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一口に陰謀系のブログと言っても、ピンキリである。きちんと国際情勢を踏まえた“一考には価する推測論”もあれば、散々危機感を煽って、新興宗教めいたものに誘導したり、防災グッズのアフィリエイトになっていたりする“詐欺臭い陰謀論”もある。
とある陰謀系ブログをウォッチしていたところ、「金融破たんが起こって紙幣の価値がなくなるから金(ゴールド)を買え」と書いてあった。なるほど確かに信用経済がそもそもの元凶という説もあるし、金本位制があったくらいだから実体のある金の方が安全なのかも…と思い、調べてみたところ、驚いた。
知っている人には常識なのだろうが、金と言っても今、市場で取引されているのは殆ど先物なのである。しかもここ数年でかなりのバブルのようだ。今、金を買ったら国際金融資本の絶好のカモだろう。何よりモノが先物である以上、金本位制による実体経済と正反対ということになる。
ついでに言ってしまえば、そのブログは「皇室の隠し金塊説」を紹介している。たくさんの金が隠されていると言いつつ、金が備えになるというのも矛盾した話だ。それが明るみになったら価値は暴落してしまう。
…筆者は、そこを“詐欺臭い陰謀論ブログ”の側だと判断した。ただし、そのブログがネット検索でかなり上位の存在である事実は指摘しておきたい(陰謀論用語の「イルミナティ」「大量逮捕」で検索したら、1ページ目に来る)。
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が、話はここからである。先日、マスコミ側が分かりやすいニュース解説者として世間に浸透させてしまった池上彰が、テレビ番組で中国が金を買い漁っていると解説していたようだ。案の定、とある個人ブログで「番組を見て金を買った」という記述を見つけてしまった(実体のある金を購入したように読めるが、真偽は確認できない)。
「買い漁っている」とやんわり中国のネガティヴキャンペーンをやっているところがこの解説者らしいが、恐らくは露骨に「金を買え」とは言わなかったはずだ(さすがに問題になる)。しかし現に、番組には視聴者を金購入に走らせる効果があったと見てよい。中にはよく分からずに先物を購入した人もいただろうし、そもそも実体のある金でも、既に相場がバブル化している以上は暴落する恐れがある。
これはもう、金本位制がどうこうとは無関係の話だ。
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にもかかわらず、今度はついに週刊ダイヤモンドでロバート・キヨサキが「国の刷った紙幣は信用できない。備えるなら実体のある金だ」と言い始めたのである!
そもそも小泉政権のころ、同氏は日本の中産階級に「キャッシュフローをプラスに」などと甘い言葉を囁いた。その後、個人でもデイトレードができるようになった結果、どうなったか。誰もいちいち株で損した額を言わないから明るみにならないだけで、リーマン・ショックで売り逃げされて大損した人間のほうが圧倒的に多かったのではないか。
その当時の立役者が、今また金を勧めている。
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“詐欺臭い陰謀論”ブログと、テレビや雑誌で人気のカリスマ解説者や金融評論家らが、奇しくも金の購入を誘発するような発言をした。何かもう、ここに全てが凝縮されている気すらしてくる。
もちろん「そうか、やっぱり金購入が正しいんだ!」と言いたいわけではない。「今、あなたが金を買ったら、既に金を買っている誰かが売り抜ける」。じつに簡単な話である。
ただしそのためには、あなたが金を買うように仕向ける必要がある。あなたが仕組まれた罠――それも前回とまったく同じしくみの罠に、何度も踊らされないことを祈る。
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最後に。先のブログにしろ、新興宗教系のブログにしろ、“詐欺臭い陰謀論ブログ”が最近になって一斉に小沢一郎へのネガティヴ・キャンペーンをやり始めた。陰謀系ブログはテレビは信じないものだが、不思議とこの点もテレビと同じことを言っている。なぜ「金購入」と「小沢」だけ? それだけ、そこが彼らにとっての重大事なのかも知れない。
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