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ヘルパーという仕事の「明るい未来」メディアでは分からない介護の実態
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投稿者 MR 日時 2012 年 6 月 06 日 00:44:42: cT5Wxjlo3Xe3.
 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120605/232951/?ST=print
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ヘルパーという仕事の「明るい未来」メディアでは分からない介護の実態
• 2012年6月6日 水曜日

• 三原 岳(東京財団研究員兼政策プロデューサー)


 社会保障と税の一体改革が叫ばれる昨今、介護現場の整備が急務になっている。だが、現場の実態はあまり知られていない。
 そこで、東京財団の研究員が、地道に「現場の声」を拾い集めている。その成果は「介護現場の声を聴く!」という映像として、動画共有サービス「USTREAM(ユーストリーム)」で視聴できるほか、東京財団のウェブサイトにインタビューの概要が掲載されている。
 介護保険制度の実態を追っている東京財団の三原岳氏からの報告を掲載する。
 介護現場に関わる人々のインタビューをUSTREAMで放映し始めたのは昨年4月のこと。それから1年間で、全48回の映像を公開した。インタビューしたのは東京財団の石川和男上席研究員で、取材対象は有料老人ホームの経営者や特別養護老人ホーム(特養)の施設長、ヘルパー、ケアマネージャー、大学教員、シンクタンク職員、関連企業経営者など、113人に及ぶ。
 介護業界に入った動機や仕事の苦楽、そして制度改革への提言まで、様々な話題を聞いていった。ネット公開ということもあり、視聴者から多くの反応を得て、取材対象からも「利用者の反応を得られる感動は大きい」といった声をもらった。
 これまで、介護職場は「低賃金」や「過酷」といったことを強調した報道が多かった。だが、現場の関係者から声を聴くと、イメージとのギャップが大きいことも分かってきた。
 そこで、多くのインタビューを通して見えてきた介護現場の実態をもとに、ヘルパーや介護職という仕事のイメージを捉え直し、そこから「現場視点」で制度改革の方向性について考えてみたい。
メディアが歪めた「ヘルパーという仕事」
 まずは、介護現場に対するイメージと実態のギャップについて考える。以下の3つが、介護という仕事の主なイメージではないか。
(1)単純でつらい仕事
(2)低賃金で離職率が高い
(3)介護は「施し」である
 では、この3点について見ていこう。
(1)「単純でつらい仕事」というイメージ
 インタビューでは、決して楽ではない現場だが、そこで生き生きと働く姿も浮かび上がってくる。これは「介護職=つらい仕事」という一般的なイメージを覆す内容だった。
• 会話や食事の介助などで交流がある。心のこもった人間味のある仕事
• 利用者の笑顔を見た瞬間、「やっていてよかった」と思う
• 利用者と対話することを報酬として受け取っている印象がある
• 苦しい記憶はない。こんなに楽しくてクリエーティブな仕事が世の中にあることに驚いた
 一方、メディアは仰々しい見出しを付けて、介護の「厳しさ」を報道する。確かにインタビューでも「力任せで仕事をすると腰を痛める」「給与が低いので、ライフプランが立てにくい」「職場の人間関係で悩んでいる職員が多い」といった声が聞かれた。しかし、総じて「やりがい」や「意義」を強調する意見が多かった。実際に、現場を見学、体験勤務したが、明るく、高齢者の笑いが絶えなかった。
 では、なぜギャップが起きるのか。第1に、介護現場が「閉ざされた空間」であることが影響していると考えられる。一般の人が介護現場に接する機会は少なく、家族や身近な人が施設に入って初めて接点ができるケースが多い。それだけに、メディアで情報を入手せざるをえない。
