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自発的な「金融抑圧」でマゾヒズムの時代の到来 不利な金利でも国債を買うしかない?
http://www.asyura2.com/12/hasan76/msg/152.html
投稿者 MR 日時 2012 年 5 月 14 日 01:57:24: cT5Wxjlo3Xe3.
 

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35199
Financial Times
自発的な「金融抑圧」でマゾヒズムの時代の到来不利な金利でも国債を買うしかない?
2012.05.14(月) 

今からちょうど1年前、経済学者のカーメン・ラインハート氏とベレン・スブランシア氏は、「金融抑圧」に関する国際通貨基金(IMF)の革新的な論文を執筆した。当初、多くの西側の投資家は論文を見て、ポカンとした。

 というのも、こうした「抑圧」は近年、新興市場で幅広く議論されてきたが、米国では多くの人が、この暗い響きのある言葉が何を意味するのか知らなかったからだ(答えを言えば、「金融抑圧」とは、投資家が好ましくない金利、つまり現行のインフレ水準を下回る金利で債券を購入せざるを得ないと感じる状況を政府が作り出し、国の債務を減らす助けをすること)。

ユーロ圏や米国にも広がる金融抑圧

 時代は変わるものだ。あれから1年経った今、「抑圧」という言葉は、西側諸国で開かれる投資家の会合で飛び交っている。

 無理もない。ユーロ圏では、スペインやアイルランドのような国々の政府が銀行や政府系の年金基金に対し、公的部門の債券を潜在的に好ましくない価格で購入するよう――「強制している」とまではいかなくとも――「奨励している」兆候が強まっている。

 一方、米国でも、同じくらい注目に値する事態が進行中だ。投資家が、全く「抑圧」される必要もないまま、好ましくない金利で国債を大量に購入しているのだ。5月第3週には、ユーロ圏に関する不安が急激に高まる中、10年物米国債に対する需要が強まり、米国政府は1.75%という過去最低の表面利率で国債を発行した。

 しかも、1.91%という10年物米国債の名目利回りは、昨年の最低水準よりは高いものの、インフレ率が2.5%強に上ることから、実質ベースではマイナス領域にある。

 言い換えると、米国債を購入する投資家は皆、深刻なデフレが迫ってきているとでも考えていない限り、基本的に今後数年間、米国政府に補助金を出すことに同意しているということだ。何なら、これを一種の「自発的な」抑圧を呼んでもいいだろう。どちらにしても、抑圧はほぼ間違いなく、投資家に損害を与えて米国政府を助ける結果になる。

 では、金融抑圧は継続し得るのだろうか? 米国の政策立案者や金融当局者にその質問をしたら、ばつの悪い咳払いを聞くことになるだろう。例えば、筆者は先日、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の討論会で、米連邦準備銀行(FRB)の総裁たちに質問してみた。

連銀総裁たちは、公の場では誰もその状況を、あからさまな「抑圧」とは表現したがらなかった。結局のところ、米国の金融政策は独立している、と彼らは言った。

 FRBの超緩和的金融政策の存在理由は経済の需要を押し上げることであって、財政政策を支援することではないという意味だ。これが債務を減らす助けになっているとすれば、それは幸運な偶然に過ぎない。彼らの議論に従うと、そういうことになる。

株式から債券へ比重を移した米国年金基金

 それでも、非常にはっきりしているのは、FRBと財務省の当局者は一様に、当分の間は米国債利回りを、実質ベースでマイナスとは言わないまでも、超低水準にとどめておくことを決意している、ということだ。そして彼らが成功する可能性は十分ある。

 FRBが金融緩和政策の一環として米国債を大量に購入してきたことや、民間銀行がバーゼル委員会の流動性カバレッジ比率のような新規制を満たすために国債保有残高を増やしているという事実などは、この際気にしなくていい。

 それよりもっと興味をそそるのは、投資家さえもが、知らぬ間に「自発的な抑圧」という考え方を受け入れていることだ。

 米国の年金基金に何が起きたか考えてみるといい。5年前には年金基金は通常、資産の60%を株式に配分し、30%を債券に配分していた。ところが、コンサルティング会社ミリマンの調査によると、先月は、上位100位の基金は1兆3000億ドル相当の運用資産総額の41%を債券に配分しており、初めて株式への配分比率を上回った。

