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コモディティー価格の下落と世界経済  ロシア人金持ちの隠れ蓑、キプロス  首脳会議を重ねてもユーロは救われない
http://www.asyura2.com/12/hasan76/msg/688.html
投稿者 MR 日時 2012 年 6 月 28 日 11:45:03: cT5Wxjlo3Xe3.
 


The Economist
コモディティー価格の下落と世界経済
2012.06.28(木)

コモディティー価格の下落の意味を理解する。

これは良いニュースなのか、それとも悪いニュースなのか? コモディティー価格はここ数週間で急激に下落している。「S&P GSCI指数」は5月だけで13%落ち込み、1カ月間の下げ幅としてはこの2年間で最大となった。

 コモディティー価格の下落は、西側諸国の消費者にとっては減税と同じ意味を持つが、世界経済の成長減速を示す憂慮すべきサインである可能性もある。

価格受容者になった先進国


 近年の世界経済の顕著な特徴は、コモディティー価格がこれほどしっかり持ち堪えてきたことだ。最近の下落の後でも、価格は2007年1月の水準と比べればはるかに高い(図参照)。

 通常は、先進国経済が低迷期に入れば、原材料は下げ相場に入ると考えるだろう。だが、豊かな経済国はコモディティーの価格設定者ではなく、価格受容者になりつつある。

 例えば、中国は世界の銅供給量の40%を購入している。ロングビュー・エコノミクスのハリー・コルビン氏は、BRICs諸国4カ国(ブラジル、ロシア、インド、中国)では、2012年の1日当たりの石油消費量が2008年実績を370万バレル上回ると試算する。一方、米国および欧州の経済大国の需要は同時期に日量150万バレル減少した。

 コモディティー価格の持続的な力強さは、経済の不振にもかかわらず、多くの国でインフレ率が高止まりしている理由を説明する役に立つ。賃金が伸び悩む中で、しわ寄せは実質所得に出ている。

 だが、最近のコモディティー価格の軟化はインフレ率に表れてきている。これまでインフレ率がずっとイングランド銀行の目標値を上回ってきた英国では、5月に物価上昇率が低下。昨年まで5%を超えていた年率のインフレ率は2.8%に低下した。

 米国では、夏のドライブシーズンが到来し、4月初旬に1ガロン3.88ドルに迫っていたガソリンの平均小売価格が3.47ドルに下落した。


 原材料価格がほぼ一様に下落している状況は、好意的に解釈することもできる。コモディティーは今や投資対象となっており、価格の落ち込みは単に投機筋の気まぐれを反映しているだけかもしれないのだ。

 バークレイズのケビン・ノリッシュ氏は、銅の売り持ち高(銅相場が下落することに賭けるポジション)が2年ぶりの高水準に達しており、ヘッジファンドが世界的な景気下降を予想している可能性があると言う。

 ドイツ銀行のストラテジスト、マイケル・ルイス氏が指摘するように、エネルギー価格と株価の相関関係は、2007年以降、急激に強まった。実際、今年5月にコモディティーと株式が同時に下げた局面は、2010年と2011年の似たようなタイミングの相場下落と重なる。

景気の先行指標としてはお粗末な実績

 より悲観的な可能性は、ヘッジファンドの見方が正しくて、コモディティーが世界的な景気後退の先行指標の役割を果たしている、というものだ。しかし、この点では、コモディティー価格は決して信頼できない。何しろ、経済が大きく落ち込もうとしていた2008年夏に、コモディティー相場はまだ相当強かった。

 経済見通しは徐々に悪化してきている。経済協力開発機構(OECD)は5月に、今年の世界経済の成長見通しを2011年の3.6%を下回る3.4%と予測した。欧州諸国の景気停滞には、もう誰も驚かない。今年、好調な滑り出しを見せた米国も勢いを失ってしまったようだ。

 コモディティーの強気筋にとって極めて大きな懸念は、今春、大量の原材料の発注をキャンセルした中国だ。

 今回のキャンセルは、需要の落ち込みではなく、むしろ抜け目のない交渉術で説明できるかもしれない。相場が下落している中で、中国の石油輸入高は5月に過去最高を記録し、銅の輸入高は前月比12%増加した。

 一部の評論家は、中国の投資ブームも、投資価値のあるプロジェクトが不足しているからにせよ、中国が消費主導型のモデルに転換するからにせよ、いずれは間違いなく勢いを失うと思っている。だが、転換が突然起きるとは思えず、上記の輸入統計はまだそれが起きていないことを示している。

