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小笠原誠治の経済ニュースに異議あり!
日本国債の格下げが日本を救う?
2012/05/23 (水) 11:59
こんなタイトルで記事を書くと、次のように早合点する人がいると思うのです。
日本国債の格付けを引き下げる→日本が増税をし財政再建を果たす→日本政府の破たんが免れる
でも、私が言わんとしているのは、そういうことではないのです。
日本国債の格付けを引き下げる→国債の価格が暴落し、円安が起きる→日本の輸出企業が復活する
いずれにしてもまた、日本国債の格付けが引き下げられたのだとか。
今回の格下げは主要格付け会社の一つのフィッチが行ったもので、他の格付け会社も同様に格付けを引き下げるかどうかは定かではないのですが、いずれにてもフィッチ・レーティングによれば、日本国債の格付けは、これまでのダブルAマイナスからシングルAプラスに引き下げれた、と。
貴方は、このニュースを聞いてどうお思いでしょう。
「どう思うって言っても、無責任な格付け機関のことだから‥」などと感じている人も多いと思うのです。過去、格付け機関の格付けが、どれほど経済混乱のきっかけを作ったことか。
しかし、格付け機関の側からすれば、過去のミスもあるから、だからなおのこと厳しく格付けをしているのだという思いがあるのかもしれません。
いずれにしても、日本人としては釈然としないのです。何故日本だけが?
まあ、確かに政府の債務残高は、対GDP比でみる限り日本は断トツに高い! それはそのとおり。しかし、反面日本の国債ほど低い利回りはあるのか? なんて言ったって、10年物国債に対して1%を切る利回りで満足するのは、それだけ債権者たちが日本国債に魅力を感じているからではないのか、と。
それに、どうも他国との横並びの上でも釈然としない、と。
ドイツ国債の格付けが高いのは納得ができるとしても、何故米国の国債の格付けはそんなに高いの?
米国の国債は、格付けが遥かに下の中国や日本が大量に保有しているというのに。つまり、格付け機関の評価が正当であって、日本国債がデフォルトに陥る可能性が相当にあるというのであれば、仮にその懸念が現実のものになったときには、日本は資金繰りを維持するために保有する大量の米国債を処分する可能性もあるのだが、だったら米国も日本と運命を共にすることになりはしないのか、と。
つまり、米国の国債の格付けが、中国の国債や日本の国債を超えるなんて論理的に見ておかしい、と。
それから、もっと癪に障ることはと言えば、今回の格下げの結果、日本は中国や韓国よりもランクが落ちてしまったのですが‥そのことに納得がいく国民がどれほどいるというのでしょう。
本日のニュースでも、韓国が為替介入に動いているなんてことが報じられているのですが、ご存知でしょうか?
そこの貴方、ご存知?
「輸出に有利になるように、ウォンの価値を下げているの?」
ブー。その反対! ウォンの価値が下がり過ぎるので、ウォンを買い支えているのです。そんなことが日本で考えられるでしょうか?
では、何故ウォンが下がるのか?
それは、またしてもギリシャ・リスクが嫌気され、資金の巻き戻し現象が起きているからに他ならないのです。日本の円、そして国債は、セーフ・ヘーブンとして買われているです。
つまり、日本の国債の方が明らかに信用が高いと海外勢にも見られているということなのに、その日本の国債が韓国よりもランクが下だなんて!
一体全体どうなっているのだ! なんて、多くの人が憤慨していると思うのです。
私もそう思うのです。
しかし、何とかにも三分の理と言うか‥
仮に、格付け機関が、日本の国債の利回りが非常に低いことや、ユーロ危機が起きて以来、円がドルとともに買われることが当たり前のようになっている事実に着目して、日本の国債をトリプルAに引き上げたとしたら、どんなことが起きるでしょう?
そうなれば、益々円高に拍車がかかることになりはしないか?
だとすれば、格付け機関が日本国債の格付けを引き下げる行為は、円安を促すものとして、円安を希望する経済界や政府関係者はもっと歓迎してしかるべきなのか?
でも、仮に政治家がこのように日本国債の格付けをいとも簡単に引き下げる格付け機関を支持するような発言をすれば、たちまち総スカンを食ってしまうでしょう。
ということで、日本としては格付けが引き下げられることはプライドが許さないが、だからといって格付けが引き上げられることにでもなれば、益々円高を招いてしまうというジレンマに陥ってしまっていると言えるのです。
いずれにしても、ここまでお読みになって、何かお感じになることはないでしょうか?
そうなのです。このフィッチによる日本国債の格付け引き下げを一人よろこんでいる人がいるのではないか、と。
それは誰?
先日来何度か取り上げているフジマキ氏なのです。そう、円安が諸悪の根源と言って憚らないフジマキ氏。
では、何故フジマキ氏は、日本国債の格下げを歓迎するのか?
それは、もし日本国民の多くや日本の金融機関が、少しでも日本国債に対し警戒心を持つようになると、資金の運用先を今後は外貨建て資産へシフトさせることになり、そうなると円安が加速化すると予想されるからなのです。
でも、本当に円安の流れが定着してしまうことになれば、今度は日本政府が、今韓国がやっているように急速な円安を食い止めるために為替介入をすることが余儀なくされ、それはそれで大変困ったことであるのです。
ということで、私は、過度な円高や過度な円安を起こしかねない政策はくれぐれもとるべきではないと思うのです。
http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2012/05/23/015850.php
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