 そうした変化は、数年前なら合理的に思えたかもしれない。何しろ過去10年間は、米国債のリターンが年率換算で6.8%に上り、S&P500株価指数のリターン(2.9%)を大きく上回っていたからだ。

2%の国債利回りは、PERで言えば50倍に相当

 だが、今のタイミングは最悪に見える。というのも、ハイマーク・キャピタルのCIO(最高投資責任者)、デビッド・ガーツ氏が言うように、「2%の米国債利回りは、PER(株価収益率)にすれば50倍に相当するのに対し、現在のS&P500の予想PERは13倍だ」からだ。

 言い換えれば、年金基金にとっては、運用先を再び株式に切り替える方が理にかなっているということだ、と同氏は言う。

 一方、グッゲンハイム・パートナーズのスコット・マイナード氏のような運用担当者は、まともなリターンを得るために社債に目を向けるべきだと考えている。だが、2007年と2008年の経験が投資家に非常に大きな傷跡――そして恐怖感――を残したため、彼らはリターンよりも資金の保護と流動性の方をより重視している。

 言い換えれば、(FRBや銀行を含め)ほかの誰もが米国債にどんどん投資している時は、多くの投資家も群れに従いたがるということだ。恐怖の相関関係が先行しているのだ。

金融抑圧が生む長期的なリスク

 このことは長期的に大きなリスクを生み出す。インフレ率が突如急上昇したり、成長が再開したり、再びデフォルトの恐怖をもたらす米国の財政騒動が起きたりした場合には、価格が大きく振れ、多くの投資家が大けがを負うだろう。

 だが、余剰資金に溢れた世界では、このバブルが正確にいつ弾けるのか予測するのは無駄足だ。筆者は、この自発的な抑圧がしばらく続くのではないかと思っている。何なら、それを大衆市場の金融マゾヒズムの時代と呼んでもいいだろう。

By Gillian Tett  

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コメント
 
01. 2012年5月14日 15:30:29 : 3CNLte9sGM

>バブルが正確にいつ弾けるのか予測するのは無駄足だ。筆者は、この自発的な抑圧がしばらく続く

現在の先進国の低成長は、企業が国内の期待利益率を低いと想定し内部留保を増やしていること、

それを補うため国がGDP比での過大な歳出を行い、構造的に財政赤字が発生する点にある

本来、過大な財政赤字(借金)がある場合は、金利上昇で強制的な圧縮を強いられるが、

日米英などでは、中央銀行やアラブ・新興国等の購入による国債バブルが、累積赤字の積み上げを可能にしている

結果として、世界のGDPに対して、金融資産(負債)は歴史的な水準にまで上昇している

欧州では国債バブルは弾けつつあるが、日米英では通貨安という形で、バブルが長期にわたって維持され、

金利抑制の必然の結果として、先進国の経済下押しと金融リスクの上昇が続くことになるが

それが反転するとしたら、やはり新興国経済の成長による高インフレが、国債バブルを破綻させるか、激しいインフレを先進国に引き起こすときということになるか



02. 2012年5月15日 01:14:37 : 3CNLte9sGM
アングル:金融市場で広がる短期筋の「共食い」、投資マネー細りで
2012年 05月 14日 15:56

欧州株式市場が4カ月ぶり安値、ギリシャ情勢や中国経済減速を懸念
インタビュー:一貫生産体制の構築、単独でやらず=新日鉄副社長
ホンダ、今期一番の経営リスクは「マクロ経済」=池専務

[東京 14日 ロイター] 世界の投資家がリスクに見合ったリターンを得られない超低金利の主要国投資を敬遠するなか、流動性が細る金融市場では、短期筋の「共食い」ともいえる取引の潰し合いが始まり、相場がファンダメンタルズでは説明できない要因に影響を受けやすくなっている。

<短期筋の共食い>

14日午前7時過ぎ、薄商いのアジア早朝の時間帯を狙って、一部の海外ファンドが、1.29ドルを巡るオプション・バリアを潰すためにユーロ売りを仕掛けた。ユーロは新規材料が無い中で値を崩し、4カ月ぶりに1.29ドルを割り込んだ。

為替市場に限らず最近の金融市場では「訳もなく相場が急騰し、次の瞬間には、訳もなく急落する場面が多々見られる」(外銀)。市場参加者の大半が理解も追随もできない相場変動はオプションなどデリバティブ取引に由来するものが多い。