コモディティーブームは通常、価格高騰が大量の新規供給を生み出した時に終焉を迎える。現在見られるその主な兆候は、米国におけるシェールガス市場の発展で、おかげで同国では天然ガス価格が崩壊している。

 最近、サウジアラビアは価格を引き下げるために増産しており、石油輸出国機構(OPEC)の産油量は公式目標を日量160万バレル上回っている。だが、OPEC非加盟国の供給量は依然乏しく、今年下半期に原油価格が反騰する可能性もまだあるとノリッシュ氏は考えている。

農産物価格の下落に一縷の望み

 もし、そうした予想を歓迎できないとしたら、5月に農作物価格が9.3%下落したという事実に慰めを見いだすといい。穏やかな天候のおかげで北半球では豊作が見込まれており、エタノールの生産に回される米国のトウモロコシも以前より少なそうだ。

 食糧価格の高騰は、貧困層の所得に重くのしかかるだけでなく、世界中にさらなる政情不安をもたらす。市場が悪いニュースしか生み出さないように見える時には、これはめったにない喜びの源泉だろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35544

 

  
 


ロシア人金持ちの隠れ蓑、キプロスギリシャ危機はキプロスを介してロシアに波及か
2012.06.28(木)
大坪 祐介


金融危機の最中、ヨーロッパはEURO2012、サッカー欧州選手権で大盛り上がりである。
前回ベスト4進出のロシアも例外ではなかった。攻撃型サッカーを前面に押し出したロシアは今回大会でも前評判は上々であった。

 そして開幕戦で強豪チェコを4-1で圧倒、さらに長年のライバル(サッカー以外でも)であるポーランドには敵地に乗りこんで1-0で勝利を収めた。快進撃に国民の期待は高まる一方である。

ギリシャにあっけなく負けたロシアチーム


ギリシャ対ロシア戦。白のユニフォームがギリシャ〔AFPBB News〕

 ところがグループリーグ最終戦、ギリシャ戦であっけない最期を迎えるとは・・・。

 ギリシャは前回優勝国とはいえチームは弱体化、国自体もユーロ離脱目前かという経済危機の最中にある。おまけに翌日(17日)は世界が注目する再選挙を控えた国のチームである。

 ロシアは引き分けでも決勝リーグ進出だったのだが・・・。ここで大きな番狂わせが起こった。何とギリシャがロシアを破り、ロシアは予選リーグ敗退となったのである。

 サッカーの話題はさておき、この敗北はロシア関係ビジネスマンにある心配事を生じさせた。 「キプロスは大丈夫か?!」

 キプロスとは日本には馴染みの薄い国であるが、東地中海、トルコの南方に位置する島国である。第2次世界大戦前は英国の統治下にあったが戦後に独立、島の北半分はトルコに占領されているが、南半分はEU加盟国である。

 観光と金融が主な産業であり、プライスウォーターハウス・クーパース(PwC)の試算によると金融サービスはキプロスの国内総生産(GDP)の15%を占めるという。

文化的にはギリシャ文化圏だが、国民のほとんどが英語を話し法律も英国法に準拠している。筆者もほぼ毎年キプロスを訪問しているが、「英語が通じるギリシャ」との印象が強い。

 一方、ロシアとは1990年代のロシアの混乱期にタックスループホール(税の逃げ道)として、ロシア企業やロシア富裕層に大いに活用された。

キプロスをタックスヘイブンとして活用するロシアの富裕層


街角のイースターエッグ。宗教はギリシャ正教が多い
 こうした歴史的な経緯と、何よりもロシア人には魅力的な地中海の太陽あふれる温暖な気候も相俟って、現在でもキプロスはタックスヘイブンと観光地として人気が高い。

 多くのロシア企業、特に外国投資を受ける企業はキプロスに持株会社を設置し、ロシアの事業会社を子会社とするケースが多い。これは税制上のメリット以上に法制上の問題がある。

 すなわち、ロシアの会社法では投資家の権利が十分に保障できないのである。例えばロシアの会社法では株主間契約の存在を認めていない。従って、英国法に準拠した契約締結が可能なキプロスが選ばれることになる。

 この結果、人口100万人に満たない島国に60万人とも言われるロシア人が住みついている。そして、昨年のコンファレンスでのキプロス当局者の発言によれば、500億ドルのロシアマネーがキプロスには流入しているとのことであった。

