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金融市場は、釈然としない空気に包まれたまま。 釈然としないというのは、当然ながらギリシャ情勢の事だ。
ギリシャ次期政権が欧州からの支援条件を遵守するか否かで、欧州の対応は変わってくる、と言いたいところだが、遵守しようがそうでなかろうが欧州の対応は変わらない可能性が高い。変わらない、というのは、これまで同様、メルケル独政権主導の下、「ギリシャ支援」を引き続き実行していくというものだ。
ただ問題は、6月17日のギリシャ再選挙において、緊縮派も反緊縮派も過半数に達しなかった場合。上記「ギリシャ支援継続」の話は、どちらかが過半数に達した場合の話だが、緊縮政党・反緊縮政党「ともに落選」という第3の可能性も見逃す事はできない。
3たびの選挙となれば、その間のギリシャの支払い分は欧州が手助けせざるを得なくなるものの（ギリシャデフォルト無し）、株式市場は不安定な状態が続くだろう。デフレどころか潜在的インフレに包まれている米国市場はさておき、日本市場に限っては特にそうだといえる。
■ドイツ国内の小さな亀裂
メルケル政権がドイツをリードしている限り、ドイツがユーロ共同債に同意する事は無い。そしてそのメルケル政権与党は、先日の州選挙で大敗を喫っしたものの、フランスやギリシャで起こったような反緊縮を唱える政権交代などは、来年（連邦議会選）も無い見通しとなっている。
ただしかしながら、ドイツ国内ではおそらく、政府と中銀とでギリシャ支援に対する見解が今現在割れている。「周辺国対ドイツ」というよりは「ドイツ政府とブンデスバンクの関係」が、より重要だといえるかも知れない。
バイトマン（ドイツ連銀総裁）のイライラは頂点に達している。ここ最近の彼の発言は、欧州政治にも踏み込んでおり、ギリシャに対する支援条件の緩和に反対、「ギリシャ退場」を本音のところで望んでいるのはブンデスバンク自身だ。ドイツの統一見解としては、実質的に欧州が1つになるようなユーロ共同債の実現はあり得ない、というもの。しかしながらギリシャ支援に関しては見解が分かれている。
そういえば、当ブログでは2月のエントリーで★「ドイツはそのうち覚悟を決めなくてはならない 」と言っていた。覚悟というのはユーロ共同債に調印、という覚悟ではない、「支援しない」という覚悟だ。ドイツ国内で政権トップと金融トップの見解の相違が明らかになりつつある現在、ドイツはますます決断に迫られるようになる。 6月17日に、ギリシャで急進左派が過半数を取るような事にでもなれば、ドイツは「決断」を迫られる時期が早まるかも知れない。★「ユーロから追い出せるわけがない」と豪語 するギリシャの有力政党が、欧州の言う事を聞かないのは明らかだからだ。
★ドイツ高官を逆なでするそのような発言も、バイトマンの怒りに火を付けているはず、ドイツのイメージ失墜が加速している事に対して、怒っているのはそのドイツ自身における中銀総裁だといえる。メルケルを押しのけるかような彼の発言（ギリシャ支援条件緩和ナシ）を見ていると、ドイツを傲慢な国としているのは（ドイツ）政府であって、中銀（ブンデスバンク）では無い、といっているようなものだ。
彼は、欧州の最大債権国中銀総裁として、市場でささやかれる「LTRO−3」を頑なに拒み続ける事だろう、「ギリシャ支援継続」は基本シナリオだが、ユーロの行方はドイツ国内での「火種」によって簡単に覆る可能性もあるといえる。
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