世界の投資家はリスクに見合わない低金利の主要国投資を手控えており、証券投資に由来するリアルマネーのフローが細る市場では、餌に飢え、体力が弱った短期筋(フェイクマネー)が利益を確保しようと必死だ。

主戦場となっているデリバティブ取引では、短期筋の潰し合いが目立つ。

「きっかけは何でも良いはず。ギリシャの選挙も手掛かり材料だが、彼らのユーロ売りとギリシャの政局不安は全く無関係」(前出の外銀)だという。

通貨オプション取引では、相場が小動きだと予想すればストラドルの売りが出やすい。この戦略を逆手にとり、薄商いで相場が振れやすい時間帯を狙って売りまたは買いを仕掛ける短期筋や、レンジフォワードやオプション・バリアを狙って逆の相場を仕掛けるなど、単純な追い込み作戦が目立つ。

こうした環境では、人間の判断を介さない超高速のアルゴリズム取引がむしろ活躍の場を得そうだが、ここへきてアルゴリズムはもはや収益増強ツールとは言えなくなってきた。市場の取引高が低迷し「下手に手を出すと値が飛んでケガをするだけ」(証券会社)だからだ。

<共食いの果て>

共食いを生き残ったファンド勢や金融機関の業績は芳しいものとは言えない。

米ヘッジファンド調査会社ヘッジファンド・リサーチ(HFR)は、ヘッジファンド業界全体の運用成績を示す「HFRIファンド加重総合指数」が4月はマイナス0.36%だったと発表した。過去12カ月の成績はマイナス4.14%だった。

「HFRI新興市場指数」は4月がマイナス0.51%、過去12カ月の成績はマイナス10.49%とさえない。

米銀大手JPモルガン・チェース(JPM.N: 株価, 企業情報, レポート)は10日、デリバティブで3月末以来、20億ドルの損失が発生したことを明らかにした。報道を受けた11日の米株式市場では、同様の問題が銀行セクター全体を揺るがすのではないかとの不安や、規制がさらに厳しくなることへの懸念が広がり、銀行株が急落した。

<低すぎる欧米債券利回り>

為替市場を干上がらせている投資家の主要国離れは日本でも顕著になっている。

バークレイズが実施した外債市場サーベイによると、「米国債、欧州債どちらも投資対象として魅力がない」とみる日本人投資家は前回4月23日のサーベイ時の33.3%から5月7日には44.8%に大幅に増加した。

投資家が欧米債券投資について感じるリスクに対して、リターン(投資利回り)が低すぎる状態が続いているため、「本邦投資家は先進国の外債投資への興味を全般的に失いつつあるように思われる」とバークレイズ・キャピタル証券、チーフ外債ストラテジストの高橋祥夫氏は言う。

米財務省証券10年物利回りは3月に一時2.4%付近まで上昇したが、その後、踵(きびす)を返して低下。8週連続低下した果てに現在は1.82%台まで下がっている。米債利回りの低下は米国の金融機関による購入が主因と見られている。独国債10年物利回りも過去最低の1.51%台まで低下している。

本邦投資家と同様に世界の投資家も、欧米市場に変わる投資対象を探している。

この結果、カナダ債、豪州債など資源国債券に投資家の人気が集まり、両国の債券市場では外国人保有比率が急ピッチで上昇。 カナダ国債市場では外国人の保有シェアが2003年3月の15.9%から2011年3月には21.2%まで上昇した。ただ、一国の債券市場の規模は、過去または現在の国家の借金の規模であり、「膨大な借金をしていない資源国や新興国の債券市場は小ぶりで、欧米市場の受け皿になり得ない」(証券会社)のが現実だ。

<逆流する外債投資>

財務省が10日発表した4月の対外および対内証券売買契約等の状況(指定報告機関ベース)によると、対外債券(中長期債)投資は2兆6174億円の処分超と昨年11月以来、5カ月ぶりの売り越しとなった。 対外債券投資の処分超額が2兆円を超えるのは、2006年3月に2兆3264億円となって以来。

外貨建て投資信託ブームをけん引し、2009年度、2010年度と3.5兆円以上の外国証券を買い越してきた投資信託は、今年3月までの1年間(2011年度)に8593億円を売り越している。

(ロイターニュース 森佳子 編集 橋本浩)


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