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#人数の問題ではなく、民間同様、世代構成や年功序列賃金の是正、そして何より、解雇基準の明確化が必要
http://jice.or.jp/archives/201205100.html JICEの部屋 公務員数の世界比較
国土技術研究センター理事長
大石 久和
中谷巌氏は、「資本主義以後の世界」(徳間書店)のなかで、「失われた20年」の間に失ったものとして、次のように書いている。
「明治以来、日本の近代化を支えてきた大きな社会インフラのひとつは日本の官僚システムであった。官僚には優秀な人材が集まり、志も高く愛国心に燃え、安月給でも夜遅くまで仕事をした。そうして日本の近代化を成功させた。その貢献は誰にも否定できないだろう。また、日本の国民もつい20〜30年前までは官僚を尊敬し、信頼していた。『政治家が少々頼りなくても、あの人たちに任せておけば大丈夫だ』という安心感があった。
ところが、今日、日本人の官僚に対する心情は大きく揺らいでいる。彼らは政治家や業界と手を組み、自らの利益を図っている。天下りはけしからん、彼らが構造改革の障害になっている…。明治以来の日本を支えてきた官僚に対する日本国民の尊敬の念がなぜこうも崩れてしまったのであろうか。それは、おそらくは意図的な『官僚つぶし』にわれわれがうかうかと乗せられてしまったからではないか。」
中谷氏は、アメリカが構造改革を要求してきたとき、一番手強い抵抗勢力として官僚群をとらえ、そのころから突然、官僚バッシングが始まったというのである。1府12省への官庁大再編も結局のところは構造改革路線に立ちはだかる官僚の力を弱めたいという改革推進のための戦略の一環だったのではないかと思えるとして、「実際、省庁大再編によって日本の官僚システムは相当弱体化してしまったという印象が強い」とも述べている。
今回の震災においても、官僚は、バラバラの指示の前でどの指示に従ったらいいのかとまどい、提案権も奪われていたから、結果として指示待ちの姿勢になってしまった。それが、彼らからの発案を封じて、今日の状況を生んだ感がある。
公務員は組織的な反論もしていないから、今なお遠慮のない公務員攻撃は継続していて、結果として「日本の根幹的な社会インフラが毀損された」というレベルにまでに至りつつあるのではないか。まずは公務員は多すぎるのか、数を比較して見てみたい。
http://jice.or.jp/archives/images/201205100.jpg
「国家公務員は10万人少なくすべきだ」とか、財政が厳しいことを背景に威勢のいい削減策が次々に提案されている。しかし、これほどの削減に耐えるほどにわが国の公務員の数は多いのだろうか、主要国と比べてみよう。図は、人口1000人あたりの公務員数を主要国と比較したものである。公社公団・政府系企業を含んでも、わが国は断然少ないことが明らかで政府の機構は小さいのである。連邦制をとっているがゆえに中央政府が身軽であるはずのドイツやアメリカよりも、わが国の中央政府職員の方が少ないのである。
連邦制ではない国との比較では、中央政府職員はイギリスでは日本の8倍、フランスでは9倍にもなる。地方公務員もこの傾向は変わらない。どの国も、日本よりも多い地方公務員数となっている。わが国と同じ行政形態のフランスなど、日本の地方公務員の1.4倍強にもなっている。
こうした事実をふまえない議論ばかりが横行して、公務員数削減論が正義の主張であるかのように扱われている。ある企業のトップに、「わが国は公務員が多いようにいわれているが、実はそうではないのだ」といったら、「国家公務員は少ないかもしれないが、地方公務員は多いのではないか」との返事が返ってきた。このように真実にまったく無頓着なまま、誤った印象と伝聞だけで議論がなされ、主張もされているのである。
2012.3.9付けの日本経済新聞のコラムは次のようにいう。
「国家公務員の給与を引き下げる特例法が成立した。(略)これによって生じる約6000億円の財源は震災復興のために使われる。おそらく大部分の人は『当然だ』と思っているだろう。民間は企業における従業員の働きぶりが収益に関係するが、(略)公務員は働きと税収に関係があるわけではない。公務員が怠けていたから財政が大赤字になったわけでもない。財政が大赤字になったのは、国民の要求に応えて歳出を増やしていった半面で、国民がその負担を十分担ってこなかったためだ。
今回の経験を建設的な政策形成につなげるためには、『多くの人が疑問を持たないから』『世論が支持しているから』として議論を止めてしまうのではなく、『どうして公務員の給与を削減する必要があるのか』という基本問題を、改めて考えてみる必要があるのではないか。」
野口悠紀夫氏は、社会保障制度の見直しがなければ、増税しても歳出の伸びが税収の伸びを上回ると分析する。公務員の人数や採用数の削減は、それが何を毀損することになるのかを2〜3年では明らかにしないかもしれない。しかし、公務員の年齢構成は歪むことになるし、利潤に仕えるのではなく、広く公義に役立ちたいとして公務員を目指してきた若者の勉強意欲を確実に削ぐことになる。民間採用が減少しているから民間企業に採用促進を促している政府までもが採用を減らせば、若者の失業率はかならず上昇する。
公務員の扱い方によっては、国家の根幹的な制度インフラの喪失とともに、取り返しのつかないような大きな外部不経済を生む懸念があることが大変に心配なのである。
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