増税で景気はよくなる
http://www.asyura2.com/12/hasan76/msg/409.html
投稿者 MR 日時 2012 年 6 月 01 日 17:08:31: cT5Wxjlo3Xe3.
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51791730.html
消費税をめぐる論争では、「増税で景気が悪くなる」という前提が双方にあるようだが、それは本当だろうか。まず1997年の橋本内閣の増税については、増税反対派の江田憲司氏も言うように「不況突入の原因は消費増税ではない」。
藤井聡氏のいう「デフレギャップがデフレの原因だ」という説も誤りだ。けさの日経新聞も書いているように、GDPギャップは図のように日本よりアメリカのほうが大きいが、日本はデフレでアメリカはインフレだ。
では、なぜ日本だけがデフレになるのだろうか。その原因にはサービス価格や交易条件などもあるが、大きな要因は個人消費の減少だ。2000年代に入って個人消費は減り続けており、その最大の原因は賃金の減少だ。しかし、この記事が「日本の家計はデフレが続くと予想する向きが多いため、賃金の下落を恐れて消費意欲が高まらない」と書いているのは誤りである。
デフレで賃金が下がっても、一般物価も下がるので消費支出には中立だ。事実、日本の名目賃金はこの15年間で11%下がったが、これは物価下落に見合うので、実質賃金はほぼ同じだ。問題はこの名目賃金低下の中身である。2000年代に非正社員の比率が25%から35%に増えたことが平均賃金の下がった原因で、正社員との賃金格差も拡大し、
生涯賃金の格差が拡大した。
上の図は
みずほ総研のデータだが、正社員とパートで生涯賃金に3倍以上の格差がついている。このため老後への不安も増し、1990年のアンケート調査では「老後に非常に不安がある」と答えた人は10%程度だったが、最近の調査では50%近い。これが個人消費を抑制しているものと考えられる。
つまりデフレが不況の原因ではなく、その逆なのだ。不況のしわ寄せが非正社員に集中しているため、彼らの将来に対する不安が強まり、個人消費が減退して物価が下がる。これはミクロの不安心理なので、日銀が通貨をばらまくとか政府が公共事業で金をばらまくといったマクロ政策では解決できない。
この状況で国債を増発すると将来の負担増になるので、むしろ老後の不安がさらに大きくなるだろう。つまり日本経済は、不況→バラマキ財政→政府債務の増加→老後の不安→消費の抑制→不況・・・という
不安スパイラルに陥っているものと思われる。デフレはその派生的な現象で、予想に織り込まれているので実質的な影響はほとんどない。
この不安心理を解消するために必要なのは、財政再建の見通しを明らかにして老後の不安を減らすことだ。このような
非ケインズ効果は経験的にもよく知られており、日本では財政再建によって個人消費が回復して景気がよくなる可能性が高い。したがって消費税を増税したら景気が悪くなるというのは迷信で、長期的な成長の維持のためにも財政の健全化を急ぐべきだ。
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田村 翔太 · 大阪教育大学
デフレを10年以上も放置してきたから、世代間格差や将来不安がここまで広がったわけです。逆ではありません。
消費増税は、「消費」に対して「増税」するわけですからデフレは確実に加速するでしょう。当然、ただでさえ少ない若者の給料は更に下がっていきます。人々の「デフレ期待」も増していくでしょう。その状況で、「政府部門が財政再建しそうだからお金を使おう!」というマインドになるという論理は、ちょっと分かりません。
そもそもデフレ期に増税で財政再建した国って存在するのでしょうか。
返信 · 13 · · 5月28日 3:57
池田 信夫 · トップコメント投稿者 · 株式会社アゴラ研究所 所長
ブロックして「嫌がらせを受けた」と報告したよ。
返信 · · 5月28日 19:15
田村 翔太 · 大阪教育大学
大変光栄です。ありがとうございます。
返信 · 3 · · 水曜日 5:24
Ken Seki
非ケインズ効果が現れた国として1980年代以降のイタリア、スウェーデン、デンマーク等が挙げられるが、どの国もすべて高インフレでした。高インフレ国の理論をデフレの日本に応用しようとする事自体が間違っていると思うし、これらの国で起こった事も緊縮財政によってクラウディングアウト効果を弱めた結果の消費、投資の活発化の可能性が濃厚です。
もちろん日本国ではこれだけ債務を重ねてもクラウディングアウトは発生しておらずこの効果も期待できないでしょう。
池田先生の仰る理論は、成立する前提条件が異なり過ぎてます。
それにしても異なる意見に対して嫌がらせ扱いとは、大人気ないですよ。
返信 · 2 · · 水曜日 6:42
Keisuke Shirakami · 関西学院大学
