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「クール・ジャパン」戦略が本格化してきた。「クール・ジャパン」というのは、ゲーム・漫画・アニメといった日本のコンテンツ産業、あるいは日本のコンテンツ産業が海外で高い評価を受けている現象を指す言葉だ。
最近ではコンテンツ産業のみならず、食材や伝統産業・家電製品・自動車など、より広範囲にわたった日本の文化全体を指す場合もある。
◆中・長期的な成長の柱◆
「クール・ジャパン」という名称の由来は、2002年、米国のジャーナリストであるダグラス・マグレイ氏が、外交政策誌上で、日本の文化はGDP(国内総生産)などの経済指標では測ることができないソフト・パワーを発揮しているとして、「クール指数が世界第一位だ」と論じたところからきている。
「クール・ジャパン」の振興は、「観光立国」と並んで、日本の中・長期的な成長戦略の柱とされており、2010年6月8日には、経済産業省が日本の文化産業(デザイン・アニメ・ファッション・映画など)の海外進出を戦略的に展開するためのクール・ジャパン室を創設した。
経済産業省の試算によると、2010年度における日本のコンテンツ産業の海外売上高は約7000億円の規模となっているが(海外売上比率・5%、国内外売上高・15兆円)、今後コンテンツ産業のブランド力強化を図ることを通じて、2020年度には2兆3000億円の規模まで拡大させる計画だ(海外売上比率・12%、国内外売上高・20兆円)。
日本が国策としてコンテンツ産業の海外展開(クール・ジャパン)に力を入れるようになった背景には、韓国のコンテンツ産業の躍進によって、日本のコンテンツ産業の国際的な地位が脅かされるようになったという事情もある。
韓国は、1997年に発生したアジア通貨危機をきっかけに、官民を挙げてコンテンツ産業の海外進出を図るようになった。例えば、コンテンツ産業振興のための予算が文化関連予算全体に占める割合をみると、1998年度の2.2%から2000年度には一気に15.3%まで引き上げられている。その結果、韓国のコンテンツ産業は日本を含めたアジア市場を席巻するまでに成長した。2000年度からの4年間で日本や中国、香港、台湾向けのコンテンツ産業の輸出額は5倍に膨らんだのである。直近2011年の輸出額は、前年比28.9%増の41億5900万ドル(約3165億円)を記録した。
◆インド市場開拓に本腰◆
このまま韓国のコンテンツ産業の後塵を拝することになってはならないということで、日本でもコンテンツ産業のブランド力強化が図られるようになったというわけだ。日本はアジア諸国の中でも人口12億人の新興市場インドの開拓に本腰を入れる方針で、2012年中に政府レベルでの協力態勢を整える。
ちなみに、クール・ジャパン室が、コンテンツ産業の海外売上高を伸ばす戦略として重視しているのが、キャラクター商品の販売である。コンテンツの輸出と並行して、そのコンテンツに関連するキャラクター商品の売上を伸ばし、2次利用収入を拡大させることが、全体の売上高を加速度的に膨らませることになる。
(BRICs経済研究所 代表・門倉貴史)
投稿者コメント〜
コンテンツ産業関連銘柄は、すでに株式市場において主要テーマのひとつとなっています。ただ、世の中が短時間で大きく変化する時代ですから、投資対象としてはリスクがおおきいことも事実です。例の「コンプガチャ」問題で、関連銘柄株価が暴落したことは記憶に新しいところでしょう。
いっぽう、大きな利益を期待しない小規模な「コンテンツ事業」は、相対的にリスクも少なく、有望な分野だと考えています。具体的なイメージを記すと長くなりますが、「不特定多数の個人」を対象とする「産業」ではなくて、「地域の、顔の見える個人」を顧客とする「商店」、そういう感じです。小規模から大規模な事業展開への移行、そのような過去の流れとは逆の方向性が、再び有効性を発揮する情況に変貌しつつあるように思います。いつまでも輸出主導、大規模産業育成やブランド力強化、名目的売上高の数値向上を念頭においた行政の発想は少し問題があるのではないでしょうか。「クール・ジャパン」を命名した、当のダグラス・マグレイ氏自身が「日本の文化はGDPなどの経済指標では測ることのできないソフト・パワーを発揮している」と評価したことの意味を、行政も個々人も、もっと考えてみるべきです。
経済産業省のクール・ジャパン室、小規模事業や地域密着型コンテンツ事業への支援を真剣に企画して欲しいと思います。
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