 そのメディアが必ずしも真実を伝えていない。近年のメディアは分かりやすさを追求する傾向があり、実態を正確に伝えているとは言い難い。「日常」はニュース性がないので、むしろ「安い給料だが、慈愛の精神でケアしている」といった「美談」か、「給料が安く、人員も少ない職場で苦労している」などの「悲劇」に仕立て上げがちだ。メディアによる悲劇と美談の極端な報道の連続で、偏ったイメージが定着していると見られる。
 この点は表1の内閣府の世論調査でもうかがえる。介護職に対するイメージで、「きつい仕事」「給与水準が低い仕事」といったマイナスの回答が1位と3位を占める。こうした側面も事実であり、関係者が「使い捨てライターのように『若い子でいいや』と考えている経営者も存在する」と指摘するケースもあった。
 しかし、多くの関係者が介護現場の楽しさを語っているにも関わらず、「やりがいのある仕事」「自分自身も成長できる仕事」という回答は下位に低迷している。この点はメディアによる「悲劇」の強調が影響していると考えられる。
介護は一般のサービス業と同じ
 インタビューでも、メディアへの注文として、次のような意見が出た。
• 悪いことばっかりじゃない。公平にスポットライトを当てて欲しい
• テレビで放映されるような暗いイメージだけではない
• 今の報道は利用者と関わる楽しさが伝えきれていない
 半面、世論調査では「社会的に意義のある仕事」というプラスの評価も2位に入っている。これは「美談」の側面を強調するメディアの報道が影響しているのだろう。インタビューでも、そうした指摘があった。
• 周囲から「大変だね」「偉いね」と言われるが、「どの辺が?」という印象。お金を取り扱う仕事の方がよっぽど大変ではないか
• 周囲は「ボランティア精神で認知症患者を相手している」というイメージを持っているが、自分としては当たり前のことをやっているだけ
 メディアが喧伝する「悲劇」と「美談」は現実のごく一部に過ぎない。実態は、一般のサービス業とあまり変わらない、という認識が必要だと思われる。
表1 介護職のイメージに関する世論調査結果
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120605/232951/01.jpg
(出所)内閣府「介護保険制度に関する世論調査(2010年9月調査)
(2)「低賃金で離職率が高い」というイメージ
 次に、離職率の高さを考えてみる。インタビューでは以下のような実態が話題になった。
• 前日から働き始めたばかりの新人が出勤して来ないので、連絡してみたが電話がつながらず、そのまま辞めていった。
• 1カ月で辞めた人の辞職理由は、「これから結婚するのに、家族を養えない」だった
• ライフプランを立てにくい。結婚した頃、手取りの収入は15万円程度。子育てなどを考えると不安が残り、周りからは「大丈夫?」と言われた。専門学校の同期は卒業後5年ぐらいで業界に1割程度しか残っておらず、結婚などを機に別の業界に転職した
• 大不況期なのに離職率の数字が上がっている。社会保険に加入できて、正規職員として年収300万円は確保できる。これは地方ではあまりない待遇なのに、離職率が異常に高い
• 離職する人は20〜30歳代の男性が多い。採用に時間と金を掛けているから定着してくれないと経営上、非常にマイナス
• デパートで販売員をやった方がヘルパーよりも時給が高い。だから離職率が高くなる
 財団法人介護労働安定センターの調査によると、離職率は17.8%(2009年10月〜2010年9月)に上り、前年同期比で0.8ポイントも悪化している。「運営上の問題点」の質問(複数回答可)では、51.5%の経営者が「今の報酬では人材確保・定着のために十分な賃金を払えない」と答えている。表2を見ると、全産業平均と比べて賃金カーブが大きく見劣りすることが分かる。
表2 全産業平均と介護職の賃金カーブ比較
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120605/232951/02.jpg
(出所)政府・緊急雇用対策本部 実践キャリア・アップ制度専門タスク・フォース介護人材ワーキング・グループ第1回会合「介護人材の現状(2010年12月7日)」
 しかし、離職率が高い理由は待遇の悪さだけではない。
職員の「仲の悪さ」が離職につながる
• 他業界の新卒と比べると初任給は高い。ただ、5〜10年後のステップアップに向けたプロセスや給与体系を作る必要がある
