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地球の資源はそれほど早くは枯渇しない
2012年 6月 5日 11:44 JST
地球の鉱物資源は枯渇しつつあるのだろうか。
ニッケルやプラチナなどの重要な金属を小惑星で採掘するという、最近広範囲に公にされている諸提案は、一つには地球の資源が遠くない将来に欠乏するとの見方が背景にある。
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Reuters
インドネシアのニッケル処理工場
新たな資源を見つけるためのソナー、レーダー、それに掘削技術の能力に関してと同じように、どの程度の量があるのかも議論の余地があるところだ。こうした技術は、人口膝関節、送油管から触媒コンバーター、iPad(アイパッド)に至るまで、高まり続ける文明の貪欲さにはついていけていないようだ。
米グーグルのペイジ最高経営責任者(CEO)と映画監督のジェームズ・キャメロン氏は4月、地球の資源は間もなく、100億に向かう世界の人口の技術的必要性を満たせなくなるとのメッセージとともに、ワシントン州のベルビューにプラネタリー・リソーシズ社を作った。
世界最大級の鉱業用機器メーカー、米キャタピラーは既に、米航空宇宙局(NASA)とともに宇宙鉱業設備の設計に取り掛かっている。同社のインテリジェンス・テクノロジー・サービシズのマネジャー、ミシェル・ブルボー氏は「月面や鉱業用途で使用できる同じタイプの技術を使った自立稼働設備を目指している」と話した。
しかし、地球での鉱業に資金を投じている企業は、地球は大きな、事実上無尽蔵の鉱山であり、宇宙と同じほど多くの未探査の場所があるとしている。英豪系の鉱業会社BHPビリトンの非鉄部門のCEOで地質学者のアンドルー・マッケンジー氏は「地球には文明のための鉱物があと1万年分残っている」との見方を示した。同氏は「もちろん文明は変化し、今とは異なった鉱物も出てくるだろうが、1万年以上分はある」としている。
一部の鉱物はより豊富にあり、世界の一部地域にはもっと多くの鉱物がある。米地質調査所(USGS)の推定では、世界にはカリが610年分あり、何世紀にもわたって化学肥料を製造でき、鉄鉱石の確認埋蔵量は590年分に達する。全体では地球には約136年分の銅があるが、オーストラリアにはそのほんの一部しかなく、USGSは同国が世界に銅を供給できるのは数年間だけではないかと見ている。一方で、南米には銅埋蔵量のほぼ半分がある。
化学者らによると、海洋を子細に調べて見ると、そこでは1000万トン、金額にして500兆ドル(3京9200兆円)の金を採掘できる可能性がある。ドイツのノーベル化学賞受賞者フリッツ・ハーバー氏は1920年代に、第1次大戦後にドイツが抱えた債務を返済するのに十分な金を海から採取できると考えたが、試してみることを政府に説得することもできなかった。
カナダ・オンタリオ州の鉱業会社HTXミネラルズのスコット・マクリーンCEOは「地球に鉱物を供給するのに宇宙の小惑星に依存しなければならないなんて想像もできない」と述べた。同CEOは、そのアイデアは「面白いし、こうしたことを考えるのは幻想的だ」としながらも、「地球の鉱物資源は膨大であり、その供給は数千年間続く」と指摘した。
化学元素はどこにでもある。企業は鉱床が採掘に見合うだけの十分な鉱物を有しているかどうかを判別するために上空からの地質学的マッピングとコアサンプル採取のための掘削を行う。採掘に見合う鉱床は「可採粗鉱量(reserve)」となり、その他は「埋蔵鉱量(resource)」となる。
大体において、可採粗鉱量にはある1カ所に極めて集中的に鉱物が集まっており、これは化学者や地質学者らが「地殻存在度(crustal abundance)」と呼ぶ、一定の岩盤中の鉱物の量を大きく上回る。例えば銅の場合は、採掘に見合っていると判断するには、平均的地殻存在度0.006%という自然レベルの50倍が確認されなければならない。金では1000倍が必要だ。このような集中的な鉱物の存在は、金属を含んだ熱い流体を地殻にまで押し上げる火山噴火や地殻変動、浸食、あるいは大規模な堆積移動などの地質学的事象によって生じる。
地殻は3〜30マイル(4.8〜48キロメートル)の厚さがあるが、ほとんどの場合、掘削されるのは表面から半マイル(800メートル)だけだ。スウェーデンのコンサルティング会社ロー・マテリアル・グループの上級パートナー、マグナス・エリクソン氏は「鉱物採取のために削っているのは表面だけだ」と指摘した。コロラド・スクール・オブ・マインズのエコノミスト、J・E・ティルトン氏は、氷山の一角を見ただけでも埋蔵量の推定値は相当なものだとし、「現在の消費ペースでいけば、地球の地殻中の銅は1億2000万年、鉄鉱石は25億年持つ」と述べた。ただ、これには採掘コストは考慮されていないという。
鉱業会社は地球上にはグリーンランドやカナダの北極圏、モンゴル、それに海底など、ほとんど開発されていない多くの場所があるとしている。水中ロボットを用いれば、海底の「ブラックスモーカー」による鉱床から鉱物を掘り出すことができる。ブラックスモーカーは、銅、金、その他の金属を含んだ熱水を海底から噴き出している煙突状のもの。パプアニューギニア沖合の海底では2010年代末までに銅の採掘が始まる見込みだ。
陸上について鉱山会社のエンジニアたちは、鉱物を溶解してそれをパイプで吸い上げたり、高圧の水を放射して鉱石を抽出したりする新しい技術によって可採粗鉱量が増える可能性がある、と述べている。
記者: John W. Miller
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#短期間で枯渇も無尽蔵もコスト次第
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