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株式日記と経済展望
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消費税を上げれば安定した税収が得られる半面、国民の消費は確実に落ちて
しまいます。国家の将来にとっては有益とは言えません。マハティール元首相
2012年5月23日 水曜日
◆マハティール元首相、日本の政治にもの申す 5月19日 川嶋諭 (要点のみ)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35247
マハティール 税金の問題については、とても慎重に検討する必要があります。一面だけ見て判断してはいけません。経済のあらゆるセクターに対してどのような影響を与えるのかを見極めなければなりません。
消費税を上げれば安定した税収が得られる半面、国民の消費は確実に落ちてしまいます。消費増税は国内総生産(GDP)にとって間違いなく悪影響を及ぼします。一時は確実に税金を集められても、経済を冷やしてしまっては国家の将来にとっては有益とは言えません。
別の道は、消費税を下げるか、あるいは増税はしないという考え方です。消費税という名目で集められる税収は小さいかもしれません。しかし、国民が消費を増やすことで国家にとっては増税よりも税収を上げられるのです。
マレーシアの場合には、隣にシンガポールという国があって、国民の多くが税金の安いシンガポールに買い物に出かけていました。その結果、マレーシアは本来得られるべき税収を失っていました。
そこで私たちは、電気製品や時計、万年筆や宝石などについての消費税を廃止しました。完全になくしてしまったのです。そうしたら、マレーシア人がシンガポールに買いに行くどころか外国人がマレーシアに買いに来るようになりました。
そして、国内で消費が活発になることで企業が潤い、法人税という形でマレーシアの税収増に貢献したのです。マレーシア人がシンガポールに行って買い物をし、マレーシア国内に持ち込む際に払う関税よりもずっと大きな税収を手にすることができました。
もしマレーシアにシンガポールというライバルがいなかったとしても減税は必要でした。減税は企業活動のスピードアップを促し、企業活動を拡大させたからです。そして国を富まし、国に活力をもたらしました。
マレーシアのGDPのうち国内消費の割合は38%しかありません。これはもっと高めなければなりません。国民の消費意欲を高めてお金を使ってもらう必要があります。
逆にGDPに占める割合が十分に高ければ、例えばGDP比で70%以上あるようなら、税金を課せばいい。でも日本はそこまでは高くないでしょう。
私の見る限り、日本にはまだ消費できる余地がたくさんある。それなのに、GDPの大切な要素であるこの部分の税金を上げれば、間違いなく消費は落ち込み、日本のGDPは減少してしまうでしょう。
日本の場合は、消費を刺激しながらムダな政府支出を抑える仕組みを考える必要があると思います。ただし、一方で、日本の将来のために政府支出も増やす必要もあります。政府支出はGDPの大切な要素の1つですから。
政府支出の中でインフラの整備はとりわけ重要です。これは新しい産業を育て、ヒト、モノ、カネの流れを加速させます。政府支出の効果だけでなく、そうした副次的な効果によってGDPの増加に大きく貢献するのです。
マハティール 日本はいつまで米国の価値観を受け入れるつもりなのですか。そろそろ目を覚ますべきではないでしょうか。
プラザ合意で円は大幅に切り上げられました。その結果、順調な成長を続けていた日本経済は一気に不況になってしまったのはご承知の通りです。
当事、問題は米国にあったはずです。なのに日本は円を切り上げて米国を助けることに同意しました。あのとき米国に自分の通貨を切り下げさせるべきだったのです。日本が通貨を切り上げる必要はなかった。
日本は米国とばかり貿易をしているのではありません。世界中の国々と貿易をしている。円を大幅に切り上げたことで、米国以外の国でも日本製品は売れなくなってしまいました。
私からすると、日本は米国を富ますことに熱心に見えます。そろそろそんな考えは捨てて、日本自身を富ますことを考えるべきではないでしょうか。
そして優れた日本製品が買いたくても買えなくなった国もあるということを日本は知るべきです。円を切り上げたことでそうした国の豊かささえ犠牲にしたことになるんです。
マハティール 円高は明らかに悪です。品質の高い日本製品を安く供給してくれれば、貧乏な国の国民でも買うことができる。しかし、円が高くなれば価格も高くなって買うことができなくなります。
円高は日本にとっても良くないが、日本製品を買いたい発展途上国にとっても悪いことなのです。
