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「社会保障と税の一体改革」と銘打ちながら、内実は消費増税率を10%まで引き上げることを民自公の3党が確約した法案が6月21日までに採決される情勢となった。
3党足並みそろえみんなで渡れば怖くない、増税さえ確定させれば、あとは各党が有権者の歓心を買うために社会保障財源のばらまき案を競う。そんな構図がみえみえだ。
いったい、この政治家たちは日本という国家と国民を代表しているのだろうか。
最大の問題は、かれらの国家観の不在とそれを裏打ちする見識のなさ、である。民主党ばかりではない。自民も公明両党も同類と嘆じざるを得ない。ヒステリックに増税を先行させよ、と騒ぎ立ててきた大手メディア多数派にも同じ問いを発したい。
選挙公約を破棄したのだから、野田政権の正当性はないのも同然、後に総選挙で徹底的に排除されるだろう。
自民、公明も民主党に成り代わり政権の座に復帰する正当性が同時に問われよう。が、筆者にとってみればそんなお粗末な政党による「政局」なぞ瑣末な問題でしかない。
今回の増税談合がもたらす恐るべき結果は国家の衰退と国民の疲弊の加速である。
まず、消費増税を急ぐ理由は、増税しないと「日本がギリシャみたいになる」からだった。菅直人前首相がまず、そう騒ぎ出し、菅直人——野田佳彦のラインで東日本大震災からの復興財源も社会保障財源も増税という何でも増税路線を突っ走るようになった。
では、答えてみよ。日本はギリシャ化するとはどういう定義なのか。
「財政破綻」のことか。財政破綻とは、現代の市場経済のもとでは、その国の国債の買い手がなくなり、投げ売り状態になることである。ギリシャがまさしくそれで、スペイン、イタリア、ポルトガル、アイルランドがその不安にさらされている。国債相場が暴落すれば、国債金利(利回り)は急騰する。それが、財政破綻あるいは破綻の恐れのある状態だと、定義づけられる。
今、世界の投資家は日本、米国、ドイツの国債買いに殺到している。当面は最も安全で信頼のおける金融資産というわけである。もとより、政府の総債務の対国内総生産(GDP)比率は日本が飛び抜けて高いのだが、日本国債は最も安全な資産との市場評価を受けている。利回りも国債の焦げ付きリスクも健全財政を誇るドイツよりもよりも低い。
その理由は、日本が貯蓄大国であり、世界最大の対外債権国であるというのがまず第一点。
二つ目は、日本が慢性デフレで、モノやヒトに投資するよりも、現預金やすぐ現金化できる金融資産である国債投資が有利なことだ。国内の金融機関は国債を買い、その売り買いで収益増加分の大半を稼ぐ。外国の投資家もそれに便乗するわけである。その結果が超円高であり、デフレを加速し、国民の所得、雇用機会を奪い、破壊する。
増税はデフレを助長する。かのデフレ容認派の白川方明日銀総裁ですら、国外での講演では「成長期待が弱い中での増税懸念は、デフレ圧力につながる可能性もある」(4月21日のワシントンでの講演)と認めている。
日本がギリシャ化するとすれば、財政収支が悪化を続け、バラマキ型の社会保障制度を温存することである。ギリシャは欧州連合(EU)基準に合わせて付加価値税(消費税に相当)率を引き上げ、それに安住して年金など社会保障支出を野放図に拡大してきた。安易な増税で安易なバラマキを実行してきた。
デフレと円高が止まらないと、GDP縮小がさらにひどくなる。消費税収入は税率アップにもかかわらず伸びず、所得税、法人税は激減する。財政収支は悪化する。そして、社会保障のほうは、今回の3党合意が指し示しているように、バラマキ型を止める気配が全くない。これについては、かの増税主義の急先鋒、日経新聞ですら、16日の社説で、「これでは穴の開いたバケツに水を注ぐようなものだ」「増税だけが際限なく膨らむ恐れがある」と嘆いている。にもかかわらず、日経社説は「首相は消費増税の実現へひるむな」と主見出しで叱咤するのだから、まるで統合失調症なのだが、それはしっかりした見識と政策哲学が欠如したメディア多数派に共通すると思える。
21日までの消費増税採決で、各政治家がどれだけの見識と国家・国民観を持つのだろうか。(田村秀男)
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