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ギリシャはユーロ離脱しかない   徹底予測 2030年のアジアどこで作り、どこで売るか
http://www.asyura2.com/12/hasan76/msg/354.html
投稿者 MR 日時 2012 年 5 月 28 日 01:17:49: cT5Wxjlo3Xe3.
 

http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120523/232517/?ST=print
アジア・国際>Project syndicate
ギリシャはユーロ離脱しかない

2012年5月28日 月曜日 ノリエリ・ルービニ

もはやギリシャが競争力を回復し、成長を実現するにはユーロを離脱するしか道はない。離脱は、周辺国及びユーロ圏金融機関に自己資本の大幅な目減りなど深刻な影響を招く。だがIMF及びECBが必要な支援をギリシャ及び周辺国に行えば、打撃の緩和は可能だ。
 ギリシャのユーロを巡る悲劇は最終章を迎えつつある。ギリシャが今年か来年に、デフォルト(債務不履行)を起こし、ユーロ圏を離脱する確率は極めて高い。

 ユーロからの離脱を先延ばしし、6月の再選挙を経て誕生する新政権が、財政緊縮策と構造改革を柱とするこれまでと同様の政策を導入しても、そうした既に失敗した政策でギリシャの成長や競争力を回復させることはできない。

残る選択肢は秩序あるデフォルト

 ギリシャは、債務の返済不能、競争力の喪失、対外赤字、深刻の度を増す不況という悪循環に陥っている。この悪循環を断ち切るには、欧州中央銀行(ECB)、欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)(いわゆる「トロイカ」)による協調・支援の下で、秩序あるデフォルトをし、ユーロ圏から離脱するしか道はない。

 それがギリシャ及びほかのユーロ圏加盟国への副次的ダメージを最小限に抑える方法だ。

 トロイカがまとめた直近の金融支援策がギリシャに与えた債務減免の規模は、同国が必要としていたものよりはるかに小さかった。もっとも、ギリシャの公的債務がもっと大幅に減免されていたとしても、競争力の急速な回復がない限り、ギリシャが成長を取り戻すことは難しい。

 そして成長を取り戻せない限り、債務の重しは持続不可能であり続ける。

 ただ、競争力の回復につながるような選択肢はいずれも、通貨価値の実質的な切り下げを必要とする。

 ギリシャの競争力を回復させる第1の選択肢は、ユーロの価値を急落させることだ。だが、ドイツの競争力が強いこと、そしてECBが積極的な金融緩和を行っていないことから、ユーロの急落という選択肢はあり得ない。

 第2は、構造改革によって、賃金の伸びを上回る生産性の伸びを実現し、単位当たり労働コストを急速に下げることで競争力を回復させるという方法だ。だが、このシナリオも描きにくい。ドイツでさえ、こうした形による競争力の回復には10年かかったわけで、ギリシャがさらに10年にも及ぶ不況を耐え抜くことなどできない。

 通貨を引き下げる代わりに、物価及び賃金を引き下げて競争力の回復を図るという方法も、ギリシャを5年に及ぶ深刻な不況に追い込むだろう。

 これら3つの選択肢の実現可能性がいずれも低い以上、残された道はユーロ圏からの離脱だけとなる。通貨を「ドラクマ」に戻し、その通貨価値が大幅に下落すれば、競争力と成長を急回復できるはずだ。もちろん、この離脱プロセスは生易しいものではなく、それはギリシャにとってだけでもない。

打撃被るユーロ圏の金融機関

 最も打撃を被るのはユーロ圏中核諸国の金融機関で、大幅な自己資本の目減りに直面することになる。ギリシャの政府、銀行及び企業がユーロ建てで抱える対外債務は、一夜にして莫大な金額に膨れ上がることになるだろう。

 だが、こうした問題は克服可能だ。2001年にドル建て債務の「ペソ化」に踏み切ったアルゼンチンがその好例だ。米国も1933年に同様のことを行ってドルを69%切り下げ、最終的には金本位制を放棄した。同様にユーロ建て債務の「ドラクマ化」は必要であるし、また不可避でもある。

 ユーロ圏の銀行が被る損失については、適切かつ積極的な資本増強を行えば収拾がつかないような事態の発生は回避できる。ただ、ユーロ圏離脱後のギリシャの銀行システムの崩壊を食い止めるために、銀行の休業日や資本規制など一時的な措置を取ることで、銀行への取りつけ騒ぎが起きるのを阻止する必要があるかもしれない。

