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今週のJBpress
社員を幸せにすれば企業は成長し繁栄する未来工業の創業者・山田昭男氏が語る日本再生術
2012.06.16(土)
川嶋 諭:
未来工業は知る人ぞ知る日本の有名企業である。日本の研究に余念がない韓国企業は、注目すべき日本の経営者として、パナソニックの松下幸之助やホンダの本田宗一郎、現役では京セラの稲盛和夫さん、日本電産の永守重信さん、ソフトバンクの孫正義さんなどと並び、未来工業の創業者・山田昭男さんを挙げるという。
パナ、ソニーが大赤字の中、売上高経常利益率は約10%
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10 根幹がブレて傾いたローマ帝国とソニー
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15 ドイツに過大な負担を強いるのが危険な理由
16 「やっかいな隣人」中国との付き合い方
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20 結婚を成功させる唯一の方法、「ありがとう」
その未来工業は住宅やオフィス、工場などで使われているコンセントや電気ソケット、配線器具などの電設資材を製造販売している。
製品のほとんどはハイテクとは縁遠い。ローテク製品のデパートと言った方がいいかもしれない。
しかし、そんなローテクな製品を売っているのに、売上高経常利益率は10%近くある。2002年3月期の連結売上高は284億1200万円で、経常利益は25億8900万円。
ソニーやパナソニックなど日本を代表するエレクトロニクスメーカーが軒並み大赤字を出している環境にあっては驚異的な数字と言えるだろう。
日本の常識で考えると、社員に厳しいコスト削減と長時間労働を強いて、給料も安いというイメージになるかもしれない。
しかし、実態は全く逆。
ムダには厳しいものの、給料は高く労働時間はとても短い。午後5時になるとほとんどの社員は会社からいなくなっているのだ。
そのうえ定年が70歳と普通の企業より10年も長く、60歳を超えたからといって給料が減額されることは一切ないという。
年末年始は一斉に20日間以上の休みを取る。サラリーマンの働く環境としては極めて恵まれている。
いまの暗雲漂う日本経済にあって、なぜそのようなことが可能なのか。
不思議に思って当然だが、実はその疑問こそ日本がおかしくなっていった原因を示唆しているのではないだろうか。
コストを下げて価格競争で勝たなければ生き残れない。こんな気持ちが、いつしか私たち日本人に“常識”として根を張っていないだろうか。
中国に勝つためにはそれしかない、と。
山田さんは「それが間違いの始まりだ」と言う。中国と競っても勝てるはずがない。ならば「頭を使うべきだ」と言うのである。
社員が喜ぶ会社を作れば必ず儲かる
相談役室でインタビューに答える山田昭男さん
未来工業には会社の至る所に手を頭に当てた人の形をしたロゴとともに「常に考える!」という標語が張られている。
世の中に流布している常識に疑問を持ち、本当にお客さんの目線で何が必要なのか考えろというわけである。
「経営がうまくいっていない会社は、そんなことできるわけがないと言う。屋内で配線を通すパイプの色を1つ変えるだけでも、そんなの売れるわけないと決めてかかる」
「でもよく聞いてみるとやってみたわけではないんだな。はなからそう信じているだけなんだ。そりゃ手抜きだよ。できるわけないからやらないと決めれば楽だからな」
社員がみな考えるようになれば会社は儲かると山田さん。そしてそのためには考える環境を作る必要があると言う。「それは社員が喜ぶようにしてやることだよ」。
今回、山田さんとのインタビューは4時間以上にも及んだ。その内容は全部書き尽くせないが、いつの間にか日本の企業が失っていったものが、ここにはしっかりと残っている。それが強さの秘密だと強く感じた。
そして、それは日本株式会社の経営にも言える。消費税を上げるのもいい、原子力発電所を再稼働させるのはいい、しかし、これしかないんだという常識にとらわれていないか。もしそうだとすれば、それはただの手抜きである。
次ページから山田さんのインタビューをお届けする。
未来工業の型破りな企業文化の根幹は共産主義経営?