 近年はロシアの大手行VTBはじめロシアの大手銀行もキプロスに進出、一度は流出したロシアマネーを再び取り込まんとするビジネスに躍起である。

 ちなみにディミトリス・クリストフィアス(Dimitris Christofias)キプロス大統領は旧ソ連で教育を受けた経歴を持ち、EU首脳のなかではただ1人ロシア語を流暢に操るとのことである。

 もっともロシア大統領がキプロスを訪問したのは2010年10月ドミトリー・メドベージェフ前大統領が最初であった。キプロスは統計上ではロシアに対する常に上位の対外投資国であることに鑑みると意外な感もある。

 他方、キプロスは経済的にはギリシャとのつながりが深い。従ってギリシャ経済の混迷はキプロス経済にも大きな影響を与えている。

ロシアに支援を要求するキプロス


ニコシア市内のロシア人向けスーパー
 特にキプロスの銀行はギリシャ向け債権の保有比率が高かったこともあり、特にギリシャ国債の減免措置により多額の損失を被り、経営不安が深刻化している。

 キプロス政府は昨年末にロシアから25億ユーロの金融支援を受けたのだが、これもどうやら焼け石に水であった。

 先のギリシャ選に先立つ6月13日にはムーディーズがキプロスのソブリン格付けを既に投資不適格のBa1からさらに2段階引き下げBa3(S&PのBB-に相当)とした。

 そして6月25日にはキプロス政府はEUに対し緊急融資の要請を発表、支援額は100億ユーロに上ると見られている。

 実に同国のGDPの半分を上回る額である。キプロスは7月からEU議長国を務めるだけに、ここでユーロから離脱させるようなことはできないとの配慮だろうか。

 さらにキプロス政府はロシア・中国に対しても2国間支援を求めている。ここでロシア政府がギリシャに負けた腹いせに、ギリシャの同盟国とも言えるキプロスへの金融支援を見送ったりすれば、ロシア経済にも少なからぬ混乱が生じる。

 もちろん、ロシア政府としては多くのロシア要人・富裕層の財産が匿われたキプロスを見捨てるわけにはいかないはずである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35547

 
 

 

 

Financial Times
首脳会議を重ねてもユーロは救われない
2012.06.28(木)

欧州連合(EU)はまたユーロ圏の危機に対処するために首脳会議を開くが、確かな成果は期待できない〔AFPBB News〕

欧州連合(EU)がユーロ圏の危機に対処するための首脳会議をまた開こうとしている。これもまた、説得力のある解決策を打ち出すにはほど遠いものに終わりそうだ。

 疲れ果て、幻滅した指導者たちには大変な重圧がのしかかっている。成功する望みは果たしてあるのだろうか?

 筆者が以前にも論じたように、今求められているのは、政治的に実現可能で経済的にも機能し得る解決策である。

 「政治的に実現可能」とは、自国の有権者に対して責任を負っている政府の間で合意できるというだけでなく、有権者にその合意を少なくとも容認してもらえることを意味する。これは、ユーロ圏で最も重要な政治家であるアンゲラ・メルケル氏が特に心配していることだ。

 また「経済的に機能し得る」とは、ユーロ圏残留の覚悟を決めた指導者に投票しようと思えるだけの将来への希望を有権者に提供できることを意味している。

 以下ではこれらの基準に照らして、欧州「連邦」、現状維持、限定的な改革という3つの選択肢を検討してみたい。

欧州連邦に向かう道筋

 銀行同盟や、ユーロ共同債の発行や財政規律の強化を通じた財政同盟を推進するという提案の主眼は、今の脆弱なユーロ圏の困難を解決することにある。欧州の理想を支持する人々や、過去の過ちのツケを誰かに払ってもらいたいと思っている人々がこのような施策に魅力を覚えるのは明らかだ。

 また、将来のことを考えずに浪費した連中を援助しなければならないのかと考える人々が、このような提案を目にして怒ったり不安になったりするのも、それと同じくらい明らかだ。

 このような提案を売り込みたいと思ったら、全体は部分の総和より強くなると主張しなければならないだろう。これは浪費家の仲間の救済をドイツやオランダに強いる話ではない、全員を1つに束ねて全員を強くする話なのだという論法を使わねばならない。

 曲がりなりにも、ユーロ圏全体の財政状況は米国のそれより良いと言える。1つになれば、すべてのユーロ導入国が、米国が享受しているような低金利(低い国債利回り)の恩恵にあずかれるかもしれない。

