http://www.asyura2.com/12/hasan76/msg/524.html
Tweet |
http://green.ap.teacup.com/pekepon/801.html
■ 不連続の現象は予測不可能
311以降、地震予知に関する興味が高まっています。
しかし、残念な事に、「地震が起こりそうだ」という予測は出来ても、「何月何日に、マグニチュード○○の地震が××で発生する」といった、正確な予知は現在の所不可能です。
これは地震という現象が「不連続」の現象の為に、連続的事象の観測で異常を検知しても、実際のどの規模の地震が、いつ発生するかが観測データからは予測できないのです。(抜粋)
■ 経済の不連続現象も、予測は不可能
地震と同様に経済の不連続現象も予測は不可能です。
例えば、日本国債に対する歪は高まっていますが、これがいつ崩壊するかは全く予想が付きません。
もし、暴落があるとすれば、市場がパニックになる様な事態が発生した時です。
これは、ヘッジファンドの売り浴が、
中国の売り浴びせか、
米国債の暴落か、
米大銀行の連鎖破たんか、
ユーロの崩壊か、
あるいは、原発事故の再発か
その原因は特定できません。
これらの原因のほとんどが、又もや、不連続現象である事から、予測はほとんど不可能だとも言えます。
さらには、人為的に仕掛けられる危機に関しては、予測はほぼ不可能なはずです。
■ 今を観測して「危機は高まっているが大丈夫」と言っても・・・
アナリスト達は「現状は困難ではあるが、崩壊は直ぐには起こらない」と言います。
これは、全く正しい発言です。
現在の経済データの多くは崩壊を示しません。
インフレ率も、通貨の変動範囲も、常識的な範囲内です。
ところが、ユーロを見れば明らかな様に、ある限界を超えたストレスが発生すると、市場は急激に不安定化します。
これは、一種の相転移の様な現象で、水が水蒸気になる様に、ある点を境に、昨日までの大丈夫は、今日の大丈夫では無くなるのです。
不安定化したユーロでは、普段だったら聞き捨てられる関係者の一言で、ギリシャやスペインの国債金利が跳ね上がります。
これは平時には起こりえない現象です。
■ 「今の先の未来」という発想の危うさ
経済論争の食い違いの原因の多くは、不連続の現象を仮定するのかどうかに起因します。
例えば、道を歩いていて突然道が崩落して消えて無くなる心配は普通しません。
ですから一般的には道は普通に続いていると仮定して議論は展開されます。
そこに、道が崩れて無くなるかもしれないと主張しても、一般的には無視されるべき意見とみなされます。
ところが、巨大地震が発生した場合はどうでしょう。
普段はどこまでも続いている道が、どこで寸断されているか分かりません。
リーマンショック直後、多くのアナリストたちが、道が寸断される危機に恐怖しました。
ところが、多少のデコボコや亀裂があったも、どうにか道が繋がっていたので、次第に多くの人が、道が崩れるはずが無いという考えに戻っています。
さて、私達のいく先の道は今まで通り続いているのでしょうか?
■ リーマンショックで相転移した世界
私は世界の経済を巡る状況は、リーマンショックで相転移してしまったのだと思います。
だから、リーマンショック以前の常識を持って対処しても、違う結果が発生してしまう。
例えば、金利を引き下げれば、本来は景気が回復しますが、資金需要が枯渇した状態では、「ブタ積み」になるか国債購入資金としてしか役立たない。
財政赤字が膨らめば、本来金利上昇に転じるはずなのに、日本もアメリカもドイツも国債金利は低下する一方です。
■ 再度の相転移は可能か?
この様な経済の相転移は、可逆的現象なのか、それとも不可逆的現象なのでしょうか?
もし、可逆的現象であるならば、それが発生する、閾値が存在するはずです。
水に例えるならば、100℃という温度がそれに当たります。
リーマンショック以前の世界は、金利が正しく作用していた世界です。
利益が資金需要を生み、それが適正な金利を生み出す。
金利を目当てに、低利の資金が借りられ、より金利の高い所に、資金が移動して行く。
この資金の移動こそが「経済」であるとも言えます。
現在は全く逆です。
米国債やドイツ国債、日本国債といった低金利へと資金がどんどん流れ込んでいます。
「高金利=利益」から「高金利=リスク」という大きな変化こそが、相転移の本質なのかも知れません。
■ 熱死する経済
熱力学第二法則は宇宙を支配する理論です。
「乱雑さが常に増大する方向に変化する」。
この法則に唯一逆らう存在が生物です。
そして、人間の経済活動も宇宙の真理に逆行します。
乱雑さから、規則性という価値を生み出す行為とも言えます。
ところが、現象というのは往々にしてバランスを保つものです。
経済活動が規則性の高まりならば、それに匹敵するだけの、乱雑さが生み出されてバランスします。
ところが、債権金融というシステムはこのバランスを無視してしまったのでは無いでしょうか?
論理数学的整合性だけを極端に積み上げてしまって、実体経済というゴミの生産とのバランスが取れなくなってしまった。
だから現在、両者のバランスを取る為に、経済は思い切り逆回転をしているのです。
金利を求めた資金は、金利から逃避するかの様に振る舞っています。
■ 拡大の暴走がバブルなら、縮小の暴走は恐慌
経済拡大の暴走がバブルの崩壊だという事は誰もが異存ないでしょう。
反対に、経済縮小の暴走が恐慌だとも言えます。
バブルの崩壊はある意味、金利の上昇が期待利子率を追い抜く事で発生します。
逆に恐慌は金利の下降が、期待利子率を追い越した時に発生するのではないでしょうか?
これは速度の問題で、一般的な範囲内に収まれはインフレやデフレとして観測されます。
ところが、ある速度を超える事で、バブル崩壊と恐慌という姿に変わるのではないでしょうか?
日本は幸いな事にバブル崩壊後、恐慌には至りませんでした。
これは、製造業を中心とする日本経済の基礎体力が、不動産バブルの影響を緩和した為だと考える事が可能です。
では、スペインの様な国で、現在起きている様な不動産バブルの崩壊が起きた場合、スペインは日本の様に緩やかな停滞で踏みとどまれるでしょうか?
ギリシャを見るまでも無く、崩壊は一気に進行します。
だからEUは無理やりにでもスペインの銀行に1000億ユーロを注入するのでしょう。
■ 問題はアメリカや中国 ■
さて、スペイン規模なら救えそうだと思えます。
ではアメリカや中国レベルの崩壊が止められるでしょうか?
既にアメリカはリーマンショックで崩壊が始まっています。
現在はFRBがドルを刷りまくって崩壊の進行を止めています。
ユーロ危機がドルを見事に援護しています。
しかし、ドルの増発は崩壊スピードを低下させるだけで、崩壊の圧力を押し返す事は出来ていません。
米国債金利は低下し続け、日本のバブル後をトレースしている様に見えます。
しかし、日本と米国では根本的に異なる事があます。
日本は価値を創造する国であり、
アメリカは価値を消費する国である事です。
アメリカが創造するのは「ドル」です。
QE2が、QE3,QE4・・・という状況になって、それでも尚、米国経済の縮小が止まらない時、世界はドルと米国債を、安全資産と捉える事が可能でしょうか?
■ ユーロ危機の終焉が、ドル危機の始まり
ユーロが崩壊するのか、生き残るのかは、神のみぞ知るですが、ユーロが財政統合に筋道を付けて復活の狼煙を上げた時、世界の目は一気にアメリカに注がれます。
その時にドルと米国債がどういう評価を受けるのか、これは、永遠に続くと思われた道を、私達がどう判断するかに似た問題では無いでしょうか?
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。