http://www.asyura2.com/12/hasan76/msg/135.html
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〆・・EU危機再燃は外見的には深刻さを増しているが、底流にあるのは欧州統合への政治危機であり、落しどころは模索できるものであろう。
徐徐にではあるが、財政・経済危機は市場に折込まれつつあるようである。
巷間、囁かれているのはユーロ暴落説よりも・・構造的なドル不安の再来のようである。
●日本のバブル崩壊後、日本円は買われた。EUが混乱するほど、ユーロは買われる!?
http://zai.diamond.jp/articles/-/130136
欧州問題が再びマーケットの焦点となっている。
現職フランス大統領の敗北からギリシャ再選挙まで政局不安が続き、常に懸念されてきたギリシャのEU(欧州連合)離脱問題に加え、スペインの銀行問題も浮上した。
EU危機は一段と拡大しているように見える。
★EU危機の深刻さが実感できないユーロ/米ドルの値動き
ところで、肝心の為替レートは、ファンダメンタルズの激動と比べ、つまらないほど静かな値動きだ。 ユーロ/米ドルの1.2900ドルを割るか割らないか程度の下落ぶりでは、とてもEU危機の深刻さが実感できない。
★「EU危機=ユーロ暴落論」は安易すぎる!
実際、「EUへの資金還流が大規模に発生していることが確認され、EUのソブリン危機がこれから深刻化していくだろう」といったコンセンサスが強くなればなるほど、欧州の銀行と企業は海外資産を処分し、これからの危機に備え、本国へ資金を還流させようとする傾向が強くなるだろう。
これは何の変哲もなく、ごく普通の反応だが、なぜか日本ではこういった話があまり聞こえてこない。
以上の分析も基本的にはファンダメンタルズの範疇に入るので、これをもってこれからユーロが上がると断言する気は毛頭ないが、筆者が言いたいのは、 ユーロが騒がれたほど急落していないのなら、このような資金の流れから見た視点が重要だろうということだ。
俗論で言う 「EU危機=ユーロ暴落論」は安易すぎるため、それとは距離を置くべきだろう。
まず、 ユーロ圏への資金還流が続くかどうか。次に、ドルキャリートレードの解消が続くかどうか、である。
状況はやや混沌としており、答えをすぐ見つけるのは容易ではないが、リセッション確実とされる英ポンドが対米ドルで堅調なことを考えると、米ドル全体の行方をあまり楽観視しすぎないほうが無難かもしれない。 (中略)
●フランスの政局云々だけでユーロ安とは限らない。米国にも2つの不安が再浮上
http://zai.diamond.jp/articles/-/129900
一般論として、米QE3(量的緩和策第3弾)の可能性が米ドル全体の頭を重くしているといった見方は多い。
一方、 ドル資産はリスク回避先と見られる傾向も強いため、最近の株の調整具合からは、本来は米ドルがもっと買われてもおかしくないとも言える。
今のところ、 株安に敏感に反応したのはむしろ円という見方も根強い。米ドル/円をはじめ、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)全般のパフォーマンスから、米ドルよりも円がリスク回避先としての役割を果たしているという見方だ。
両論ともそれなりに理屈は合っているが、見逃されやすい要素として、以下の2点を指摘しておきたい。
★EUの混乱が深刻化すればするほどユーロは買われる!?