 同様に、既に主権の一部を手放している弱い政府ではなくユーロ圏全体で運営する預金保険制度が導入されれば、弱い国々の銀行が元気になり、ユーロ圏全体の銀行システムが強くなるだろう。さらに、足元の財政危機は最悪期を脱し、問題を抱えたユーロ導入国もそれぞれの当面の危機に対処できるゆとりが生まれるという見方もできるはずだ。

 上記のロジックを受け入れる人がいたとしても、筆者自身は、これでうまくいくとはもう思わない。理由は主に3つある。

 第1に、政治というのは国内的なものであり、危機が始まってからは特にその傾向が強まっている。そうでないふりをして突き進めば、さらに悪い事態になりかねない。第2に、各国が負担する費用にバラツキが生じることはないとはとても言えない。そもそも、全員で負担を分かち合う際に大いに必要になる連帯感がまだない。

 第3に、上記の理由から、これまでに発表されている政府の取り組みでは、統合への道を後戻りするのは不可能だと人々を説得することはできないかもしれない。従って、「モア・ヨーロッパ(さらに統合された欧州)」に向かってジャンプしようというアイデアで合意に至る公算は小さい。仮に合意しても、このアイデアは最終的に失敗に終わるだろう。

現状維持なら危機の連続

 次に現状維持、つまりこれ以上の改革はしないという選択肢を考えてみよう。この場合は恐らく、危機が続くことになるだろう。スペインが早々に救済され、ギリシャで新たな問題が浮上する。ひょっとしたら、イタリア国債の借り換えができなくなるかもしれない。

 また、体力の弱い銀行からの資金逃避は、いつ加速してもおかしくない状態になるだろう。ユーロ圏の調整の必要性を考えれば、こうした危機は何年も続く可能性がある。

 これは悲惨な状況ではあるが、少なくとも持続可能ではないのか? この点については、あえて楽観的になろうとする向きもあるかもしれない。ユーロ離脱は非常に難しい。もし実行すれば、不確かな経済的・政治的利益を求めて大混乱が生じる。であれば、悲惨な状況もかなり容認されるはずである、という考え方だ。

 しかし、この種の独りよがりには2つの(そして間違いなく互いに関係のある)脅威が立ちはだかる。第1の脅威は、既にギリシャで見られるような政治システムの崩壊と極右・極左勢力の台頭。第2の脅威は、公的セクターのデフォルト(債務不履行)とそれに伴う銀行システム崩壊の可能性だ。

そのような危機の最中にも欧州の主要国が通貨ユーロに固執するとは考えにくく、欧州は大変な不況に陥るだろう。

 この解決策には、銀行の資本増強に各国が積極的に取り組み、そうすることで欧州中央銀行(ECB)が最後の貸し手の役割を引き続き担えるようにすることが欠かせない。これは現在の路線を維持する際の必要最低限の施策だと筆者には思われる。

 しかし、強調しておくが、何の改革もしないという選択は惨めな旅になる。既にダメージを受けている国だけでなく、苦労することになるほかの国々でもそうなるだろう。

限定的な改革という第3の道

 筆者の基準から見れば、欧州連邦を目指す選択肢は行き過ぎで、現状維持の選択肢では物足りない。従って問題は、両者の中間を想定することはできないか、というものになる。ユーロの崩壊に比べれば、両者の中間は全員の利益にかなうように思われる。そこでは恐らく、以下のような要素が重要になると思われる。

(1)銀行問題解決の明快な計画。ただし、財政状態の厳しい国家による資本注入には頼らず、主に債権者が損失を負担する形で解決する。債権者と債務者で痛みを分かち合う部分がおのずと増えるアプローチだ。

(2)今のように債務国にばかり調整を求めるのではなく、債権国を含むユーロ圏全体で経済調整を進めるという力強いコミットメント。

(3)需要を維持する義務があることをECBが認識すること。

(4)経済を苦境に陥れることなく運営していくのに十分な規模の金融支援を、改革を約束した政府に条件付きで行うこと。

 この選択肢は「現状維持プラスα」と呼べるかもしれない。望ましい道にはほど遠いだろうが、政治的に実現可能で経済的に機能し得るという基準を満たすには十分かもしれない。

 こうした3つの選択肢と比べた場合、現在の主要国の立ち位置はどこにあると言えるだろうか? 

