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デフレ・円高から脱出するためには、政府・日銀が一体となって貨幣(マネー)を増やす政策が欠かせない。拙論は以前からそう主張してきたが、メディア、とりわけ日経新聞は同調してこなかった。ところが22日の日経朝刊を見て驚いた。日経と米戦略国際問題研究所(CSIS)の共同研究組織「日経・CSISバーチャル・シンクタンク」が50兆円超の外国為替市場介入基金を政府・日銀一体で設立せよと、提言したのだ。
この構想は、日本経済研究センター理事長の岩田一政氏の国家戦略会議での提案(2011年10月)に沿っている。日銀が50兆円の資金を発行し、その資金で円売り市場介入し、米国債やユーロ債など外債を買う。すると、円相場は下がると同時に、円札を増刷する「量的緩和」効果で市場にインフレ期待が生まれ、2%程度の物価上昇が見込まれるようになり、デフレから脱出できる、というわけである。
ここで参考のために、拙論案を紹介する。政府が保有する米国債など100兆円の外貨資産を日銀の「資産の部」に移す。日銀は100兆円の資金を発行して政府に提供する。その日銀資金を基金として、脱デフレ・円高是正および日本再生に使うという内容で、10年1月、当時の鳩山由紀夫首相に提案した。拙論案と岩田案とはやり方、規模こそ違うが、日銀資金と外準の組み合わせによる脱デフレ・円高阻止という点で共通する。
両案の実現に立ちはだかるのが財務・日銀官僚である。1998年までは財務省が日銀資金で外為市場に介入してきたが、財務省は99年から政府短期証券(FB)の一種である外国為替資金証券発行により外為市場介入資金を市場から調達し、米国債などを購入する仕組みに変えた。国民が貯めたカネを吸い上げ、外為市場介入するが、円高は止まらず、40兆円もの為替差損を被っている。なのに財務省は現行方式を変えようとしない。
外為証券の発行残高は11年末で121兆4000億円に上り、外資系金融機関はそのディーリングで巨額の収益を挙げている。他方で財務省の国際金融局は膨れ上がった外準を利用して財務省の権益を拡張する。日銀官僚はそんな財務省官僚の縄張りに巻き込まれたくない。
注目すべきは、米超党派の安全保障提言機関であるCSISが岩田案に賛同した点だ。日本の貯蓄マネーをドルや米金融市場の安定に使うことは米国の基本戦略だが、貯蓄でなくても日銀がお札を刷って米国債を買っても構わないと同意したのも同然である。CSISとしては、中国の超大国化とは逆に弱体化する日本に歯止めをかけることが優先する。
ところが、CSISパートナーの日経のほうは、財務省と日銀の意向に逆らいそうにない。米も賛同したせっかくの妙案をみずからお蔵入りにするようでは情けないではないか。
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