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投稿者関口博之
http://d.hatena.ne.jp/msehi/?_ts=1340532188
日本の危機は累積負債が1000兆円を超えているからではなく(各省庁や外郭団体には埋蔵金よりも棚上げされている負債が大きく、ガラス張りにされればさらに膨らむが)、内部的に恐ろしく病んでおり、消費税が10パーセントに倍増されても全く財政が改善される見込みがないからである。
(注1)(39)検証シリーズ6、財政問題は増税で解決できるか。参照
(注2)動画ETV特集「核燃料サイクル“迷走”の軌跡」〔前〕
(注3)ドイツの戦前の官僚制度はナチズムを許した反省から、戦後責任を厳しく問う民主的官僚制度に刷新されている。
すなわち国の財布に大きな穴が開いているという本質的な原因はそのままにして、当面の危機を回避するために消費税増税しか打ち出せないところに、本当の危機がある。
しかも消費税増税には恐ろしい副作用があり、これまでの2回の消費税導入と値上を検証すれば、逆に国の負債が加速するターニングポイントとなっている。
政府は5パーセントの消費税増税で単純に10兆円ほどの財源を期待しているが、年間200万円以下の給料所得者が1100万人を超えていることからも、国民の財布は既に限界に達しており、生活保護者が現在でさえも激増していることから、さらに激増することは避けられない。
また日本の暮らしに必要な商品の物価は、消費税19パーセントのドイツなどに較べて3倍近く高いことから(注1)、容易に価格を上乗せすることが出来ず、多くの内需産業が倒産すれば、逆に負債の増大は火を見るよりも明らかである。
すなわち農業から建築に至るまでの内需産業が長年工業製品輸出の生贄にされ、いかに国際競争力がないかは明白であり、ボトム競争が激化する中では存続さえ厳しいにもかかわらず、そのような検証さえなされていない。
したがって日本の危機を本質的に克服するためには、財政の節減によってプライマリーバランスを少なくとも3年で黒字化できるようにするしかない。
具体的には国の95兆円ほどの一般会計と特別会計の実質的総額予算210兆円を2015年までに一本化し(単式簿記も複式簿記に改め)、無借金の160兆円の予算で遣り繰りするしかない。
既に日本の多くの一般家庭ではこの数年で2割強の節約を強いられており、国民が頑張って実行しているのだから、本来なら国が見習えない筈はない。
しかし現状は、絶望的に不可能である。
それは民主党の国に無駄遣いを止める「事業仕分け」が単なるパフォーマンスに茶番化され、廃止を約束した部門さえまるでゾンビのように巧妙に復活する仕組みを見れば明らかである。
さらに絶望的に不可能に思える理由は、例えば5兆円にも達するガソリン税を財源としている高速道路建設を見れば明らかである。
国民は2003年の道路公団の民営化の際、借金をつくらないガラス張りに開かれた公共事業を期待したが、結果はこれまでの道路公団のやり方を巧妙に焼け太りさせ、ガソリン税を担保に最早維持管理でお荷物となる高速道路を永続的に建設できるようにしたのであった。
すなわち民営化される道路公団も形式に過ぎず、新会社は3つの高速道路企業と道路資産と借金を運営する「独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構」に分離され、この機構が資金の借り入れや返済の主導権を握ることになった。
そしてこの機構を支配するのは国土交通省であり、たとえ負債を増大させたとしても責任はどこにもなく、最終的に尻拭いさせられるのは国民に他ならない。
わかり易く言えば、赤字を生み出す道路公団では、高速道路建設で高収益を上げる117の直轄子会社やその下の多くのファミリー企業に対して国民の批判が強いことから、民営化と称して経営管理する新会社と借金を返済する機構への分割であり、複雑にすることで国民の視線を逸らし、国民の血税を喰い尽す利権構造を合法化したと言えよう。
このようなやり方はどこの省庁でも同じであり、しかも独立行政法人と言った国の外郭団体は下へ下へとファミリー企業を末端にまで肥大化させており、ほとんどの国民が関与しており、原発施設のある住民と同様な立場に置かれていると言えよう。
