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http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35336 Financial Times
中国に新天地を求める日本企業
2012.05.31(木)
中国で働く日本人ビジネスマンやビジネスウーマンは最近、愚痴のネタには事欠かない。何しろ中国の官僚の行動は予測がつかず、道路は渋滞し、物価は上がり、スモッグは分厚くなる一方なのだ。
急増する対中直接投資
しかし、そのせいで商談が流れてしまうことはない。日本から中国への直接投資はここ数年比較的落ち着いていたが、中国商務省の統計によれば2011年には50%近い伸びを示し、63億ドルに達したという。中国の統計データは完璧にはほど遠い。例えば、外国からの投資は香港経由で大量に行われている。
しかし、昨年の日本の統計では、これを上回る伸びが記録されている。何かが起きていることは明らかだ。
日本貿易振興機構(ジェトロ)北京事務所の箱崎大氏は、長らく検討してきたプロジェクトについに着手した日本企業がいくつかあると話している。日本の国内市場の成長が弱々しいために企業の目が海外に向けられていることは間違いない。
また劇的な円高が進んだせいで、保守的な輸出業者でさえ海外への生産移管を検討せざるを得なくなっている。円高により海外投資が割安に見える面もある。
さらに、中国と日本のビジネス上の関係は単に成長するだけでなく、間口が広がりつつあり、奥行きも増している。
中国進出に意欲を見せ始めた中小企業
中国企業は少しずつ日本に投資し始めており、日本のサービス業――コンビニチェーンから衣料品販売に至るあらゆる分野――の企業は、まだ開発があまり進んでいない内陸部の2番手、3番手クラスの都市にも進出し始めている。サービス業の企業は「新しいフロンティアを探している」と箱崎氏は言う。
しかし、恐らくこれ以上に重要な変化は、中国に事業拠点を設けようという意欲が日本の中小企業の間で強まっていることだろう。
多くの中小企業にとって、これはまだおいそれとは踏み出せない一歩だ。日本の中小企業は「ものづくり」の技量、すなわち真面目な従業員が数十年にわたって磨きをかけてきた製造・生産技術に対して、ほとんど宗教的な誇りを持っている。
このため、気まぐれかもしれない中国人労働者に頼ると、長い時間をかけて積み上げた品質面の評判と細心の注意を払って培った技術の両方を危険にさらしてしまいかねない、と危惧している。
筆者が訪れた京都市内のある小さな機械メーカーの幹部は、大口顧客が中国に生産を移管してから、自らも海外に拠点を築くことを同僚とともに「ずっと考えている」と打ち明けた。しかし同社はまだ、外国で開かれる見本市に担当者を派遣し始めることを決めたにとどまっているという。「うちはあまりリスクを取らないんだ」
こうした慎重さは京都では普通に見受けられる。ここには数百年の歴史を誇る企業もいくつかあり、利益成長の最大化ではなく事業を将来の世代に残すことが自分たちの長期的な目標だと考えているオーナーや経営者も少なくない。
京都のトライテックに見る大胆なアプローチ
しかし、そこからしばらく電車に揺られて郊外に足を運んだところ、より大胆なアプローチに取り組む企業に出合うことができた。創業約30年のトライテックはアクリル板の加工などを手がけるメーカーで、以前は京都で携帯電話端末やテレビ、DVDプレーヤー向けに高精度なパネル板や枠を製造していい商売ができていた。
ところが近年、テレビの製造や多くの家電製品の組み立てが日本から外国に次々移管されたことを受け、同社の日本での売上高はピークだった2008年の約10億円から昨年の4億4000万円へと半減した。日本での従業員数も110人から30人に減った。
「まあ、ちょっと寂しいよね」。トライテックの創業者、奥野修社長はそう話す。しかし、もし中国に工場を建設していなかったら、会社の状況ははるかに悪くなっていただろう。深センにある同社の工場には現在、奥野氏の後継者である息子――今では北京標準語を流暢に話す――を含めて150人が働いている。中国での昨年の売上高は80億円に達したという。
海外での販売活動は、中小企業にとってはなかなかクリアできない難しい課題だ。しかしトライテックは、中国に数多く進出している日本の大手メーカーに売り込みをかけるべく、日本の商社と手を組んだ。
その意味でトライテックは、海外進出を検討しているほかの中小企業のモデルになり得る存在だ。中国の事業をクッションにできた同社は、日本国内の事業の転換を試みる時間を手に入れた。新事業の土台は、アクリルを使った独自製品の開発・製造になるという。
例えば同社では、発光ダイオード(LED)のバックライトがついたトレース台を作り、インターネットを使って単価1万円で顧客に直接販売している。
中国進出も万能薬にはならず
しかし奥野氏は、それで安心とはいかない。日本で製造して直接販売する新製品は利益率こそ高いものの、事業規模がまだ小さいからだ。おまけに、中国での売り上げもピークを越えた可能性がある。
日本から管理職をほんの2〜3人派遣しただけでも、ますます高度化する現地企業のコストの安さにはほとんど太刀打ちできない。また、トライテック製の部品を使う日本企業の仲間意識に頼ることもできなくなっている。最近では、顧客の現地工場の購買部長が中国人であることも多いからだ。
5年後には中国市場でほとんど競争できないかもしれない、と奥野氏は考えている。もしそうなれば、中国の工場は、日本における新製品への需要増に応えるために使うことになるだろう。行く手にはいくつもの難題が待ち受けている。日本の中小企業にとって、中国進出は会社を救ってくれる可能性があるが、決して万能薬ではないのである。
By Mure Dickie, the Financial Times's Tokyo Bureau Chief
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120601-00000123-mai-bus_all
