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デフレ脱却を問う:円高是正は金融政策に依存、長めの国債購入は将来の選択肢=前原政調会長
2012年 05月 9日 21:58
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[東京 9日 ロイター] 民主党の前原誠司政調会長は9日、ロイターのインタビューに応じ、野田政権の至上命題となっているデフレ脱却に向けて、金融政策の役割は大きいとし、円高是正には相当程度金融政策に頼らざるを得ないとの認識も示した。今は追加緩和の是非を明言する段階ではないと強調し、 「日銀の本気度が試される(猶予)期間」と位置付けた。
将来追加緩和が必要と判断された場合の政策手段については、4月末の追加緩和で、買い入れ対象国債の残存期間を3年まで延長した決定は「より残存期間の長い国債を買うためのカードを残した」と述べ、将来追加緩和が必要と判断された場合の政策手段として買い入れ対象国債の年限の長期化が選択肢のひとつになるとの認識を示した。
また、結果責任を重視する前原氏は、デフレ脱却に向けた日銀の主体的な関与が足りなければ、政府・日銀間での政策協定(アコード)を結び、日銀により強い結果責任を求める考えも示した。一方で、与野党内で浮上している日銀法改正論については「今、具体的なテーマとして想定しているわけではない」と慎重な見方を示した。
インタビューの概要は以下の通り。
──デフレが長期化している。追加緩和の必要性について。
「デフレ脱却の責任を全て日銀に負わせることは酷だ。他方、財政出動はもはや難しい。多額の借金を抱え財政リスクが大きくなっているなかで、デフレ脱却には2つの道しかない。ひとつは、新成長戦略を着実に実行するなかで、日本の経済成長の底力を強化することにつきる」
「加えて、アジア通貨危機以降、韓国がV字回復するなかで、半導体など日本が比較優位だと言われた分野で陣地を失っている。日本の競争力が低下している大きな原因は、イノベーションや経営戦略もさることながら、円高、FTA・EPA締結比率の低さ、法人税や電気料金(の高さ)など三重苦、四重苦と言われるものが大きなポイントだ。法人税やEPA・FTAは政治の責任だが、円高をどう是正するかについては、相当程度金融政策に頼らざるを得ない。リーマンショック後、世界が財政出動し借金が増え、各国がその支出の見直しを行っている状況のなかで、使える政策手段である金融緩和を行っているが、それが相対的に日本が弱いのではないかという面もある。デフレ脱却、日本経済を好転させるためには、引き続き日銀の役割は大きい」
──4月27日の追加緩和の評価は。
「基金の枠の拡大は5兆円だが、長期国債については10兆円拡大し、大事なポイントは抑えている。市場期待への対応を考えれば、買い入れ対象国債の年限を残存期間3年に拡大したことは一定の評価ができる」
──将来、取り得る手段については。
「いろいろな手段があると思うが、それは独立性をもった日銀が決めることだ。市場は、物価上昇率1%がゴール(目標)であるとした本気さを試している。それにどうこたえるかがまずは大事だ。引き続きの日銀の政策決定会合における取り組み、毎回やっていてはいけないが、引き続きの取り組みは大事になる」
「円高是正では、日本円で海外の資産を買うことが極めて大事だ。ひとつの例として、従来から私が主張しているのは、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のポートフォリオの見直し。GPIFが保有している長期国債を市場で売却し、それに連動して、日銀が(基金の)枠のなかで買い入れる。国債市場にはニュートラルな形でポートフォリオを変える。そして、そして得た現金を海外の優良資産で運用する。為替介入と同じ効果をもつ。厚生労働省、財務省、日銀、まさに政府・日銀の連携プレイをさまざまなところでやっていくことが大事だ」
──党内からも日銀の本気度は、買入れ対象国債の残存期間の長期化に映し出されるとの指摘がある。買い入れ国債の残存期間の長期化は選択肢になるか。
「もちろん、選択肢としてあるが、日銀は金利動向をかなり気にしている。そこをどうみるかということがあるだろう。長期金利が1%上昇すれば、国債を保有している金融機関の評価損が出て中核的自己資本比率が下がる。結果、貸しはがし、貸し渋りが起き、実体経済にマイナス要因になる。その点も含めた慎重な対応(が必要だ)」
「残存期間3年までに拡大したことは、より残存期間の長い国債を買うためのカードを残したと思っている」
──追加の金融緩和が必要との認識か。
「明確に言う段階ではない。必要ないとも言ってないが、今すぐやる(追加緩和)べきとは言っていない。2月には物価目標(ゴール)を決めた。決めたことをしっかりやるということ。(資産買い入れ基金の)枠の拡大もした。しっかり国債の買い入れをすることに尽きる」
──日銀法改正論が与野党で浮上している。法改正の是非については。
「まず、2月14日に決めた物価上昇率1%目途をどう達成するか。日銀には、言い放しではなく、実現するための努力を政府と協力してやってもらいたい。(今は)その本気度を試す期間と思っている。それが足りなければ、次にとる道はまずはアコードだ。政府・日銀間で協定を結んで、(日銀に)オブリゲーションを課す」
「日銀法の改正で、独立性が損なわれることは副作用も大きい。そこまで、いま考えるべきでない。しかし、デフレ脱却に日銀が主体的に関与しなければ、政治の不満は高まり、日銀に対する視線、目つきが厳しくなることはしっかり受け止め、日銀の独立性を維持するということなら、言ったことはしっかりやる姿勢で取り組んでもらいたい。今、日銀法改正を具体的なテーマとして想定しているわけではない」
──日銀法改正には副作用が大きいと。
「なぜ、中央銀行は独立性を担保してきたかということだ。政治の道具として好きに使われないようにすることが大事なポイントだった。日銀法を改正して、独立性を緩めることはまさに、政治の道具として使える余地が大きくなるわけで、当然、マイナスが出てくる」
──中央銀行の信認が問われれば、金利上昇となって跳ね返る。
「日本にとって、一番、身近な副作用は金利上昇だ」
(ロイターニュース 吉川裕子 梶本哲史:編集 吉瀬邦彦)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE84800A20120509?sp=true
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