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http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M5Y7P46JIJWG01.html
消費増税と原発再稼働が日本の危機増幅−ペセック
6月22日(ブルームバーグ):困難な決断を下せる総理大臣として、野田佳彦首相は日本においてまれな存在になろうとしていると言えるかもしれない。
昨年9月の就任以来、野田首相は2つの大きな目標達成を掲げてきた。1つは大震災後に運転を停止した原子力発電所の再稼働であり、もう1つの目標は先進国中最大規模となっている膨大な債務を幾らかでも削減するため消費税の10%への引き上げだ。
日本人は「ガマン」を重んじる。政治的犠牲をいとわずに必要なことを実行するリーダーの登場を長期にわたって待ち望んできた。野田首相はそんな指導者だと一部の評論家は判断したようで、同首相にすり寄っている。だが、そうした尊い地位にふさわしいのは正しいことを実行した場合に限る。私にとって野田首相の政策は、日本がいかに変わっていないかを示す以外の何物でもない。
原発再稼働問題を取り上げてみよう。1億2600万人の民主主義国において3分の2以上の国民が異議を唱える時、指導者は耳を傾けるものだ。再稼働にはそれだけ日本の国民が反対している。野田首相はますます強まる大多数の意見を無視し、関西電力・大飯原子力発電所の2基の運転再開を決定した。
大多数は英断だと評価するが、私には影響力のある日本の公益企業から恩恵を受け、新鮮な発想を失った指導者の小手先の判断だと映る。野田首相の増税方針にも同じことが言える。実行は容易で目立つが、新しくて創造的な経済運営を日本の指導者が検討しているのだという信頼を醸成するようなものではない。
増税の影響
日本が間違いなく必要としているのは財政政策を掌握できるようにすることだ。少子高齢化が進んでおり、人口動態の今後の見通しは財政政策と同じくらい暗い。日本人が長寿となることで年金や健康保険制度にもたらす負担は、日本の格付け引き下げリスクを招いており、それは国債の借り入れコスト増大につながる。
それに増税が日本の債務負担を軽減するどころか悪化させたらどうなるか。過去にも日本はそれを試みた。1990年代後半の増税はバブル崩壊後の日本経済を回復できなかった。
増税は日本経済の最後の頼みの綱である消費を落ち込ませかねない、とクレディスイス証券の白川浩道チーフエコノミストは指摘する。野田政権がこれまで力を注いできたことはすべて、日本の活力復活につながらない。増税は国内総生産(GDP)比で208%に相当する日本の債務対策の中心にあるようだが、首相は夢を見ている。
日本の政治空白が改革を装っている間に、財政状況は悪化している。著名投資家ジョージ・ソロス氏の投資アドバイザーを務めた経歴を持つフジマキ・ジャパンの藤巻健史社長は、日本の財政が2017年までに破たんする可能性があるとみる。そうした懸念が発せられるのはニューヨークやロンドンからが多く、日本の財政に携わる重要人物からはまずない。
日本の運命
野田首相を増税推進に追い込んだ人口動態の動向も、投資家を不安にさせている。国際通貨基金(IMF)の予測によると、日本の債務は14年までにGDP比246%に膨らむ見通し。しかし、10年物国債利回りは0.81%と、極端に低い。
そうした低利回りを見れば、デフォルト(債務不履行)は考えられないと日本国債の投資家が予想していることは明らかだ。公的債務の9割強を国内で保有する日本がアルゼンチンやギリシャと同じ運命をたどらないことは十分あり得る。ただ、こうした自己満足を正当化できるだろうか。
権力の座にある人たちへの信頼が原発再稼働をめぐって住民の説得に役立った。唯一の被爆国で今もその後遺症を引きずっている日本が原発をエネルギー網の中核に据えていることは驚くべきパラドックスだ。
しかし、そうした信頼は数年前から低下しており、今もその傾向が続いている。国民は震災前よりも原発が安全になったとは信じていない。日本の国債の安全性について確信がなくなったら、財政への影響は取り返しがつかないことになる。野田首相が状況を改善する闘志のある人物とは到底思えない。(ウィリアム・ペセック)
(ウィリアム・ペセック氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
記事についてのコラムニストへの問い合わせ先:東京 Willie Pesek wpesek@bloomberg.net
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更新日時: 2012/06/22 10:32 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M609JD1A74E801.html
【日本株週間展望】ヤマ場越え続伸へ、円高修正好感−米中景気重し
6月22日(ブルームバーグ):6月第4週(25−29日)の日本株は続伸する見通し。為替の円高修正の動きを好感し、自動車や電機など輸出関連株中心に高くなりそうだ。欧州債務問題の対策進展に期待感が広がる可能性もある。ただ、米国と中国の景気減速への警戒感もくすぶり、積極的な買いは手控えられる。
ベイビュー・アセット・マネジメントの高松一郎ファンドマネジャーは、欧州情勢はギリシャの新しい連立政権樹立やスペインの銀行支援決定など、「いったんヤマ場が過ぎた印象」と指摘。円安基調を追い風に日本株は堅調に推移し、「日経平均株価の9000円台回復もあり得る」と予想した。