さらにもう1つ。現在、日本は中国とも競争をしなければならなくなっています。その中国は元を安く抑えている。問題は対米国だけではなくなっているのです。
中国と競争するということはつまり、中国の低コストと戦うということです。日本企業はコストを下げる努力を惜しみませんが、通貨が必要以上に高いとコスト削減は極めて難しくなります。
いまの日本は真剣に円高是正を考えるべきでしょう。そのうえで、国も企業も生産性の向上に取り組む。そうすれば、日本の競争力は上がって国が豊かになるはずです。
川嶋 マハティールさんからご覧になって、日本の円は現在、ドルに対していくらぐらいが適当でしょうか。
マハティール それは難しい(笑)。ともかく、円をゆっくりと下げていくような方針、政策が必要でしょうね。
私が1961年に日本を訪問したとき、日本の円はマレーシアの通貨リンギット(マレーシアドル)に対し、1円が1セントでした。それがいまや1円が4セントです。実に4倍になっているのです。これでは、マレーシア国民は日本製品は買えません。みな中国製品を買いますよ。
でも、マレーシアのリンギットが下がったのではありませんよ。日本の円が一方的に上がったのです。リンギットに関しては、かつてより高くなっているのですから。
マハティール 例えば、以前、1ドルは3.8リンギットでしたが、いまは3リンギットです。80セントほど上がっています。マレーシアにとってこれは大きなインパクトがあります。しかし、日本の上昇率とは比べものになりませんね。
とにかく、日本は米国の顔色ばかりうかがっていては豊かになれません。もっと日本自身のことを考えないと。
米国は輸出競争力をつけたいので、日本に圧力をかけるでしょう。それに応えてばかりいたら円はますます上がり、日本製品の国際競争力はどんどん失われていきます。
マハティール もちろん、中国は脅威を受けているから軍備を拡大させているとだけは言えません。先ほど申し上げたように経済的に豊かになれば強い軍隊を欲しくなるものですから。
ただ、歴史的に言えるはっきりした事実があります。
中国はチベットなど限られた例外を除いて、外国を侵略したことがないということです。しかし、米国や欧州各国は違います。
欧州(ポルトガル)は1509年と1511年にマレーシアにやって来ました。そしてわずか2年後にマレーシアを征服した。しかし、中国は2000年も前からマレーシアにやって来ているのに、マレーシアを征服はしていなんですよ。
急速に発展を遂げる中国は市場としての魅力がどんどん増しています。このことはマレーシアはもちろん、日本にとっても最も重要なことでしょう。軍事的脅威などと煽る者の言うことを聞かないことです。
(私のコメント)
「株式日記」では、マハティール元首相のインタビューや著書の紹介など何度かしていますが、20年に及ぶ首相在任は異例でありますが、「ルックイースト(東方政策)から30年、日本に学んだマレーシアは大発展を遂げていた。」1997年のアジア金融危機においても、韓国、インドネシア、タイなどがIMFの管理下に置かれましたが、マレーシアはマハティールの巧みな金融政策で危機を回避することが出来た。
このように経済運営が上手い首相は政権が長期化する原因ともなりますが、経済が分からない首相は日本のように半年から1年足らずで次々と交代させられます。ヨーロッパでも金融危機のおかげでフランスのサルコジをはじめとして政権交代が次々起きていますが、政権も日本化してくるのでしょう。経済成長がマイナスになっているのに緊縮財政をとれば税収も減り悪循環が起きるのは日本の例でも分かっていることだ。
野田首相は財務官僚に操られて消費税増税に走っていますが、政権が短命化すれば官僚たちがのさばることになります。マハティールも、「官僚は政治家がそのポジションに長くとどまらないことをよく知っています。せいぜい3年だと。これに対して官僚はいつまでもそこにいます。半永久的に。ですから、官僚はよく分かっているんですね。政治家の意見は重要でなくなってくる一方で、自分たちの発言力や影響力が増していくことが。そして次第に政治家の言うことを聞かなくなる。」と警告しています。
日本の政権が短命化したのは、経済運営でアメリカからの圧力を跳ね返すことが出来ずに円高を受け入れなければならなかった。しかしマハティールが指摘しているようにアメリカ経済が弱くなったのだからドルを切り下げればいい話であり、円だけが一方的に切り上げれば日本とマレーシアとの間でも高い日本製品が買えなくなると言っている。
政権が短命化することで官僚は政治家の言うことを聞かなくなり、ますます政権は短命化して来ている。政治家はどうしたら景気を良くして消費を拡大するかを考えなければなりませんが、財務官僚は増税のことしか関心がない。野田内閣は勝栄二郎内閣と呼ばれるくらいになりましたが、国会中継を見ても野田総理をはじめとして各閣僚は官僚が書いたシナリオどおりの答弁を繰り返すだけだ。
