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(回答先: ギリシャ再選挙へ 連立合意できず16日に管理内閣 ユーロ売り殺到 離脱なら通貨暴落インフレ ユーロ圏現体制維持できず 投稿者 MR 日時 2012 年 5 月 15 日 23:35:51)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35225
Financial Times
ユーロ圏諸国に襲いかかるギリシャの炎離脱懸念とともに伝染リスクが拡大
2012.05.16(水)
伝染のリスクはいよいよ高まっている〔AFPBB News〕
伝染――。これは欧州債務危機が始まってからずっと市場が恐れている言葉だ。もしギリシャが単一通貨ユーロから離脱すれば、伝染はこれまで想定されなかった形で表面化することになる。
「グリジット(Grexit=Greeceとexitの合成語)」が現実のものになれば、政策当局が築いたが、多くの投資家が不十分だと見なしている防火壁の性能が試され、欧州大陸の銀行セクターは極めて強いストレスにさらされるだろう。
しかし市場関係者の多くは当面の悪影響よりも、まだ苦しんでいるほかのユーロ参加国にギリシャが示す前例の方を心配している。
ギリシャが離脱の前例を作ってしまったら・・・
「この点における最大の懸念は、必ずしもその一次的な効果ではなく、ユーロはその性質上解体できないとの見方に一石が投じられることにある、と我々は考えている」。ドイツ銀行のクレジットストラテジスト、ジム・リード氏はこう語る。
「ほかの国の苦境が今後も続くのであれば、この点は特に重要になるだろう。波及効果は、すぐにはフルに感じられないかもしれないが、時間が経つにつれていろいろなことが起こり得る。ほかの国々の弱体化が続くようなら、ギリシャの離脱は危険な手本になるだろう」
ギリシャがユーロを離脱する時には、その債務がすべてデフォルト(債務不履行)になると考えられる。その意味で直接的なコストは小さくないが、耐えられる範囲内だと見られている。
JPモルガンのニコラオス・パニギルゾグロ氏は、ユーロ圏には約3950億ユーロのコストが即座に発生すると推計している。国際社会によるギリシャ支援で2400億ユーロ、欧州中央銀行(ECB)の決済システム「Target 2」を通じたユーロ圏各国の中央銀行からの貸し付けで1300億ユーロ、民間銀行からの貸し付けで250億ユーロというのがその内訳だ。
簡単には答えが出ない最も大きな問題は、ギリシャが離脱したらその影響はどこまで伝染するのか、というものだ。
ユーロ圏の当局は既に、欧州安定メカニズム(ESM)という恒久的な救済機関や欧州金融安定機関(EFSF)という時限的な機関など、新しい仕組みの設置に動いており、合計で7500億ユーロの資金を貸し出すことができる。ECBも、必要があれば周縁国のソブリン債務を支える用意があると表明している。
しかし市場には、もし欧州連合(EU)をはじめとする公的機関の債権者がギリシャで資金を使い切ってしまったら、イタリアやスペインを支援する体制など取れないのではないかと懸念する向きが少なくない。
スペインが借り入れの際に課せられる上乗せ金利(ドイツの借入金利との差)は14日、485ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に達してユーロ導入後の最高値を更新している。
外国人投資家が出した結論
実際、外国人投資家は独自の結論を導き出したようだ。JPモルガンによれば、外国人投資家によるここ9カ月間の売却額は、イタリア国債で2000億ユーロ、スペイン国債で800億ユーロに達しているという。外国人投資家は現在、この2国の国債を合計で約8000億ユーロ保有している。
今後は2通りの展開が考えられる。第1の展開は、ギリシャが無秩序なデフォルトに陥り、それを機にイタリア国債やスペイン国債が大量に売られるなどして大混乱になるというもの。第2の展開はそこまで悲惨なものではなく、各国が協調して大規模な政策対応が取られるというものだ。
