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先週火曜日のG7財務相緊急電話会議では具体的な材料は何も出なかったが、株式相場は世界的に大きく反転した。これはおそらく、同じ日にロイター通信が報じた「ドイツが来年3月までに財政同盟に道筋をつけるという政府文書を入手した」との報道が決定打になり、相場の流れを激変させたのではないかと考えられる。
◆負のループ◆
欧州債務危機を沈静化する手段として、これまでユーロ圏共同債の発行や金融安定化基金のさらなる増額、預金保険などを共通化する「銀行同盟」などが検討されてきた。しかし、それらにことごとく反対してきたのがドイツである。
放漫財政を続ける国を救済するのに、ドイツに負担が集中するのは納得がいかないというのが主な理由だが、ドイツがそれらの提案に反対し続ければ、ギリシャだけでなく、スペインやイタリアまで国債が発行できなくなり、財政破綻に追い込まれる恐れがある。
このドイツの原理主義的な反対姿勢がヘッジファンドや投資銀行などの投機筋を勢いづかせ、重債務国の国債がさらに売り込まれて、欧州債務危機が深刻化するという「負のループ」からユーロ圏は抜け出せないでいた。
しかし、先週になってやっとドイツの目的がユーロ圏共同債などの場当たり的な対策ではなく、いわばそれらを超越して各国の財務省を一つにし、予算を共通化する「財政同盟」を結ぶことにあったことが判明したのは大きい。というのも、これは欧州債務危機の強力な「出口」に直結するからだ。ドイツは欧州債務危機を自らあおり、危機をテコにすることで、よりハードルの高い財政同盟まで一足飛びに向かおうとしているのだろう。
◆売り崩しから買い戻しへ(ヘッジファンドの換金売りがほぼ終了)◆
ただ、一口に財政同盟と言っても、ユーロ圏17カ国が同意して、各国が議会の承認を得るまでに最低1〜2年はかかる。それまでヘッジファンドや投資銀行からの売り仕掛けにユーロ圏や世界経済が耐えられるかどうかがポイントになる。
もっとも、過去2カ月以上にわたる世界同時株安がヘッジファンドなどによる一方的な売り崩しが主因だったため、しばらくは彼ら売り方の買い戻しが優勢になりそうで、場合によっては昨年12月22日の欧州中央銀行によるLTRO(3年もの資金供給)のように、先週が相場の大転換期になった可能性があると言えるだろう。
しかも、先週末は日本のメジャーSQ(特別清算指数)で、今週は米国もメジャーSQを迎える。この日米のメジャーSQとともにヘッジファンドの6月中間決算に向けた換金売りはほぼ終了するとみられている。つまり、材料面でも先週が相場の転換点になった可能性は大きい。
◆先物主導が鮮明に(ボルガー・ルール厳格適用へ)◆
当欄では4月からの世界同時株安の原因について、欧州債務危機よりも7月からの「ボルガー・ルール」導入のほうが、はるかに大きいと書いてきた。実際、株価が急落した4月、5月の2カ月間で、外国人投資家は日本株を2700億円しか売っていない。
昨年夏から秋にかけて欧州債務危機が深刻化した際、外国人投資家は日本株を3カ月間で1兆6000億円以上も売っている。つまり、今回の株価急落は、先物やオプションの売り崩しによるところが非常に大きいのである。これは明らかに7月からの「ボルガー・ルール」導入に備えた米投資銀行や、その傘下にあるヘッジファンドの先物・オプションの解消によるものとみてよい。
この「ボルガー・ルール」に関連して、米議会では先週からJPモルガンの巨額損失問題に関する公聴会が始まり、今週も13日、そして来週19日にも関係者や規制当局者の議会証言がある。先週の公聴会ではFRB(米連邦準備制度理事会)理事や通貨監督局の幹部が「ボルガー・ルール」の厳格適用を訴えており、世論もそれに完全に同調している。一時はウォール街の執拗なロビー活動により「ボルガー・ルール」の骨抜きに動こうとした議会も、厳格適用の方向で動かざるを得ない情勢になってきた。これで、7月以降、株式相場にかなり平和が戻ってくるだろう。
投稿者コメント〜
日本株は、すでにファンダメンタルから見ても売られ過ぎていると思います。現物買いなら下値不安は小さい水準です。5月31日の日経平均終値8295円が今年の最安値となる可能性が高く、まもなく中間反騰入りするのではないでしょうか。
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