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http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32822
ギリシャで行われた再選挙では、「緊縮も嫌だがユーロも手放すのも嫌」というのが本音のギリシャ人が、より現実的な選択をしたということだろう。
■ドイツ・マネーの流入
ギリシャのように通貨統合による「歪み」に苦しんでいる国がある一方で、恩恵を享受している国もある。物事には表があれば必ず裏もあるものだ。
その典型がドイツでユーロ安による輸出増によって輸出企業の好調が続いている。その企業の利益が特別ボーナスの支給などで家計に流れ、消費にも火がつき、ドイツは好景気を謳歌している。ドイツがもっと支援するのが当然だと、ギリシャ人が考えるワケがここにある。
そんなドイツの好景気と、ユーロ危機の恩恵をフルに受けている国が別にある。欧州大陸の真ん中にありながら、ユーロに加入していないスイスである。5月末に機会があってスイスを訪問した。筆者は2002年から2004年までスイスのチューリヒに駐在したが、当時と比べても好景気は歴然としていた。
チューリヒ湖に面したキュスナハトと呼ばれる高級住宅地にはあちらこちらに建設用クレーンが立ち、高級マンションの建設が続いていた。1戸あたり2億円は下らないというから驚く。中古の不動産価格も急速に上昇しているという。
引き金になっているのがドイツ・マネーの流入。ドイツ人が高級マンションなど不動産をせっせと買っているというのだ。それがスイス人の不動産投資熱にも火をつけている。
なぜ、ドイツ人がスイスの不動産を買うのか。もちろん、ドイツが好景気だからという理由もある。だが、最も大きい理由は資産を保全するためだ、という見方が強い。ユーロ危機が叫ばれる中で、ユーロ建ての資産をスイスに移そうというのである。
スイスはスイス・フランという独自通貨を持つ。EUには加盟していないものの、国境を超えた人やモノの移動を自由にする「シェンゲン条約」に加盟している。EU諸国と同様に自由に移動できる一方、通貨は別ということで、EUのメリットは享受し、ユーロの危機からは遮断されるという特異な位置にいる。いわば、「良いとこ取り」ができる立場なのである。
ドイツからスイスに移っているのは資産ばかりではない。ドイツ人が「居住地」をスイスに移す動きも活発だ。1990年代半ばまでは移民のうち、専門的な知識を持つ「高技能人材」は20%過だった、という。それが今では80%になった。その中心がドイツ人で、医師や経営者などの移住が目立っているのだという。
もちろん、その背景にドイツの高い所得税率があるのは間違いない。スイスは州ごとに税率が違うが、ドイツなどEU諸国に比べれば、大幅に税金が安い。つまり税制上の「居住地」をスイスに移す動きが活発になっているというわけだ。
■金融資産ではなく、不動産の方がより安心
ユーロ危機が長引けば長引くほど、スイスへの資産逃避は進む。ユーロが先々安くなり、スイスフラン高が続くとみれば、今のうちにスイスフラン建ての資産を手に入れておこうという動きにつながるからだ。もちろん、ユーロからの離脱が懸念されてきたギリシャのお金持ちなどは、もうすでにスイスに資産を移していると言われる。その最大の受け皿が高級不動産になっているのだ。
国家財政が危機的状況なのは世界各国に共通している。それを賄うために、通貨供給の増大、つまり、お札を増刷する動きが広まっている。それによっていずれインフレが進むとみる投資家は少なくない。国債など金融商品に置いてある資産を、不動産など非金融商品に移そうという流れは強まっている。ユーロよりスイスフランの信用が高いと言っても、スイス政府の財政も磐石なわけではない。スイスフラン建ての金融資産ではなく、不動産の方がより安心だというわけだ。
★ドイツ人は、かつて1920年代にハイパーインフレを経験した歴史的教訓を持つ。それだけに彼らはインフレに敏感だ。スイスの不動産ばかりではなく、ドイツ国内の不動産価格も上昇基調にある。
国外から資金が集まっているスイスの景気は沸騰気味だ。失業率はリーマン・ショックの影響が出る前の2008年9月末の3.3%から2010年3月末には5.1%に上昇したが、昨年末現在4.1%。外国人の失業率の方が高いため、スイス人男性に限ってみれば、失業率は2.8%にまで低下している。完全雇用状態といっていい。