具体的には、ECBが国債の直接買い入れを再開したり、欧州大陸の銀行を支援したりすることになるだろう。強い国々から弱い国々への財政移転を伴う、一種の財政同盟が宣言される可能性もある。
伝染が始まるとすれば、それはユーロ圏の銀行を通じて広まる可能性が高い。保有する周縁国の国債が値下がりするにつれ、資金調達コストが上昇する可能性があるからだ。スペインやイタリアの銀行の一部は、ECBから低利で借りた資金で自国の国債を買い増しているが、そのせいでこれらの銀行はさらに脆弱になる恐れがある。
割れる銀行界の見方
しかし銀行界では、ギリシャのユーロ離脱の影響がどれほど壊滅的なものになるかについて見方が分かれている。HSBCの最高経営責任者(CEO)、スチュアート・ガリバーは先週、そのリスクは小さいと話し、ユーロ圏は無傷で生き残るとの見方を強調した。
銀行の幹部たちは、金融セクターの混乱への備えについてはできる限りのことをしたと話している。銀行の多くは、ギリシャやそのほかの周縁国への直接的なエクスポージャー(投融資残高)を減らしている。「新ドラクマ」の段階的導入に24時間以内に対応するための非常事態計画も導入されている。
野村の欧州法律顧問を務めるピア・ル・マルシャン氏は「警戒すべきポイントは2つある」と言う。「まず、EUがどんな手段を持ち出してくるかが分からない。次に、ギリシャやほかの国が何をしてくるかも分からない。為替管理を導入するために法律を改正するとか、債務の元利支払いを止める別の手段を導入するといったようなことも考えられる」
さらにマルシャン氏はこう付け加える。「要するに、これは巨大なチェスのゲームだ。2手以上先を読むのは非常に難しい」
仮にギリシャのユーロ離脱が秩序を保ちながら行われるとしても、銀行は流動性供給の混乱や資金調達コストの上昇、為替取引の管理などをしばらくの間覚悟することになる。
「波及効果は抑制できるという考え方は、あまりにも世間知らずだ」。ある英国系銀行の上級幹部はそう漏らす。「ギリシャが離脱したりデフォルトしたりすれば、その影響はスペインに向かって飛んでいく砲弾のように、すぐに伝染するだろう」
規制当局はユーロ圏の全面崩壊も想定したモデル作成を要求
複数の銀行の話によれば、規制当局は先日から銀行の非常事態計画に対する要求を拡大しており、ギリシャだけが離脱する場合ではなく、ユーロ圏が全面的に崩壊した時のモデルを作るよう求めているという。「5〜6週間前に要求が拡大した」とある銀行幹部は打ち明ける。「だが正直なところ、あまり役に立っていない」
銀行の幹部たちからは、数多く残る不確実性についての疑問に当局や政府が十分に答えてくれていないという不満の声が上がっている。具体的には、通貨が変わったら既存の契約の金額はどのように書き換えられるのかとか、契約書のMAC条項(重大な事態の変化に備えた条項)はどの程度発動されるのかといった疑問への答えが示されていないという。
ただ銀行幹部らは、いろいろな制約がある中で可能な限りの対策を講じたと考えている。マルシャン氏は言う。「私が本当に心配しているのは、実体経済の方で、つまりモノやサービスへの影響の方で備えが全く進んでいないことだ」
By Richard Milne and Patrick Jenkins
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35220
The Economist
スペインの銀行問題:突然の目覚め
2012.05.16(水)
バンキアの救済はほんの始まりにすぎない。
スペインの政策立案者はようやく目を覚ましたのだろうか? ロドリゴ・ラト氏がバンキアを去るというニュースは、5月7日にマドリードのシエスタが始まった時に流れた。
スペイン屈指の著名銀行家が突然辞任するというニュースが駆け巡ったのは、マリアノ・ラホイ首相が、銀行システムを立て直すために公的資金を使う必要があるかもしれないと認めた数時間後のことだ。その2日後、政府はバンキアの親会社を国有化した。
