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35歳からの「転職のススメ」
【第1回】 2012年5月14日
高野秀敏 [株式会社キープレイヤーズ代表取締役]
【新連載】
「35歳転職限界説」はウソだった!? 年収ダウンの“鶏口牛後な転職”が盛り上がる理由
年収アップ、ポジションアップはいらない
リーマンショックで変わった「転職の常識」
ひと昔まえまで、転職といえば、年収アップ、ポジションアップが前提でした。ですから、そうした条件を持った上で、転職のご相談にくる方がとても多かったように思います。しかし、リーマンショック以降、転職についての考え方が大きく変化してきていると感じています。
具体的にいえば、「年収はダウンしてもかまわない」ので転職したいという相談が増えました。現職企業が業績悪化にともない希望退職を募っているであるとか、そこまではいかなくても将来がまったく見えないと感じているという話です。
どの会社でも35歳前後になれば、会社のなかでの評価も決まってきます。会社によっては部長や執行役員、子会社役員などになっている方もいるでしょう。成長企業、特にインターネット企業であれば、35歳前後の社長は珍しくないですし、創業者ではなくてもバトンタッチを受けて上場企業の経営者になっている方もいます。アイレップの紺野社長、セプテーニの佐藤社長などが実例です。
20代であれば黎明期のベンチャー企業への転職も最近は珍しくなくなってきましたが、35歳という年齢を考えますと、ご家族のいる方も多いですし、なかなかそのような企業への転職には足踏みしてしまう方も少なくないでしょう。
では、35歳からの転職にはどのようなパターンが考えられるのでしょうか。いくつか例を挙げて紹介していきましょう。
外資系を渡り歩けるのはごく一握り
20代でのグローバル企業経験が必須
まず挙げられるのが、「外資系企業でのキャリアアップ」です。
1社目から外資、または20代で外資に転職をして、次々と転職しながら年収をあげていくというタイプ。主に米国企業、または欧州企業が多く、傾向として年収をあげるには、日本進出の際に、幹部や幹部クラスのメンバーとしてスタートアップに参画するという方法があります。日本市場で成功すれば、年収だけではなく、ストックオプションなど多くが手に入ります。アマゾン、Googleなどが該当する例です。
こうしたケースは以前から実例としてありますが、日本市場が縮小傾向にあるなかで外資系企業が日本に魅力を感じなくなってきている、また進出しても規模を拡大しないという会社も多く、小粒になってきている印象があるのも事実です。
次のページ>> 自分の強みを活かす×企業の弱みを補完する「鶏口牛後」転職
外資系でキャリアアップをしていくには、英語力も当然のことながら、新卒や20代のうちに外資系グローバル企業での就業経験が必要になります。グローバル企業での経験がない方を、企業が「外国」である日本で採用することはリスクと考えることが多いためです。どんなに優秀であっても、外資系企業の経営のスタイル、慣習が日本とは違いが大きいと感じている方が多いように思います。
雇用ひとつとってもそうです。日本はなかなか解雇をしませんし、赤字になってやっと人員整理に至るほどです。一方、外資系企業では赤字になる前に、業績が悪化すればすぐに人員を整理していきます。このように外資系と日本企業の慣習の違いから、外資系経験がない方の採用は難しいといえます。もし、いままで日本企業のみで働いてきた、しかもドメスチックな環境で働いてきた方には望みにいくキャリアと言えます。
自分の強みを活かす×企業の弱みを補完
「鶏口牛後」転職のススメ
数千名以上の方のキャリア相談をさせていただいた立場から申し上げますと、転職に成功しているといえる方、さらにここ最近の実例で多いのは、「自分の強みを活かした転職」です。
求人は常に、成長している業界、会社でこそ沢山生まれてきます。そして成長企業では、常に人材が枯渇しています。その企業の強みが「技術」にある場合は、営業やマーケティング分野に弱みを持っていることが多いです。またほとんどの成長企業は管理部門が弱いといえます。そして、人事、経理財務、経営企画などの業務は成長スピードにまったく追いついていません。
会社が苦手としている部分、弱い部分を補ってくれる方の評価は必然高くなります。またその方が実務だけではなく、マネジメントもできて、その分野を一通り任せられる人となると、経営者にとっては大変ありがたい存在となります。
ひとつの会社で出世していくことができる方は一握りです。35歳にもなれば会社でどのあたりまでいけそうかも見えている頃だと思います。いまの会社ではトップでなくても他社にいくことで、ナンバーワンかつオンリーワンの立場を獲得できる方はもちろんいます。誰でもそうですが、求められる環境で仕事ができるということは楽しいですし、やり甲斐を感じられるものなのです。
大手企業からベンチャーへ転職
1年半後には取締役、年収1500万円に
ではここで、実際に「自分の強みを活かした転職」で、やりがいと結果的には年収アップも手に入れた男性のケースをご紹介しましょう。
次のページ>> 最初から「幹部」で転職すると、社内から妬みも…
【実例@】
Aさん(38歳)
大手SI企業での法人営業と一部マネジメント経験あり
年収900万
転職理由:いまの会社も絶対に駄目ということではないのだが、先行きを考えると価格競争や過当競争になっている分野であり、自分よりも上の世代は上がつまっていて、昇進昇格には時間がかかる。誤解をおそれずにいえば仕事ができない上司や高い給料をもらっている人もまだまだ沢山いる。余剰人員が多いと感じる。一気にリストラをすすめるべきだとも思うが、労働組合もあるしそう簡単なことでない。短期的には残ったほうがいいが、中長期では転職したほうが良いのではないか?40代になったら転職自体が相当難しいと聞く。自分を活かせる職場がないか?