 ドイツは、口では欧州連邦の選択肢を取ると言っているが、実際は聖アウグスティヌスのように「それは今すぐではない」と思っている。このアプローチは、ほかのユーロ導入国に入信の儀式を強制しているように見えるかもしれない。

「連邦」からの救済は得られない

 これが機能するかしないかにかかわらず、今はさらなる支援が必要だ。まずは、外国に下手な融資をした銀行の損失を進んで受け入れることが必要だろう。モラルハザードは足元で始まるものだ。

 その意味では、政策立案者が認めているように、ドイツにとっても理にかなっている国内政策への取り組み強化も必要だろう。賃金水準の引き上げ、需要の押し上げ、インフレ率のさらなる引き上げなどがその主なところだ。

 しかし債務国は、「連邦」からの救済は得られないことを受け入れるべきだ。救いの希望を探すのであれば、一連の首脳会議ではなく自分自身に目を向けなければならない。

By Martin Wolf
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35546  

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コメント
 
01. 2012年6月29日 10:02:01 : 3CNLte9sGM
Financial Times
社説:ユーロが直面する政治的な試練
2012.06.29(金)

(2012年6月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

過去の欧州連合(EU)首脳会議と同様、29日にどんな決定事項が発表されても、見た目ほどには中身がないかもしれない。世界中の投資家がユーロ圏をついに安定させる合意への期待を抑え込んでいるのは賢明だ。だが、スペインとイタリアの借り入れコスト(国債利回り)の上乗せ金利が法外な水準に達する中で、投資家たちが、今度こそ本当に時間切れが迫っていると心配するのは正しい。

 この1週間で相次ぎ開催された会合は、中枢国の3人の首脳が直面する国内の政治的要求を浮き彫りにした。

中枢国の首脳が国民から突きつけられている要求

 イタリアでは、マリオ・モンティ首相が、イタリア国債の利回りを引き下げるための対策という形で改革路線の転換を示すことを迫られている。フランスでは、フランソワ・オランド大統領が、たとえユーロ共同債発行の代償としてであっても、財政問題と銀行問題に対する主権を手放すことへの抵抗に遭っている。

 アンゲラ・メルケル首相は、ドイツ政府の支配が及ばないところで生じた他国の債務をドイツがこれ以上引き受けることに反対する発言を強めた。

 首脳会議での合意は、これら3人の首脳のニーズに合致しなければならないだけではない。合意内容は、各国政府と銀行に対する市場の攻撃を終わらせない限り、大した価値を持たない。

 攻撃を終わらせるためには、短期的にはスペインとイタリアの借り入れコストに対する措置、長期的にはユーロ圏の銀行同盟に対する真のコミットメントが必要だ。どちらも達成不能かもしれない。

 ユーロ圏の大国が自力で資金調達できなくなった場合、当該国がユーロから離脱する動機は劇的に大きくなる。ただし、スペインやイタリアに一時的な猶予を与えるための手段は存在する。もっとも、両方は無理だが。

 ユーロ圏の救済基金は、国債を購入する法的権限を持っている。救済基金は、公開市場買い付けを今後発行される国債に集中させたり、銀行免許を取得したりして、もっと大きな経済力を持つ必要がある。そして基金は何より、政治的なゴーサインを必要としている。

 今回の首脳会議は、この政治的な代償を交渉できるかどうかをはっきりさせなければならない。本格的な救済プログラムを含む政策面での条件という形で、メルケル首相にとって満足のいくものでありながら、支援を受ける側の国が許容できる内容で折り合いをつけられるかどうか、だ。

 銀行同盟についてヘルマン・ファンロンパイ欧州理事会議長が発表した提案は、骨抜きにされた議題書の曖昧さの中で、その具体性が際立っている。

いまだ見えてこない合意の余地

 議長の提案は、本物の政治合意の骨子を示している。すなわち、銀行の資本に対する共通の財政支援と一体化された預金保険と引き換えに、ユーロ圏が強力な権限を持って各国銀行に介入し(どれだけ規模が小さくとも、懸念のある銀行すべてに適用されなければならない)、納税者を保護する形で問題銀行を清算する仕組みだ。

 首脳会議が試されているのは、首脳たちが抱える政治的な制約の中で、そうした合意に達する余地を見いだすことだ。その余地はまだ、生み出されていない。


02. 2012年6月29日 13:31:37 : 3CNLte9sGM
コラム:90年代を再現するユーロ相場=高島修氏
2012年 06月 28日 12:21  

5月鉱工業生産速報、予想下回る:識者はこうみる
米医療保険改革法めぐる最高裁判決:識者はこうみる
アングル:EU首脳会議は統合深化を協議へ、有権者の説得が課題
焦点:英国で広がるEU離脱論議、実現なら影響力失い孤立か
高島修 シティバンク銀行 チーフFXストラテジスト

