の舞台から飛び降りかねないが、地上で何が待ち構えているかについて現実的な感覚は持ち合わせていない。

欧州改革センターの親欧州派ディレクター、チャールズ・グラント氏は「われわれは後先の戦略をまったく立てずに出口へと滑り落ちている。オズボーン(財務相)とキャメロン首相は実際、EU内に留まりたがっているため、『プランB(予想外の事態を想定した計画)』のような策は用意していないだろう。戦略は存在せず、欧州懐疑派は何を成すべきかについて合意できない」と述べた。

かつてはEU離脱など荒唐無稽だった。英国首脳が欧州単一通貨への加盟時期について議論していたのはわずか10年前のことだ。EU離脱について語るのは、保守党、労働党双方とも欧州懐疑派の傍流議員の専売特許だった。

しかしユーロ圏が債務危機を受けて政治統合強化に進む可能性が見えてきたことで、より冷静な人々の間でも英国がEU離脱に向かう危険性が認識されるようになった。

ある銀行幹部が24日、英首相府での朝食会を終え、「仮に英国がEUを離脱した場合の金融街シティへの最大の脅威は」と記された書類を携えて出てくる姿が撮影されるところまで、こうした懸念は高まっている。

クレッグ副首相は今週、英国はEUのその他大勢になるか、離脱に追い込まれる可能性があると警告を発した。

欧州に対して懐疑色の強い保守党と、クレッグ党首率いる親欧州派の自由民主党は2010年、欧州統合問題では前進も後退もせず停止姿勢を保つとの合意に基づき連立政権を樹立した。

しかし間の悪いことにEUそのものが停止しておらず、政治・経済統合の深化に向かおうとしている。

<核兵器を保有するスイス>

島国版スイスとしての将来像、あるいはロンドンを中国人民元とロシアのオイルマネーの世界取引センターにするというドンキホーテ的な夢想は、大英帝国崩壊後、世界の政治を操るという地位に執心してきた英国エリートのお気に召さないだろう。

ブレア元英首相はBBCで「欧州の理論的根拠はもはや平和ではなく、権力になった。欧州統合構想は好むと好まざるとにかかわらず前進しようとしている。わが国がその一員であることは重要だ。なぜなら人口6000万人の小さな島国であるわが国が影響力を行使したければ、部分的には同盟関係を通じて行使するほかなく、その1つはEUだからだ」と述べた。

米国、あるいは弱々しい英連邦諸国と特別な関係を維持していると信じることによって欧州統合をヘッジするという、60年間続いた戦略を葬り去れば、英国の国際的な影響力は損なわれるだろう。

経済規模世界第6位の英国がEU加盟国でなくなれば、英国に対する米国の関心は薄れるだろう。EUの後ろ盾を失えば、中国との貿易交渉や天然ガスをめぐるロシアとの交渉に際し、英国指導者の立場は弱まるかもしれない。

英政府首脳らに近い筋は、EU離脱が差し迫っているというのは誇張であり、英国は「ヘッジ」を続けると話す。同筋によると、EUの改革後の姿がはっきりした時点で、英国はEUとの関係の再定義を模索するという。

この筋は「わが国は財政統合には加わらないが、その場合どうするか。EU離脱ではなく、違った形の、恐らくはユーロ危機の結果もたらされるより緩やかなEUの一員となることを検討している」と語った。

<貿易の舞台>

欧州懐疑派のシンクタンク、「オープン・ヨーロッパ」は「貿易の場所:EU加盟は英国の貿易にとって依然最良の選択肢か」と題した論文で、形を変えてEU内に留まる選択肢が最良だと主張。英国が単一市場と関税同盟の恩恵を維持しつつもEUの政策を独自に取捨選択できるようにする新たな「英国モデル」を掲げる。

こうしたアプローチは他のEU加盟国に受け入れられ難いだろうし、対立の火種にもなりかねない。特に国民投票の結果、英首脳が国民から実現不可能な要求を突き付けられた場合にはそうだ。英国は既に1度、加盟条件を再交渉している。

キャメロン首相がそうした失態を演じた場合、さらに欧州懐疑色の強い首相対立候補に対して劣性に立たされる可能性がある上、選挙では英国のEU離脱を掲げる英国独立党からの脅威にさらされかねない。