• 厚生労働省との交渉に際して、「職員はこんなに仕事に苦労していて大変なのに、給料を上げられない」と強調した。象徴的だったのでマスコミが報じた。しかし、これによって介護業界のイメージがダウンした
 離職の理由として、「給与・待遇」以外の面に着目したい。インタビューでは経営者自らが理由として職場の雰囲気を挙げた。確かに介護は生活全般を舞台にしている。職員の連携や、外部との協力関係がなければ成り立たない。職場の人間関係が重要な鍵を握る。
• 職員同士で人間関係がうまくいかなかったことがつらかった
• 職員のコミュニケーションに苦労する。他の職員の目を気にして仕事している時がある。例えば、利用者と会話を楽しんでいると、「何をゆっくりしているの? こっちは忙しく動いているのに...」という周囲の目が気になる
• 職場の人間関係に悩んでいる人は多い。仕事以外の要因で愚痴を言い合い、当初の志を忘れてしまう。介護業界の場合、離職率の高さに結び付いている。愚痴がエスカレートして、職場を辞めていく
 先の介護労働安定センターの調査でも、離職理由を聞いた設問(複数回答可)で、「法人や施設・事業所の理念や運営の在り方に不満があった」(24.5%)、「職場の人間関係に問題があった」(23.4%)という回答が上位を占めており、「収入が少なかったため」(20.3%)という回答を上回っている。早期離職防止策を聞いた設問(複数回答可)でも、「仕事上のコミュニケーションの円滑化を図っている」という答えが64.1%でトップとなった。
 インタビューでも「一度は業界を離れたけど、忘れられずに帰って来た」といった人も少なくない。業界内の転職が多い点も見逃せない。「介護業界=低賃金=離職率が高い」という一般化した構図とは異なる現実も見てとれる。
(3)「介護は『施し』である」というイメージ
 「介護業界=施し」というイメージも、現実とは違う。サービス提供者が限定されている医療保険と違い、介護は社会福祉法人だけでなく、民間企業やNPO(民間非営利団体)、農業協同組合など多様な団体が参入しており、サービス継続のため相応の利益を出すことが求められる。利益優先でケアがないがしろにされてはならないが、「施し」という観点だけでは継続しない。言い換えれば、本質的には他のサービス業と何ら変わることはない。サービス水準の質を証明するISO(国際標準化機構)の規格を取得した施設長のコメントは、サービス業としての側面を示唆している。
• 安心して利用してもらうには、サービスの質が見える形にしなければならない。ISOはルール通りにサービスを提供されているか、改善できる所があるのか、第三者が監査するもので、サービスの中身を外から見やすくしてくれる
 民間業者がニーズをくみ取って、保険外のサービスを拡大していることも注目に値する。インタビューでも高齢者の自宅に食事を届ける配送や買い物代行、宿泊付きデイサービス、足湯、葬儀支援、音楽療法などが生まれていることが分かった。「介護=施し」という従来の見方では捉え切れない市場が広がっていることは注目すべきだろう。
リーマンショックで男性ヘルパー急増
 単なる「施し」と考えるべきではない、もう1つの理由として、雇用の受け皿としての機能がある。表3を見ると、介護職の従事者は、高齢化社会の到来で年々増えており、今後も増加が予想される。さらに、インタビューでは就職の動機を問う質問に対して、「高校生のころから、漠然と福祉業界に行くことを考えていた」といった最初から思い入れを持っていたケースだけでなく、「離婚して手に職を付けたかった」「高齢者の待遇を変えたいと思ったので、無資格だったが介護の世界に飛び込んだ」といった多様な回答があった。こうした傾向からは、就職するハードルが低いことがうかがえる。介護労働実態調査でも、前職を聞いたところ、「直前は介護以外の仕事」と答えた人が61.1%に上っている。
 言い換えれば、労働集約産業で人手を要するだけに、資格や経験、年齢を問わず参入できる。インタビューでは、「他の業界が不景気になると、職員の人材獲得が容易になる。リーマンショック以来、職員確保は一時的に楽になった」「ここ1年ぐらいで男性が増えた印象がある」との声が出ていた。表4を見ても、失業率が上がると介護分野の有効求人倍率が大幅に下がる傾向が見られ、不況下では雇用の受け皿として機能していることがうかがえる。
