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スペイン利回りが7%台、ユーロ導入後の最高水準
2012年 06月 19日 03:30
ギリシャ民主左派党、連立政権への支持を表明=クベリス党首
メルケル独首相、ギリシャ支援条件の緩和拒否
オバマ米大統領、G20でメルケル独首相と会談へ=米政府関係者
6月米住宅建設業者指数、5年ぶり高水準=NAHB
[ロンドン 18日 ロイター] 18日のユーロ圏金融・債券市場ではスペイン国債利回りが7%を突破し、ユーロ導入後の最高水準を更新した。17日に行われたギリシャ再選挙で緊縮を支持する新民主主義党(ND)が勝利したことで当初は安心感が広がったものの、その後、ギリシャより規模の大きいスペイン経済の問題をめぐる悲観的な見方が優勢となった。
こうした地合いの急速な転換を受け、序盤に1ポイント超下落していた独連邦債先物はプラスに転じた。
スペイン銀の4月の融資残高に対する不良債権比率が1994年4月以来の高水準となったことも、投資家心理を悪化させた。
ギリシャの選挙で、支援合意の破棄を求めていた急進左派連合(SYRIZA)を抑えて緊縮支持派が勝利したことで、差し迫ったギリシャのユーロ離脱リスクは後退した。しかし、僅差での勝利となったことから新政権の安定性などをめぐる懸念は根強く、市場ではギリシャがいずれユーロ離脱に追い込まれるとの見方も出ている。
UBSの金利ストラテジスト、ジャンルカ・ジグリオ氏は「ギリシャ選挙は想定可能な最善の結果となった」とする一方、不透明感は依然として強く、スペイン(国債)のスプレッドは危険な水準に達しているとの見方を示した。
スペイン10年債利回りは26ベーシスポイント(bp)上昇の7.18%、対独連邦債利回り格差は577bp。利回りは一時7.30%まで上昇し、ユーロ導入後の最高水準をつけた。
スペイン財政の持続可能性をめぐる懸念を反映して短期物がアンダーパフォームし、2年債利回りは45bp上昇の5.54%となった。
借り入れコストの大幅上昇を受け、スペインの自力での資金調達が脅かされており、市場では同国がギリシャ、アイルランド、ポルトガルに続いて包括的な支援要請に追い込まれるとの観測が高まっている。
スペインはこの日、19日に実施する12カ月・18カ月物の短期証券(Tビル)入札で20億─30億ユーロを、21日に行う2014年・15年・17年償還債入札で10億─20億ユーロを、それぞれ調達すると発表した。
マークイットによると、スペイン国債のデフォルト(債務不履行)保証コストは過去最高の612bpに達した。
独連邦債先物は25ティック高の142.54。一時は143.09まで上昇していたが、ギリシャ選挙の結果、同国の無秩序な債務デフォルトやユーロ離脱をめぐる短期的なリスクが後退したとのフィッチ・レーティングスの声明を受けてやや押し戻された。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE85H02E20120618
市場圧力緩和せず、スペインはECBに行動求める
2012年 06月 19日 03:14
[ミラノ/マドリード 18日 ロイター] 18日の欧州市場では、前日のギリシャ再選挙で緊縮派が勝利したにもかかわらず、スペインとイタリアの国債利回りが上昇した。これを受けてスペイン政府は、市場の圧力に対して断固とした措置を講じるよう欧州中央銀行(ECB)に求めた。
スペインの10年物国債利回りは7%を突破し、イタリアの10年物国債利回りも6%を上回る水準で推移した。
スペインのモントロ財務相は上院で「金融市場はスペインに対する圧力を弱めていない。欧州の構造やユーロの現在と将来について懐疑的な見方が継続している」と述べ、「ユーロという共同プロジェクトをなお妨げようとしている市場の圧力に対し、ECBは信頼性を持って、断固とした対応を行うべき」と強調した。
ギリシャ選挙後の安ど感は、結果が判明してわずか数時間後には後退した。
こうした市場の反応は、短期的に地合いが改善しても、財政が危険な状況にあるという根本的な問題は解決されない、というユーロ圏の課題を浮き彫りにしている。
ソシエテ・ジェネラルのエコノミスト、ミカラ・マーカッセン氏は「ギリシャのユーロ離脱をめぐる懸念は和らいだものの、選挙の結果は現在スペインとイタリアの重しとなっている弱いファンダメンタルズ(基礎的条件)の改善にはほとんど奏功しない」と指摘した。
