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Financial Times
成長戦略を描けない日本
2012.05.15(火)
日本の政治家たちは先月、小泉政権時代の郵政民営化計画を骨抜きにした。世界第3位の経済大国を復活させるビジョンの1つをきっぱり否定した格好だが、残念なことに、これといった代替策は提示していない。
長期の経済成長率を押し上げることは政策上の優先課題だ。これは小泉純一郎氏が首相として郵政改革を押し通した2005年当時においても同様だった。
小泉純一郎首相が退任すると、郵政改革への支持は急速にしぼんでしまった〔AFPBB News〕
ところが、2006年に退任した小泉氏の後を継いだ首相たちは目を見張るような施策を打ち出していない。巨大な銀行・保険事業を持つ日本郵政グループの国家支配を打ち破ろうという小泉氏の構想に比べれば、足元にも及ばないものばかりだ。
手をこまぬいて見ていたわけではない。かつて強い勢力を誇った経済産業省の官僚たちは、エネルギー関連技術や環境保護、医療といった潜在力の高いセクターに資源を振り向けて「縮小均衡とジリ貧」を回避する成長戦略を根気強く修正し続けている。
ただ、そのような努力で十分だと考えるエコノミストはほとんどいない。内需は弱々しく、人口の減少が視野に入り、さらには日本が長らく経済成長の源泉としてきた高コストな製造業を中国やその他の途上国が脅かしつつあるからだ。
郵政民営化が示す現状打破の難しさ
問題の一端は、小泉氏のような人気が全くない首相の率いる最近の政権が、既得権益にメスを入れることに及び腰であることに求められる。
郵政民営化の過程では、現状を変えることがいかに難しい仕事になり得るかが明らかになった。
有力な郵便局長たちの意を汲んだ人々は、郵政民営化に強く反対するロビー活動を展開した。地方の有権者の多くは、近所の郵便局が閉鎖されて生活に欠かせないサービスが提供されなくなってしまう事態を恐れた。そのため、小泉氏が2006年に首相を退任した後、郵政改革への支持は急速にしぼんでいった。
小泉氏の属した自民党が2009年に政権を失うと、郵政株の売却は凍結された。そして先月には、現在の与党・民主党と別の野党1党に自民党が加わって、日本郵政の金融部門の完全民営化の期限を撤廃する法案が可決された。最近ではちょっと見られない、党の垣根を越えた協力が実現したのだ。
政界を引退している小泉氏は、この戦いの表舞台には姿を見せなかった。郵政改革に助言をした東洋大学経済学部の松原聡教授は、改革を守る戦いを支援しても効果はないことが元首相には分かっていたのだろうと考えている。「もし彼が援護射撃のために何かを言ったとしても、助けにはならないだろう」
郵政民営化のように論議を呼ぶ政策の推進が困難である理由の1つに、経済成長率の低下や人口の減少を見れば諸外国に比べて衰退していくことが予想されるとしても、日本はまだどの物差しで見ても豊かで成功している、ということが挙げられる。
「日本の社会はまだ非常に心地よい。心地よすぎて改革できない」。小泉政権で郵政改革の先頭に立った竹中平蔵・元経済財政政策担当大臣はこう指摘する。
TPP参加に向けた交渉入りも曖昧なまま、増税に走る野田政権
とはいえ、改革の必要性は誰もが認めるところだ。小泉氏退任後の5年間で6人目の首相に昨年就任した野田佳彦氏は、政治的な勇気を奮って一部の懐疑論者を驚かしている。
とりわけ注目を集めているのは、環太平洋経済連携協定(TPP)に参加する方向に舵を切ろうとしていることだ。この地域通商協定は、農業者の団体などから文字通り忌み嫌われている。
TPPに参加すれば、日本は経済のさらなる開放と農業など非効率的な産業の再編成に本気になって取り組むのだという姿勢を、少なくとも示すことにはなるだろう。だが野田首相はまだ、TPP参加のための交渉に入るとは明言していない。
ここ数週間は消費税率引き上げの問題が前面に出ており、貿易自由化の問題は少し引っ込んだ格好になっている。持続可能な財政運営に道筋をつけるには消費税の増税が欠かせないとの見方は多いが、これ自体は経済に明るい未来を提供する政策ではない。
ここで話は郵政改革に戻る。民営化は万能薬にはならなかっただろう。しかし、少なくとも金融セクターが今よりも開放されることは約束されていた。慢性的な財政赤字を文句も言わずに埋めてくれる郵便貯金を政府が利用するのを少しずつやめさせることも約束されていた。
日本の国会は今、郵便事業を長期的な繁栄が期待しづらい現状に押しとどめるリスクを冒しているのだ。
業績悪化で自由化機運が再び高まるか?
