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給付金付き消費税について
この前は軽減税付きの消費税を考察した。今度は給付金付きの消費税の引き上げについて考察します。
消費税の増税がこのままでは難しいと見た政府は今度は、軽減税率や給付金付きの消費税増税を持ち出してきました。
あるいは、両方を兼用して、政治的な妥協を図りながら、消費税増税を通そうとする腹つもりのようです。
どちらにせよ、デフレ下の消費税引き上げという、デフレ下におけるデフレ促進策は、国民生活をさらに貧窮させ破綻に導くことになります。
これは、デフレの根本原因が、市場の資金量が生産能力に比べ大幅に少なくなっていることに起因します。(デフレ・インフレの一般理論参照のことhttp://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/)
このような状態で、消費税の引き上げのようなさらなる資金の市場からの引き上げは、例えほんのわずかなものであっても、大きく経済を縮小させる効果をもたらします。
給付金付き消費税の問題点
給付金付き消費税引き上げは、どのような給付方法にするかによりかなり効果や、損害が違ってきます。
給付金をどのように還元するか、所得の上限を決めるだけでもたいへんで、おそらくこの二、三カ月の間で決まるものではないでしょう。いかにも現政権の民主党らしい無責任な単なる提案に過ぎないのでしょう。現民主党政権では決められない重荷です。
しかしここではそれにかかわらず、考察していくことにします。なぜなら、給付金を出すので低所得者に対する配慮ができるという美辞麗句の政治的妥協で、経済原則を無視されると大きな弊害が国民生活を襲うからです。
先ず直接個人に月の定額を決め給付するのか、あるいは、後から買った分を補充するのかです。
ここでは、先に一定額を給付する方法で考えて見ましょう。これはちょくちょくあちらこちらの掲示板をにぎわすベーシックインカムとの関連から分かりやすいと思うからです。
給付金を直接消費者に配った場合。
例えば、低所得者層、例えば月20万円の所得の人に対し月2万円の補助金を給付をするとしよう。(20万×0、1)
消費税引き上げと、このような給付金を組み合わせると、この給付金に出す補助金額が税収から差し引かれるため、初期の試算額の消費税収は当然見込めなくなります。(前にも書いた通り、デフレ下の消費税増税は減収を招くためもともと議論する意味がない。)
このような給付金付きの消費税増税は、軽減税付きの場合と同じく、中途半端な施策となり、財政再建や社会保障の安寧のための十分な財源確保が難しくなります。
しかも一気の市場のショートや破綻を免れるかも知れませんが、、徐々に不況が進み、3、4年後に大きな不況を招き、破綻を招くことに変わりありません。
(現下の日本で消費税を5%引き上げ10%にすると、給付金が300万円下の層に10%の30万円ぐらいになります。このぐらいですと一気の破綻はないかもしれませんが、税収が上がるとはとても思えません。)
デフレを解消する根本的な方法は、直接消費者に資金を注入し、消費を増やすことです。
資金の直接導入は所得線の角度を上昇させる効果をもたらすため、インフレ効果があり、デフレを和らげます。
そのため低所得層に資金を注入することは確実に消費を促し、デフレ解消の一助になります。
しかし逆にすべての所帯層に消費税を掛け、大幅に資金を市場から奪うため大きく経済を縮小させるデフレ促進策でもあります。
この税金制度の問題点は、デフレ促進策と、解消策を同時に行なっていることです。大きなブレーキと少しのアクセルがきしみあう不効率な経済市場を形成します。
このようなシステムの中では、投資家や、企業家、経営者などが大きな利益を得ることが困難な市場です。投資資金が予想以上に回収できないという意味です。労働者は、働きに応じた賃金が得られません。
これはこの前の軽減税のところでも述べましたが、デフレが深刻化する中での低所得層への補助金政策は、低所得層の増大を招くため、日本総下流社会が実現します。
低所得層をどこに線引きするかが大きな問題になりますが、少なくとも生活保護所帯は全世帯200万所帯以上は給付することになります。
次に現在の低所得層に対し例えば、年300万以下の所得者に給付金を出すとした場合、現在のように深刻なデフレ状態では低所得層が非常に多くなっているため、給付金額も予想以上に増えることになります。
しかし今述べた事は、給付金付き消費税引き上げをする場合に予想できるものであり、その分前以て用意する事になる分です。
しかし深刻なデフレ下で消費税引き上げが実施されると、経済の激しい収縮により、所得がどんどん低所得化していきます。低所得層が生活保護所帯になり、中流層が低所得層になっていきます。