『日本一社員がしあわせな会社のヘンな“きまり”』(山田昭男著、ぱる出版、1575円・税込) 山田昭男(やまだ・あきお)氏プロフィール:未来工業創業者・取締役相談役。1965年に主宰していた「未来座」の劇団仲間と未来工業を設立、代表取締役社長に就任。岐阜県中小企業家同友会会長、岐阜県電機工業会会長などを歴任。1989年黄綬褒章受章
川嶋 全員が正社員で、定年は70歳。ホウレンソウ(報告・連絡・相談)禁止、成果主義禁止、残業もノルマもなし。未来工業はユニークな経営方針で脚光を浴びています。おまけに給料も高い。岐阜県では一番だそうですね。
山田 おととし朝日新聞が未来工業は65歳の平社員が年収700万円だと書いた。よその会社のことは分からんけど、わざわざそんなこと書くんだから高いって意味だろ。うちは70歳まで1円も下げないしな。
川嶋 普通の会社は60歳で定年になって再雇用される場合、たいていは嘱託という形で給料は半減するようです。70歳まで、しかも平社員でも700万円ってすごいことですよ。
山田 うちの会社には、いろんな国から見学者が年に5000人も来よる。見学料として1人2000円取るのに、そんなに見に来るって前代未聞やろ。で、サムソン(電子、韓国)のやつが、未来工業さんは共産主義経営ですかと質問した。
そうですよって答えたけどな。
おれに言わせると自民党は世界最大の共産主義政党だ。日本は共産主義国なんだから共産主義経営じゃないと生き残れない。郷に入ったら郷に従えや。日本が資本主義になったらおれも資本主義経営に切り替えるよ。
川嶋 成果主義禁止は代表的ですけど、山田さんの経営方針は一個一個のパーツで見るとかつての日本企業がやってたことですよね。でも、世の中の趨勢が成果主義だとなると日本の企業はみんなそっちに流れて、ろくに考えもせず右へ倣った。
山田 日本人は農耕民族だからなんでも横並びなんだよ。すぐに尻馬に乗る。
川嶋 村八分にされるからですかね。ちょっと不思議です。僕なんかも山田さんと同じで、人と同じことをやるのは性に合わないんで。
山田 ばかばかしいやろ。中小企業経営者の仲間連中なんて、うちがホウレンソウ禁止、残業もノルマもなしなんてやったら倒産しますっていうわけ。
経験もないのに空想でものを言う。未来工業はうまくいってるのに、それをちゃんと見ないんだよ。山田さんがやるからうまくいくんだなんて言う。
川嶋 ホウレンソウ禁止って、僕は正しいと思いますけどね。会社が発展すると優秀な人が入ってくるから、上のダメな人が命令したらかえって失敗したりするでしょう。
山田 そうそう。うちも上のほうアホばっかりだから、やつらに命令なんかされたらえらいこっちゃ(笑)。
すべては社員を喜ばせるため。喜ばせれば社員は働く
本社のショールーム
山田 1991年に名古屋証券取引所第2部に上場したときも、一定ランク以上の社員に頭割りで株を分けた。なんせ共産主義だからな。
川嶋 初値はいくらでしたか。いずれにしても社員は大喜びでしょう。
山田 4000円。いきなり1億円の財産を手にしたわけだから、そりゃみんな喜ぶ。
ほんとは最初からそれが狙いなんだよ。うちがやってることは、全員正社員なのも70歳定年も残業なしもみんな社員を喜ばすためだ。喜ばしたら社員は働くっていう論理だな。
でもこれは日本人だから通用するんであって、相手が中国人だったら絶対うまくいかないぞ。実際、中国に工場作ったはいいけど、失敗して帰ってきた中小企業経営者をいっぱい知ってるよ。
川嶋 何がダメだったんでしょう。
山田 中国人はもともと賢いから、教えればすぐ覚えるんだ。だからと信じて使ったら、裏切られたっていう話をよく聞く。
日本人は生まれる前から儒教の遺伝子を持ってるけど、中国人は違うようだな。中国には儒教の遺伝子がないからこそ、孔子が出てこなきゃならなかったんだよ(笑)。