まず、第1に 「危機こそ強い」という現象だ。
ファンダメンタルズが悪化したからこそ、通貨が逆に買われた好例は他ならぬ、日本の円であろう。
バブル崩壊後、企業のデレバレッジと資金の国内還流が大きな流れとして円高に寄与したことは記憶に新しい。
いわゆる「理外の理」である相場の理屈はなかなかリアルタイムでは理解されにくいが、往々にしてその後よく検証すれば、実に理に適う部分が多いのだ。
今の欧州で、同じ現象が起こっていると言われたら、みなさんは納得するだろうか。
また、同じ理屈で推測していくなら、今のユーロは「買われすぎ」ではなく「売られすぎ」で、EUの混乱が深刻化すればするほど、これからユーロは買われるだろうといった結論に同意できるだろうか。
かなりクレイジーな見方だと思われるだろうが、2005、2006年に「不況だからこそ円高」といった見方が嘲笑されたように、もしかしたら相場の真実はクレイジーの方に近いのかもしれない。
★米雇用統計の結果は、多くの市場関係者をガッカリさせた
ウォール街には、「sell in May and go away(5月は売り払え!)」という相場格言がある。例年、5月は株安になりやすい傾向にあるから、ポジションを手仕舞うべきだということである。
今年の場合も、そのとおりの展開になりそうだ。先週末に発表された米雇用統計が弱く、米国株は下落し、弱気サインが点灯したかのように見える。そして、リスク回避で米ドル買いと円買いの傾向が強まった。
もっとも、市場センチメントの悪化は理に適っていると言える。 米国の景気回復への期待が高かった分だけ、この米雇用統計の結果は、多くの市場関係者をガッカリさせた。
FRB(米連邦準備制度理事会)の要人も含めて、「QE3(量的緩和策第3弾)」の必要性に疑問を呈していた市場関係者には「不都合な真実」が告げられたことになる。
すなわち、 米国の雇用情勢の悪化が周期性ではなく、構造的な問題であることを示唆したということになる。
バーナンキFRB議長の景気見通しに関する慎重な姿勢に、納得した市場関係者も多くいたことだろう。
★EUの混乱で、ユーロがたちまち暴落するとは限らない
2つの選挙結果を受けて、ユーロ圏内の政局は混乱するに違いないが、為替相場に対する影響としては、次の3点を指摘しておきたい。
まず、政局の方向性と為替相場の方向性の間に、必ずしも高い相関関係は存在しないということ。次に、相場はいつも先のことを予測し、その影響を先に織り込もうとするということ。
そして3つ目が 政治家は当選前と当選後で、往々にして言行不一致になりやすいということである。
これからEUが大変だからと言って、ユーロがたちまち暴落していくとは限らないし、フランスの大統領が変わったとして、その後の政策が修正されるとは限らない。
政治家の本質に照らして見れば、むしろ、逆の可能性が高い。政権政党が変わっても、その後の政策に大した変化が見られず、それどころか「政権交代前の政策よりも後退した」というケースが少なからず見受けられる。
緊縮政策に反対しないと当選できないから、それとは真逆の政策を打ち出すものの、当選後は政権与党として、経済成長や財政均衡、EUの大国としての責務を果たしていかなければならなくなる。結局のところ、現状維持か、それどころか、逆戻りさえあるかもしれない。
このようなケースは、「どこかの国」をご覧いただけば、おわかりいただけるはずだ。外国とはいえ、政治の本質はいっしょである。
★米国サイドの2つの大きな不安とは?
話を米ドルのパフォーマンスに戻そう。今年も例年のように、「sell in May and go away」で米国株が下落するかどうか、現時点ではわからない。
だが…
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株安が米ドル高や円高をもたらすといった方程式は、必ずしも成り立たないだろう。その最大の理由は、米国サイドにも大きな不安があるためだ。
米国サイドのマイナス材料は、 「QE3」の可能性、ならびに、米国の財政危機の再浮上の2つである。
前者に関しては、先週末の雇用統計で一層蓋然性が高まっており、FRB内部のタカ派を押さえ込むと予想される。
また、後者に関しては、いわゆる「ブッシュ減税」の終了に伴い、財政再建に関する民主・共和両党の同意がなければ、米国のソブリン格付けが再び格下げされるといった懸念が高まっている。
ちなみに、今のところは、両党の合意の可能性は見出せずにいる。したがって、 「ブッシュ減税」の終了後、米国政府の財政支出が計画どおりに削減されていくと、米国の景気回復を下支えする原動力がなくなってしまうかもしれない。
以上から、 相場はしばらく、こう着状態になる公算が高く、明確な米ドル高のトレンドは想像し難い。
★ユーロ/米ドルが、どこまで下げるのかがカギに
とはいえ、ファンダメンタルズの材料で相場の行方をはかることはできないので、結局のところ、相場自体の内部構造が方向性を示すことになる。
その意味では、 節目の1.3000ドルを割り込んだユーロ/米ドルが、どこまで下げるのかが、よい試金石となるだろう。(以下略)
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