 介護業界を単なる「施し」と見るのではなく、サービス産業としての側面も重視する必要がある。
表3 介護職従事者の推移

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120605/232951/03.jpg
(注1)介護職員とは、直接介護を行う従事者であり、訪問介護員も含む。
(注2)各年の介護サービス施設・事業所調査の数値の合計から算出しているため、年ごとに、調査対象サービスの範囲に相違があり、以下のサービスの介護職員については、含まれていない。(訪問リハビリテーション:平成12〜21年、通所リハビリテーション:平成12年、特定入居者生活介護:平成12〜15年、地域密着型介護老人福祉施設:平成18年)
(出所)厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会「介護人材の確保と処遇の改善策について(2011年5月13日)」
表4 介護分野の人材確保と労働市場の動向
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120605/232951/04_s.jpg
(出所)厚生労働省 今後の介護人材養成の在り方に関する検討会「介護職員に占める介護福祉士の割合について(2010年12月22日)」
 では、こうした実態を踏まえて、制度改革の方向性を考えてみよう。具体的には、以下の点を中心に見ていく。
(1)民間主導のサービス拡大に向けた規制、報酬体系の見直し
(2)医療・介護連携に向けた関係者同士の情報共有促進
 まず、民間主導で様々なサービスが生まれてきている流れを、より加速することが重要である。このための環境整備を進めていくべきだ。
団塊が要介護になり、欲求と不満が激増する?
 国や自治体は、「制度を整備して、サービスを展開して貰う」と考えがちである。だが、これまで見てきたように、民間は利用者ニーズに沿って、配食サービスや葬儀支援など「混合介護」として保険外のサービスを次々と生み出している。制度の運営を重視する国や自治体と、日頃から利用者に接している現場では、視点がまったく異なる。さらに、インタビューで出た以下の指摘は、サービスの多様化を予感させる。
• 今の利用者は「食事をとることができる」「清潔で安全な所で生活できる」ということだけで満足してくれる。ところが、様々な趣味・趣向を持つ団塊世代が介護保険を利用するようになると、やり方を変えなければ残っていけない
• 今の利用者はモノを言わない世代。我慢していることを現場で痛感する。しかし、団塊世代が介護保険を受給する状況になると、不満が多々出てきて、保険外のサービスが生まれてくる
 一方、財政状況を考えれば、介護保険の対象が縮小していく流れは止まらない。低所得者や重度の患者に対するセーフティーネットとしての介護保険サービスは必要だが、軽い要介護度の高齢者を中心に、公的サービスのカバー範囲は縮小することは避けられず、その穴を埋める存在として民間などの保険外サービスが果たす役割は大きい。
 しかし、現在は3年に1度の介護報酬改定のみならず、政令レベルでルールが頻繁に変更され、インタビューでも「見直しのたびに、報酬体系がゴロッと変わる。我々が新しく覚えなければならないし、利用者に説明しなければならない」「改正ごとに請求の様式が変わり、システムを直すのに無駄金を使っている。だったら、単純に分かりやすいシステムにしたらいい。ストレスは法改正の度に付きまとう」といった批判が出ていた。
 すでに、介護報酬の変更で事業者を誘導する手法は限界を迎えているのではないか。
 制度改正のたびに新たなサービス体系が追加された結果、サービスや施設の類型は細分化されており、似たようなサービスを違う体系で実施しているケースは少なくない。制度が複雑になると、利用者にとって分かりにくく、サービス供給主体もニーズではなく、制度に合わせてサービスを提供する。そして、ニーズとサービスが乖離し、そのギャップが広がってしまう。
認知症の人からもニーズはくみ取れる
