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■株価も底打ち?
今週は、目まぐるしく世界、そして日本の諸情勢が変わっているのでこれらを取上げる。17日のギリシャの再選挙を皮切りに、一連の注目されていたイベントが続いている。筆者は、これらの出来事に市場(株式、商品、為替など)がどのように反応するか注目していた。ギリシャの再選挙では緊縮派が辛勝した。これでギリシャのユーロ離脱は遠のいたと市場に安心感が広まった。株式市場もこれを好感し、この日は各国市場とも上昇で始まった。
ところが同日の17日にスペインの国債の利回りが7%を超えたという報道が飛込んできて、これに市場が反応し各国の株価は下落に転じた。たしかにスペインの国債の利回り上昇は、ギリシャの再選挙での緊縮派勝利の効果に水を注すものであった。
結局、17日の株価はスペインが2.96%、イタリアが2.85%とかなり下落した。ところがフランスの株価は0.69%の下落に止まり、逆に英国は0.22%、ドイツは0.30%の上昇で終わった。また米国ではNYが▲0.20%、ナスダックが+0.78%であった。つまり大騒ぎとなったスペイン国債の7%超えも、影響はイタリアと震源地であるスペインに限定された。しかもイタリアとスペインは翌日には下げた分をそっくり戻している。
19日、G20首脳会議は「欧州危機にあらゆる措置を講じる」と宣言し閉幕した。しかし具体策はない。これはユーロ圏諸国が他の地域の国からの干渉を避けたいと抵抗したからである。
国際的な首脳会議は、参加国の数が増えるにつれ影響力が薄れるものである。G20はその典型であろう。市場もG20首脳会議の動向で影響を受けたという形跡はない。なんだかやってもやらなくても良いような会議である。
20日、FOMC(米連邦公開市場委員会)は現行のツイスト・オペ(償還期限の短い国債を売って、同額の償還期限の長い国債を買うオペレーション)を12月末まで半年延長することを決めた。つまり今の金融緩和政策を継続することを意味している。これは事前に予想されていた結果である。
しかし量的緩和の第3弾(QE3)を期待していた向きも一部にあった。しかし今回のFOMCでこれがないということがはっきりし、原油の市場価格が70ドル台まで下落している(QE3があるかもしれないと原油が少し買い上げられていた)。同様に円もQE3があるのではないかという思惑で買われていたが、FOMC後は円が売られ80円台と少し円安に振れている。
FOMCの結果を受けた米国の株式市場は、NYが▲0.10%、ナスダックが+0.02%と小動きであった。これはFOMCの結論が事前に予想された範囲であり、金融緩和の継続されることは分かっていたからである。少なくともツイスト・オペの延長はあるものと、先の一週間でNY市場の株価は既にかなり戻していた。むしろ一部にQE3まであるのではないかという向きもあり、戻し幅がやや大きかった。
このように注目を集めた国際的なイベントは一段落した。残るのは28,29日のEUの首脳会議だけである。その前にユーロ圏財務相会合(21日)と独仏伊スペイン首脳会議(22日)が開かれた。特に後者では、なんと13兆円の経済成長戦略が飛出した。これについては後ほどさらにコメントを加える。
筆者が関心があるのはやはり日本の市場の動きである。6月にファンドの決算があることも影響して、ここ数年5,6月は世界的に株式が売られ各国の株価が下落している。今年も5月前後から各国の株価が下落した。これは株価予想に自信のない本誌も予想していたことで、めずらしく今回は的中した。
日本の株価も、この国際的な株価の動きに合わせ下落し、その後も低迷している。むしろ日本の株価の下落が目立っている。筆者は、今回の一連の国際的イベントが日本の株価の下げ止まり、あるいは上昇のきっかけとなるのではないかと注目していた。
世界の経済は良くないことは分かっている。しかし世界の首脳もようやくそれに気がつき軌道を修正し始めたという段階である。2年前サットで先進各国が一斉に緊縮財政に走り始めた頃と様変わりである。株価も悪いニュースにもそれほど反応しなくなり、どんどん下落するということもなくなった。そろそろ株価も底を打ったのではないかと筆者は密かに感じている。
■今週は政局の山場?