 欧州金融安定基金(EFSF)及び欧州安定メカニズム(ESM)は、ギリシャの銀行に直接資本を注入し、必要とする資本増強を後押しすべきだ。

 この場合、いわば欧州の納税者がギリシャの銀行システムを実質的に買収する形になるが、これは債権者がドラクマ導入に伴い負わされる損失に対する代償の一部とも言える。

 ギリシャは再度、公的債務の再編を行い、返済負担を引き下げる必要がある。トロイカが保有するギリシャ国債の額面価値を引き下げる必要はないだろうが、満期をさらに10年ほど伸ばすことは必要だろう。金利の引き下げも必要だ。民間投資家に対する利払い停止や債権の一段の削減も必要だろう。

離脱のメリットは成長への回復

 何が重要かと言えば、ユーロ圏から離脱すれば、通貨の名目及び実質価値の下落を通じ、成長が直ちに回復し、10年にも及ぶ長期的なデフレを回避できるという点である。

 ドラクマの価値切り下げによってユーロ圏が被る貿易面でのデメリットは、さほど大きくないと思われる。なぜなら、ギリシャはユーロ圏のGDP(国内総生産)のたった2%しか占めていないからだ。

 通貨を再びドラクマに戻すことは、競争力回復のために必要な水準以上に通貨の下落を引き起こしてしまう恐れがある。これは基本的にインフレ圧力を招き、ドラクマ建てとなった対外債務において、より大きな損失を引き起こす可能性がある。

 このリスクを最小限に抑えるため、現在ギリシャ救済のために用意されているトロイカの準備金を、適正水準を超えた通貨の下落を食い止めるために使うべきだ。資本規制も有効だろう。

 ギリシャがユーロ圏を離脱すれば、その影響が飛び火し、ほかの国も深刻な危機に陥ると主張している人々がいるが、これは間違っている。

 ほかの周辺国はギリシャと同様、既に債務を持続して払い続けられるのかという問題と競争力低下の問題に直面している。例えば、ポルトガルは最終的に、債務再編及びユーロ圏からの離脱を余儀なくされる可能性がある。

 イタリアやスペインなど、流動性は逼迫しているものの債務返済能力に恐らく問題はないという国に対しては、ギリシャの離脱いかんにかかわらず、欧州は支援の手を差し伸べるべきだ。というのも、そうした流動性の支援がなければ公的債務の規模が大きいイタリアとスペインでは取りつけ騒ぎが発生しかねないからだ。

 よって、大幅に拡充されたIMF及びESMの公的資金と、ECBの流動性を活用し、この両国及び問題を抱えたユーロ周辺国の銀行の問題がほかへ波及しないようしっかり囲い込むことが必要だ。

 ギリシャがユーロを離脱するかどうかに関係なく、ユーロ圏の銀行は迅速に資本力を強化すべきだ。そのためには、EU全域で新たに資本を直接注入するプログラムが必要である。

重要なのは痛みを減らすこと

 金融危機後のアイスランド及び過去20年における多くの新興国の経験は、通貨の名目価値の切り下げと秩序立った対外債務の再編や削減を行えば、債務の持続可能性や競争力及び成長を回復させられることを示している。

 これらの事例と同様、ユーロ離脱に伴ってギリシャには甚大な副次的影響が及ぶと思われるものの、そうした影響は抑制可能だ。

 見込みのない結婚のように、「ユーロとの離婚(ユーロからの離脱)」が避けられないのなら、ルールを決めて、双方にとって痛手が少しでも小さくなるようにした方がよい。

 誤解しないでほしいのは、たとえ秩序立ったものであっても、ギリシャのユーロ離脱は、経済的には厳しい痛みをもたらすという点だ。それでもギリシャ経済と社会が、無秩序な破綻への道をゆっくりと進んでいくのを見るよりも、はるかにましだ。

国内独占掲載:Nouriel Roubini © Project Syndicate


Project syndicate

世界の新聞に論評を配信しているProject Syndicationの翻訳記事をお送りする。Project Syndicationは、ジョージ・ソロス、バリー・アイケングリーン、ノリエリ・ルービニ、ブラッドフォード・デロング、ロバート・スキデルスキーなど、著名な研究者、コラムニストによる論評を、加盟社に配信している。日経ビジネス編集部が、これらのコラムの中から価値あるものを厳選し、翻訳する。

Project Syndicationは90年代に、中欧・東欧圏のメディアを支援するプロジェクトとして始まった。これらの国々の民主化を支援する最上の方法の1つは、周辺の国々で進歩がどのように進んできたか、に関する情報を提供することだと考えた。そし て、鉄のカーテンの両側の国のメディアが互いに交流することが重要だと結論づけた。