デフレの深刻化と共に給付金額がどんどん増え、それはやがて税の増収分を食いつぶしてしまいます。何のために消費税を引き上げるのか分からなくなっていくのです。
モラルの崩壊が始まります。生活保護を受けている人達と、受けていない低所得者の生活がほとんど変わらなくなると、生活保護を受ける人が増え、働かない人達が増えます。
給付金を受けていない人達が、給付金を受けている低所得者の人達に所得が近づくと、故意に所得を低めに申告し始めます。
このような低所得者への補助金は、デフレ下では、嵩むばかりで、卒業することはありません。ますます
その比率が高まり、その給付金という補助金は、民間が公務員の給料を払っているのと変わらないものなります。
軽減税のところでも述べたように、デフレ下の助成金は、それがなくてはやっていけなくなり、その負担が少なくなることはないのです。
しかも現在の莫大な借金が返せる見込みは全くありません。財政再建のための消費税増税というのは、理論的に成り立たないのです。また実際にも増収自体が起こり得ません。
この前の軽減税付き消費税の論文に対して、類推が多く信頼できないというようなコメントが寄せられていました。これは類推ではなく、理論的帰結なのです。
デフレのような所得線が45度を下回る角度の所得線が支配する市場では、消費税の引き上げがどのような効果をもつのか容易に分かります。
(この辺の所得線云々は、私のブログ等を参照してください。http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/)
それ故前以て、デフレ下の消費税がどのような結果を生むのかを知らなければなりません。実施してからなるほど理論通り悪くなったでは、済まないのです。
私達は生身の人間です。間違った経済理論や、為政者の社会実験やモルモットにされてはたまりません。
明らかに分かっていることは避けなければなりません。
現在のヨーロッパ型の高福祉高負担制度は、市場内部でこのような極めて不効率を行っており、不毛に消耗しているのです。そのため貯蓄が多く、資産も多くても、なかなか大発展しないシステムになっています。
これで大借金を背負うと、どの国もやって行けなくなります。恐らく、ユーロの崩壊が、ヨーロッパ各国に多くの借金をもたらすことになります。
借金の返済と、新興国の台頭が、ヨーロッパの高消費税率の経済システムを崩壊させ、高福祉、高負担という経済成長を蝕ばむ理念は、時代錯誤となります。
北欧型の高福祉、高負担型の、消費税の高い国を理想化し、日本をそちらの方に向かわせようとする勢力がありますが、それは完全に失敗します。
根本的な違いは、日本は大借金が政府にあるということです。それを返さなければなりません。
消費税の高い国はその負担に耐えられません。自らの自然な成長力を抑圧しているからです。
崩壊が明らかなヨーロッパ型に近付いてはいけないのです。ユーロの崩壊が、ユーロ諸国に大借金をもたらせば、高い消費税率では破綻します。
いずれ、破綻か消費税率を下げて生き延びるかその選択がヨーロッパでなされることでしょう。
現在の日本は、ヨーロッパが行なった消費税の増税と違い、デフレ下で行なわれるということです。
デフレ下の消費税引き上げは、中流層を減少させ、低所得層増やしていきます。生活保護者を増やし生活保護費を増やしているのと同じです。給付金がどんどん増えていきます。
デフレである限り、低所得者層の所得が増え、給付金が必要でなくなるというようなことは見込めません。
しかも働いている労働者や企業家は、労力の割に儲けにくいことをよく知っているため、労働者は、給付金が支給される所得を希望し、経営者は給付金を受けられる所得に所得を設定することになります。
そのことは、この給付金が支給される所得を境に大きな所得格差が生まれることになります。
これは制度的な、意図的な格差社会を結果的に作ることになります。
デフレ下の給付金付きの消費税引き上げは、より儲けにくい経済社会を作り、貧困と格差を助長させるのです。
一言主
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi
追記:想像してください、所得線が45度以下に下がり、労働に対する対価が低く、儲けの悪い市場を。そこからさらに消費税を引き上げられると、もっと儲けが悪くなり、そして低所得層に補助金が配られます。
人々は一生懸命働いても、上には行けず、そしてぼやぼやしていると生活保護所帯になるのです。
これが借金を背負った国家の高消費税国の実態なのです。
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