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米ワシントン郊外、キャンプデービッドでの主要国(G8)首脳会議(サミット)は「成長と雇用」の必要性を真っ先にうたって閉幕した。今秋の大統領選での再選をめざすオバマ大統領は緊縮財政よりも成長に軸足を置こうとしているわけだ。しかし、国際金融市場の先行き不安を強めているのは、ユーロ危機ばかりではない。G8経済討議ではギリシャ問題が中心になったようだが、2008年9月のリーマン・ショック後の世界景気を引っ張ってきた中国のバブル債務問題が深刻化しつつある。
■公式発表で130兆円
不動産バブルが崩壊しつつある中国では、地方政府の債務問題が表面化してきた。地方政府は「リーマン」後、北京の共産党中央の指令を受けて、通常の銀行貸し出し規制の別枠扱いされる投資会社を設立し、国有商業銀行から借り入れては、市民や農民から市街地、耕作地に始まり墓地まで接収し、不動産開発に資金を投入してきた。
09年1年間で、地方政府は不動産市場に9.6兆元(約116兆円)を投入するなど野放図な借り入れの結果、全国の地方政府が抱える債務残高は北京の公式発表ベースで10年末10.7兆元(約130兆円)。日本の1980年代後半のバブル融資並みの規模で、中国のGDPの4分の1に上り、5割以上が今後3年以内に返済期限が来る。しかも、米欧のアナリストの推計では地方債務総額は最終的に15.4兆元(約187兆円)から20.1兆元(約244兆円)に膨れ上がる。ギリシャ、スペインなどユーロの問題5カ国(ギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガル、アイルランド)の2011年末の政府対外債務の合計額1兆3147億ユーロ(約136兆円)をしのぐ公算が大きい。
もちろん、地方債務すべてが不良債務になるとはかぎらないが、日本では1980年代の不動産担保融資の130兆円のうち8割以上がそっくり焦げ付いた。中国政府の発表では返済額は2011年2兆6000億元、12年1兆800億元、13年1兆3000億元などと6年間も続くが、早くも返済できない地方政府が続出し、11年の返済必要額の大半は翌年以降に繰り延べられている。
もとより、党中央の裁量のまま数字が勝手に帳簿から移動する中国の場合、日本で横行した「飛ばし」がバブルの後始末の常套(じょうとう)手段である。
前例がある。中国政府は05年、中国の銀行不良債権を処理するために、外貨準備を流用して国有銀行に資本注入したほか、資産管理会社を設立して銀行不良債権を移管した。その処理は市場売却だが、買い手はつかず、1兆2000億元の不良債権は実質的に銀行の帳簿に残って、処理の先延ばしを続けている。
■危機感なき日本政府
今回の地方政府債務も、債券に置き換えて、返済期限を先延ばしする手法がとられている。北京発のロイター電は、「おそらく世界最大の不良債権を抱える国が、問題解決にほとんど関心を払っていないのは嘆かわしい」という米欧の投資家のコメントを引用しているが、確かに不良債権規模は中央政府債務やその他の銀行不良債権を含めるとGDPの実に7割に達しそうだ。世界的に見てもユーロ圏諸国の比ではないほど空前絶後になるのは間違いないが、いまだに膨れ上がり続けているし、融資も投資も止まらない。止まれば、まるで巨大な自転車のようにばったりと中国経済全体が倒れてしまう。
思い起こすと、筆者はリーマン前から、中国の専門家から日本のバブルの原因や崩壊後の政策について多くの質問を受けた。1985年の「プラザ合意」以降の対米協調を名目とする日本の金融超緩和とバブル生成の関連も中国側は研究し尽くしていた。
にもかかわらず、中国は80年代後半の日本をはるかにしのぐ規模でドルを吸い上げ、お札を刷り、党幹部−−国有商業銀行−−国有企業−−地方政府投資会社というシステムを通じて不動産バブルを膨張させた。不良債務は共産党指令による規格外の市場経済を包み込み、中国経済、さらに世界経済を際限のないブラックホールにたたき込む。そんな不気味な予感がする。
恐るべき中国バブルの膨張と同時並行するバブル崩壊を見て、米欧では、「ユーロ危機どころではない。チャイナ・クライシスをどうするか」との危機感が高まっている。それに引き換え、日本政府は「消費増税」にばかり目を向けるばかりで、危機感が欠如しているのは、恐るべしだ。
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