Project Syndicationは最初に配信したコラムで、当時最もホットだった「ロシアと西欧の関係」を取り上げた。そして、ロシアとNATO加盟国が対話の場 を持つことを提案した。

その後、Project Syndicationは西欧、アフリカ、アジアに展開。現在、論評を配信するシンジケートとしては世界最大規模になっている。

先進国の加盟社からの財政援助により、途上国の加盟社には無料もしくは低い料金で論評を配信している。

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ノリエリ・ルービニ

ニューヨーク大学スターンビジネススクール教授。経済分析を専門とするRGEモニターの会長も務める。米住宅バブルの崩壊や金融危機の到来を数年前から的確に予測したことで知られる。


http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20120524/232564/?ST=print
企業・経営>特集の読みどころ
徹底予測 2030年のアジア どこで作り、どこで売るか

2012年5月28日 月曜日 日経ビジネス特集取材班

 「21世紀はアジアの世紀」――。

 そう言われるように、2000年代に入ってから、中国やインドをはじめ、タイ、マレーシア、インドネシアなどASEAN(東南アジア諸国連合)各国が急速に経済成長を遂げています。生産拠点としてはもとより、消費マーケットとしての存在感も高まってきました。

 アジアの人口は2030年には50億人を突破し、都市化の進展で消費を牽引する中間層の比率も飛躍的に上昇する見込みです。米ブルッキングス研究所の予測では、2030年の中間層消費額上位10カ国の1位にインド、2位中国、4位インドネシア、5位日本と、アジアの国々が上位を占めています。

 本誌は今回、アジア主要国について、2030年までの経済予測を行いました。中国やインド、ASEAN各国などの成長がどのような変化をもたらすのかを、1人当たりGDP(国内総生産)や国際通貨基金(IMF)が2012年4月に発表した「世界経済見通し」、人口統計など様々なデータを駆使して探りました。

 それによれば、2030年に中国のGDP(名目ベース)は日本の3.6倍に達するとみられます。ASEAN10カ国の合計では同1.7倍、インドは同1.2倍と、「アジア4極時代」となることが予想されます。

 広い中国では沿岸部と内陸部の経済格差がさらに増大し、国内に「先進国」「中進国」「新興国」が共存しながら成長の道を歩みます。一方で、一人っ子政策の影響から、2010年代のうちに生産年齢人口(15〜64歳)が減少に転じることが確実視されています。労働市場が売り手市場へと転じれば、人件費の高騰は避けられません。もはや安価な労働力を前提とした「世界の工場」としての存在価値は薄れるでしょう。半面、所得の上昇が消費という内需の拡大につながれば、「世界の市場」としての魅力は高まってきます。

 日本企業が生産拠点を設けるなど、本格的に進出を始めているASEANでは、その波がミャンマーやカンボジアといった「新・新興国」にも及んでいます。一足先に経済成長にドライブがかかってきたインドネシアやフィリピンなどでは、国内需要を見込んだ進出も盛んです。ASEANを1つの経済圏として見れば、中国、インドと並ぶ世界経済の“牽引役”となりつつあります。

 今後は従来の最貧国が急発展し、人口増による巨大都市の形成で消費の黄金期が到来することが予想されます。ただ、中には1人当たりGNI(国民総所得)約1万2000ドルの壁を突破できず、経済成長が停滞し、貧富の格差などの社会問題が露呈してしまう「中所得国の罠」に陥る国も出てきそうです。欧州連合(EU)のように、域内での2極化が進む可能性もあります。

 それでは、日本はどうなっていくのでしょうか。少子高齢化による経済の停滞、FTA(自由貿易協定)など貿易戦略の後れ、法人税を中心とするコスト面での不利といった課題を現状では抱えています。しかし、アジア各国は人件費や電気料金などの上昇が続き、生産地としての優位性は中長期的には薄れていきます。条件面が対等に近づけば、立地競争でアジア諸国に対抗する方策も見えてきそうです。

 今号の特集はこのようにマクロデータを駆使して2030年のアジアを徹底予測すると同時に、時価総額を基にアジアの有力企業100社をランキングするなど、「強い企業」の条件も探りました。豊富なデータからぜひ、これからのアジアを見通してみてください。


特集の読みどころ

企業が直面する変化や課題に多角的に切り込む日経ビジネスの特集。その執筆の動機やきっかけ、誌面に込められたメッセージをお届けします。誌面と併せてお読みいただくことで、理解がより深まる連載です。

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