貯蓄銀行7行が合併して誕生した銀行で不動産融資でスペイン最大手のバンキアが、ラホイ首相が抱える唯一の銀行問題というわけではないが、まず手をつけるにはいい場所だ。国際通貨基金(IMF)は先月の報告書でバンキアを名指しし、バランスシートを強化するとともに、「経営とガバナンスの慣行を改善する」よう要請した。
同行の監査法人は、バンキアとその親会社バンコ・フィナンシエロ・イ・デ・アオロス(BFA)の2011年決算に署名しなかった。
バンキア株主にさらなる痛み
救済は、株主に一段と大きな苦痛を与える。バンキアは昨年7月にマドリードの証券市場に上場したばかりで、それ以来、同行の株式は45%も価値を失っている。これは規制当局にとってもばつの悪いことだ。元々の貯蓄銀行7行の不良債権化した不動産資産の大部分は、バンキアの株式の45.5%を保有し、既に政府から優先株の形で45億ユーロの支援を受けているBFAに属している。
その背景にある考え方は、汚染された親会社からバンキアの銀行業務を切り離すことだったが、バンキアの価値が下落したことで、構造全体が脆くなった。今回、この優先株が普通株に転換され、BFAが国有化される。政府はバンキアそのものにも100億ユーロ(130億ドル)注入すると見られる。これは同行の市場価値の2倍を超える金額だ。
公的資金は、ストレスがかかった時に株式に転換される偶発転換社債の形で投入されるかもしれない。普通株の方がいいだろう。
元スペイン財務相でIMFの専務理事も務めたラト氏は、現財務相のルイス・デギンドス氏と会談した後、沈没しつつある船から離れた。重責を担うバンキア会長の椅子に就くのは、スペインの2大銀行の1つ、ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)の尊敬を集める元CEO(最高経営責任者)、ホセ・イグナチオ・ゴイリゴルサーリ氏だ。
政府に現実を直視させるうえで、BBVAとサンタンデール銀行からの圧力が一役買ったのかもしれない。自己資本の強固なバッファーと大規模な外国業務にもかかわらず、スペインの金融システムと政府そのものに対する疑念が両行に伝染していたからだ。
だが、バンキアは問題のほんの一部にすぎない。何しろ銀行の追い貸しが広がっており、不良債権の規模を覆い隠している。大規模な住宅バブル崩壊にもかかわらず、これまでに損失を計上した銀行はほとんどない。
対策はなお不十分?
投資家は、不良債権化した不動産融資の引当金と差し押さえに関して今年発表されたルールでは不十分なのではないかと心配している。スペインの銀行の株価は急落している(図参照)。
そのため政府は、5月11日に発表される一連の改革策の一環として、さらに約350億ユーロの引当金を積み増すよう銀行に要請する見込みだ*1。政府はまた、不良債権の面倒を見る資産管理会社を設立すると見られる。
これらの資産を管理会社に移す前に、その価値を独立して評価するために第三者が呼び寄せられるかもしれない。こうした対策によって、最も基盤が脆弱な銀行はさらに多くの資本が必要になるだろう。
1つの拠り所は、銀行業界が後ろ盾となっている預金保証基金(FGD)だ。FGDは、資産保護制度と国有化された銀行のための資本として293億ユーロを供給したと推定されている。FGDは、銀行からの拠出金によって賄われているが、基金はほとんど空っぽだ。銀行は前もってFGDに資金を貸し付ける可能性があるが、それは全くの堂々巡りのように感じられる。
債券保有者が打撃を被る可能性は小さいため、国がもっと多くの資金を出さなければならないかもしれない。バークレイズの試算では、銀行は、すでに国が注入した160億ユーロに加えて、さらに460億ユーロの公的資金を必要とするかもしれないという。
今後の公的資金注入は、ラホイ政権がどこまで踏み込む用意があるかに大きくかかっている。過去の救済計画が小出しだったことを考えると、リスクは、スペインの対策が実際必要な規模に遠く及ばないことだ。
*1=原文記事が出た後、スペイン政府は引当金の積み増しなどを盛り込んだ銀行総合対策を発表したが、市場の反応は鈍く、計画の実現を疑う向きが多い
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