[東京 28日 ロイター] 相場ではフォワードルッキングが重要であると言われるが、今後のユーロ相場を展望するなら、むしろバックワードルッキングの方が重要かもしれない。現在のユーロ相場は、1990年代を再現しようとしているように見える。欧州は90年代前半にも、通貨危機に見舞われている。しかも、ギリシャ問題を含む2010年代の欧州ソブリン危機と同じく、通貨統合に絡んだ危機である。

前回の通貨危機では、92年9月にイギリスとイタリアが欧州為替相場メカニズム(ERM)を離脱したが、そこに至るまでの経済的背景には、一種の固定相場制であるERMの下で、両国が為替レートの調整メカニズムを欠き、景気低迷と財政事情の悪化に苦しんでいたことがあった。

ただ、当時の欧州通貨危機の直接的な引き金を引いたのは、90年10月の東西ドイツ統合、すなわち東西ドイツマルクの統合という「もう一つの通貨統合」だ。ドイツでは80年代終盤から東西統合への期待感から建設ブームが起こるなど、景気が過熱。インフレ圧力が昂進し、独連銀は88年には3%台前半だった政策金利を91年には8%台後半へ引き上げた。この高金利政策が対米ドルで独マルクを上昇させたのみならず、欧州通貨間で独マルクを買うために、伊リラを始めとしたその他の欧州通貨を売る投機活動を活発化させた。こうして勃発した欧州通貨危機がイギリスとイタリアのERM離脱を招き、さらに93年8月の危機再発によって、ERM残留国も上下2.25%の変動幅を15%に拡大せざるを得なくなったのだ。

振り返れば、欧州諸国は90年1月に経済通貨同盟(EMU)第一段階を開始するなど、通貨統合に向けた機運を高めていたが、ドイツ以外の国々にとって、その建前は東西ドイツ統合で誕生した「大ドイツ」封じ込めだった。しかし、皮肉なことに、その東西ドイツ統合が将来的な欧州通貨統合に向けた歩みを一時的に頓挫させたのである。

このように、90年代前半の欧州通貨危機は、統合ブーム(建設ブーム)の破綻を直接的なきっかけとしながらも、その遠因はERMなどユーロに向けた通貨統合の動きと東西独マルク統合という二つの「通貨統合」にあった。一方、今日のギリシャ問題を始めとする欧州ソブリン危機は、不動産ブームや放漫財政の破綻をきっかけとしながら、その遠因はユーロという「統合通貨」の誕生にあった。双方の危機とも、構造的欠陥(加盟国間で異なる生産性やインフレなどの競争力格差、財政や労働市場など最適通貨圏の条件を満たさないこと)が背後に横たわっている。90年代と2010年代の欧州危機の奇妙な共通点と言える。

もうひとつの共通点は、米ドルを取り巻く環境だ。

90年代前半、米国では3L問題(Land、Latin America、Leveraged buyout)や貯蓄貸付組合(S&L)問題などによる金融不安が台頭。経済は失速し、連邦準備理事会(FRB)は大胆な金融緩和に踏み切った。85年のプラザ合意以降、長期下落トレンドを辿っていた米ドルにはさらなる下落観測が浮上していた。

これは、ITバブル崩壊を発端とする2002年以降のドルの長期下落トレンドの中で起きたサブプライム危機、それに伴う米経済の失速、FRBの金融緩和が米ドル悲観論を増幅した2008年以降の情勢に似ている。さすがにもう聞かれなくなったが、2、3年前までは、国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)改革議論などに絡み、「基軸通貨としての米ドルの将来」を不安視する議論まで活発になされていたことは記憶に新しい。

しかし、現実には、90年代も今回も、長期ドル安トレンドはさらなる下落観測が浮上していた頃には、底入れの兆しを強め始めていた。前回の底入れの兆しは90年頃から、今回は2009年頃から強まっている。金融不安の台頭に伴って、世界的なドル不足問題が発生。ドルを下支えし始めたとの解釈ができよう。