 医療と介護が連携する必要性は、以前から指摘されてきた。厚生労働省は「地域包括ケア」と定義し、生活上の安全・安心・健康を確保するため、医療や介護、福祉サービスなど様々な生活支援サービスが日常生活の場で適切に提供できる体制の整備を目指している。概ね30分以内で駆け付けられる中学校の区域を想定したものだ。
 これを受けて、今年4月の介護報酬改定では「定期巡回・随時対応サービス」などの仕組みが整備された。しかし、制度だけで現場が動くわけではない。医師や看護師、介護職など関係者の間で十分な意思疎通が図られ、利用者を中心に関係者が連携する「チームケア」の体制が整備される必要がある。その点で言えば、インタビューの中で、ケアマネージャーがチームケアについて述べた次の発言は注目に値する。
• 「チームケア」が上手く行った時に喜びを感じる。昔は医師を中心とするタテ社会だったが、医者が同じ目線で相談してくれるとうれしい
• 困ったことが新たにいろいろと出てくるけど、チームに団結力が出てくると、「やっててよかった」と思う。まとまっていくチームは、苦労しなくても自然とまとまるのでおもしろい
 しかし、医療と介護の連携は、現状では円滑に進んでいない。この点は老人保健施設の施設長や訪問看護ステーションの経営者が述べた以下の発言が物語る。
• 認知症になった人が独居だったら、過去の病歴が分からなくなる。「この人、認知症だから、わけ分かんないんだ」という考え方じゃなくて、「認知症だからこそ、どうアプローチしたらいいのか」と考えることが必要。性格、生活歴、生い立ちを知ることが大切だ
• 地域に大病院があるがゆえに、在宅レベルで横のつながりが薄い。病院は「一カ所完結型」。横で連携していくことが必要なのに。喉につかえる感覚があり、病院に行ったら消化器の先生が対応してくれたが、この時は胃カメラがスムーズに喉を通ったため、今度は耳鼻科に行くと「自分の守備範囲ではない」と言われた。その後、別の病院で処方された血圧の薬が喉につかえたため、苦しくなって耳鼻科に駆け込み、食道がんと判明した。半年間、「喉が詰まる」と言い続けたのに、病院は診断がつくまで何のアドバイスもない。暮らしの部分と生命に関わることと、一緒に考えて相談にのる所がない
 つまり、医師は目先の病状に対処するばかりで、病歴や生活習慣などに関心を持たず、介護職との情報のやりとりも考えていない。こうした状況下で、医療と介護の連携は「絵に描いた餅」になりかねない。関係者が気軽に意見交換できるような、日常の交流が必要である。
 介護職にも問題が指摘できる。介護現場は生活を舞台にしており、利用者の状態やニーズは千差万別である。一方、介護職員のスキルも、性格や経験によって大きく異なる。そのため、10人の高齢者に対して10人の介護職員がケアすれば、100通りのやり方があると考えるべきだ。
 たとえケアの相手が認知症患者であっても、人格や個性、記憶が完全に失われるわけではない。だから、辛抱強く聞き出し、対応を考えることが求められる。
 同時に、介護職には、常に他の介護者の手法や考え方を学び、取り入れつつ、自己変革を繰り返す柔軟さが求められる。この意味でも、現場の介護職員が交流・連携する意味合いは大きい。
 職場の交流が少ないことは、離職の主因にもなっている。それだけに、高齢者を中心に、介護と医療の関係者が、交流や情報交換を活性化させていくことは、「高齢者問題」をプラスの方向に推進させる一歩となり、高い効果が期待できるだろう。その時、メディアを通して固定化しつつある「歪んだイメージ」も、払拭されていくに違いない。
(この記事は、有料会員向けサービス「日経ビジネスDigital」で先行公開していた記事を再掲載したものです)

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コメント
 
01. 2012年6月06日 11:25:37 : w18f1GkoJs
経営者の考え、態度にもよるみたいです。身内を預けている介護施設は以前から感じは良かったのですが、手続き上の問題を起こして行政処分を受けた経営陣を一掃して、新たに再生してからは、スタッフによる「民主的な自主経営」のようなことになっています。以来、皆さん、いっそう生き生きとして熱意を持ってやってくださっているので、感謝しています。

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