スイスフラン高は輸出産業にはマイナスだが、事業のグローバル化が進んでいるスイス企業は意外と影響を受けていない。カルティエなどを傘下に持つ高級宝飾品大手のリシュモンや、スウォッチなどの企業は好業績を上げている。中国などの高級品需要の伸びに加え、ドイツなど欧州域内でも販売が好調なためだ。企業業績の好調によって給与も増えている結果、スイスの国内消費も底堅い。
もう1つ、スイスの最大の産業の1つである金融業にも復活の兆しが見えている。銀行に詳しいスイス人ジャーナリストで、金融専門情報サイト「Finews」を運営するクロード・バウマン氏は、「国外からの資産流入によってプライベート・バンキングなど資産運用業務が再び強さを取り戻しつつある」と見る。「かつてのような脱税資金が集まるのではなく、伝統的案資産管理などスイス金融のノウハウを求める資金が増えている」のが理由だという。
★マクロ経済が危機に瀕する中で、どうやってその影響を回避し、逆にチャンスに変えていくか。したたかに生きるスイスを見ていると、日本の国も企業も、外部環境の変化に流されないための戦略的な思考を持つ必要性をヒシヒシと感じる。
★参考記事
"世界恐慌"を乗り越えるための全情報(3)
スクープインタビューマネーとマーケットを熟知する男 ジム・ロジャーズ
「どこの国の国債も買ってはいけない
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32806
いまは1929年の世界恐慌前夜と酷似している。自分を守ってくれるのはリアルな資産だけ私たちは農業従事者になったほうがいい
ギリシャが抱える根本的な問題は債務が増え続けていることにあり、これを処理できない限り、選挙で誰が勝っても問題は悪化していくだけだからだ。
私は今後10年以内に、ヨーロッパだけでなく、世界中で多くの国が破産していくと見ている。アメリカでさえも破産するかもしれない。破産とはつまり、デフォルト(債務不履行)になることであり、あるいは巨大なインフレ(物価上昇)になることだ。
最終的には、1929年の世界恐慌のような状態になるだろう。いつそうなるかはわからない。来年かもしれないし、2014年、2020年かもしれない。しかし、世界恐慌のような状況が再び来てしまうことは確かだ。誰かが、すぐに問題解決に当たらない限りは。
莫大な債務を抱えているのはギリシャだけではない。ヨーロッパの各国、アメリカ、日本も同じように債務の問題を負っている。
各国の政府は、この50年間ずっと、ただただ予算をばら撒き続けてきた。おカネがないのに、債務を膨らませる(国債を刷って借金をする)ことで政府支出を増やして、経済を拡大させてきた。これがもう限界に近づいてきている。
***世界が終わる日
1970年代に非常に似てきたと思わないか。つまりはインフレとともにリセッションが起きる、スタッグフレーションが巻き起こる状況のことだ。これからインフレとリセッションが同時に起きる事態はさらに進んでいくと思う。
私は株に関しては「売り」を徹底している。
さらにいえば、私はどこの国の国債にも投資していない
日本人が資産を守るにはどうすればいいのかについて最後にお話ししよう。
世界経済が悪化していく過程で、各国政府は紙幣をばら撒くようになる。紙幣の価値はどんどん下がっていくことになる。そのとき、自分を守ってくれるのはリアルな資産だけだ。
これからの時代、株のディーラーは職をなくすことになるだろう
一方で農業従事者たちがランボルギーニ(イタリアの超高級車)を乗り回すことになる。農業従事者だけではない。採鉱業者、エネルギー業者など、リアルな商品を生み出す人たちこそが「ベストな仕事をしている」と賞賛される時代がやってくる
これまで政府の予算に頼ってきた人たちは、もっと強くなって、自分自身を頼り、自分自身の足で立つようにならなければならない。われわれは危機に対する準備を始めなければいけない。さもなければ、世界経済がカタストロフィー(破局)に陥る中で、資産を失っていくだけだ。(抜粋)
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