首相はシティの財界人らに対する演説で「(EUの)外に出れば、わが国は結局ノルウェーのように、ブリュッセルで決まる単一市場の規則すべてに従いながらもその規則を策定することはできなくなるだろう」と訴えた。

欧州懐疑派は、EU全域での金融規制統一や銀行同盟構想により、既にシティが脅威にさらされていると言う。

EU域外に出れば、ロンドンは低税率のオフショア取引センターとなり、世界の富裕層に遊び場を提供するかもしれないが、税収により十分な福祉を提供してほしいと望む英国民にはアピールしないかもしれない。

シティで取引する銀行の多くは、英国外で決まった規則の順守を義務付けられるだろう。EU市場への踏み台として英国を使う外国人投資家にとって、英国の魅力はずっと衰えるかもしれない。

英国は広い海の中でひとりぼっちになってしまう。

(Guy Faulconbridge記者)

© Thomson Reuters 2012 All rights reserved.

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コメント
 
01. 2012年6月28日 21:56:12 : SuHVWfSgk2
EUの前身はECで、その前はEECであった。1960年代の話だが、当時のフランスのドゴール大統領は、イギリスのEEC加盟申請を頑として受け付けなかった。フランスの栄光、反アングロサクソンを信条とする、フランスを二度も救った国家の英雄、ドゴール将軍は、イギリスの加盟を認めれば、アメリカのトロイの木馬になって欧州統合が瓦解してしまうと見ていたのである。

彼の反アングロサクソン政策は、第二次世界大戦の初期の「まやかし戦争」と呼ばれた時期が過ぎて、1940年5月にドイツ軍が大挙してベネルックス3国とフランスに攻め込み、必死の抵抗も空しくドイツに敗北。ロンドンに亡命して「自由フランス」を旗揚げしたものの、チャーチル首相やアメリカのルーズベルト大統領から、ないがしろにされていたことが大きいとされる。

話が脱線して申し訳ないが、ドゴール将軍は1959年、自ら起草した第五共和政憲法の下で大統領に就任した。フランスも加盟していたNATOの指揮権は、米英が握っていた。彼は米英に対抗するため、1966年にフランス軍をNATOの指揮系統から離脱させた。これにより、NATOの本部はパリからベルギーのブリュッセルに移転せざるを得なかったのである。

彼は米英アングロサクソン勢力を弱体化する効果も狙い、カナダ国内でフランス語圏のケベック州独立運動も積極的に支援した。イギリス連邦の解体を目指したのである。さすが軍人出身だけあって、敵陣営の弱体化を戦略的に進めていたのである。

ドゴール大統領が1969年に退陣すると、首相を務めていたポンピドー氏が後継大統領になった。彼はイギリスのEC加盟をあっさりと認めた。イギリス経済の弱体化は、この時点で進みつつあり、これで充分だと考えたのであろう。事実、EC域内諸国の貿易自由化により工業製品の関税は低くなり、また国境を越えた産業協力が進みつつあった。イギリスは、これらの蚊帳の外に置きざりにされ、欧州諸国への輸出が高い関税を課せられ、産業競争力を失いつつあった。通貨のポンド高も、それに拍車をかけた。

かつて世界的だったイギリスの航空産業は1970年代に入る頃には弱体化が進み、旅客機もVC10を最後にアメリカからの輸入機に置き換わった。軍用機も、ライトニングを最後に、アメリカ製のF4ファントムを輸入する羽目になった。自動車も輸入車が増え、国内産業は完全に疲弊していた。1990年代にかけてイギリスの工業は衰退の一途をたどったが、通貨もユーロに切り替える計画であった。しかし、女王陛下のポンドを辞めることに対する国民的合意が得られず、そうしているうちにイギリスの自動車産業は崩壊してしまった。面子に拘りすぎて、先を見る決断ができない国になってしまったのである。

かつてのブロック経済の下では、元植民地を同一経済圏に組み入れ、イギリス連邦を編成していればよかった。しかし今日、イギリス連邦のオーストラリア、ニュージーランドはアジア経済圏に入っている。その兆候は1970年代、イギリスからの輸入車を日本車が上回ってしまった事実からも分かる。オーストラリアの鉄鉱石は、日本をはじめとするアジア諸国が主な顧客なのだ。旧植民地の東アフリカ地域でも、ケニアやタンザニアは、中国との結びつきが強い。人種差別で知られた南アフリカは、有色人種が主導権を握るようになり、もはやイギリス連邦とは言えない。カナダは南のアメリカと陸続きだし、イギリスはユーロトンネルでつながっているEU諸国と結びつきを強めるしか生きていく方向がないのに、EU離脱ですか。

