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〆「構造改革派は、ギリシャには構造改革が必要と説く。構造を改革して競争力を付けるというのである。頭で考えるとそうであるが、ギリシャ人がドイツ人のように勤勉に働くようになるとは思えない。「構造」とは変わらないか、あるいは変わりにくいものを指す言葉である。それを簡単に変えられるような錯覚を人々に与えてきたのが構造改革派の論客達である。」・・と筆者が言う。
ギリシャ文明はギリシャ人の文化がはぐくんだものだ。
そのギリシャ人に市場原理をかざして、旧来文化を捨てろと迫るグローバル金融資本!!
他方、ドイツ人にもゲルマンの文化があり、メルケルはグローバル金融との摺りあわせに苦心している。米国・英国・豪州などのアングロサクソン諸国を除けば、世界の国々は、同じ匕首を突きつけられているようである。
米国・英国・豪州などは植民地主義の成りあがりで、ナショナルアイデンティーは虚ろであり・・汎ユダヤ教的なのである。
「ギリシャのギリシャ化」が問いかけているものは、「日本のTPP化」議論にも通底している。
ギリシャの苦渋を敷衍すかのように、北欧ケルト文化圏のアイルランドが苦渋の「文化選択」をさせれたのである。
(本文始まり)
@増税を論議している場合ではない
今日、日本のマスコミは「消費税増税」に人々の関心を向けようと必死である。しかし一般の人々は「増税」とか「財政再建」と言ってもそれほど関心を持っているわけではない。ワイドショーが取上げるのは「女性タレントと占師」や「演歌歌手の事務所問題」であり、最近では「芸人の親の生活保護費受給問題」である。
人々は消費税増税が、一部の政治家や官僚の功名心や意地といった「つまらない」もので押し進められていることを見透かしている。いくら首相が気骨のある政治家を気取って「不退転の決意」と言っても、一向に内閣支持率は上がらない。また増税騒動が政局絡みであり権力闘争ということも人々は知っている。
増税法案が通るかどうかは野党自民党の動きにかかっている。今日の自民党の執行部は財政再建派と構造改革派の残党で構成されている。民主、自民の二大政党がこれで、第三党を目指す「みんなの党」がガチガチの構造改革派では日本国民に救いはない。(中略)
@ギリシャのギリシャ化
ギリシャの政界は混乱している。選挙の結果、過半数を占める勢力が出来ず再選挙となった。ギリシャ国民は「緊縮財政」はいやだけど「ユーロ離脱」も避けたいと思っている。しかしこれは実現が困難な願望である。(中略)
ギリシャ人は、働くことが嫌いというより、働くことにあまり価値を置いていないように見受けられる。公務員も数時間働くと仕事を止めてさっさと家に帰ってしまうという。日本人から見れば「怠け者」と思うかもしれないが、全体的にヨーロッパの人々は、ギリシャ人と同様、あくせく働かない。特に人が嫌うような3Kの仕事は移民にまかせている。勤勉と言われるドイツ人でさえも日曜日には店を開けない。
ただそのような欧州にあっても、ギリシャ人の働きの悪さは際立っているようである。そのような点が支援を求められているドイツ人の反感をかっている。
★構造改革派は、ギリシャには構造改革が必要と説く。構造を改革して競争力を付けるというのである。頭で考えるとそうであるが、ギリシャ人がドイツ人のように勤勉に働くようになるとは思えない。当コラムで筆者が昔から言っているように、「構造」とは変わらないか、あるいは変わりにくいものを指す言葉である。それを簡単に変えられるような錯覚を人々に与えてきたのが構造改革派の論客達である。
ただ多少なりともギリシャ人の行動パターンを変えることは可能と考える。そのためにはユーロからの離脱であり自国通貨のドラクマの復活ということになる。おそらくドラクマは暴落する思われるので輸入品はばか高くなると思われる。輸入品の価格がばか高くなれば、ギリシャ人は自分達で「物」を作ろうということになると思われる。ただ通貨の変更には混乱が伴うことを覚悟する必要がある。
産業技術が進歩し、人手をあまり使うことなく、大量に耐久性のある製品が製造される今日である。また技術進歩は、製造現場だけでなくあらゆる分野に広がり、世界は全体的に人手をあまり必要としなくなっている。毎年10%の経済成長を続けている中国でさえ失業が深刻な問題になっている。
また日・独・米の金利が0.8〜1.5%と世界的に金利が低下している。ところがこれだけ金利が低下しても先進国では設備投資が活発にならない。筆者はこの傾向は今後もずっと続くと見ている。この金利の動きから判断し大胆な発言をするなら、★少なくとも先進国では収益を求める民間の設備投資はこれ以上必要ないということになる。たしかに新興国や発展途上国は、今しばらくは民間投資が必要とされる。しかしそのうち先進国と同様、これらの国々も過剰設備を抱えることになろう。