Aさんの強みは、大手企業で培った、中長期にわたるリレイション営業ができるということ。またプロジェクトをひっぱったり、エンジニアの方の間に入ったりという調整能力。大手企業にいただけにスタンドプレーではなく、仕組み化することや組織で働くために必要な最低限のルールや仕事のまわしかたを熟知しているということでした。
私からはEC系のシステムの自社サービスをもっている会社を紹介し、営業の戦略と実行、マネジメントができる方が欲しいというX社をご紹介させていただきました。成長企業であるX社は、プレイヤーとして創業期から社長と一緒に仕事をしてきた方が多く、若手、新卒時代から仕事をしている方でポテンシャルの高い方はいましたが、ミドルマネジメントのできる人材はどう考えても不足していました。
X社の経営者の方からのニーズは、「営業、マーケティング部門を全部まかせられる幹部が欲しい」というものでしたので、いわゆる幹部人材も探していたのですが、そのクラスとなると月100万ぐらいの月収はもらっていることが多いのが現状でした。そこで、再度経営者と相談させていただいたところ、将来幹部になれる人材を採用することに決め、現状は部長クラスで入ってくれる方を採用することで意見はまとまりました。そこでAさんをご紹介させていただいたという流れでした。
最初から役員で入りますと、プレッシャーも増しますし、それこそ部下になる方々も「どのくらいの人なのかお手並み拝見といきますか」といった嫉妬心を抱かれることも多くあります。私自身、サラリーマン社会における「嫉妬心」ほど怖いものはないな…という実例も多くみてきました。転職やキャリアの世界では、「恋愛の嫉妬よりも仕事の嫉妬のほうが怖い」という話もあるぐらいです。
Aさんには慎重に現場のスタッフにも会ってもらい、部長クラスの転職ということで、その会社の給料テーブルに従って、前職よりも年収が100万円下がることになりました。入社以降は社長と現場の間に入りしっかりと役割をこなし、半年後には執行役員、1年半後には取締役に。結果としてインセンティブも込みですが、給料は1500万までアップしました。
Aさんからは、この商材はまだまだ売れそうだという実感値と、若手のスタッフや社員が教えてもらうべきことを教わっていないという状況から、まだ教育の余地がある、とやり甲斐をかなり感じて、活躍できるイメージを持ったと聞いています。
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突然、あなたの上司も転職!?
50代向けの顧問的転職が増えるワケ
また最近、50代、60代の方向けの顧問転職が増加傾向にあります。背景としては、企業が幹部を採用するには、うまくいかなかった場合のリスクがあると感じるということ。一方でシニアクラスの人材の方がもっている能力、経験、ネットワークを効果的に活用したいという背景があります。
毎日出社してもらう必要はなく、適宜相談にのってもらったり、週に一度の勤務でもかまわないということです。シニア向けの求人は多くないものの優秀なシニアはまさに日本には沢山いらっしゃいます。そこでこのような市場が広がってきたということが言えます。
【事例A】
Bさん(60歳)
メーカー系で何度か転職経験あり
法務、知財関係の経験、海外経験豊富
Bさんは、海外駐在の経験もあり、交渉ごとや契約関係、法務や知財関係の見識が豊富な方でした。訴訟となった案件の経験もあります。まだ高校生のお子さんもおり、稼ぎという意味でも働きたいですし、そもそももっと面白い仕事をしていきたい気持ちがあります。いまの会社は残ればあと5年いることができますが、給料も3分の1ぐらいになりますし、新しい会社や業界にも興味があります。
現在、インターネット企業はグローバル化が促進され、コンテンツやゲームを世界で広めていくための準備や実行が行われています。会社によってはプロフェッショナル人材を沢山採用できている会社もありますが、多くは、顧問弁護士の方に困ったときに相談しているというレベルです。弁護士の方のコメントは的確ではあるものの、職業柄リスクをとった発言はできないため、リスクをとった場合、経営の立場にたった場合、どのようにすべきなのか意見をしてくれるような人が欲しいというニーズがあります。
顧問的な立場であれば社員ではないため思い切って発言もできますし、社長との相性がどうしても合わなければ契約を半年で見直せるようにしてあるため、あまりリスクも大きくないというメリットがあります。
質問1 35歳以上のビジネスパーソンの方に伺います。あなたは転職したいですか?
http://diamond.jp/articles/-/18420
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