イギリスよ、40年前を思い出しなさい。1972年、長年の宿願が実ってECに加盟できた日のことを。
http://reisenji.kojyuro.com/untitled/24.html


02. 2012年6月29日 10:00:23 : 3CNLte9sGM
The Economist
迫り来る「Brixit(ブリグジット)」の足音
2012.06.29(金) 
(英エコノミスト誌 2012年6月23日号)

どの主要政党もEUからの脱退を望んでいないが、英国の脱退が現実になる可能性はかつてないほど高まっているようだ。


デビッド・キャメロン首相(写真)をはじめ、主要政党のリーダーは誰もEUからの脱退を望んでいないが・・・〔AFPBB News〕

デビッド・キャメロン首相は、欧州連合(EU)のことを腹立たしく思っており、ユーロ圏のメルトダウンが自身の再選をふいにするのではないかと心配しているが、英国が欧州連合(EU)から脱退することは望んでいない。

 連立相手である自由民主党のニック・クレッグ党首は、欧州統合支持派だ。

 野党・労働党のエド・ミリバンド党首も、脱退は望んでいない。ミリバンド氏は本能的に欧州の社会民主主義者であり(同氏の親類はホロコーストを逃れた亡命者だった)、考え方からしてもEUのことを、気候変動対策のような公益を実現する手段と見なしている。

 それでも、今後数年内に英国がEUから脱退する可能性はかつてないほど高まっている。「Brixit(ブリグジット)」がぼんやりと姿を現している背景には、いくつかの理由がある。

誰も望んでいないのにEU脱退の可能性が高まっている理由

 1つには、英国がこれまで1度として欧州に心を奪われたことがなく、むしろ経済的な利益とコストを天秤にかけてきたことがある。目下のところ、EUは無力な存在として受け止められている(もっとも、英国の財政も申し分ない状態とはとても言えないが)。

 もう1つは、ユーロ圏諸国が互いの違いを乗り越えて、統合が今よりはるかに深化した場合、英国が置き去りになる可能性があることだ。統合深化によって英国のEU加盟の根幹を成す単一市場が分断されれば、特にそうだ。

 キャメロン首相とジョージ・オズボーン財務相は、豊かな加盟国に無理やり弱い加盟国を支援させるユーロの「無情な論理」について語るかもしれない。だが、欧州統合には、キャメロン首相(それを言えばミリバンド氏も同じ)が率いる政府が決して歩めない道がある。

 保守党と労働党の上層部では、ユーロは厄災だと考え、自分たちが正しいことが証明されつつあると考える人たちが経済議論で多数派を占めている。

 国民もこれに同意している。もっとも国民の確信は、経済性よりもむしろ人間嫌いに関係している。何しろ英国人は、南欧の人々に補助金同盟を申し出るほど彼らのことが好きではないし、他の豊かな北部諸国の人々が内心では自分たちと違った感じ方をしていると思ったこともない。

 となると、英国の政治家も、ある程度受け身でいることは許されるだろう。

 だが、英国が以前より出口に近づいたとすれば、政治家は1つの重要な点で責めを負う。心配になるほど多くの議員が、英国は――今回の危機の幸運な結果として――脅迫によって現状より有利なEU加盟条件を引き出せると考えているように見えるからだ。

EUから有利な条件を引き出す「脅迫戦略」


英国の保守党議員の中には、ユーロを支える条約改正を阻止したいと思っている向きもある〔AFPBB News〕

 現在外相を務めるウィリアム・ヘイグ氏は、1998年に保守党党首として、単一通貨が「出口のない燃えさかるビル」になると予言していた(実は、ジョージ・オズボーンという名前の若い側近が大部分を書いた演説の中での話)。

 ユーロが燃え上がっている今、ユーロ懐疑派の保守党議員の中には、EUが広範な権限を英国の支配下に戻さない限り、消防署の前に車を止めて、ユーロを支えるための条約改正を阻止したいと思っている向きもある。