<円・人民元>初日取引量は98億円 直接取引始まる
毎日新聞 6月1日(金)21時51分配信
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円と元の直接取引が始まり、画面に表示された為替レート=東京都中央区のトウキョウフォレックス上田ハーローで2012年6月1日午前10時44分、手塚耕一郎撮影
円と中国人民元の直接取引が1日、東京と上海の外国為替市場で始まった。市場関係者によると東京市場で初日に取引された人民元の取引量は約8億元(約98億円)。「初日としてはいい滑り出し」(関係者)との評価があるものの、現状ではドルを介した取引が圧倒的に大きい。手数料引き下げなど直接取引によるメリットを実現するには、一層の取引拡大が求められる。
【図で見る】円と人民元の取引
東京市場ではこの日、1元=12円33銭近辺で初値をつけた後、やや円が買われたが、大きな変動はなかった。一部、大手商社の注文を受けた取引もあったという。上海市場でも1元=12円30銭近辺で推移し、東京市場との開きはなかった。
直接取引で期待されるのは手数料引き下げによる人民元の調達コストの削減だ。従来は円と人民元を交換する際、いったんドルを介していたため、円→ドル、ドル→人民元と2回交換する必要があった。これが円→人民元の1回で済むことになり、ドル変動による為替リスクもなくなる。
為替手数料は、銀行が提示する交換レートの売値と買値の差額で示される。この日スタートした直接取引では、この差が1元あたり0.35〜1銭程度で、従来取引とほとんど変わらなかった。
東京市場の人民元の取引量は、ドルの2000分の1に過ぎない。取引量が少ないため、銀行は人民元を安く調達できず、手数料を引き下げられないためだ。日中貿易における決済通貨は現在、ドルが6〜7割を占めており、人民元は1%に満たない。しかし、今後は人民元需要が増えると見込まれる。
みずほコーポレート銀行国際為替部の白木成尚氏は「現状はまだ取引量は小さいが、潜在的なニーズは強い。取引が増えれば収益の機会も増え、顧客に利益を還元できる」と期待している。【窪田淳、北京・井出晋平】
http://mainichi.jp/select/news/20120531k0000m020058000c.html?inb=yt
円と人民元:直接取引6月1日スタート 貿易拡大に期待
毎日新聞 2012年05月30日 21時17分(最終更新 05月31日 01時21分)
円と人民元の取引
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円と中国の通貨・人民元とを直接交換する為替取引が6月1日から始まる。これまで元は流通量の多い米ドルを仲立ちにした間接取引が中心で、ドル以外の先進国通貨との直接取引は円が初めて。日中貿易の拡大が期待されるほか、ドルを基軸とした世界の通貨体制にも一石を投じることになりそうだ。
日本にとって中国は最大の貿易相手国。対中貿易額は27兆5400億円(11年)で、この10年で2.5倍に膨らんでいる。ところが、お金の受け渡し(決済)の際、いったん円や元をドルに交換しているため、為替取引の手数料が二重にかかってしまう。交換レートがドル相場の変動に左右されるリスクもある。
このため日中両政府は昨年12月、円元の直接取引の拡大で合意。三菱東京UFJ銀行など3大銀行グループなども29日、直接取引への参加を表明した。
ドルの仲立ちがいらなくなれば、輸出企業や中国を旅行する個人が円と元を両替する際の手数料が安くなる可能性がある。元建て債券などの金融商品が増えることも予想され、大手行幹部は「企業の資金調達の幅を広げる」と期待する。
ただ、東京市場と上海市場の取引の仕組みは同じでない。東京市場では取引に参加する銀行が交換レートを提示し合い、折り合ったところで売買が成立する。その際、価格変動幅への制限はない。一方、上海市場では、中国政府に指定された取引参加行が毎朝提示する交換レートの平均値を基準に、上下3%の範囲内で取引しなくてはならない。
6月以降はこれまでのドルを挟んだ市場に加え、規制のない東京市場、規制のかかる上海市場も用意されることになる。しかし、邦銀などからは「しばらくは市場の取引量が多く使い勝手のいいドルを介した市場が中心になる」と冷ややかな指摘も。中国には国境をまたぐ資本取引への規制が依然として多いこともあり、直接取引が本当に拡大するのか疑問視する声も聞かれる。【三沢耕平】
◇ドル依存脱却狙う中国
「元と円の直接取引の発展は、為替コストを軽減させ、両国の金融協力の強化に役立つ」。中国人民銀行(中央銀行)は29日、日本政府と歩調を合わせてコメントを発表し、日中通貨当局同士の協力姿勢をアピールした。背景には、主要通貨との直接取引拡大でドル依存を脱却したいとの中国側の思惑がある。
中国の外貨準備高は06年に日本を抜いて世界1位になり、現在は3兆ドル(約240兆円)以上に達している。内訳は明らかにされていないが、その大半が、元の上昇を抑えるための「元売り・ドル買い」介入や貿易黒字でため込んだドルとみられている。
今回、円を直接取引の対象に選んだのは「主要通貨の中で価値が比較的安定している」(国際金融筋)のに加え、米国に次ぐ貿易相手国である日本からのドル受け取りを抑え、ドル保有の膨張を防ぐ意味合いもあるとみられる。
08年秋のリーマン・ショック後、中国はドル相場の下落で外貨準備が巨額の評価損を被るリスクに直面した。さらに、世界の金融機関が資金繰りに困らないようドルを多めに抱え込むようになった結果、「必要な時に必要な額のドルを調達できない」という懸念が拡大した。米国が経済制裁の手段としてドル決済を禁じる場合があることから、ドル以外の通貨と交換できるようにしておくことが重要と判断した可能性もある。【北京・井出晋平】
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