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#ユーロ経済の影響がフランスに及ばないとも思えないが、それでも状況はまだ良い
ちなみに日本では、単身世帯の割合が、既に3割超、非婚化もさらに増加中
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120510/231840/?ST=top
恋愛大国フランスの新大統領が示す人口政策の成果
ドイツに対抗すべく始まって140年
田村 耕太郎 【プロフィール】 バックナンバー2012年5月11日(金)1/3ページ
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ファースト・レディは事実婚
5月7日、新しいフランスの大統領にフランソワ・オランド氏が当選した。ニューヨークタイムズ紙でポール・クルーグマン氏は「フランスの財政・経済政策の変化が、欧州統合やユーロに与えるであろう影響」について論説している。同様の論調が目立つ。
だが、そんなことより日本が注目すべきは、フランスの新ファースト・レディだ。フランスは、同国史上初の事実婚のファースト・レディを迎えることになる。サルコジ大統領は任期中に離婚し、何かと話題のセレブ妻と再婚した史上初の大統領だった。こういう柔軟なところがフランスらしい。
実は、フランスのこの柔軟性が人口減少に歯止めをかけている。結婚制度を柔軟にすることがフランスの人口政策の要なのだ。おりしも日本の総務省が、こどもの日に合わせて子供の人口を発表した。比較可能な1950年以降で最も少ない数となった。少子化に歯止めがかからない日本も考えなければならない課題だ。
ドイツに対抗するため始まった人口増加政策
フランスは19世紀後半から140年以上かけて人口増加政策をとってきた。そのきっかけは1870 〜71 年にフランスを襲った衝撃――普仏戦争における大敗とドイツ帝国の成立――である。ナポレオンの軍事力の背景には、当時欧州最大であったフランスの人口があった。フランスは当時の欧州全人口の約20%を占めた。その巨大な人口を活用し初の近代的徴兵制を導入していたのだ。
1850〜1900 年の間にドイツの人口は58.7%増加した。これに対して、フランスの人口はわずかに9.2%増加したのみだった。1850年ごろばに仏独の人口が逆転して以来、その差は開く一方であった。フランスではフランスの人口停滞が、普仏戦争の勝敗に影響したとみられていた。列強がしのぎを削る19 世紀末、“国力は人口なり”と言われた欧州において、人口の停滞を、国力の低下として懸念する声がフランス国内では高まっていた。
フランスの人口はその後、1910〜20年と1940年〜50年に2度も出生率2.0を切り、大きく減少した。そして1990年代後半、出生率は1.66にまで低下した。
フランスは、大きく落ち込んだ出生率を2.02まで引き上げた。いまや欧州ナンバーワンだ。20 世紀前半のフランスの人口は、1901 年から1950 年までおよそ横ばいであった(4071 万人→4183 万人)。それが2009 年初頭には6245 万人とほぼ5割増加した。フランス国立統計経済研究所は、2050 年のフランスの人口を7000万人と推計している。
>>次ページ政府による家族支援は日本の2倍
一方、ドイツ連邦統計庁は、2005 年に8250 万人だったドイツの人口が2050 年には約6900 万人に減少すると予測している。2050年には仏独の人口が200 年ぶりに逆転するかもしれないのだ。ドイツとの人口逆転を契機にフランスが140年間かけて導入した人口政策は、大きな成果を上げているといえる。
政府による家族支援は日本の2倍
フランスがとった人口増加政策の特徴は2つある。一つは家族給付の規模の大きさだ。我が国の家族給付の規模は、GDP比1%を切る水準で、先進国の中で最低水準である。これに対してフランスは3%を上回る。社会保障支出に占める家族給付の割合は日本が4.23%であるのに対して、フランスは10.22%となっている。日本でフランス並みの家族給付を行おうとすると7兆円近い追加支出が必要となると推計される。
フランスの家族給付の特徴は、社会的弱者への配慮だ。低所得層やひとり親、障害を持つ子などへの支援が非常に充実している。家族補足手当、家族支援手当、ひとり親手当、特別教育手当、新学期手当などがこれに相当する。
また、「認定保育ママ」が、働くお母さんをサポートしている。認定保育ママは現代版の乳母。フランスは歴史的に乳母を活用してきた。認定保育ママを利用する世帯には保育方法自由選択補足手当を支給する。この手当ても所得が低いほど手厚い。低所得層の女性が認定保育ママを利用して就業を継続することを容易にしている。
子供が3歳までは、子供1人当たり月額最高約8万円の補助を国が出す。家賃の補助もある。フランスでは幼稚園から大学までの学費は基本的に無料である。所得額によって給食費も変動する。ここが日本の消費税議論で抜け落ちている「高い消費税の対価」である。「欧州の消費税は高いから日本も高くできる」という議論があるが、「国の未来を担う世代に手厚くなっている欧州の社会保障の中身」を知るべきだ。
「結婚」しないカップルにも同等の法的利益
フランスの人口政策のもう一つの特徴は、結婚制度が柔軟であることだ。その成果の証が婚外子の多さに表れている。その割合はなんと新生児の50%を超えている。我が国でも増加傾向にあるものの、2%を少し超えたくらいで、大きな差がある。この背景には、フランスの婚外子を支える様々な支援制度がある。
柔軟な結婚制度の中で、特筆すべきはパクス(PACS)という制度だ。これは結婚と事実婚との中間に当たる。パクスを届け出ると、納税、社会保障の給付、相続などにおいて、結婚した夫婦並みのメリットをカップルとして受けることができる。「結婚はしたくないが、結婚の法的メリットは受けたい」というカップル向けの制度なのだ。現在は、「結婚3件に対し、パクス2件」の割合で申請されている。
>>次ページフランス成人の7割がカップルで暮らす
これに対して日本は、男女が親しくなって、一緒に暮らし始めても、法的メリットを受けようとすれば結婚するしかない。しかし、離婚率は現在36%に達し、3組に1組は別れてしまう。もし子供がいたら、一人で育てなければならない。
日本ではひとり親にはとても厳しい生活が待っている。母子家庭の平均年収は213万円。7割の親が就業してはいるのだが、その半数が臨時・パートとなっている。シングルマザーで正社員になれる人は相当限られている。日本の“ひとり親家庭”の相対的貧困率は54.3%。OECD加盟国の中で最悪となっている。行政の財政支援は手薄で、子供を預けられる施設は限られており、教育費も高い。
厚労省が2012年に次の将来人口推計を発表している――1995年生まれの女性の20.1%が50歳の時点で未婚。同年代のうち、35.6%が子供を持たない。今後は女性の5人に1人が結婚せず、3人に1人が子供を持たないわけだ。
フランス成人の7割がカップルで暮らす
フランスでは結婚の前にパクスがある。パクスで相性を確かめながら、社会保障の支援を受けつつ、結婚の是非を判断できる。仮に結婚してうまくいかず、離婚してシングルマザーになっても、行政の手厚い支援がある。一緒に暮らして子供を作ることにチャレンジしやすい制度だと言える。
ただし、われわれ日本人が人口政策より先にまず見習うべきはフランス人の恋愛能力ではなかろうか。「成人の10人に7人がカップルで暮らしている」という統計をどう見るべきか! 日本には同種の統計はないが、間違いなく、これに遠く及ばないと思う。男女がまず求め合い、相手を確かめ合う。そして、それを支える国の支援がある。「愛があってこその人生!」というフランスの恋愛力が、国家の未来につながっているように思えて仕方ない。
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