しかしこのような愚かなことを続けていれば国の破綻は避けられない筈であり、先日NHKで放映された「“不滅”のプロジェクト〜核燃料サイクルの道程〜」(6月17日ETV特集)で技術官僚が自ら次のように述べていた(注2)。
「日本ではプロジェクト不滅の法則というのがあってですね。いかにおかしくても死ないと。いったん決めたら何とか最後までやるというのが体質なんでしょうか」と、いみじくも語っている。
高速増殖炉は1000分の1秒という単位で出力暴走し、欧米先進国が媒体としてのナトリウム使用は制御困難という見解から全て撤退したにも関わらず、日本では絶対安全と断言して彼らは推進せざるを得なかった。
もちろん彼らはナトリウム事故で炉心が爆発すれば、数百万人が死亡するだけでなく、プルトニウムが数百キロに爆発飛散することから、少なくとも広島から東京までが人の住めない場所に変わり果て、日本はアジアから消えることは百も承知していた筈だ。
それ故諸手をあげて推進していたわけではなく、絶えず苦悩しながら推進していたことから、万一のことも考えて裏側の事情を語り、非公式にテープを残さずにはいられなかったように私には思える。
何故なら官僚たちが着手したプロジェクトや措置は公には絶対に誤りがあってはならず(無謬神話)、たとえ社会に恐るべき被害を与えかねないものであっても、現場の官僚たちには先輩たちが着手したものを止める手段がないのである。
その典型は薬害であり、エイズの非加熱製剤が疑われた際担当した官僚(郡司製剤元課長)は将来の恐ろしい被害が予想されたことから、委員会を招集して何とか止めようと努力したが大きな機構のなかでは不可能であったと、99年にNHKが放映した「薬害エイズ16年目の真実・・川田龍平が郡司元課長に聞く」で郡司元課長が苦笑に顔をゆがめて語ったのが印象的であった。
もちろん被害者である川田さんの無念さや国民の目線からすれば、責任も謝りもなく、責任転化する彼の行為は許せるものではない。
しかし郡司元課長のいっていることは事実であり、それ以前のB型肝炎の注射器使いまわしによる数十万人の被害者やサリドマイドによる数百人の奇形児、そして最近のフィブリノーゲン製剤や抗がん剤イレッサに至るまで原因の構図は同じであり、一旦官僚の稟議制によって決定された無責任な措置やプロジェクトは、無謬神話を継続させるために、何度でも同じ過ちを繰り返しているのである。
何故日本で未だに前近代的官僚制が継続されいるかは、富国強兵を最優先させた明治政府誕生に溯る。
そこでは政府は最初から自由民権を掲げる議会に左右されることがあってはならず、都合の悪い議会決定は天皇の勅旨によって無視してでも、官僚こそが富める強い国をつくっていかなくてはならないという明治の意志が、ドイツ帝国やオーストリア帝国から学んだ専制的官僚制度にインプットされている。
このような前近代的な日本の官僚制度は戦後も息づき(注3)、国の重要事項の官僚主導は極秘に継続され、核の持ち込みの承認や核保有を目的としたドイツとの秘密交渉が行われている。
このような国民の命運を決める重用事項が官僚の独断でなされることは、国民主権の民主憲法を持つ国民の側からすれば犯罪的であるが、核の持ち込みについては歴代の首相に事後承認を得ており、たとえ違憲申請をしても国策優先に立つ現在の最高裁が却下することは明らかであり、官僚の無責任な稟議制によって何でもできると言っても過言でない。
そのような前近代的制度が措置やプロジェクト不滅の法則を生み出し、益々肥大する利権構造が国民の血税を喰い尽していくことは明白である。
それを変えない限り、日本の破綻は必ず起こると断言できよう。
http://d.hatena.ne.jp/msehi/20110927/1317132231
http://www.dailymotion.com/video/xrl3ux_20120617-yyyyy-yyyyyyy-yy-yyy-y_news#
ETV特集「核燃料サイクル“迷走”の軌跡」〔後〕
http://www.dailymotion.com/video/xrl3wq_20120617-yyyyy-yyyyyyy-yy-yyy-y_news#
(36)検証シリーズ6、財政問題は増税で解決できるか。参照
http://d.hatena.ne.jp/msehi/20110922/1316693265
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