政府はどうしたら国が豊かになるかを考えなければなりませんが、円高もなすがままになっていますが、円安にしようとするにはインフレターゲット政策でデフレを解消すればいいだけの話ですが、安住財務大臣は外国には景気よく金をばら撒いても、国内では財源がないとして東日本大震災の復旧政策まで金を出し渋っている。財務官僚が増税を人質に取ってしまっているからだ。
マハティールでは消費税を廃止して外国から買い物に来るようになって景気が良くなったことを述べていますが、法人税の税収が伸びたことで税収に貢献したそうです。マハティールは、「日本の場合は、消費を刺激しながらムダな政府支出を抑える仕組みを考える必要があると思います。ただし、一方で、日本の将来のために政府支出も増やす必要もあります。政府支出はGDPの大切な要素の1つですから。」と述べていますが、「株式日記」で主張してきたことと同じだ。
しかし日本政府は緊縮財政で公共投資を絞ってきましたが、無駄な支出を抑えることも必要だ。特に公務員の人件費は民間の平均に比べて200万円も高くなり財政圧迫の大きな要因になっている。民主党は公務員の給与20%カットを公約して政権を取ったのに、政権についたとたんに先送りにしてしまった。それだけ官僚の抵抗に政治家が負けてしまうからです。
マハティールは1983年から2003年までの間の20年間をマレーシアの首相として務めてきましたが、欧米金融資本からの圧力と戦ってきた。だから彼は、「日本はいつまで米国の価値観を受け入れるつもりなのですか。そろそろ目を覚ますべきではないでしょうか。プラザ合意で円は大幅に切り上げられました。その結果、順調な成長を続けていた日本経済は一気に不況になってしまったのはご承知の通りです。」とずばり指摘している。
5月21日の「株式日記」でも「アメリカの国益を最大化することが、日本の国益を守る最良の方法であるという不思議な信憑に陥った人々がいる」と書きましたが、マハティールも「私からすると、日本は米国を富ますことに熱心に見えます。そろそろそんな考えは捨てて、日本自身を富ますことを考えるべきではないでしょうか。」と皮肉られていますが、全くそのとおりだ。
日本とマレーシア間でも円高は深刻であり、マハティールは、「私が1961年に日本を訪問したとき、日本の円はマレーシアの通貨リンギット(マレーシアドル)に対し、1円が1セントでした。それがいまや1円が4セントです。実に4倍になっているのです。これでは、マレーシア国民は日本製品は買えません。みな中国製品を買いますよ。」と述べているように、政府日銀の金融政策の失敗が円高を招いているのだ。
日本がいくら円高になってもアメリカから買えるのは農産物や兵器ぐらいであり、アメリカの製造業は中国に引っ越してしまった。マハティールは、「国にとって活力の基とも言える中小企業も育たない。それが欧米諸国の問題なのです。リーマン・ショックでそれがはっきり目に見えているにもかかわらず、分かっていないのです。」と批判していますが、まさしく図星であり空洞化が失業者の増大を招いてしまった。
アメリカは構造的に戦争を必要とする国であり、イラクやアフガニスタンから兵を引けば今度は東アジアで戦争を仕掛けるつもりなのだろうか。マハティールはこれにも言及していますが、「欧州(ポルトガル)は1509年と1511年にマレーシアにやって来ました。そしてわずか2年後にマレーシアを征服した。しかし、中国は2000年も前からマレーシアにやって来ているのに、マレーシアを征服はしていなんですよ。」と、中国に対する過剰な軍拡を戒めている。
東シナ海をめぐる領海問題も米中によるやらせだろう。20年間もマレーシアの首相と務めてきたマハティールは米中の意図ですらお見通しであり、日本人にも警告している。尖閣諸島問題も北朝鮮の核開発も米中のやらせであり、アメリカはアジア諸国に兵器やミサイルを売りつけるつもりだろう。しかし中国は歴史的に見ても海上戦闘力は弱く空母ですら満足に作ることが出来ない。潜水艦はロシアから買ったから優秀だが空母まではロシアは売らないだろう。
満足な空母や強襲揚陸艦が無いのにフィリピンやマレーシアを攻撃することは不可能だろう。マハティールはそれが分かっているから中国を恐れてはいない。むしろ経済発展のためには中国をどのように市場として利用できるかを考えるべきだろう。中国の中距離ミサイルは確かに脅威だが、ミサイルは攻撃は出来ても相手国を占領することは出来ない。むしろソ連のように軍拡競争に負けて自滅する可能性すらある。マハティールのような戦略家ならそれくらいの事は分かるのだろう。
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