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市場部門の改革で試される
三菱東京UFJの脱国債依存
国債売買益という、偏った収益構造からの脱却は果たせるか
三菱東京UFJ銀行がビジネスモデルの転換を行っている。
ここ数年、邦銀はどこも収益の多くを国債の売買益で稼いでおり、その偏った収益構造に批判の声が出ていた。
三菱東京UFJ銀も2012年3月期、これら売買益が前期比で20%も増え、2565億円に上った。これは実に、業務純益の20%近くを占める額である。
しかし、国債の売買は、市場環境が大きく変われば損失を免れない恐れがある。しかも、今後、金利が上昇して国債が値下がりするとみる向きもあり、そうなれば売買益は今ほど見込めなくなる。
そこで同行が着手したのが、「脱国債依存」だ。市場部門の本業である“顧客商売”比率を高め、確実に収益を上げていく方針を打ち出した。
具体的には、これまで貸し出しを中心に展開していた海外での企業取引を拡充。顧客の実需に基づいたデリバティブ(金融派生商品)の販売など、セールス・アンド・トレーディング(S&T)業務を本格的に展開する。
今、S&Tの粗利益は2000億円と、市場部門の25%しかない。が、この割合を3年後には50%まで引き上げ、国債などの売買益と同程度稼げるようにする考え。5年後には粗利益5000億円を目指すと、鼻息は荒い。
国債の売買に比べると地道な収益の積み上げにはなるが、そもそも現時点でもある需要を取り切れていなかった面がある。今後の成長に欠かせない海外事業の強化のためにも、貸し出し以外の業務のてこ入れは欠かせない。
また、貸し出しばかり伸ばせばリスクアセットは積み上がる一方だ。今後スタートする新しい自己資本規制の厳しい基準に耐えながら収益を上げようとすると、効率に限界もある。
S&Tの拡充に伴い、市場部門の人材を200人増強、システムインフラ整備への投資も行うという三菱東京UFJ銀。その実力が試される。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)
http://diamond.jp/articles/-/18833
http://www.mufg.jp/ir/factbook/
業務純益
与信関係費用総額
株式等関係損益
その他の臨時損益
当期純利益
業務粗利益は国債等債券関係損益の増加や証券ト
レーディング損益が改善した一方、コンシューマー
ファイナンス収益や優先株式配当など資金利益の
減少を主因に若干の減少
営業費はグループワイドな経費削減の継続により
減少した結果、連結業務純益はほぼ前年度並み
一般貸倒引当金戻入益の計上や貸出金償却の
減少等により大幅に改善
株式等売却損益の悪化に加え、株式等償却の増加
により損失が拡大
モルガン・スタンレーの持分法適用関連会社化に伴
う負ののれん(2,906億円)発生のほか、利息返還損
失費用の減少を主因に大幅な増加
業績目標9,000億円を上回る利益を計上
負ののれん発生効果を除いても、増益を確保
24年3月末23年3月末比23年9月末比
有価証券(銀行勘定) 7 82,647 72,410 26,905
8 うち国債 4 85,627 36,208 12,998
9 うち外国債券 1 79,219 42,844 16,083
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