それでも、ギリシャ再選挙で緊縮策を支持する新民主主義党(ND)が勝利したことについて、イタリアとスペインの首脳は18日、欧州にとって良いニュースだと歓迎の意を示した。
20カ国・地域(G20)首脳会議出席のためメキシコ入りしたイタリアのモンティ首相は、記者団に対し「EUおよびユーロ圏の先行きについて、より穏やかな見通しを持つことができるようになる」と述べた。
同じくメキシコに到着したスペインのラホイ首相も、ギリシャ再選挙での緊縮派勝利について「ギリシャにとって良いニュース。EUとユーロ、そしてスペインにとっても大変良いニュースだ」として歓迎した。
ラホイ首相はモントロ財務相と同様に、ECBはユーロ圏を守るために行動すべきと繰り返し述べ、国債買い入れプログラムの再開を暗に求めた。
イタリアとスペインにとって、ギリシャ選挙に対する市場の反応は、ユーロ圏危機の包括的な解決策が市場の信頼回復に不可欠であることを示している。
為替や株式市場の反応もさえず、主要株価指数のFTSEユーロファースト300種指数.FTEU3と通貨ユーロは取引開始後、数時間で序盤の高値から押し戻されほぼ横ばいとなった。
市場の根強い懸念の背景にはスペインの銀行問題がある。スペイン中央銀行の18日の発表によると、国内金融機関の4月の融資残高に対する不良債権比率は8.72%と、1994年4月以来の高水準となった。
週内に結果が発表されるスペイン銀の監査では、600億─700億ユーロの支援が必要との結論がまとまるとみられている。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE85H01Y20120618?sp=true
コラム:ギリシャ緊縮派勝利でユーロ上昇は本当か=佐々木融氏
2012年 06月 18日 18:44
ユーロ/ドル下落、スペイン債利回りが7%突破で
インド中銀、政策金利を予想外に据え置き:識者はこうみる
焦点:政府・日銀、ギリシャ再選挙に「安堵」でも警戒姿勢継続
焦点:ノキア、人員削減で凋落加速の恐れ
佐々木融 JPモルガン・チェース銀行 債券為替調査部長
[東京 18日 ロイター] 6月17日の日曜日に行われたギリシャの2回目の議会選挙の結果は、サマラス氏率いる新民主主義党(ND)が第1党となり、前回に続き第3党となったベニゼロス氏率いる全ギリシャ社会主義運動(PASOK)と合わせると過半数を握り、何とか政権が樹立できそうな情勢となった。
5月6日に行われた第1回目の選挙では、ギリシャ国民は長年にわたる積もり積もった不満を爆発させたが、その後再選挙に至るまでの1ヶ月強の間に、現実的な決断を下さなければユーロ圏に残留できないかもしれないとの危機感により、投票行動を変えたということだろう。
ギリシャは第2次世界大戦中にナチス・ドイツに侵攻され、1941−44年までナチス・ドイツ、イタリア、ブルガリアの3国により分割占領された。その後、内戦となり多くのギリシャ人が犠牲となった後、1967年4月にはクーデターにより軍事政権が誕生、ほんの38年前の1974年まで軍事政権は続いた。やや飛躍した解釈かもしれないが、比較的近い過去に「辛い歴史」を持つギリシャ人の危機回避本能がうまく働いたということなのだろうか。
もっとも、ギリシャも、これで磐石とはいくまい。そもそも、欧州周辺国の国債市場の混乱は、2009年10月のギリシャ議会選挙で政権交代が実現し、パパンドレウ新政権(PASOK)が旧政権(ND)による財政赤字の隠蔽を明らかにしたところから始まっている。
しかも、今回再び政権を握ることになったのは、そのNDだ。加えて、2009年10月の選挙で躍進したPASOKの得票率は、前回5月並みに止まり、ツィプラス氏が率いる反緊縮派の急進左派連合(SYRIZA)の得票率は、前々回に比べて大幅に伸びた前回5月の得票率に比べてもさらに伸びている。ギリシャの世論は、決して緊縮財政に対して賛成一色になったわけではない。
新政権下で速やかに欧州連合(EU)および国際通貨基金(IMF)と今後の緊縮財政策の実行について交渉を進めなければ、ギリシャは7月中旬頃に資金繰りが尽きてしまうと見られている。選挙結果により、市場はいったん安心感を取り戻すかもしれないが、問題が解決したというよりは、取り返しのつかない事態に悪化するリスクを当面回避できたと言ったほうが良いだろう。
また、ユーロ圏の問題の中心は、ギリシャではなく、すでにスペインに移っている。当然のことながら、ギリシャ選挙でNDが勝利したからといってスペイン問題に好影響を与えるわけではない。スペインが抱える問題は国内の金融機関の不良債権問題であり、これに政府が対処しようにも公的資金で対応する余裕がなくなってきている。