<90年代の独連銀と現在のECBが直面する状況の共通点>

では、ユーロ相場は90年代の欧州通貨安を再現するのだろうか。90年代の欧州通貨の長期下落トレンドは、99年のユーロ導入後も続き、2000年1月27日に1ユーロ=1ドルのパリティを割り込み、同年10月26日に史上最安値の0.8252ドルをつけた(最高値は2008年10月27日の1.5590ドル)。現在、ユーロ/ドルは、1.24ドル台後半で推移している(6月28日東京時間午前11時現在)。果たして、1.20ドル台を下回り、さらに下落する展開はあるのか。90年代の状況に照らして、考察してみよう。

振り返れば、長期下落トレンドから90年代前半に下げ止まった米ドルが上昇(独マルクなどの欧州通貨安)局面に入ったのは、95年以降である。背景には、94年のFRBによる果敢な金融引締めで、ドル建て資産利回りが上昇していたことと、一方で欧州では独連銀による低金利政策が続いていたことがあった。

当時、ドイツ経済は歴史的な景気低迷に陥っていた。東西ドイツ統合に伴い発生した建設ブームの終焉が最大の理由だが、80年代後半からの米ドル安に加え、欧州通貨危機で欧州域内でもマルク高が進み、実効為替レートが上昇したことが外需環境を著しく悪化させたことも看過できない。

こうした中で、ERMを離脱した伊リラなどに対するマルク高(=欧州通貨危機)を再燃させないためにも、独連銀は金融緩和を徹底する必要があった。結局、独連銀は96年まで断続的に利下げを実施し、本格的な金融引締めは欧州中央銀行(ECB)による統合的な金融政策に移行した後の99年秋まで見送られた。その頃には、ユーロが誕生し、マルク高やリラ安の懸念もなくなっていた(低金利政策で独マルク上昇を抑制する必要性がなくなった)。

今回のユーロ安が長期化するか否かも、やはりECBの金融緩和が長期化するか否かが一つの鍵を握る。90年代と現在で決定的に異なるのは、90年代前半の欧州通貨危機では、ERM離脱など為替調整メカニズム復活によって景気回復が試みられたのに対して、今回の欧州ソブリン危機ではユーロ体制(固定相場制)を存続させることが前提になっていることだ。その上でユーロ加盟各国は、統合通貨の規律を維持し、生産性・インフレ格差から生じる競争力格差を国際収支の不均衡問題として表面化させないために、緊縮財政などによる経済デフレ化政策を受け入れようとしている。90年代は危機対応策として「景気回復」を目指したのとは対照的に、2010年代は「景気低迷」を目指しているのである。

もっとも、その結果、ECBには景気下支えと市場対策のため、金融緩和長期化の圧力がかかりやすい。欧州諸国の危機対応策は90年代とは異なるものの、金融政策に関しては、当時の独連銀と同じように金融緩和局面が長期化する可能性が高い。

筆者には、90年代の欧州通貨安をユーロが再現しようとしているように見える。ユーロ相場は当面急落こそ回避するだろうが、長期的に見れば、着実にユーロ安基調が定着。来年には1.20ドル台を下回り、来年半ばには1.15ドル前後までユーロ安ドル高が進行すると予想する。

*高島修氏は、シティバンク銀行のチーフFXストラテジスト。92年に三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行し、2004年以降はチーフアナリスト。2010年にシティバンク銀行へ移籍。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(here)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。

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03. 2012年6月29日 13:34:59 : 3CNLte9sGM
EU首脳会議、銀行監督・国債支援で合意=大統領
2012年 06月 29日 12:21  
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[ブリュッセル 29日 ロイター] 欧州連合(EU)首脳会議は29日、ユーロ圏の銀行の監督制度を統一することで合意した。

同制度には欧州中央銀行(ECB)が関与し、欧州安定メカニズム(ESM)が銀行に直接資本を注入することが可能になる。

EUのファンロンパイ大統領が明らかにした。

同制度は年内に設立する。政府と銀行の「悪循環」を断ち切ることが狙い。

大統領によると、EUの財政ルールを順守している国が、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)とESMを活用して金融市場で国債を支援することも認められる。

*内容を追加します。

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ユーロ圏首脳:スペインの銀行への融資で条件緩和−独首相が譲歩 
  6月29日(ブルームバーグ):ユーロ圏首脳はスペインの銀行への緊急融資の返済ルールを緩和するとともに、イタリアが対象となる可能性がある支援の条件を緩めることで合意した。各国首脳から包囲された格好となったメルケル独首相は、債務危機封じ込めのための措置拡大で譲歩した。
ファンロンパイEU大統領は17カ国首脳が12時間の会議の後で、スペインの銀行への融資で各国政府の優先権を放棄したことを明らかにした。また同大統領によると、銀行は政府経由ではなく、救済基金からの直接の資本注入が可能になる。
記事についての記者への問い合わせ先:Berlin Tony Czuczka aczuczka@bloomberg.net 
更新日時: 2012/06/29 12:49 JST

