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日本、商業ロケット打ち上げ市場に参入−高コストとの戦い
2012年 5月 18日 9:04 JST
【種子島(鹿児島)】三菱重工業と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は18日未明、鹿児島県・種子島宇宙センターから、初の商業契約に基づく韓国の衛星を搭載したH2Aロケット21号機を打ち上げ、衛星の軌道投入に成功した。
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AP
打ち上げに成功した「H2A」ロケット(5月18日、鹿児島県種子島)
日本はこれにより、43億ドル(約3400億円)に上る商業衛星打ち上げ市場に参入を果たした。しかし、同市場には新規参入者が相次ぐ一方、既存の企業は低価格での衛星打ち上げを請け負っており、日本勢が生き残っていけるのか疑問の声も出ている。
米海軍大学院のジェームズ・クレイ・モルツ教授(国家安全保障専攻)は、「日本のロケットは高い賃金や原材料費のため、これまでは世界水準を上回っていたが、ロシアのプロトンなどと競争できる水準に近づいてきた」と述べる。
日本政府は近年、政府主導の産業発展である産業政策を縮小しているが、宇宙プログラムは官民合同のままで来ている。日本の宇宙産業の主要な目標は偵察衛星 を含め自国の衛星を軌道に乗せることだったが、三菱重工は事業を継続させるためには、政府系の衛星の受注だけにとどまらず、コスト低減のため商業衛星市場 に参入する必要があると判断した。
同社の宇宙事業部の浅田正一郎事業部長は、「まず第一のニーズは政府需要」とした上で、「商業用衛星の打ち上げを行わなければならないが、大きな荷物は運べない。お客さんの要求に完全にこたえることが出来ていない」と語り、思うように受注できない事情を明かした。
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世界のロケット打ち上げ市場の規模(緑:世界、青:米国)
H2Aの打ち上げ成功比率は95%以上に達し、大口顧客にアピールできる水準となっている。だが、フランスのアリアンやロシアのプロトンなどの既存のメーカーだけでなく、インドや新興の米スペースX社との激しい競争が待ち受けている。
三菱重工はH2Aの打ち上げコストを大幅に削減しているが、円高がこれを打ち消しており、業界関係者によればH2Aの価格は標準の打ち上げ価格である約1億ドルを大きく上回っているという。これに対し、スペースXのファルコン・ロケットは5500万ドルとはるかに安い。
ロケット使用頻度の高い日本の衛星テレビ事業者スカパーJSATやブロードキャスティング・サテライト・システムでさえ、H2Aによる衛星打ち上げを敬遠している。スカパーは1989年以降22基の衛星を打ち上げているが、15日に打ち上げた最新のものはアリアンのVロケットを使用した。スカパーの広報担当者は、価格、信頼性などで条件を満たせば、将来日本製ロケットを使用する可能性はあると述べている。
三菱重工は、2007年にJAXAからロケット打ち上げの売り込みを引き受けて以来、100社以上からの引き合いがあったという。だが、成約に至ったのは今回の韓国からの1件のみだ。
専門家の中には、日本が商業部門での競争に真剣なのかどうか疑問視する向きもある。米国の宇宙産業で働いているある企業幹部は、日本がロケット事業に参入したのは利益を得るためではないと思う。国威発揚のためだと語る。
日本は、次期基幹ロケット「H3」の開発を来年にも開始し、2022年の初打ち上げを目指す計画だ。
三菱重工は、この計画には政府の予算が充てられ、ファルコンとの価格競争力もあると話す。価格を引き下げるため、中型ジェット機の部品や自動車に使われるコンピューターを使って生産の効率化を図るという。
価格競争力のなさを補うため、ロケット打ち上げサービスからレーダー制御システムなど地上設備まで新興国の宇宙開発計画を丸ごと請け負うことも考えている。
記者: Chester Dawson
http://jp.wsj.com/Business-Companies/node_444567?mod=WSJWhatsNews
米NASAの新ミッション、景気浮揚のための雇用創出
2012年 5月 18日 20:16 JST」
米国の宇宙飛行士の輸送業務を民間企業に委託する案はもともと、宇宙開発のコスト削減とペースアップが目的だった。しかし今、米航空宇宙局(NASA)の幹部らは、この計画の主な目的を景気浮揚のための雇用創出とすべきかどうか議論している。
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NASA/Getty Images
NASAのガーバー副長官(左)と「アトランティス号」のファーガソン船長(昨年7月)
ワシントンのNASA本部で今年行われた会議の席上、科学を追求するのか、それとも景気浮揚策を目的とするか議論が分かれ、緊張が高まった。そしてロリ・ガーバー副長官は外部の上級アドバイザーに対し、宇宙飛行士の輸送手段を民間企業に頼る第一の目的は、数千におよぶハイテク関連の雇用を増進するためだと主張したのだ。
一方、NASAで安全部門を担当する専門家らは、この委託プログラムの方向性は、地球の軌道に間違いなく到達できるロケットとカプセルを作るという積年の目的に引き続き焦点を置くものであるべきだと反論。景気刺激のために、当面の目的を軽視することは、米国の有人宇宙飛行の将来を曇らせ、安全性への疑問を生じさせると主張した。
ガーバー氏はインタビューの中で、1月の会議は「価値があり」、辛らつなものではなかったと述べた。しかしこの会議に詳しい筋によると、議論は緊張感があり、民間企業への輸送手段の委託に関するオバマ政権の方針に変化があったことを強調するものだったという。NASAの元幹部で産業コンサルタントのチャールズ・ミラー氏によると、「(議論の)勢いは明らかに、生まれつつある産業を育成するという方向に振れていた」という。
ガーバー氏は17日、電話会議の中で、民間企業に輸送手段を委託する計画は、「米国に質の高い雇用を創出する」と述べた。
大統領選挙を控えたオバマ陣営は16日にフロリダ州で発表した声明で、大統領は「持続可能な有人宇宙飛行計画」を追求するNASAに対する大胆で新たなビジョンを打ち出し、さらに州における雇用創出を約束している、と表明した。
NASAの雇用に焦点を当てた方針は他の面でも如実に表れている。全体的に予算が削られているにもかかわらず、NASAはほとんどすべての主要な施設と1万8000人以上の職員を頑固に守ろうとしている。ガーバー氏は「われわれは(NASAの)職員を削減するつもりは全くない」と述べている。
【スライドショー】NASAの歴史的瞬間の数々
1962年2月に米国人初の地球軌道周回に成功した米航空宇宙局(NASA)のジョン・グレン宇宙飛行士が「フレンドシップ7号」に乗り込む瞬間から、2011年7月のスペースシャトル「アトランティス」の最後の打ち上げまで、NASAの歴史的瞬間の数々。
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記者: Andy Pasztor
http://jp.wsj.com/Business-Companies/node_444955?mod=WSJFeatures
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