スペインの10年国債利回りはすでに7%台まで上昇しており、さらに金利が上昇するようだとスペインまでもが市場で国債を発行することができなくなる可能性さえある。6月9日にユーログループの財務相は緊急会合を開き、スペインの銀行に対する支援策で合意したが、スペイン国債金利は逆に上昇基調を強めた。ギリシャもユーロ圏17カ国の中で経済規模が8番目に大きい国(GDPシェア=2.3%)だが、スペインは4番目に大きい国(同=11.4%)である。スペインが資金繰りに支障をきたすようになると、これまでのギリシャやアイルランド、ポルトガルのような対応では支えきれなくなる可能性が高い。
<投機筋のショートカバーが加速か>
このように、欧州情勢は解決には程遠い状況にある。だが、その一方で、為替市場ではしばらくユーロが買い戻される流れが続く可能性が高いのではないかと筆者は見ている。
第一に、短期的な投機筋のユーロ・ショート・ポジションが積み上がっている可能性がある。シカゴIMM先物市場のデータによれば、同市場を通じた投機的なユーロ・ショート・ポジションは、過去最高の240億ユーロ(2.4兆円)に達している。長期的な投資を行う機関投資家がユーロ圏から逃げ出していることも間違いなくユーロ売りの一つの要因だが、一方で短期的なポジションが240億ユーロも積み上がっていることも事実である。
恐らく市場参加者のほぼ全員がユーロ圏の問題は何ら解決していないと考えているだろうが、いったん利益を確定するためにユーロを買い戻す先が徐々に増え始めたら、ユーロは徐々に上昇を始め、それが結果的に大規模なユーロ・ショートの巻き戻しを誘発する可能性は十分にある。
第二に、他の市場でも4―5月に発生した「リスクオフ」の流れを巻き戻す動きが見られ始めている。たとえば、4月初めのピークから2ヶ月で11%下落した米S&P500株価指数は先週金曜日に1ヶ月ぶりの高値を付けるところまで反発してきている。急激に低下を続け、一時は日本の10年国債利回りまであと34ベーシスポイント(bp)程度まで迫った独10年債利回りは、過去2週間で30bpほど反発している。つまり、リスク性資産から流出し、周辺国からドイツに向かっていた資金が、逆流を始めている兆しがある。ユーロから逃げてきた資金の一部が多少の逆流の動きを見せる可能性は十分にあるだろう。
第三に、米ドル安がユーロを押し上げる可能性がある。JPモルガンは、今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)でオペレーション・ツイストの延長と、超低金利政策が正当化される期間が2014年後半から2015年に延長されると予想している。こうした米連邦準備理事会(FRB)による追加緩和策を受けて、米ドルが軟調に推移する可能性がある。
米ドル安がユーロ/ドルを押し上げれば、ユーロ・ショート・ポジションの手仕舞いが余儀なくされる可能性もある。ユーロ/ドル相場がポジションの巻き戻しで比較的大きく上昇する一方、ドル/円相場のドル安進行度合いは緩やかになると考えられることから、結果的にユーロ/円が押し上げられることになろう。
ちなみに、今週はイベントが盛りだくさんである。19日までメキシコでG20サミットが行われ、20日にはFOMCの声明発表とバーナンキFRB議長の記者会見がある。21日にはユーロ圏財務相会合とスペイン国債入札、22日にはEU財務相会合、独仏伊西首脳会合が予定されている。欧州問題に前向きな動きや見通しが出たり、米国金利が低下するようなことがあれば、ユーロの買戻しが続く。今週は、そのきっかけとなりそうなイベントも多いのである。
*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の債券為替調査部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に、「弱い日本の強い円」など。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(here)
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPTYE85H05420120618
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