日本製品の質が下がったのは従業員のクビを切れないから
川嶋 自動車メーカーをはじめ、最近はどこも派遣社員が目立ちますよね。
山田 資本主義の社会では労働者は単なる歯車の1個なんだよ。チャップリンのモダンタイムスってあるだろ、あれでいいんだ。
それが今はみんな雇用、雇用とうるさいことをいう。正社員にしろと。うちは共産主義だから全員正社員でいいんだけどな。
山田 派遣とパートがガーッと増えたのは1991年、バブルが弾けてからだった。で、そこからリコールが出てきた。三菱自動車のトレーラーのタイヤ脱落事件以来、あっちもこっちもリコールだらけだ。
横文字だともっともらしく聞こえるけど、要は不良品てことだから売れないのも当然だろ。日本製品が売れなくなったのは、不良品作ったからからなんだよ。
未来工業の製品
川嶋 コストを下げるために人件費を削った。その結果ですね。
山田 問題の根っこは、日本が共産主義だから従業員のクビを切れないってことだ。
日本の会社が社員をクビにすると、必ず裁判で負ける。やれ不当労働行為だ、解雇権の濫用だってことになる。高裁までがんばった会社はあるけど、最高裁まではどこも行ってないよ。
富士フィルムが写真事業の5000人を削減したとき、海外では「レイオフ」なのに、日本国内は「リストラ」だと。「5000人削減」でいいのにそんないい方をするのは、めちゃめちゃイヤミだろ。
おれは田舎でわめいとるけども、中央で日本の共産主義はおかしいぞと言うとるのは、ゼロックスの小林陽太郎とオリックスの宮内義彦だな。
川嶋 イタリアに取材に行ったとき、雇用に関しては日本よりもイタリアの方が厳しいんだといわれました。一回雇ったら絶対やめさせられないって。
だからイタリアの中小企業は、10人必要な仕事でも8人でやる。常に2人くらい足りない状態で仕事をするのがイタリア流だとか。
山田 イタリアはヨーロッパじゃ一番共産党が強かった国だから、そうなったんだろう。でも日本の場合は、共産党が強いからじゃなくて自民党がやったことだがな。
川嶋 前に野村総研にいた関志雄(現野村資本市場研究所・研究員)っていう中国の人が言うには、日本の右翼は中国に行ったら左翼なんだそうです。
日本はあまりにも共産主義的だから、中国人から見ると右翼ですら左寄りに見えると。日本の左翼なんていったら、中国じゃ極左だろうと言ってました。
売値を下げるのはコストを上げるのと同じことである
川嶋 山田会長には数々の「常識やぶり」の発想がありますが、その1つに、何かと値段を割り引くのはおかしいと。
山田 日本人はすぐに値を割り引くが、値下げしたらコストを上げたのと同じなんだよ。
たとえば原価50円、売値100円のものがあるとする。売値を60円まで下げたら、儲けが50円から10円に減る。儲けが10円てことは、コストを90円まで上げて100円のまま売るのと変わらない。
初取引だからなんて言って、100円のモノを1割引き、2割引きにしたりする。良いものを安く売る、それでも儲けを出すためにコストを下げろって言う。お客さんが喜ぶならコストも値段も上げて、いいものを高く売るっていう発想がない。
商品だってそう。電気設備のパイプは原料も外径も内径もみんな決まってて変えられない。決まってないのは色だけなのに、日本じゃ揃いも揃って汚らしいグレーだ。
それで大手3社が牛耳ってたところに、小さな小さな未来工業が白いパイプでケンカ売った。で、勝ってもうたわけや。
川嶋 大手3社はあっさりやめてしまったんですか。
山田 この業界は先手必勝だ。いっぺん変えたらよそが白いパイプ持ってきても、今さら同じもん持ってこられてもおまえんとこに戻す必要ないだろと、こうなるわけや。
消費税増税大賛成、でも所得税と天下り団体への交付金をゼロに
川嶋 ところで、消費税についてどうお考えですか。