一方、郵政改革を支持する向きは、自由化の波がまた盛り上がるかもしれないとの見方に慰めを見いだしている。
小泉政権のアドバイザーだった高橋洋一・嘉悦大学教授は、数年以内に郵政事業の業績は間違いなく悪化すると話している。「そうなれば、民営化を求める声が再び聞かれるようになるだろう」
By Mure Dickie in Tokyo
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35212
広瀬 隆雄
中国経済、急減速のこれだけの証拠。ドイツの心変わりで一段のユーロ安も!?
【今回のまとめ】
1.欧州情勢、JPモルガンのトレーディング損で米国株は下がった
2.中国経済が「ハードランディング」するリスクが高まった
3.ドイツは実質的な利下げ容認をした
4.スペイン、イタリアの株価指数にトレードのチャンスあり
5.Facebookの上場は5月18日(金)の予定
まず先週(5月7日〜11日)の米国株式市場ですが、ダウ工業株価平均指数が−1.7%、S&P500指数が−1.2%、ナスダック総合指数が−0.8%でした。
ギリシャの総選挙の後の連立政権の樹立が難航していることに加え、JPモルガン(ティッカー:JPM)の大きなトレーディング損の発表が市場のセンチメントを悪化させました。
中国経済の冷え込みに警戒感、利下げは遅すぎた?
一方、先週発表された一連の中国の経済指標は中国経済が急速に冷え込んでいることを示すものでした。
まず4月の貿易統計ですが、輸入が前年比+0.3%、輸出が+4.9%といずれも低い伸びでした。
次に鉱工業生産は、コンセンサス予想の+12.2%に対してわずか+9.3%でした。
小売売上高もコンセンサス予想+15.1%に対し、+14.1%にとどまりました。
これらの経済統計は、手をこまねいていると「中国経済がハードランディングしてしまう」リスクが高まったことを示唆しています。
これを受けて中国人民銀行は、5月12日(土)に預金準備比率を0.5%引き下げ、20.0%にすると発表しました。
しかし今回の預金準備比率の引き下げは、“遅きに失した”印象を免れません。
次のページ>> ドイツの“心変わり”で、欧州の為替と株はどうなる?
ドイツも成長戦略へ転換? そうなればさらにユーロ安へ
先週、ドイツのブンデスバンク(中央銀行)が「これまでよりインフレ率が若干高くなっても仕方ない」というコメントをしました。
これはドイツ中銀独特の言い回しですが、平たく言い直せば「欧州中央銀行(ECB)はヨーロッパの不景気に対応するため、利下げをしてよい」と意思表示したことに他なりません。
ギリシャやフランスにおける「有権者の反乱」が示す通り、欧州の人々は財政緊縮政策に嫌気がさしています。このため、欧州各国政府は早く成長戦略を打ち出す必要に迫られています。その場合、ドイツだけが財政緊縮政策にこだっていると、政治的に孤立してしまうリスクがあるのです。
今回のドイツの利下げ容認発言はそれを先取りし、近く実施されるメルケル首相とオランド仏大統領との会談を、なごやかなムードにするための配慮だと思われます。
この動きの意味を、マーケットの見地から考えると「一段のユーロ安が見込まれる」ことを意味します。
ドイツが経済成長政策に転換すれば、一段のユーロ安が見込まれる(上はユーロ/米ドルの週足チャート[ザイFX!:セントラル短資FX])
2009年冬にギリシャの財政問題が発覚して以来、ヨーロッパの政府は国家財政の切り詰め一点張りの経済政策を行ってきました。それが今回、初めて成長戦略へと展開しはじめているのです。
欧州株にとって、これは歓迎すべきニュースです。とりわけ調整幅の大きいスペインのIBEX35指数やイタリアのMIB指数は上昇余地が大きいと思います。
Facebookは上場直前だが、極端な反応はない
最後にFacebookですが、現在、IPO(新規株式公開)の会社説明会が各地で開催されており、予定通りに行けば5月17日(木曜日)の引け後に値決めとなり、18日(金)にナスダックに上場される運びです。ティッカー・シンボルは「FB」です。
これまでに漏れ伝えられる投資家からの反応は、良いものもあれば、悪いものもあります。いずれにせよ、極端に不人気であるとか、異常なほど人気が過熱しているという事ではなさそうです。
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