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キャタピラー、スト続く 賃下げに抵抗 北米生産回帰に壁[日経新聞]
【ニューヨーク=杉本貴司】建設機械世界最大手の米キャタピラーによる北米への生産回帰が人件費削減の壁にぶつかっている。米北部の工場で賃金改定を巡りストライキが長期化。カナダでは賃下げを拒否した工場を閉鎖する異例の事態に追い込まれた。賃金引き下げへの反発がほかの企業に広がれば、製造業による国内回帰の動きに水を差す可能性も否定できない。
「経営陣は強欲だ」。米シカゴ郊外の町ジョリエット。建機用部品などを作る工場で500人超の従業員が1日からストライキを続けている。11日には労働組合が大規模な集会を開き、そろいの赤いシャツを着た従業員が会社の対応を批判した。
カナダでは閉鎖
発端はキャタピラーがジョリエット工場に突きつけた労使契約だ。詳細は明らかにしていないが、米メディアによると医療費など基本給以外の会社側負担を大幅に引き下げる内容で、労組側がこれに猛反発。4月中を期限としていた交渉が決裂してストに突入した。キャタピラーは急きょOBや管理職を募って生産ラインに回して辛うじて操業を続けている。
これを受け会社側は労組に条件を再提示。近く労組が諾否を決めるが、決裂すればストの長期化は避けられない。キャタピラーはカナダでも賃下げを巡り労使が対立、ストを起こした鉄道車両工場の閉鎖を決めたばかりだ。労組側は経営陣が好調な業績を背景に高い報酬を受け取っているのに従業員への還元は少ないと主張している。同社の2011年通期の純利益は前年比83%増の49億2800万ドルで過去最高だった。
会社側は強硬
キャタピラー経営陣が強硬な姿勢を崩さない背景には、コスト競争力をさらに高めなければ米国の工場を輸出拠点とする戦略が揺らぎかねないとの危機感がある。
11年の輸出額は200億ドルと過去最高。直近でも日本の相模事業所(相模原市)での小型建機の生産を、米南部ジョージア州に建設する新工場に移管すると決めた。今年の設備投資額は前年比5割増の40億ドルとし、その半分を米国に重点投資する計画だ。
こうした計画のリスク要因として浮上しているのが外国為替や新興国経済の変動だ。ドルはユーロなど主要通貨に対して堅調に推移。中国など新興国では需要が鈍化する動きも出ており、コスト削減の手は緩められない。
米国では金融危機を境に人件費が大幅に安くなっている。米商務省によるとこの10年で米国民の平均所得は7%低下。賃金低下を背景に米国では自動車や電機業界などで域内への生産回帰が進んでいる。新型天然ガス「シェールガス」の開発などに伴うエネルギーコストの低下も後押しする。
キャタピラーはこの動きを代表する企業と目されている。だが、米国では昨年にウォール街で火がついた格差問題への批判も多く、企業が一段の賃下げに踏み込めるかは不透明だ。
[日経新聞5月30日朝刊P.7]
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