山田 消費税はおれ、大賛成。払っとることをイメージしやすいからな。そのかわり所得税はいらん。
山田 日本にはな、今天下り団体が3万3000あるんだよ。1人りでも天下りのやつがおったら、交付金も補助金も一切出さないことにすれば17兆円浮くぞ。
それを全部、東北の復興に使う。そしたら増税がいらんどころか、所得税を年収1000万円までは無税にできる。無税にすれば子ども手当とか、ああいうのも全部ナシですむやろ。
相談役室に飾られた演劇のパンフレット。自分の仕事はこれらを観に行くことだと言う
おまけに税務署の職員も法人税の連中を残して、半分クビにできるから、そこでまた金が余る。
川嶋 抵抗する人が大勢いるでしょうけど。
山田 まず法律をこしらえて、復興がすむまで公団とか公社とかには一切金を使わないことにする。復興っていう大義名分がありゃ、みんな抵抗しにくいわけや。
だいたい民間ができることは民間にやらせればいいんだよ。中曽根(康弘元総理)や小泉(純一郎元総理)がやったみたいにな。
国や役所がな、民間でできることは絶対やっちゃいかん。東京にも大阪にも名古屋にもある厚生年金会館なんか、ものすごい芝居小屋とホテルが合わさったようなもんだ。民間に対する営業妨害だよ。
川嶋 グリーンピアなんか最たる例ですよね。もうちょっとちゃんとした、身の丈にあったことに使わないと。
山田 そういうムダを探したらいくらでもある。
うちの商売は住宅がらみだろ。それでいろんな町に行くけど、どこ行っても住宅供給公社があってな、そこにいっぱい天下りの職員がおる。なのに役所の中にも建築課があるんだよ。少なくてもどっちか一個でいいだろ。
実は景気が良くなっては困る政治家たちの思惑とは・・・?
山田 一番の問題はな、日銀が金利を上げないことだ。今個人の財産が1400兆円あるよな。金利3%つけると40兆円が沸いて出てくる。
あぶく銭だから全部使っても財産減らないだろ。だからみんなどんどんモノを買う。あらゆる会社がてんてこ舞いに忙しくなるよ。
川嶋 インフレターゲットは本来やらなければならないのだと思いますけど、白川方明総裁はそこらへんが妙に頑なに見えますよね。
山田 やらない理由が絶対あるんだよ。日本人はバカだから、景気が悪いと政府に何とかせえって言うだろ。政府ができるのは公共事業だけだ。それで連中、これ幸いと公共事業に税金を注ぎ込む。そのために景気を悪くしないといかんのや。
川嶋 景気を悪くしないといけないってのもヘンだと思いますけど。
山田 早い話、連中が賄賂もらえるとこはどこかって話だよ。金利も手数料も保険料も自由化になったから、もう金融機関からはもらえん。飛行機、トラック、タクシー、みんなダメや。残ってるのは建設会社しかない。
こないだ岐阜県にボートピアってのを作ろうとした。どう計算しても80億円あれば十分の建物なのに、費用は400億円かかるとかいう。
あと、四国に3つ橋をかけただろ。同じ時期に同じ大きさの橋をよその国にも作った。これは東京の評論家が言ったのを聞いたんだけどな、その国が払ったのは3500億円だったのに日本は1兆7000億だそうだ。
どっちも5倍なのが臭いだろ。日本には公共事業に必ず実費の5倍払うって決まりがあるらしい。
80億円でいいところを400億円払うから、300億円は戻せってことだ。建設会社は100億円もらえれば十分潤う。戻ってきた300億円は県の役人、建設族の県会議員、国会議員で山分けするわけよ。
そのために景気を悪くして、世論に何とかせえと言わせる。これが自民党が考え出したカラクリや・・・何とてことをテレビで言うとペケになるんだ、コレが(笑)。
川嶋 電波は国が許認可権を持ってますからね。その点、インターネットは自由ですよ(笑)。
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