6月3週の日経平均は、前週末比2.7%高の8798円35銭。ギリシャの国政再選挙で、緊縮財政に前向きな2政党が過半数を制し、同国のユーロ離脱懸念がひとまず後退した。週初に約1カ月ぶりの高値を回復した後、米国で長期金利の押し下げを狙うオペレーション・ツイスト(ツイストオペ)の延長が決定、直近の円高圧力が止まったことなども好感され、3週連続の上昇となった。
ドル・円相場は21日に1ドル=80円台に入り、約1カ月ぶりの円安・ドル高水準を付けた。今月1日には77円66銭と、円高基調が強まる場面もあった。ユーロ・円も一時101円台後半と、月初に95円台だった状況からは円高修正の動きが顕著だ。日米の2年国債の利回り格差は、4日の14ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)から22日には20bpと、やや広がっている。
需給ほぐれ円買い圧力後退
また、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物取引で、3月末に一時8万2181枚まで膨らんでいた非商業部門の円売りポジションが、6月12日時点では2万5875枚まで減少。6月上旬には、円買いポジションが円売りを上回った。ベイビュー・アセットの高松氏は、「円ショートの建玉が減少し、しこりがほぐれた。買い戻し圧力がなくなっており、円安基調は続くだろう」と見ている。
株式需給面でも、4月後半以降に日本株に対し売り姿勢を強めていた海外投資家の動向に変化が見えてきた。東京証券取引所が公表する投資部門別売買動向によると、6月2週は450億円の買い越しと2週ぶりに買い越し転換。一方、国内勢では年金資金などの動きを反映する信託銀行が5週連続で買い越し、投資信託は12週連続と2007年12月から08年3月にかけて記録して以来の連続買い越しとなった。
SBI証券投資調査部の鈴木英之部長は、「海外投資家は売りが一巡したという印象。ただ、完全なリスクオンにはまだ遠い」と指摘。売り買いが交錯しながら日経平均は緩やかに上昇し、投資家の長期売買コストを示す「200日移動平均線をトライする展開になる」と読む。200日線は22日時点で8944円65銭。
EU首脳会議に期待、米中統計には警戒
28、29両日に開かれる欧州連合(EU)首脳会議の行方は注視される。一時7.2%と1997年4月以来の高水準にまで上昇したスペインの10年国債利回りは、足元は6.6%とやや落ち着いているが、なお警戒水域にあることには変わりない。
大和証券投資情報部の高橋卓也副部長は、「これまでもEU会合が相場の転換点となったことはある。欧州安定化メカニズム(ESM)による国債買い取りなど、何らかの対策が出るとの期待感が週前半に高まる可能性はある」と言う。
一方、米国の景気減速懸念が広がりつつあり、相場の上値抑制要因として警戒が必要のようだ。連邦公開市場委員会(FOMC)は20日、今後の成長見通しを下方修正し、失業率予想を上方修正した。21日に発表された新規失業保険申請件数は、比較的変動の少ない4週移動平均で38万6250件と、年初来の最高を記録。5月の中古住宅販売件数は年換算で前月比1.5%減の455万戸と、エコノミスト予想の中央値457万戸をやや下回った。
26日には4月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数、27日に5月の中古住宅販売成約指数が発表予定。しんきんアセットマネジメント運用部の山下智巳主任ファンドマネジャーは、「低金利にもかかわらず、住宅関連指標が芳しくない。米国の個人消費は住宅市場や株式市場の影響が大きく、注視する必要がある」との認識を示している。
消費税増税案採決へ、政局混乱も
また、中国の成長減速懸念も強い。英HSBCホールディングスとマークイット・エコノミクスが21日に発表した6月の中国製造業購買担当者指数(PMI)が速報値で48.1と、8カ月連続で活動縮小を示す50割れとなった。山下氏は、「他の新興国と比較して金融緩和が遅れており、中国は特に懸念材料」としている。ただ、財政出動など景気刺激策への期待も高まっており、「そうなると、本土市場を中心に株式市場への影響も大きい」と言う。
日本株に影響を与えそうなその他の材料は、国内では26日の衆院本会議で消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案が採決される見通し。与党民主党内に造反の動きも出ており、国内政治が一気に流動化する可能性も出てきた。29日には、5月の鉱工業生産指数や完全失業率、消費者物価指数の発表がある。海外では、26日にスペインの1−5月の財政収支が公表予定。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 岩本正明 Masaaki Iwamoto miwamoto4@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:東京 大久保義人 Yoshito Okubo okubo1@bloomberg.net香港 Nick Gentle ngentle2@bloomberg.net
更新日時: 2012/06/22 16:55 JST
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