★考えて見ればこのような状況は決して悪いことではない。人手をかけず消費物資が生産され、設備投資もさほど必要としない時代がやって来たということである。
それなら人々は労働時間をどんどん短くすれば良いと思われる。★まさに今日のギリシャの姿はある意味で理想の社会の到達点なのである。ただギリシャの場合の問題は、経済的な裏付けがないままギリシャ化したことである。
●アイルランドの国民投票大差で承認・・EU「財政協定」へ参加
http://electronic-journal.seesaa.net/
2012年6月1日、アイルランドでは欧州連合の新条約「財政協定」へ参加するかどうかを問う国民投票が行われたのです。その結果、賛成が60.3 %に達し、新条約を批准する手続きに入ることになったのです。
この新財政協定は、ユーロ圏17ヶ国中12ヶ国の批准を経て2013年1月に発効することになっています。これは2012年3月にEU27ヶ国中25ヶ国が署名していますが、アイルランドは国民投票で参加を問うことにしたのです。
なぜなら、アイルランドの場合は、新条約の内容が憲法の規定にかかわることと、参加反対を表明する国民が30%近くに達していたため、ケニー首相は国民投票に踏み切ったのです。
アイルランドは、2008年のリーマンショックで不動産バブルが崩壊し、巨額の不良債権を抱えた銀行を政府が支援したので国の財政は急速に悪化したのです。そこで、2010年11月にEUやIMFから総額で850億ユーロ(約8兆5000億円)の支援を受け、再建に乗り出していたのです。
しかし、その支援は2013年で終了するものの、再建は道半ばで、国民は厳しい緊縮財政にあえいでいたのです。3回にわたる賃下げ、増税、福祉手当のカットなど、とても耐えられないと不満を訴える国民が多数を占めるようになっていたのです。
新財政協定のポイントは、政府予算が均衡または黒字であるよう数値基準で義務づける「黄金律」をクリアすることです。毎年の財政赤字のGDP比を次の一定範囲に内に収めることです。
2010年当時アイルランドは、財政赤字の対GDP比が30%を超えていたのです。アイルランドはこれを2011年には9.4 %にまで圧縮しているのです。
今回の新財政協定は、その内容がかなり厳しくなっています。
条約締結国に上記の黄金律数値に基づく中期財政目標を立てることを求め、それから大きく逸脱する場合、所定の期間内にそれを是正する措置の実施を国内法、可能であれば憲法により施行する義務を負うと定めているのです。もし、その対応を怠ったとEU司法裁判所がみなせば、制裁金を課することも可能なのです。
これまで、新財政協定の批准には次の3つの不安要素があるといわれてきたのです。
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1.フランス大統領選挙で、社会党のオランド候補が大統領
に就任する
2.新財政協定参加を問うアイルランドの国民投票で、反対
多数になる
3.オランダやフィンランドで反EU政党の勢力のため批准
が難航する
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1については、オランド氏がサルコジ氏を破って大統領に就任しており、新財政協定の内容変更を求めています。これは今後の波乱要素になります。
2については、上記で述べたように、かなりの大差で国民投票は新財政協定順守ということで民意は示されており、批准はスムーズに行われると思われます。
3については、今後の波乱要素になると思われます。それにドイツでも連邦議会と参議院のそれぞれで3分の2以上の多数決を要するので、野党の支持が必要であり、これも波乱要素です。
アイルランド国民にとって今回の新財政協定受け入れは、苦渋の決断であったと思われます。なぜなら、もし受け入れなければEUがこの7月に作るESM(欧州安定メカニズム)の支援が受けられなくなると警告されていたからです。
アイルランドの国民の本音は、次の主婦の発言に込められていると思います。
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アイルランドは何百年も英国に支配された。やっと独立したの に、ドイツに経済を乗っ取られてたまるか。
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★アイルランドは、2001年と2008年にEUの基本条約をいったん否決し、再投票で可決した経緯があるのです。不透明なEUの政策決定に強い反発を内に秘めているのです。(抜粋)
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