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大人気の東京スカイツリーを横目に大苦戦 オフィス棟ガラガラで坪単価も急降下中!
http://diamond.jp/articles/-/19252
2012年5月30日 ダイヤモンド・オンライン
東京スカイツリーが開業して1週間半が経った。押上、浅草周辺は平日、土日にかかわらず多くの人で賑わっている。東日本大震災や景気悪化、消費税増税論議など、明るいニュースが少ない中で、唯一と言っていいほど心躍る話題だ。開発を担った東武鉄道グループも予想通りの人気ぶりに胸を撫で下ろしていることだろう。ところが、ツリーのお隣に建つオフィス棟の「東京スカイツリーイーストタワー」は、テナントが入らずガラガラ。大苦戦中だ。(ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)
■成約率は25%で入居は4社 12階オフィス棟ロビーは閑散
12階のオフィス棟ロビーからの眺めは、なかなか良い。 東京スカイツリーの開業初日である5月22日(火)はあいにくの雨模様であったが、来場者は22万人、開業から5日間で113万2000人となった。テレビはどのチャンネルをつけてもスカイツリー。この数週間はまさに“スカイツリー祭り”だった。
東武鉄道が7年がかりで手がけた大プロジェクトは、一見するとすべてが順調にいっているように見える。が、燈台下暗しとはよく言ったもので、ツリーのお隣に建つオフィス棟の「東京スカイツリーイーストタワー」は、大苦戦中なのだ。
オフィス棟のロビーは12階。実際に、足を運んでみると、警備員が、人がほとんどいない閑散としたロビーを警備していた。暇を持て余してか、「どちらをお尋ねですか」と、速攻で記者に尋ねてきた。打ち合わせ需要を見込んで入居したであろうカフェのプロントにも、もちろん客はゼロ。何とも寂しい限りだ。
オフィスとして入居できるのは13階から29階の全17フロア7731.91坪。現在のところ成約率は25%で、入居者は4社。大手ゼネコンの大林組、エレベーター大手の東芝エレベーター、ジオテクノス、エコシステムジャパンだ。このうち、大林組はスカイツリーの設計・建設を担い、東芝エレベーターはスカイツリーのエレベーターを納品している。この2社はいわば“身内”に近い。
1フロアは4区画あり、“身内”の2社は13階の2区画に、他の2社は14階の2区画に入居している。現在のところ、15階から上は誰も入居していないということだ。
■4ヵ月間で賃料単価は4割下落 それでも入居者を呼ぶのは厳しい
大苦戦とくれば、当然、賃料単価は急降下している。
「3〜4ヵ月前は坪当たり2万5000円だった。しかし、今は1万8000円近辺。そこまで下げて、ようやく問い合わせが入るようになった」と、ある不動産仲介会社の営業マンは話す。
しかし、1万8000円でも、まだ割高なようだ。別の不動産仲介会社の社員は「1万8000円は相談値でしょう。この値段で、やっと検討の俎上に上がる。実際の相場は墨田区なら1万〜1万5000円くらい」。
ある不動産業界関係者は「今なら、坪2万円も出せば、新宿駅近くで立派なビルに入居できる。例えば新宿マインズタワーなら坪2万強」と話す。
そのうえ、オフィスビルの貸主は、なんとか入居してもらおうと、フリーレントを多用しているようだ。フリーレントとは、入居時から一定期間、賃料を減免する制度だ。新宿の大手ディベロッパーが開発したあるオフィスビルでは、「20ヵ月フリーレント」という破格の条件で借り手を募っていたという。つまり、入居から20ヵ月間は家賃がタダだということだ。
そうした状況から考えれば、「押上で1万8000円でも厳しい」というのが、不動産業界内でのコンセンサスだ。
■空港近いはセールスポイントにならず 押上はそもそもビジネス街ではない
東武鉄道が当初考えていた思われる賃料単価から、すでに40%も下がっている。苦戦の最大の理由は、賃料の割高感にあるようだ。しかし、それ以外に立地の問題もある。
貸主の東武鉄道は「成田空港まで59分、羽田空港へ42分」「東武スカイツリーライン(伊勢崎線)、東京メトロ半蔵門線、都営浅草線、京成押上線の4路線利用可能」とアクセスの良さを訴求している。しかし、石澤卓志・みずほ証券リサーチ本部チーフ不動産アナリストは「成田、羽田の両空港から近いと言うが、セールスポイントにはならない」と言う。
オフィス不動産業界内では、「空港をセールスポイントにするなら品川」だという。押上は「どっちにも遠い」(業界関係者)と捉えられてしまうのだ。それに、4路線利用可能だと言っても、「そもそも、押上は旧来の市街地が広がっていてビジネス街ではない」(石澤氏)。
さらに、オフィスビル市場全体の市況の悪さも、苦戦に拍車をかけている。
オフィスビルの仲介専門の三鬼商事によれば、都心5区(新宿区、渋谷区、港区、千代田区、中央区)新築ビルの空室率(基準階面積100坪以上の主要貸事務所ビル)は、2012年4月末で35.65%となった。1994年、03年に続き、12年はオフィスビルの大量供給の年だ。特に、丸の内や大手町といったオフィス街の一等地に優良物件の竣工が相次ぐ。
代表格は東京駅すぐの旧東京中央郵便局跡地に建つ「JPタワー」だ。駅から直結しており、超優良物件だ。しかし、「成約率は50%がせいぜい」だという。JPタワーでやっと50%なら、押上が苦戦するのは当たり前とも言える。
■「ホテルにすりゃよかったのに」 妙に納得できる業界関係者の指摘
東武鉄道が発表した東京スカイツリーと東京スカイツリータウン全体の収支計画では、初年度の2012年度の営業収益201億円、営業利益8億円の計画を立てている。
仮にオフィス賃料を2万円/坪と仮定し、オフィス用の坪数が全体で7731.91坪であることから推計すると、年間でオフィス賃料として約15億円程度の収入があることがわかる。
東武鉄道に問い合わせたところ、営業収益の内訳や、初年度の計画の前提となったオフィス棟成約率、賃料単価などについて「公表しておらず答えられない」(東武鉄道)とのこと。このため、正確な予想は難しいものの、このままオフィス棟の苦戦が続けば、初年度の計画に少なからず影響を与えることは間違いなさそうだ。
もっとも、スカイツリーとスカイツリータウンは、日本全国から駆けつけた観光客でごった返している。この人気が続き、来場者数が数パーセント上ブレすれば、あっという間にオフィス棟の苦戦も、カバーできるかもしれない。むしろ、上ブレする可能性のほうが、オフィス棟にテナントが順調に入る確率よりも高いかもしれない。「なんでオフィス棟をホテルにしなかったんだ」という不動産業界関係者の指摘には、妙に頷けるものがある。
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