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Financial Times
スリム化図る日本の電機大手に落とし穴
苦戦するコングロマリット(複合企業)が不採算事業の売却により形勢好転を図る中、日本の半導体メーカー2社の問題は、同国のハイテク産業の再編機運に潜む危険を浮き彫りにしている。
エルピーダメモリとルネサス エレクトロニクスの2社の苦境は、専門家が、日本で一般的な事業再編手法の弱点と見なすものに端を発している。すなわち、不採算事業を分離し、競合企業の事業と統合させる手法だ。
ソニー、日立製作所、東芝といった大手メーカーは、かつて看板商品だったテレビなどから得られる売り上げの激減に直面し、スリム化に向けた取り組みを強化している。
前代未聞の資産売却を進める日本企業
ディールロジックによると、日本のハイテク企業は昨年、前代未聞となる132億ドル相当の資産を売却した。従来の過去最高額のほぼ2倍、それに先立つ10年間の平均額の3倍に達する規模だ。専門家はかねて、日本の経営者は、技術や市場が変わり、利益を出せなくなった事業をなかなか手放さないと批判していた。
2012年3月期決算ではパナソニックが7720億円、ソニーが4570億円の赤字を計上した。主に、安価な韓国、台湾製品に押されたテレビ生産事業の不振が招いた結果だ。日本の電機大手8社の純損失は、合計で1兆6000億円に上った。パラグアイの国内総生産(GDP)にほぼ匹敵する額だ。
「日本企業はできる限り、こうした(リストラの)判断を避けようとする」。ゴールドマン・サックス証券のアナリスト、松橋郁夫氏はこう言う。「今では、バランスシートのせいで選択の余地がなくなった」
日本企業は大きく分けて、2つの方法で資産を売却している。1つ目は、全面的な事業売却で、時には外国の競合企業に売ることもある。雇用と技術を国内にとどめるよう迫る圧力が強かった日本では、比較的新しい現象だ。
2011年初め以降の大規模な案件としては、日立がハードディスク駆動装置(HDD)事業を米ウェスタン・デジタルに売却した一件や、傘下の三洋電機の白物家電事業を中国の海爾集団(ハイアール)へ譲渡することを決めたパナソニックの決断、ソニーが韓国・サムスン電子との液晶パネル合弁事業を解消し、50%の持ち株をサムスンに売却した件などがある。
問題の事業がそもそも「国産」でない場合は、この手の事業売却が容易になる。例えば日立のHDD事業はもともとIBMから取得したものだったし、ソニーとサムスンの合弁会社は韓国に本拠を置き、サムスンが運営していた。
2つ目のタイプの資産売却では、同じように問題のある事業を抱えた複数の企業が、事業を1社に統合する形を取る。エルピーダもルネサスも、NEC、日立、三菱電機が所有する異なるタイプの半導体生産施設の融合により誕生した企業だ。
こうした統合の論理は、規模の拡大によるコスト削減だ。批判的な向きは、このような事業統合は、競争力と経営効率の根本的な問題に対処するのを避ける手段であることが多いと指摘する。
こうした防衛的な提携で誕生した企業は、お粗末な実績しか上げていない。NEC、カシオ計算機、日立の3社が設立した携帯電話メーカー、NECカシオモバイルコミュニケーションズは昨年、売上高が当初目標を44%下回った。
半導体の分野では今、まさに日本が1980年代に米国から市場シェアを奪ったように、台湾と韓国のメーカーが日本企業からシェアを奪っている。エルピーダは1999年以降の一連の合併で誕生し、今年2月に会社更生法の適用を申請するまで日本で唯一のDRAMメーカーだった。
時間稼ぎになっても、根本的な効率改善にはつながらない
ルネサスは2002年に設立され、デバイスを制御するシステムLSI(大規模集積回路)を生産している。昨年は626億円の純損失を計上しており、現在、銀行や投資家に対し、人員の4分の1を削減し、最大で1000億円増資する計画を説明している。
M&A(合併・買収)専門のあるバンカーは、事業統合は「2〜3年程度の時間は稼げるかもしれない」としつつ、日本のハイテク業界の競争力を根本的に向上させることにはならないだろうと話している。「これは効率改善に対する日本の経営者の意志の表れではない」
By Jonathan Soble
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