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IMFが人民元評価を変更―米国の中国通貨政策批判の論拠が弱体化
2012年 6月 9日 9:38 JST
【北京】国際通貨基金(IMF)は8日、中国人民元の過小評価の度合いに関する判断を従来の「大幅」から「やや」に変更する方針を明らかにした。この変更は、中国に対し人民元の切り上げを求めて圧力をかけてきた米国にとって政治的な支障となる可能性をはらんでいる。
Reuters
IMFは2007年以来、中国の膨大な経常収支の黒字を理由に人民元が「大幅」ないし「著しく」過小評価されていると位置付けていた。このIMF判断を根拠の一部としてブッシュ、オバマの前、現米政権は、中国の通貨政策が米国や他国の輸出にとって障壁となり損害を与えているとの主張を展開してきた。人民元安は中国輸出製品の国際競争力も増大させる。
2010年6月には、中国政府が譲歩して人民元相場の弾力化を打ち出し、以来、人民元は対ドルで約7%切り上がった。
しかし、オバマ政権で経済政策担当の一員でもあったデービッド・リプトンIMF副専務理事は8日、中国の経常黒字が減少し、人民元も上昇したため、IMFは正式に人民元判断を変更したことを明らかにした。同副専務理事の発言は、IMFの中国に対する年次審査終了後の記者会見で明らかにされたもので、「一連の情勢変化で、人民元の過小評価の度合いは軽減された。このためIMFは人民元価値の判断を、通貨バスケットに対し、やや過小評価されている、に変えた」と語った。
ただ、リプトン副専務理事は過小評価の度合いを数量的には示さなかった。IMFが人民元を「著しく」過小評価された状態とみていた昨年の時点では、推計方法によって異なるが、3〜23%の過小評価との見方を示していた。
人民元の今後について同副専務理事は、中国経済が成長の基盤を輸出から内需にシフトするなかで、人民元も徐々に上昇するとの見通しを示した。
しかし、IMFが中国政府に短期的に人民元を急速に切り上げるよう求めることはしないとみられる。欧州経済の不振や米国の低成長で中国の輸出の伸びも鈍化しているためだ。人民元は対ドルで年初来ほぼ横ばいだが、IMFはあまり苦言を呈しておらず、4月には「著しく」過小評価されているとの判断はもう適切でないと考えていることを示唆していた。IMFは人民元評価の詳細分析を現在作成中で、最終結果を来月にも公表したい考えだ。
一方、オバマ政権は人民元の評価を変えていない。5月には「大幅に過小評価されている」との見解を発表、昨年12月に出した「著しく過小評価されている」との判断をほとんど変更しなかった。ただ、昨年末も先月も中国を「為替操作国」とは認定せず、中国との本格的な衝突は避ける格好になっている。
オバマ政権は今後も中国に対し通貨切り上げを求める構えだ。また今秋の大統領選挙で共和党候補の指名が確実なロムニー氏も厳しい対中姿勢を選挙キャンペーンの目玉の一つに据えている。
しかし、今回のIMF判断の変更でオバマ政権が対中圧力維持を他国に求めることは難しくなった。IMFの見解は個別国の見解に比べて政治色が薄いと評価されており、中国の貿易相手国で中国に対し公然と批判的な姿勢を取ろうとする国はほとんどないからだ。
一方、中国側は温家宝首相を含め、人民元はほぼ「均衡水準」に近づいていると発言、今後大きく切り上げる必要はないとの考えだ。
記者: BOB DAVIS
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