ユーロ急伸、ユーロ圏首脳がスペイン融資の優先権放棄で合意 
  6月29日(ブルームバーグ):正午すぎの東京外国為替市場では、ユーロが急反発している。ユーロ圏首脳がスペインの銀行向け緊急融資の条件に関し、返済優先権を放棄することで合意したと、ファンロンパイ欧州連合(EU)大統領が29日記者団に明らかにしたのを受け、ユーロ買いが活発化した。
ユーロは対ドルで1ユーロ=1.24ドル半ばから一時1.2628ドルと21日以来の水準まで急伸。対円では1ユーロ=98円半ばから一時100円22銭と25日以来の高値を付けている。
バークレイズ銀行チーフFXストラテジストの山本雅文氏は、「銀行支援は決まったが、ESM(欧州安定化メカニズム)から資金を出す場合、既存の債券保有者が劣後してしまうということがあるので、スペイン国債が売られていたが、それが違ったということだ」と解説。ドイツの反対姿勢などで欧州首脳会議に対する期待がかなり低くなっていただけに、「ポジティブな材料には反応しやすい状況」だと話す。
ユーロ圏首脳はスペインの銀行への緊急融資の返済ルールを緩和するとともに、イタリアが対象となる可能性がある支援の条件を緩めることで合意した。各国首脳から包囲された格好となったメルケル独首相は、債務危機封じ込めのための措置拡大で譲歩した。
ファンロンパイEU大統領は17カ国首脳が12時間の会議の後で、スペインの銀行への融資で各国政府の優先権を放棄したことを明らかにした。また同大統領によると、銀行は政府経由ではなく、救済基金からの直接の資本注入が可能になる。
-- Editors: 青木 勝, 山中英典
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 小宮 弘子 Hiroko Komiya hkomiya1@bloomberg.net


04. 2012年6月29日 14:18:21 : 3CNLte9sGM

ユーロ圏首脳:スペインの銀行への融資で条件緩和−独首相が譲歩 
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ファンロンパイEU大統領は17カ国首脳が12時間の会議の後で、スペインの銀行への融資で各国政府の優先権を放棄したことを明らかにした。また同大統領によると、銀行は政府経由ではなく、救済基金からの直接の資本注入が可能になる。
記事についての記者への問い合わせ先:Berlin Tony Czuczka aczuczka@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:麗英二 Eiji Toshi etoshi@bloomberg.net
更新日時: 2012/06/29 12:49 JST


アックマン氏、バフェット氏同様シェール鉄道輸送で大もうけ

  6月29日(ブルームバーグ):カナディアン・パシフィック(CP)鉄道の筆頭株主、ビル・アックマン氏は、米国の大富豪ウォーレン・バフェット氏に追随して北米のバッケン・シェール(頁岩層)から増産される原油と天然ガスで大もうけしている。
アックマン氏が率いるパーシング・スクエア・キャピタル・マネジメントは、CP鉄道株が2年ぶりの安値から反発した2011年後半に保有株式の大半を取得した。CP鉄道はバッケンでの業務を拡大しており、アックマン氏はその恩恵を受けそうだ。
CP鉄道はバッケンの一部があるノースダコタ州に2つしかない鉄道の1つ。バッケンはモンタナ州、カナダのサスカチワン、マニトバ州にかけて広がっている。バッケンに直接乗り入れているもう一つの鉄道会社バーリントン・ノーザン・サンタフェは、10年にバフェット氏率いる米保険・投資会社バークシャー・ハサウェイが265億ドル(現在のレートで約2兆1000億円)で買収した。
ニューヨークの独立系鉄道アナリスト、トニー・ハッチ氏は「アックマン氏は頭がいい。株を買った時に積極的な経営によりバッケン・シェールでひともうけできそうなことを分かっていた」と述べた。
トロント証券取引所のCP鉄道株は過去1年間で24%上昇。カナダ国内のライバル企業、カナディアン・ナショナル鉄道は13%上昇。米3大鉄道会社を時価総額でカバーしているS&P500鉄道株指数は1.7%上昇。
記事に関する記者への問い合わせ先:New York Ari Altstedter aaltstedter@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.net
更新日時: 2012/06/29 13:22 JST


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