面白い内容ですが、私の肌感覚から、違和感を感じることが2点あります。
1、財政再建の見通しを明らかにして、老後の不安を減らすことが大事なのはその通りだと思います。しかし、900兆を超えるまで積みあがった債務に対し、40兆あまりの年収入で倍の90兆超えの予算を組みばら撒く政府に、この程度の増税だけで再建の道筋はとても明らかに出来ない。すでに年収の20数倍の借金があるわけですから、まさに、蛙の面になんとかです。複式簿記で言えば、P/Lの収支が激しくでたらめで、借金山積みなのに、この程度の改善でトントンへの道筋すらなく、利払いに消えるのが関の山で、つまり、体質を変えなければ確実に将来の破綻が約束されている。こんな状況で、企業ならば、B/Sの資産を出来る限り換金し圧縮して、大幅なリストラ、経費の縮小をするでしょう。日本政府もゆで蛙から決別し、ダイナミックなリストラで体質を変えない限り、財政再建を見通し、老後の不安をなくす方法はないと思います。政府の資産は、一体どうなっているのでしょうか。それとも、政府を企業とを同じ複式簿記で考えること自体そぐわないのでしょうか。まともな計数感覚を持てば、存続不可能なことくらいすぐわかるし、だから老後の不安はこれくらいの増税では解消できない。
2、日本のデフレの要因のひとつに、近隣諸国との生産要素価格のアービトラージが進行しているから、というのをひしひし感じます。飛行機で数時間飛んだだけで、給与、土地、エネルギーなどの生産費用が格安の国外生産地がごろごろしている。文化、言語、の違いや既存のしがらみがあるので、瞬時に製品輸入や工場移転は出来ないが、競争し、生き残るためにも、生産コストの安さを何とか利用しようと企業は努力を続けます。したがってじわじわと安い要素価格を取り入れて、安く売れるようになるし、結果、高いものは売れなくなる。一方、原価に人件費コストのウエイトの低い素原料の価格は、資源インフレですから、日本のデフレと関係なく国内でもじりじりと高くなってきています。また、近隣諸国では、アービトラージの結果、人件費の高騰が続き、インフレに悩んでいる。つまり、日本のデフレの大きな要因は、単純な話、同一労働同一賃金が、国内事情にかかわらず、国際的に進んでいるからで、鎖国をするか、外国為替で調整するか、アービトラージがどんどん進んで生産要素価格が近隣諸国と平準化されるまで、労働コスト等のウエイトの高い商品の日本でのデフレは止まらないし、いわゆる空洞化は止まらない。需給ギャップだとか、個人消費の落ち込みとかのすべての原因は、近隣諸国に安い生産要素が転がっていて、裁定取引が続いているから。これでしょう。
返信 · 3 · · 5月28日 20:20
Daiki Fukashi · 花蓮市
つまりは増税してもそれが財務省の罠で財政再建には繋がらない、と人々が思えば増税は逆効果ですよね。ならば、現民主党政権が進める消費税増税には多くの人が将来のために使われると信用していないので意味がありません。やはり、橋本維新の会のいうような抜本的な構造改革を伴う増税でないと賛同できませんし、経済効果もないと思います。ですので、池田先生の論理は若干飛躍し過ぎです。
返信 · 6 · · 5月27日 22:03
遠藤 浩一 · トップコメント投稿者 · 名城大学
「橋下維新の会」のいう抜本的な構造改革ができたら、増税する必要さえないのでは?と思ってしまいます。
返信 · · 5月28日 7:45
Taro Okamoto · Some colleges Instructor
池田先生、たまたま財政再建論(Austerian)の議論を目にしていたので先生の記事面白いと思いました。重要なのは財政再建により人々に「老後が安心だ」と信じ込ませること、政府が人々にそのようにコミットできること、であって、財政再建が景気をよくする必要条件ではない、と思います。日銀が通貨をばらまいても景気が良くならないのは、人々に対して「景気がよくなる」というコミットが日銀にできないからで(日銀には景気安定化という政策目標がない)、もしそのようなコミットができれば状況は違うのでは、と考えられますが、(唐突ではありますが)先生のご見解いかがでしょうか。
返信 · 3 · · 5月27日 20:32
Irie Shotaro · トップコメント投稿者 · 関西学院大学
リカードの中立命題によれば「財政政策を行っても国民は将来の増税に備えて消費を減らす」といいます。これに従えば消費を抑えるのは増税そのものというより、増税期待。ゆえに財政不安が続く限り、増税期待が払拭されることはなく、インフレ期待を引き上げることも無理そうです。
財政を健全化するために増税は確かに必要だと思います。けれど今の消費税増税議論はとても幼稚で見ていられません。首相には「財政健全化の筋道をつくる」くらいのことに「政治生命」をかけてもらいたかった。
返信 · 2 · · 5月27日 21:16
#変わらず喧嘩屋
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