 こうした脅迫のために彼らが使う手段は、昨年英国の法律になった「国民投票の錠」だ。将来、英国政府からEUに権限を委譲する場合に国民投票の実施を保証した法律である。

 技術的には、ユーロ圏の救済計画は、英国からの主権委譲を回避するように作ることができる。だが、一部の保守党議員――報道によれば閣僚数人を含む――はキャメロン首相に、ユーロ圏の統合深化は英国の欧州との関係を大きく変化させるため、いずれにせよ国民投票を実施すべきだと伝えている。

 保守党の指導者たちは、その議論に勝てると思っている。同時に彼らは、他の欧州懐疑派が求める残留か離脱かの単刀直入な国民投票に関しても、欧州の構造が急激に変化している時には、そのような投票は誤った設問だと言ってかわすことができると考えている。

 このような議論に勝つのは比較的簡単だ。ほとんどの保守党議員は、あからさまな脱退に賛成していないからだ。彼らは欧州との緩やかな関係を望んでいる。環境や雇用に関する規則や大規模な財政負担など、彼らが嫌う要素抜きで単一市場に参加したいのだ。

 また、大方の保守党議員は、世界経済危機が頂点に達した時に実践された、消防署を封鎖する脅し戦略がリスクの高いものであることも理解している。

 代わりに、もう少し安全だと考えられている戦術が熱意を呼んでいる。すなわち、英国の欧州との関係を正式に再交渉し、その結果を「有効性を問う国民投票」にかけることを約束して次の総選挙に向かう戦術だ。

 問題は、まず交渉して次に有効性を問うという戦略が、単にきれいに飾られた脅迫にすぎないということだ。これは要するに、譲歩しなければ英国の有権者が取り決めを拒否することを知って、他のEU加盟国が大幅に譲歩すると見込んだ賭けだからだ。

誰も代償を払ってまで英国にとどまってもらおうとは思わない


ユーロ圏の統合が大きく深化すると、英国が置き去りになる可能性がある〔AFPBB News〕

 ドイツ――キャメロン首相が急激に変化する欧州における支配的な勢力と見なしている国――は、アンゲラ・メルケル首相が、脱退か特別扱いかという英国の脅しには乗らない、という明確なサインを出している。

 ユーロ圏の新たな制度機構を創設するために条約を改定する場合には、こうした改定を議会に承認してもらうために、キャメロン首相が譲歩を必要とすることはドイツも認めている。

 ことによれば、すべてのEU加盟国について、一定の狭い権限が国家レベルに戻る可能性がある、と英国は言い聞かされてきた。だが、あまり強くせき立てると、ユーロ圏の統合がEUの枠組みの外で進められることになる。

 ドイツは多少はったりをかけているのかもしれないが、全面的にそうだというわけではない。英国の国会議員がなぜ、残留か離脱かを問う投票よりも、新たな加盟条件を有効にするための国民投票の方が安全だと考えているのかも理解しづらい。


 考えられる結果の道筋を描くと、政府は今後、敗北を避けるためには、再交渉を確実なものにし、大幅な譲歩を引き出し、国民にそれらが大幅であることを納得させ、そして、普通に鬱憤を晴らすのではなく投票用紙の質問に答えるよう有権者を説得することが必要になる。一つ間違えば、EUからの脱退につながるだろう。

総選挙に向けて主要政党が国民投票を呼びかける可能性

 それでも議会および政府内では、驚くべき数の実力者が、主要政党の1つが次の総選挙の前にEUを巡る国民投票を約束し、他党も追随せざるを得なくなると考えている。

 労働党は保守党を分裂させるために国民投票の実施を求めるかもしれないと言われている。保守党は、中核の支持基盤をてこ入れするために国民投票の実施を掲げるかもしれない。どちらの党も、EU脱退を支持する英国独立党に対する支持の高まりに跳ね返されるかもしれない。

 政党の指導者たちは誰もEUから脱退したいと思っていないが、それが起きる可能性はある。どの党もEU国民投票によって失うものはたくさんあるが、それでも、そうした投票はほぼ不可避だと思えるようになってきた。これがどのような結末を迎えるかは予見不能で、部分的にしか英国の手に委ねられていない。


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