20日に「日本経済復活の会」の100回記念のパーティーが都内で開かれた(連絡は来ていたが筆者は参加できなかった)。小野会長を始め民間の方々がこのような会をここまで続けてきたことは、一つの快挙であろう。これに参加した知人がパーティーの様子を伝えてきた。
来賓の亀井静香議員は「30兆円もあればギリシャの問題は解決する」と挨拶の中で話をし会場を沸かしていたという。これを大風呂敷とか荒唐無稽の話と決めつける向きもあろう。しかし筆者はこれは正しい見解と思う(亀井さんの発言はいつも80〜90%は正しいと筆者は感じている)。ギリシャに関しては、筆者達が主張するようにユーロを離脱するか、あるいは亀井さんが言うようにユーロ加盟国が徹底的に面倒を見る他はないのである。ユーロの崩壊(スペイン、イタリアのユーロ離脱が続く)を免れるには、ギリシャ一国に対して30兆円はちょっと大き過ぎるような気もするが、加盟国は相応の負担は覚悟すべきである。
またギリシャ一国だけで30兆円、それにスペイン・イタリアとなれば、いずれ共同債の発行ということになろう。もちろん共同債をECB(欧州中央銀行)が買入れるということも考えられる。ギリシャの問題の影響で世界の株価が下落し株式の評価額が30兆円の何倍も減価したことを考えると、30兆円なんて決して大きな数字ではない。
亀井さんのように起っている問題の本質を大きく捉え、これに対する解決策を考えるのが政治家の役目と筆者は考える。具体的な政策は、官僚やテクノクラートと呼ばれる人々が考えれば良い。ところが日本では、政治家が一生懸命に官僚のマネごとをしている。今、必死になって増税に走っている政治家は、政治家というより官僚の使い走りである。
財務省なんて年中増税を考えていることが仕事である。本当に増税が必要なのか考えることが政治家の役目であろう。日本の経済を考えれば増税なんてとんでもないことであり、むしろ財務省を諌めるのが政治家である。ひょっとすると財務官僚の中には、政治家に増税の流れを止めてもらいたいと願っている者もいるかもしれない(法人税と所得税が減り、消費税の滞納が増える)。
高金利で日本が国債を発行できないという話ではない。それどころか利回りは0.8%台と世界最低である。また物価が上昇しているわけでもない。むろん経済の長期低迷も続いている。これで増税なんて「正気の沙汰」ではない。
菅前総理から始まった増税気運の盛上がりは、多分に2年前のサミット10/7/5(第622号)「サミットの変質」の影響と感じられる。その誤って緊縮路線に先走った欧州が経済成長路線に舵を切りはじめた。13兆円の対策もその一つである。
欧州各国の首脳も、どの国も増税など緊縮財政を敷いたが、失業が増えるだけで一向に財政も良くなっていないことに気付いたのである。今日の問題は頑固なドイツの議会とドイツのメルケル首相という図式がはっきりしてきた。ドイツが孤立しているのである。他のユーロ加盟国もユーロというものが、ドイツだけに有利ということがだんだん解ってきている。
この2年間の間に情勢と雰囲気が大きく変わったのに、いまだに一周遅れの増税にしがみついているのが日本の政治家である。小沢一郎という人物は、評価が大きく別れる政治家である。しかし今回の増税騒動での発言は一番「筋が通っている」ものである。
その小沢グループの動向が注目を集めている。民主党内の造反派は、事前の予想を超える勢いである。前原政調会長の拙い対応も「火に油を注ぐ」ことになった(強引な一任の取付け)。前回の総選挙で民主党が大勝したのは、自民党への反感票を集めたからである(ただし議席数ほどには得票数では差がない)。その自民党と手を組んで、現民主党執行部は増税路線を突っ走っているのだから驚く。これでは次の選挙で民主党が大敗することは間違いない。
沈み行くのが今の民主党である。このまま民主党にいても展望がないということに気付き、意外と造反者が増える可能性がある。過去の実績から見ても、低迷する大政党から離脱したグループの方が次の選挙で善戦している。民主、自民といった増税派に対して、反増税を掲げた第三極が意外と健闘する可能性がある。ただし小選挙区制というものがどの程度影響するかである。
そうなって来ると関心は総選挙の時期となる。カギを握るのが公明党である。来年に参議院選と都議会議員選があり、公明党としては総選挙を今年中にやりたい。どうも今週あたり政局の山場を向えそうである。
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